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100話 昼食が肉じゃなくて良かった件

【祝100話!】100ptを超えないまま、100話になってしまいました!

 ドタドタドタドタドタ


 ガッチャン


 「な!誰だ!お前ら!」


 「……ここにはいないか。でも、大麻はあるな。アカリ、やれ!」


 「うん」


 ボワッ


 「ぐぁぁぁ!火が!火がぁぁぁ!」


 これで、5カ所目のハズレだ。


 候補は合計13カ所。


 あと、8カ所。


 13カ所の内の9カ所は、地下に大麻畑がある。


 共和国では大麻は違法のはずなので、大麻を視認したら、アカリにファイヤーボールを撃ってもらい、中途半端な灰にしている。


 なんで、中途半端にしてるかって?


 一応、「ここで大麻が育てられていましたよ」っていう証拠を残しておいた方がいいだろう?


 『マスター。後方60mから5人。嗅ぎつけられたようです』


 「ちゃんと生徒じゃないか確認してから撃てよ?」


 「了解…………生徒じゃありません!」


 タァン、タァン、タァン


 「殲滅完了」


 ヴァントの狙いは正確だった。


 ヴァントが持ってきたコイルガンは、口径は小さいものの、貫通力が凄まじい。


 やろうと思えば、1発で数人倒すことができる。


 ヴァント曰く、一直線上にぎゅうぎゅう詰めで並べたなら、100人は貫通できるそうな。


 しかし、敵が遠ければ遠いほど、同時に数人撃ち抜くのは難しくなってくる。


 敵が重なる瞬間を見極める必要があるからだ。


 だが、ヴァントはそれをやった。


 ヴァントが「超高性能な身体」だから、視力がすごかったのかな?


 「よし、次に行こう!お兄さん!」


 「まあ、待て」


 俺は、壁の一部を指差す。


 「デカイ1発を撃って、ここを破壊してみろ」


 「え?いいけど………」


 ドゴンッ


 アカリは1メートルほどの氷の塊をその場所に向けて発射した。


 アカリならもっと巨大な氷を出せたのだろうが、ここは地下。

 

 デカすぎると、天井が崩れて生き埋めになってしまう。


 「え?なにこれ!ボク、知らなかったよ!」


 壁が崩れて現れたのは隠し通路。


 「メモメモ」プレイ中、なぜか最大規模のアイスニードルを撃ちたくなって、撃ってみたのだが、次の地下室に向かう隠し通路が現れた。


 俺が運で見つけたこの通路を、アカリは知らなかったようだ。


 ちょっと、嬉しいな。


 「……めろ……」


 ん?

 

 なんか、隠し通路の奥から、声がするな。


 「……やめろ!」


 女子の声だ。


 「やめろ」ってことは、襲われているのか?


 この通路の先は、ただの物置きだったはずなのだが……。


 「急ぐぞ!ツヴァイ、状況を!」


 『142m先、右折。その14m先、左折。その先に、人間の反応が3つ』


 反応が三つか。


 さっきから聞こえてくる声は1種類。 


 襲われている人が1人、襲っている人が2人かな。


 「アカリ!先行してくれ!」


 「うん!」


 アカリが一気にスピードを上げる。


 この先でなにが起こっているのかわからないが、襲われていると考えられる女が無事だといいが。


 「……ああっ!痛い!」


 また、女の声だ。


 確実に、襲われているな。


 急げよ、アカリ。


 「も、もっと!」


 ん?


 本当に、襲われてるのか?

 

 変なプレイをしてるんじゃないだろうな。

 

 「な、なんだ!コイツは!ぐぁぁっ!」


 おっ。


 初めて男の声がしたな。


 通路の先の部屋は、物置ではなかった。 


 拷問部屋だった。


 その部屋の中にいたのは、マーサ。


 マーサ=フォン=ワルサー。


 親衛隊長の次女である。


 下着だけの状態で手を天井に鎖で固定された手錠で拘束されて、三角木馬に跨っていた。


 彼女の腹や背中には、新しい切り傷が大量にある。


 床に血がついた鞭が転がっているので、恐らく、鞭で打たれていた。


 なぜ、コイツが拷問されていたんだ?


 拷問していた奴らを目で探すと、アカリの目の前に大量の肉片と骨片があった。


 おかしい。


 アカリは、決して獰猛な獣ではない。


 穏やかな転生者だ。


 それなのに、バラバラに……。


 ………魔導車の中で食べた昼食が、肉じゃなくてよかったな。


 俺はマーサの手錠を警棒で破壊し、三角木馬から降ろした。


 「……マーサ。何で、こんなことになっているんだ?」


 「金持ちの手下に攫われたんだ。アイツらの目的は私たちを玩具にすることだったらしい。攫われた後、私がその金持ちに暴言を吐きまくったら、ここに連れてこられてこのザマだ。ちなみに、その金持ちは、そこでバラバラになっている」


 玩具か。


 確かに、ラザフォード学園の貴族校舎には、外見”は”いい奴が多いからな。


 躾けたい、って思う奴がいるのもわからなくはない。


 「……『私が』ってことは、攫われた人間が他にもいたのか?」


 マーサは、首を縦に振る。


 「そうだ」


 2つ、わからない事がある。


 なんで、マーサは暴言を吐いたんだ?


 コイツは、そんな人間ではない。


 「メモメモ」の修学旅行で死ぬマーサは、決して他人を侮らず、嘲らず、陥れず、義理堅い。


 そして、なんで抵抗しなかったんだ?


 マーサの剣の実力なら、いくらでも抵抗できたはずだ。


 「マーサ。地球って、知ってるか?」


 「チキュー?なんだそれは?」


 わからないか。


 なら、転生者ではなさそうだ。


 マーサがあのマーサのままなら、考えられることは一つだけ。


 「お前、わざと暴言を吐いたんだろ?金持ちがキレて手を出してきた時に、自分が最高の玩具である事をアピールして、他のやつに危害が加えられないようにしたんだろ?だから、あんな声を出したんだろ?」


 「………まぁな」


 マーサは、涙目だが、誇らしげな顔をした。


 「メモメモ」の修学旅行で発揮する自己犠牲、囮。


 そして、無抵抗。


 この3つの言葉から推測したのだが、正解だったようだな。


 大した奴だ。


 「エルン。お願いがある」


 「何だ?」


 「私を……鞭で叩いてくれないか?その……クセになってしまってな……」


 あれっ?

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