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94話 カイザー博物館な件

目指せ!100話までに100pt以上!(10000pv達成!!)


次の目標 150話までに30000pv以上&300pt以上

 宿から徒歩20分。


 俺らは、カイザー博物館に到着した。


 博物館は「メモメモ」のものと同じく、約250m四方の石造りの建物。


 アルプトラウムやマート星の建物を除くと、恐らく10本の指に入るほどの大きさである。


 「本日、ここの案内をしていただくのは、副館長のマリーさんです!拍手!」


 パチパチパチパチ


 拍手の中現れたのは、ショートヘアの若い女だった。


 若くして副館長をやっているのだから、大したもんだな。


 「皆さん!ようこそ、カイザー博物館に!この博物館の副館長を勤めさせていただいている、マリーと申します!ラザフォード王国からの来館を心から祝福し申し上げます!」


 「マリーさん、ありがとうございます!皆さん、決してマリーさんに迷惑をかけてはいけませんよ?では、1列になって、マリーさんについていってください!」


 「左手に見えますのは、ヴィルヘルムで見つかっている化石の中で最も古い、ネクロラプトル・シレンティウスの化石です!」


 俺の周りで、「へー」だの、「スゲー」だのが溢れかえっているが、俺の中ではメモメモで何回も見た物だ。


 感動なんて、俺にはない。


 ああ。


 退屈だ。


 俺の目の前にある化石のように、古生物の標本はある。


 人類の歴史に関する資料?


 歴史学の資料だ。


 考古学の史料ではない。


 当たり前だよな。


 ヴァントが以前話していたように、今の世界は新人類がオリジナルから地位を乗っ取って8万年ほど経った世界。


 つまり、この星の人間の祖先は、この星で誕生したのではない。


 別の星で誕生して、この星にやってきたのだ。


 考古学で探究するような、猿に近かった頃の人間など、この星にいたことはないのだ。


 この星には、考古学者が発掘するような史料なんて、存在しないのだ。


 「マリーさん。人間は最初から人間だったのか?」


 エリカが質問をする。


 これに対して、「はい」とマリーが答える。


 ここで、「人間の祖先はサルです」なんて言ったら、どうなるだろう。


 きっと、転生者以外、俺を馬鹿にしてくるだろうな。


 この世界の科学の水準は、前世よりも低い。


 DNAの一致度なんて測れないし、そもそもDNAの概念すらないのだ。


 その後も、博物館をまわり続けた。


 この博物館内にあるものの中で面白かったものは一つだけ。


 ユニコーンの化石だけである。


 マリーさんが自信満々に「本博物館で1番人気なのは、ユニコーンの骨格標本です!」って言っていたもんだから、俺は期待していた。


 なんでユニコーンには期待したかって?


 「メモメモ」には、そんなのなかったからだ。


 で、いざ見てみたら、頭はユニコーンだった。


 頭はね。


 いや、さ。


 面白いよ?


 面白いんだけどさ。 


 生物として、違和感を感じなかったのかな?

 

 二本足で立つにも関わらず、手(前足)がない。


 骨盤の位置が明らかにおかしい。


 前世に、近い標本があったな。


 確か……マクデブルク・ユニコーンだっけ?


 よく、そっくりな形に組み立てられたもんだ。


 自由時間に、この博物館のお土産屋に寄ってみたのだが、基本的にユニコーンに関する物しかなかった。


 ユニコーンの標本レプリカ、ユニコーンの標本ぬいぐるみ、ユニコーンのキャラクターのような刺繍が縫われたハンカチ………。


 博物館のユニコーン推しがすごいな。


 そういえば、シャルロッテがユニコーンのぬいぐるみを買っていたな。


 どんな形であれ、ぬいぐるみならいいのだろうか。


 博物館の見学が終わり、宿に帰っている途中のことである。


 「’お兄さん。なんか、ボクの背中のあちこちがチクチクするんだけど………’」


 「’大丈夫か?’」


 「’大丈夫じゃないかもしれない。痒いよぉ’」


 毛で蒸れたのか?


 それとも、虫に刺されたのか?


 「少し、触るぞ」


 俺は、アカリの背中を撫でるように触った。


 アカリの背中に、何か細い物が刺さっているような感覚がある。


 『マスター!アカリから手を離してください!今すぐに!』


 右手のリングから、ツヴァイの怒鳴り声がする。


 アカリの背中を触ったら、カエンダケのように手が爛れるわけではないだろうに。


 チクッ


 グラッ


 「えっ?」


 目が回る。


 足が痺れる。


 呼吸がしにくい。


 これは……


 「はぁはぁ、ツヴァイ……。どういうことだ……」


 『博物館内で、アカリは針のようなものを何本も撃ち込まれたようです。それには、麻痺毒など数種類の即効性の毒が贅沢に使われていました。即死させるような毒はなかったですが』


 「なん……で……」


 バタッ


 体が重力に負ける。


 地面に押しつぶされる。


 「お兄さん!お兄さ……」


 耳が遠くなる。


 「おに………」


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