7)戦闘編2
20年前に書いた初作品、続きを投稿します。
アムが目を開けると、そこには・・・。
果たして、危機を乗り越える事ができるか?
”白曜月”と”蒼き輝き”に戻った白派艦隊は、熱狂的な市民の歓待に迎えられた。概知の黒派2大拠点を消滅せしめ、戦争に怯える必要も無くした艦隊を、歓迎する者ばかりだった。中には”同じ月生まれ”の友の氏を悲しむ人類もいたが、総じて浮かれている神々の気持ちに水をさす者はいなかった。戦勝の宴は”蒼き輝き”と”蒼き星”の同時開催で、1週間まるまる祝う予定となった。
”蒼き星”の首都近くにある巨大なすり鉢状の窪み。
その壁面には階段状の座席が用意され、そこには数えきれない程の神と人が坐っていた。楽しげに肩を組んで騒ぐ者、果実酒を飲みすでに出来上がっている者、様々であった。その中央には円形の石舞台が置かれ、中央を囲むように石の座席が置かれていた。浮上寝台に横たわる”白き神”を始め、上位神、戦功をたてた神々に混じってアムがぽつりと坐っていた。何故こんな事になったのだろう、そんな後悔とも愚痴とも取れるつぶやきをもらしながら、数日前の出来事を思い出すアム。
”白き神”に呼ばれて、寝室に入ったアム。寝台からまだ置きあがれない”白き神”は、片手を上げて挨拶をする。
挨拶を返してから近くの椅子に坐るアム。
「お加減はいかがですか?」
「なんとか元気だよ。腹をやられたので、いましばらく歩けないがな。」
そう言って笑う”白き神”。本当は一時生死の境をさまよう程の重傷で、今もしゃべるのはきついはずだった。早めに切り上げよう、と思いながら明るく答えるアム。
「そうですか。早く全快して、元気な姿を民にお示し下さい。今や、名実共にこの星系の最高位になられたのですから。」
「そうだな。」
そう言って笑った”白き神”の表情は、泣き笑いのように複雑だった。”緑の星”と、そこにいた神々、人類を救う事ができなかった事を悔いているのかもしれない。しばらくの沈黙ののち、ふいに”白き神”が口を開いた。
「そうだ。来週の”祝勝の宴”でな、勝利への最大の貢献者として、力場制御技術の責任者に勲章の授与を行うぞ。当日は迎えを送るから、正装して自宅で待っていてくれ。」
「わかりました、伝えます。・・・て、私ですか?!」
「そうだよ。あれが無かったら白派艦隊は消えていたんだ。開発責任者を称える場が無くては皆が納得できん。」
アムはそう言われて嬉しい半面、負の責任を感じてもいた。勝利への貢献、すなわち母星の姉妹星を消し去った
戦犯ではなかろうか。”緑の星”の多くの民と、そこに忍びこんでいた人類の”組織”にいる部下達の末路を思うと、心が重くなるのであった。そんなアムの心情を見抜いてか、”白き神”が言葉を続ける。
「一つ言っておこう。白派の長は、勝利を自らの戦果と誇る権利を持つが、そこで生じた失敗の責任も負わなければならない。その論理で言えば、勝利の決め手になった技術も白派の長である私の功績だ。しかしそれでは貢献者とその組織は頑張る意味を見失うし、実際何割かは貢献もしておろう。ゆえに頑張って成果出した事は表彰する。」
肯くアムを見て続ける”白き神”。
「また、良い事も悪い事も個人で背負ってはならぬ。どんなに優れた発想も、設計、物造り、運用と多くの関係者で成果を生むものだ。この受賞を自分だけで取ったと思い上がってはならんぞ。」
「はい。」
一見天狗になるなよ、と戒めて聞こえるが、アムは心が温かくなった。実は勝因となった技術の開発者として表彰される事で、星と多くの生命を奪った者と自覚し、心を病んでしまわないように配慮してくれた事が解ったからだ。
満足そうに白き神が続ける。
「良い返事だ。じゃ、表彰の参列忘れるでないぞ。話疲れたから行って良し。」
手を振る”白き神”に礼をして部屋を出るが、扉が閉まったとたんに頭を抱えて座り込むアム。
「まじですか・・・」
