二人目・序
なああんた、おまわりってどう思うよ?
あいつらがそばに立つだけで変な汗をかいたり、緊張したりしないかい?
もちろんあんたが犯罪者じゃないってことはわかっているよ。
ただ罪を犯していようがいまいが……おまわりに話しかけられたら嫌な感じがしねぇか? って話さ。
悪いこともしてねぇのに何で? 何で俺? って、思うだろう?
そばにいたら嫌だけど、でも、何かあったときはいないと不安。基本的に関わりあいたくない。
それがおまわりだろ?
なんでだろうな? いないと困るってのに。やっぱり、みんな怖いんかな?
何をそんなに怖がるんだ?
例えば、拳銃が一丁、実弾数発があったとする。
銃に弾を込めてグリップを握り、トリガーに指を置いて、銃口を向ける。
これだけ圧倒的な威圧感。
銃と弾。この組み合わせが容易に人の命を奪うと誰もが知っている。
そしておまわりはこれを持っている。いつでも、その気になれば目の前の人間に銃弾を撃ち込むことができるんだ。
怖いよな。俺は怖いよ。だが、それは、それを使う側も同じだろ?
一介のおまわりが、この凶器を好き放題に使えばすぐに豚箱行き確定だ。
その犯行をどんなに隠そうとしたって、てめぇのシマにできた汚点を見逃すほど警察組織は甘くない。表には出ないままに汚点は掃除される。
それがどんな風に行われるのかは知らないが、掃除は間違いなく行われる。
その組織に属していれば、末端であっても、そんな噂が知らぬうちに伝わり実しやかに耳に入る。
そしてそれは未確認の噂のまま一種の恐怖として心に根を下ろし、やがて正義がつくられるってわけだ。
銃口を向けられる側にも向ける側にも恐怖がある。だから、トリガーは簡単には引くことができないってわけだ。
だが、何事にも例外はある。
ここに、奴らの網に少しもかかることのなかった銃と弾がある。
この拳銃を使い、もし目撃者がいなければ……
もしうまく証拠を消すことができれば……
奴らは決して俺のしっぽをつかむことはできない。
ああ? なんのためにそんなものがあるのかって?
なぁに単なる趣味さ。
俺はどこにでもいるおまわりで、どこにでもいるガンマニアなんだ……




