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96話 レーションな件

目指せ!100話までに100pt以上!(10000pv達成!!)(あと4話で100ptを達成するのは多分無理!)


次の目標 150話までに30000pv以上&300pt以上

 『5、4、3、2、1……』


 ガチャッ


 「よぉ。おかえり」


 俺はベッドに座ったまま二人を出迎えた。


 「マスタぁ!よかったぁぁ!」


 ヴァントが泣きながら俺に飛びついてくる。

 

 ………ヴァントって、こんなキャラだったっけ?


 クールさのカケラもない。


 さっきまで、脅迫まがいのことをしていた奴とは思えないな。


 「おいおい、どうしたんだ?」


 「もう、目を覚まさないかとぉぉ!」


 『先代。致死性の毒ではないと伝えたはずですが?』


 「後継!お前は、『死』について考えたことがないから、そんなことが言えるんですよぉ!」


 「お。ちゃんと、考えたんだ」


 「はいぃ!死ぬと意識はどうなるのかとかぁ、死ぬ時を認識できるかとかぁ、死ぬともう何も成せないのかとかぁ、色々考えている内に頭の中が真っ暗になってぇ!そんな時にマスターが意識がない状態で運ばれてきたもんだから………えぐっ」


 ちゃんと、人間が4歳くらいの時に。起こる現象を体感できたか。


 これで少し、ヴァントが人間味が増せばいいな。


 ところで、ヴァントと違って俺に近づいて来ないし、話しもしないアカリはどうしたんだ?


 目を合わせようとしても、目を逸らされる。


 ……気まずそうだな。


 「おーい、アカリ?どうした?」


 「なんでも………ないよ……」


 「なんでもない」って言う時は、大抵何かある時だ。


 なんだ?


 「言ってみな?」


 「なんでもないって!お兄さん!」


 ……あまり、しつこく聞くのは良くないか。


 「そうか……ならいいんだけど」

 

 ………。


 ………。


 空気が重い。


 どうにか、話題を変えないと。


 ええっと。


 「そういえば、他の生徒はどこに行ったんだ?」 


 下の階も、上の階も、隣の部屋も静かすぎる。


 人がいるとは思えない。


 「サーシャがレストランに連れて行ってました」

 

 レストラン?


 そういえば、外が暗い。


 夕食を食べていなかったな。


 「……夕食を食べに行こう!」


 俺がそう言うと、ヴァントは彼女の左手にある腕時計に目を向けた。


 「無理ですね。今は20時……13分なので、全ての店で入店できません」


 まだ20時じゃん。


 ドイツの閉店法みたいな感じか?


 確かに、労働組合とかありそうだけど。


 「………じゃあ、夕食抜きってこと?」


 「こんな事もあろうかと、レーションを10食分持ってきていたんですよ。食べませんか?」


 修学旅行で夕食が食べれなくなることを予想していたというのか。


 流石、ヴァントだな。


 「よし、食べよう!ほら。アカリも……」


 「いや、ボクは……ボクは……」


 アカリのこの感じは……罪悪感に近いか?


 何に罪悪感を感じているのか分からないが、それに支配されるのは、精神が擦り減ってしまう。


 寮出の時の俺の経験談である。


 「いいから!食べるよ!」


 「うん……」


 レーションは本当に美味しかった。


 俺が食べたのは、チキンカレーのレーション。


 保存が効くくせに、味が濃すぎていなく、肉が大量に入っていた。


 もしかしたら、生徒達が食べたレストランのディナーよりも美味しいかもしれない。


 夕食を食べ終わった後、軽く口を濯いで、寝る準備に取り掛かる。


 俺は床で良かったのだが、2人は倒れた俺を気遣ってか、意地でも俺をベッドで寝せようとしてきた。


 俺は2人の圧に負け、ベッドで寝ることにした。


 目が覚めた。


 窓から光が入ってきていない。


 まだ、夜が明けていないのか。


 二度寝しようとするが、どうも、頭が冴えてしまっている。


 こういう時は、目を閉じて、何も考えないに限る。


 ………。


 ………。


 ゴトッ


 部屋の中で物音がする。


 ギッ


 今度は、床が軋む音。


 何かが、部屋の中で動いているな。


 ボフッ


 何かが、ベッドに乗ったな。


 マットレスが、少し傾いているような気がする。


 ボフッ


 え?


 2人目?


 仰向けで寝ている俺の左右に1人ずついるな。


 なんなら、2人とも、横になっているな。


 目を開けようとするのだが、なぜか、体が拒絶している。


 「マスター。起きていますか?」 


 左側から声がする。


 ヴァントか。


 じゃあ、反対側はアカリか?


 何をする気だ?


 ……あえて、反応しないでおくか。


 案外、寝ているフリは得意なんだよな。


 「……寝ているようですね。では、失礼します」


 グッ


 何をされるのかと思ったら、手をまわして抱きついてきた。


 「マスター。貴方のせいで、寝れなくなってしまいました……。しばらく、こうさせて下さい」


 ……これは、あれだ。


 「死」のことを考えた結果、寝れなくなったパターンだ。


 わかるよ。


 俺も、5歳から中学生まで、定期的にあった。


 夜の暗さが一層怖いよな。


 「ごめん、ごめんね」


 今度は、右側から声がした。


 アカリか。


 マットレスの沈み具合的に、人型。


 何を謝っているんだ?


 「ボクのせいで、ボクが背中の痒みを気にしたせいで、お兄さんに毒が……」


 これか。


 これがアカリの罪悪感の正体か。


 致死性の毒は入ってなかったんだし、いいじゃん。


 俺は全然元気だし。


 そんなこと、気にしてないよ。


 「駄犬。なんでそれをマスターに直接言わないんですか?」


 「……お兄さんが怒ってたら、どうしようかと思って……」


 そんなことじゃあ、怒らないって。


 安心して、明日に備えよう。


 な?

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