「・・・と言う事で、素晴らしい技術で白派勝利に大きく貢献したアムさん、”白き神”の前へどうぞ!」
驚きながらの立ち上がり直立不動になるアム。
「は、はい!」
宴の開会に気づかず、没頭していたらしい。
気を取り直して、背もたれを起こした寝台に坐る”白き神”の前まで歩く。表彰状の金属板を手渡し、胸に勲章を付ける”白き神”。
「アムよ、白派を、私を窮地から救ってくれてありがとう。これからもその英知で、この星系を導いてくれ。」
背後で人類のざわめきが聞こえる。星系最高位の神が、星系の導きを求めるとは、このような祝の席であってもありえない事だった。しかし他の神々は事前に知っていたのか、驚く神もなくやがて拍手喝采となった。何が自分だけで取ったと思うなよ、なんですか、どう言う事ですか!などと言えるはずもなく、”白き神”と会場に向けて深く礼をとるアム。
「恐れ多いお言葉です。今回の受賞は、力場制御技術を共に立ち上げ運用した神々と人類に対してのものと捉え、ありがたく受賞させていただきます。」
今一度礼をするアムに会場は再び拍手喝采となった。
アムが坐ると代わりに司会神が立ち上がる。
「全ての表彰が終わりましたので、いよいよ祝賀の宴席・・・といきたいところですが、その前に。”緑の星”が在るはずだった座標を観測しつつ、黙祷をささげたいと思います。負傷者以外、全員起立!」
本来惑星間通信に使う力場光を、出力全開で”緑の星”が存在したならあったであろう場所に照射を始める。
それは追悼の光として、星の残骸である隕石群を映し出す予定だった。天空に目視できる太い光が走ると同時に、台座中央に現地の立体映像が映る。
「全員黙祷!」
アムも心からの黙祷をささげる。しかしすぐに会場から異様なざわめきが発せられ、目を開けるとそこには隕石群と何か巨大な球体が浮かんでいた。明らかな人工物だった。
「なんだ、あれは!」
「目視でも見えるぞ、あれは大きい!」
ざわめく会場で”白き神”が目を見開いている。
「あれは、対惑星兵器か。いつのまに用意したのだ・・・。」
”緑の星”の衛星”黒曜星”であったそれは、偽装の表土が剥がれ落ち、凶凶しく赤黒い光の点を散りばめた表層を露出させていた。それは、衛星に内蔵された大口径の火器と、巨大な推力をもたらす円錐状噴射機関。星系内の衛星で最大の質量を持っていたそのまがまがしい月に直撃されれば、惑星さえ構造を保つことは困難であろう。
星系内の黒派が壊滅した今、それはまさに黒派の最終兵器であった。司会神が天を見上げながら話出す。
「今入った情報によると、あれは質量、大きさ、軌道、速度から”黒曜月”と思われます。現在加速しながら”蒼き星”を目指していることが判明しました!」
その場にいた神と人は皆愕然とする。特に、本国でこの兵器詳細を知らされていた上位神ほど絶望的な顔をしていた。
”育みの神”が”白き神”の寝台に歩み寄り声をかける。
「あれは守りが堅い、壊れんぞ。どうする。」
「・・・いまさら停戦はあり得ないだろうな。戦うしかない。」
「そうじゃな。」
”白き神”が手を上げて、一同の注目を即す。拡声された咳払いがあたりに響く。
「皆が目撃したあの物体は、恐らく惑星破壊兵器だ。反体制的な星系には、あれを置いて威嚇する事がある。まさか本星系でも隠して建造していたとは知らなかったがな。」
静まり返った会場を見渡してから、”白き神”は続ける。
「あの物体は、その由来から名称を”黒曜月”とする。目的地はここ”蒼き星”と考えて間違い無いだろう。撃破するには全市民の協力が必要だ。方法は追って告知する、それまで待っていて欲しい。なお、宴席はこれをもってお開きとする。以上だ。」
立ち上がり、ざわめきながら会場を去っていく神と人。中央の石舞台は徐々に地下に降りていきやがて蓋で見えなくなる。
