100話 昼食が肉じゃなくて良かった件
【祝100話!】100ptを超えないまま、100話になってしまいました!
☆
ドタドタドタドタドタ
ガッチャン
「な!誰だ!お前ら!」
「……ここにはいないか。でも、大麻はあるな。アカリ、やれ!」
「うん」
ボワッ
「ぐぁぁぁ!火が!火がぁぁぁ!」
これで、5カ所目のハズレだ。
候補は合計13カ所。
あと、8カ所。
13カ所の内の9カ所は、地下に大麻畑がある。
共和国では大麻は違法のはずなので、大麻を視認したら、アカリにファイヤーボールを撃ってもらい、中途半端な灰にしている。
なんで、中途半端にしてるかって?
一応、「ここで大麻が育てられていましたよ」っていう証拠を残しておいた方がいいだろう?
『マスター。後方60mから5人。嗅ぎつけられたようです』
「ちゃんと生徒じゃないか確認してから撃てよ?」
「了解…………生徒じゃありません!」
タァン、タァン、タァン
「殲滅完了」
ヴァントの狙いは正確だった。
ヴァントが持ってきたコイルガンは、口径は小さいものの、貫通力が凄まじい。
やろうと思えば、1発で数人倒すことができる。
ヴァント曰く、一直線上にぎゅうぎゅう詰めで並べたなら、100人は貫通できるそうな。
しかし、敵が遠ければ遠いほど、同時に数人撃ち抜くのは難しくなってくる。
敵が重なる瞬間を見極める必要があるからだ。
だが、ヴァントはそれをやった。
ヴァントが「超高性能な身体」だから、視力がすごかったのかな?
「よし、次に行こう!お兄さん!」
「まあ、待て」
俺は、壁の一部を指差す。
「デカイ1発を撃って、ここを破壊してみろ」
「え?いいけど………」
ドゴンッ
アカリは1メートルほどの氷の塊をその場所に向けて発射した。
アカリならもっと巨大な氷を出せたのだろうが、ここは地下。
デカすぎると、天井が崩れて生き埋めになってしまう。
「え?なにこれ!ボク、知らなかったよ!」
壁が崩れて現れたのは隠し通路。
「メモメモ」プレイ中、なぜか最大規模のアイスニードルを撃ちたくなって、撃ってみたのだが、次の地下室に向かう隠し通路が現れた。
俺が運で見つけたこの通路を、アカリは知らなかったようだ。
ちょっと、嬉しいな。
「……めろ……」
ん?
なんか、隠し通路の奥から、声がするな。
「……やめろ!」
女子の声だ。
「やめろ」ってことは、襲われているのか?
この通路の先は、ただの物置きだったはずなのだが……。
「急ぐぞ!ツヴァイ、状況を!」
『142m先、右折。その14m先、左折。その先に、人間の反応が3つ』
反応が三つか。
さっきから聞こえてくる声は1種類。
襲われている人が1人、襲っている人が2人かな。
「アカリ!先行してくれ!」
「うん!」
アカリが一気にスピードを上げる。
この先でなにが起こっているのかわからないが、襲われていると考えられる女が無事だといいが。
「……ああっ!痛い!」
また、女の声だ。
確実に、襲われているな。
急げよ、アカリ。
「も、もっと!」
ん?
本当に、襲われてるのか?
変なプレイをしてるんじゃないだろうな。
「な、なんだ!コイツは!ぐぁぁっ!」
おっ。
初めて男の声がしたな。
☆
通路の先の部屋は、物置ではなかった。
拷問部屋だった。
その部屋の中にいたのは、マーサ。
マーサ=フォン=ワルサー。
親衛隊長の次女である。
下着だけの状態で手を天井に鎖で固定された手錠で拘束されて、三角木馬に跨っていた。
彼女の腹や背中には、新しい切り傷が大量にある。
床に血がついた鞭が転がっているので、恐らく、鞭で打たれていた。
なぜ、コイツが拷問されていたんだ?
拷問していた奴らを目で探すと、アカリの目の前に大量の肉片と骨片があった。
おかしい。
アカリは、決して獰猛な獣ではない。
穏やかな転生者だ。
それなのに、バラバラに……。
………魔導車の中で食べた昼食が、肉じゃなくてよかったな。
俺はマーサの手錠を警棒で破壊し、三角木馬から降ろした。
「……マーサ。何で、こんなことになっているんだ?」
「金持ちの手下に攫われたんだ。アイツらの目的は私たちを玩具にすることだったらしい。攫われた後、私がその金持ちに暴言を吐きまくったら、ここに連れてこられてこのザマだ。ちなみに、その金持ちは、そこでバラバラになっている」
玩具か。
確かに、ラザフォード学園の貴族校舎には、外見”は”いい奴が多いからな。
躾けたい、って思う奴がいるのもわからなくはない。
「……『私が』ってことは、攫われた人間が他にもいたのか?」
マーサは、首を縦に振る。
「そうだ」
2つ、わからない事がある。
なんで、マーサは暴言を吐いたんだ?
コイツは、そんな人間ではない。
「メモメモ」の修学旅行で死ぬマーサは、決して他人を侮らず、嘲らず、陥れず、義理堅い。
そして、なんで抵抗しなかったんだ?
マーサの剣の実力なら、いくらでも抵抗できたはずだ。
「マーサ。地球って、知ってるか?」
「チキュー?なんだそれは?」
わからないか。
なら、転生者ではなさそうだ。
マーサがあのマーサのままなら、考えられることは一つだけ。
「お前、わざと暴言を吐いたんだろ?金持ちがキレて手を出してきた時に、自分が最高の玩具である事をアピールして、他のやつに危害が加えられないようにしたんだろ?だから、あんな声を出したんだろ?」
「………まぁな」
マーサは、涙目だが、誇らしげな顔をした。
「メモメモ」の修学旅行で発揮する自己犠牲、囮。
そして、無抵抗。
この3つの言葉から推測したのだが、正解だったようだな。
大した奴だ。
「エルン。お願いがある」
「何だ?」
「私を……鞭で叩いてくれないか?その……クセになってしまってな……」
あれっ?




