94話 カイザー博物館な件
目指せ!100話までに100pt以上!(10000pv達成!!)
次の目標 150話までに30000pv以上&300pt以上
☆
宿から徒歩20分。
俺らは、カイザー博物館に到着した。
博物館は「メモメモ」のものと同じく、約250m四方の石造りの建物。
アルプトラウムやマート星の建物を除くと、恐らく10本の指に入るほどの大きさである。
「本日、ここの案内をしていただくのは、副館長のマリーさんです!拍手!」
パチパチパチパチ
拍手の中現れたのは、ショートヘアの若い女だった。
若くして副館長をやっているのだから、大したもんだな。
「皆さん!ようこそ、カイザー博物館に!この博物館の副館長を勤めさせていただいている、マリーと申します!ラザフォード王国からの来館を心から祝福し申し上げます!」
「マリーさん、ありがとうございます!皆さん、決してマリーさんに迷惑をかけてはいけませんよ?では、1列になって、マリーさんについていってください!」
☆
「左手に見えますのは、ヴィルヘルムで見つかっている化石の中で最も古い、ネクロラプトル・シレンティウスの化石です!」
俺の周りで、「へー」だの、「スゲー」だのが溢れかえっているが、俺の中ではメモメモで何回も見た物だ。
感動なんて、俺にはない。
ああ。
退屈だ。
俺の目の前にある化石のように、古生物の標本はある。
人類の歴史に関する資料?
歴史学の資料だ。
考古学の史料ではない。
当たり前だよな。
ヴァントが以前話していたように、今の世界は新人類がオリジナルから地位を乗っ取って8万年ほど経った世界。
つまり、この星の人間の祖先は、この星で誕生したのではない。
別の星で誕生して、この星にやってきたのだ。
考古学で探究するような、猿に近かった頃の人間など、この星にいたことはないのだ。
この星には、考古学者が発掘するような史料なんて、存在しないのだ。
「マリーさん。人間は最初から人間だったのか?」
エリカが質問をする。
これに対して、「はい」とマリーが答える。
ここで、「人間の祖先はサルです」なんて言ったら、どうなるだろう。
きっと、転生者以外、俺を馬鹿にしてくるだろうな。
この世界の科学の水準は、前世よりも低い。
DNAの一致度なんて測れないし、そもそもDNAの概念すらないのだ。
☆
その後も、博物館をまわり続けた。
この博物館内にあるものの中で面白かったものは一つだけ。
ユニコーンの化石だけである。
マリーさんが自信満々に「本博物館で1番人気なのは、ユニコーンの骨格標本です!」って言っていたもんだから、俺は期待していた。
なんでユニコーンには期待したかって?
「メモメモ」には、そんなのなかったからだ。
で、いざ見てみたら、頭はユニコーンだった。
頭はね。
いや、さ。
面白いよ?
面白いんだけどさ。
生物として、違和感を感じなかったのかな?
二本足で立つにも関わらず、手(前足)がない。
骨盤の位置が明らかにおかしい。
前世に、近い標本があったな。
確か……マクデブルク・ユニコーンだっけ?
よく、そっくりな形に組み立てられたもんだ。
自由時間に、この博物館のお土産屋に寄ってみたのだが、基本的にユニコーンに関する物しかなかった。
ユニコーンの標本レプリカ、ユニコーンの標本ぬいぐるみ、ユニコーンのキャラクターのような刺繍が縫われたハンカチ………。
博物館のユニコーン推しがすごいな。
そういえば、シャルロッテがユニコーンのぬいぐるみを買っていたな。
どんな形であれ、ぬいぐるみならいいのだろうか。
☆
博物館の見学が終わり、宿に帰っている途中のことである。
「’お兄さん。なんか、ボクの背中のあちこちがチクチクするんだけど………’」
「’大丈夫か?’」
「’大丈夫じゃないかもしれない。痒いよぉ’」
毛で蒸れたのか?
それとも、虫に刺されたのか?
「少し、触るぞ」
俺は、アカリの背中を撫でるように触った。
アカリの背中に、何か細い物が刺さっているような感覚がある。
『マスター!アカリから手を離してください!今すぐに!』
右手のリングから、ツヴァイの怒鳴り声がする。
アカリの背中を触ったら、カエンダケのように手が爛れるわけではないだろうに。
チクッ
グラッ
「えっ?」
目が回る。
足が痺れる。
呼吸がしにくい。
これは……
「はぁはぁ、ツヴァイ……。どういうことだ……」
『博物館内で、アカリは針のようなものを何本も撃ち込まれたようです。それには、麻痺毒など数種類の即効性の毒が贅沢に使われていました。即死させるような毒はなかったですが』
「なん……で……」
バタッ
体が重力に負ける。
地面に押しつぶされる。
「お兄さん!お兄さ……」
耳が遠くなる。
「おに………」