蓋が閉まると同時に神々は”白き神”の周りへ集まってくる。撃破方法を問う神々に首を振る”白き神”。
「惑星破壊兵器は対抗兵器や衝突の衝撃に耐えるよう、特殊な合金で覆われており、その深さは半径の2割に達している。また、表層の穴に格納された自動迎撃装置は破壊が難しいだけでなく強力だ。」
控え室からこの場に来たイリス神が質問を挟む。
「”黒都砲”を反射したように、大型艦で反射しながら近づいていけば?」
”好加速の神”がそれに答える。
「自動迎撃装置は”黒都砲”より攻撃範囲は狭いが、密度が高い。狭い範囲に収束攻撃されて、反射しきれるかどうか。仮に近づけたとしても、あの分厚い外殻を打ち壊す術はないぞ。」
沈黙する神々。手元の情報端末に流れてくる惑星破壊兵器の推定構造を見ていたアムが、どうしようか迷ったが、
覚悟して手を上げる。
「あの・・・外殻を壊さなくても敵を無力化する事ができるかもしれません。」
疑いの目、怒りの目、興味の目、と様々な視線を浴びながら、空間に投影した惑星破壊兵器の立体映像を表示する。構造の断面図を出し、そこに接近する小型艇を指示し、説明を始める。
「現在存在する白派の攻撃手段では、この外殻を破壊し、機動を止める事はできません。電磁波の類は貫通できないでしょう。」
「ほら、やっぱりできないではないか。」
「考えが足りん。」
口々に避難する下級神。普段は紳士的な白派の神々も、追い詰められていらついている様子だった。
テハス神に睨まれてようやく口をつぐむ神々。静かになったのを見計らって説明を再開するアム。
「しかし、このような外殻をも貫通し、内部に破壊的影響を与える波が存在します。」
イリス神がはっと顔を上げて答える。
「そうか、重力波か!」
「そうです。”黒曜月”を挟み込むように収束した重力波を送り込めば、小型力場発生器でも中心部にある心臓部を破壊可能です。うまくいけば爆発するでしょう。」
「おお!」
「さすが勲章を得ただけの事はある。」
賛美する神々は、次のアムの言葉に絶句する。
「ただし。最新の高効率な力場発生器でも、直径くらいの距離で向かい合い、同じ場所に向かって照射しないと重力震は発生しません。」
それから、控え室に場所を移して各方面の専門家と討議を始めたが、他に有効な解決策は見いだせなかった。
議事進行役のイリス神が口を開く。
「アムの提案を実施するには、敵の攻撃をかいくぐり、至近距離まで接近。そして反対側の僚船と同時かつ正しい方向に収束重力波を打ち込まなくてはならない。考慮すべき点は?」
”好加速の神”が片手を上げる。
「敵の攻撃を到達までの時間耐えるのは無理だろう。また大型艦では正確な距離と位置の制御を単時間にはできない。自動操縦の大型艦で可能な限り接近し、壊れる寸前に多数の小型船を分離。攻撃をかいくぐりながら外殻直上に到達。重力波を照射するのが適当だろう。」
制御玉の研究者、”青白い玉”が手を上げる。
「その場合、小型艇の制御玉による自動制御では、敵の大型制御玉に動きを読まれます。また回避に必要であろう連続的な機動は重力制御装置で吸収できる範囲を大きく超えます。」
テハス神が手を上げる。
「言い直せば、手動操縦で予想困難な機動を描きたいが、神々でなければ役に立たない、そう言うことですね。いいでしょう、神々で志願者を募り、”黒曜月”を粉微塵にしてやりましょう!」
「おぉ!」
「やりましょ!」
士気あがる神々。しかしその場にいた5名の人類はとまどっていた。代表してアムが手を上げて発言する。
「しかしこの作戦は生還率が高いとはいえません。我々人類にも出撃させてください!」
”育みの神”が手を上げる。
「人類は土台となった遺伝子が異なる上に、星間戦争に適した耐重力性を付与する事は禁止されていた。神々と比べれば桁違いに加速に弱い。あっと言う間に空のもくずじゃよ。」
悔しそうな人類達。”好加速”の神がアムの部下に手を起き話し掛ける。
「心配するな、その分出発までの準備は死ぬ程忙しくしてやる。俺達の成功は、お前達の準備にかかっている。そうだな、アム!」
突然振られて驚いたが、その通りだと肯くアム。
「その通りです。宴会の直後に準備の指示を出しましたから、そろそろ新型力場発生装置の取り付けが始まるはずです。小型艦の居住空間は装置で一杯になります。攻撃の帰りは操舵室から出れなくなりますが、文句言わないで下さいよ。」
若い神が笑いながら睨みつける。
「神をそんな粗末な環境に置いて平気でいるとは。人類も偉くなったな。まさか、便所までは取ってないだろうな?!」
爆笑する神々と人々。笑いながら涙を流すアムの部下達。”黒曜月”の攻撃に失敗しても、行きに使った大型艦は破壊されているだろう。帰りはかなりの距離を回避しつつ逃げなければならず、それは攻撃を成功させるより困難であった。その場にいた人類は、持てる力を全て使って作業する事を、自らに誓った。
”白き神”は皆の姿を己の眼に焼き付けようとするように、じっとみつめていた。やがて目を閉じて小さくつぶやく。
「すまない。」
会議終了後は、皆すぐに散っていった。アムは軌道に上がり、”白曜月”内部の工場に泊まりこんで技術陣の指揮を始める。建造が間に合わなかった艦船向けの新型力場発生装置を、小型艦の内部に無理やり設置していく作業だったが、小型艦も種類が多く、細かい指示をしなくてはすぐに行き詰まってしまった。アムは個室で新しく上がってきた図面を見ながら、つい物思いにふけってしまう。
多様化に否定的な黒派に反抗する意図もあって、部下達が提案する様々な艦船製造を許可してきた。しかし、短期間で効率良い改造を迫られると、黒派の取ってきた没個性な標準化も間違いとばかり言えない事が解った。
「確かに彼らにも一理ある。しかし個性が無ければ勝利に繋がったあの艦は生まれなかった。重要なのは目的によってどちらも使いこなす柔軟な姿勢ではないか?」
「なんの話?!」
どきっとしてアムが振り向くと、後ろにイフと子供達が立っていた。ハーンがやれやれといった顔で首を振る。
「人類期待の星も、大声で独り言を言うようじゃまずいですな。」
ユーンがハーンの脇をこずきながら言う。
「大丈夫よ。先の戦を準備する時も、突然独り言言って周りがびびったそうだから。それでも結果は出したのよ。」
アムが苦笑いする。
「おまえ達は親をなんだと思っているんだ。」
イフがアムの横にある椅子に坐る。
「アムがどんな人かは置いといて。仕事が大変なんでしょ?私達も手伝うわ。」
ユーンが誇らしげに胸を張る。
「私達がどれだけ役に立つか知ってるでしょ?ここで使って、お父さん。」
ハーンも胸を張る。
「過保護にせず、子供に厳しい局面を経験させる良い機会だよ、お父さん。大きな成長には大きな困難が必要さ。」
ユーンがにやりと笑う。
「お子ちゃまのハーンには特に必要ね。」
「何を!」
小突きあう子供達を尻目に、イフが言葉を続ける。
「ここで食い止められなきゃ、どこにも逃げ場は無いわ。どんな結果になるとしても・・・家族で一緒に居ましょう。最後まで力を尽くしましょう。」
しばらく黙っていたアムは、嬉しそうに力強く肯いた。
「わかった。どこまでも、共に生きよう。」
笑顔で肯くイフと子供達。アムが差し出した両手に、家族の手が重なっていく。
その日、森は騒音に満ちあふれていた。大型の肉食獣が我を忘れて駆けめぐり、気のいらだった草食獣の群れが木々に体当たりして倒木を増やしていった。美しい羽を持つ鳥たちは狂ったように鳴き喚き、魚が池から飛び出しては干からびていった。地上にある村では騒動こそ起こっていなかったが、胸騒ぎで不安そうな者達が広場に集まり、天上を見上げていた。そこには二つの月が浮かび、いま正に対決の時を迎えているようだった。
”黒曜月”はできる限り遠方で破壊するのが望ましかった。
しかし、計算上の成功率を見ると、集中的かつ大量に小型艦を突撃させる必要が有った。ゆえに準備に時間がかかり、”白曜月”の近くまで接近を許す事になった。”白曜月”の司令所では、その間近に迫った”黒曜月”のまがまがしい姿が立体映像で表示されていた。いまや星系の頂点といえる室内には人類が大半を占め、残っている神は怪我しているか老いているか、のいずれかだった。
「人類と重傷の神を避難させた”蒼き輝き”は、周回軌道を離れ”木目の星”への最短経路に移動しました。順調に加速中との事です。」
主席通信神の報告を聞いて軽く歓声が上がる。
”鉱炉の神”が肯く。
「やっぱり強度補助の稼働柱を動くままにしておいたのは正解だったな。」
司令室が持ち場となったキタンが笑いかける。
「当たり前ですよ。速やかに移動し安全宙域へ向かえるのも、設計当初から盛り込まれた危機回避のを大事に守ったからです。」
”鉱炉の神”がため息をつく。
「黒派は備えより見栄えを優先し、”緑の輝き”が生き残る力を奪ったのだ。先の見えぬ愚か者だ。それなのに敵を撰滅する備えは怠らないとは。」
キタンが苦笑いする。
「皮肉ですね。黒派らしいとも言えますが。」
何気なく聞いていたアムは、移動寝台に寝たまま扉から入ってくる”白き神”に気づき、立ち上がって礼をする。
他の者達も一斉に礼をする。自由な風土の白派も、度重なる危機に際して軍隊のような規律が自然と浸透を始めていた。アムがそんな思案をしていると、ふいに、壁面の表示版が明るくなり、寝台に横になっている黒服の神を正面上方から映し出す。みるからに重傷患者といった包帯だらけの外観に、こけた頬、うつろな目。足は膝から下が無かった。
「おぉ」
不意に”白き神”が動揺してうめき声を出す。アムは次の瞬間その神が誰か解った。見る影も無いが、”黒威神”であった。
画面の左右から神が寝台の近くに歩いてくるのが見える。
左から青色の服を着たカザン神と深緑色の服を着たドオカ神。右からは深紅の服を着た女神エフェス神、そして人類が歩いてくる。黒服を着た人類の男は、猿のように毛深いが堂々としたその態度が神の様であった。司令室にいた者は皆よく知っている男だった。
「エンカン」
アムが呟くと向こうでも音は聞こえるのか、エンカンの眉がぴくりと上がる。
カザン神が手を上げて挨拶をすると、白き神も手を上げて挨拶を返す。
「ご機嫌いかがでしょうか、”白き神”よ。惑星破壊兵器の威力をよくご存じの貴方だ。降伏して命乞いする以外に方法は無いこと、分っておられますな?」
”白き神”がカザン神に冷たい視線を向けると、その圧力を感じカザン神が頬に冷や汗をうかべる。
「カザン神よ、降伏すれば私以外の神に危害を加えないと約束できるか?」
周りの神々がざわめいた。カザン神達がにやりと笑う。
「貴方は条件をつける立場に無い。ただ・・・人類と星々は全て残す事を約束しましょう。」
しばらく沈黙した後、白き神が肯く。
「解った、協議する時間を少し欲しい。ところで・・・黒威神はいったいどうしたのだ。そんなに酷い怪我なら重傷患者用の回復装置に入れておくべきではないか。目は開かれているが、意識を感じられない。」
エフェス神がくすっと笑う。
「黒威神は重傷で動けないわ。でも皆さんに最後の挨拶はしたいかと思って連れて来たのよ。眠ってるけどね。」
”白き神”は”黒威神”を見つめながら答える。
「解った・・・。では協議後に連絡する、しばし待って欲しい。」
エンカンがにやりと笑う。
「心の広いカザン神はいつまでもお待ち下さるよ。まあ、”黒曜月”が”蒼き星”にぶつかるまでには、返事をお願いするっす。」
エンカンの高笑いを最後に通信が切れる。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
誤字ご指摘/感想は読ませていただきます。お返事はしませんが、ご容赦を。




