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事務子と高齢者ドライバー②

説得するのはとても難しいですね。

今回は高齢者ドライバーの患者さんとのトラブルを2つ紹介します。


1つ目は、高齢になり運転能力が明らかに落ちている患者さんのトラブルです。

15年ほど通院している方でした。70代になっていましたが毎回自身で運転をして通院していました。

ある時、連続して駐車スペースの枠内に停めることが出来ず、斜めにはみ出す停め方になってしまったり、他の患者さんの車と接触しそうにもなりました。


この方の車を確認したところ、あちこちぶつけた跡があり、更に日除けのためか運転席側の窓にうちわを差し込んでいて右側が全く確認できない状態になっていました。

医師にこれらを報告したところ、運転禁止となりました。

しかし「大丈夫です。事故を起こしたことはないので」と医師の指示を拒否。

年齢的にかなり厳しくなっていること、いつ事故を起こしてもおかしくないことを伝えますが全く危機感がありませんでした。

家から車で10分ほどの距離と近いこともあり、バスやタクシーでの通院が可能なこと、家族に連れてきてもらう方法や、歩いて行ける距離の病院への転院などを提案しても「絶対に運転は続ける」と頑なに拒否し続けました。


医師の指示を聞き入れられないということは、今後責任を持って治療し続けることが困難なため、治療終了になると伝えても拒否し、家族とも相談してほしいため、家族に今回の件を病院から報告しますと伝えると怒り出しました。

危険性を再度伝えても拒否し続けられたため、これ以上の話し合いは出来ないと判断し、次回運転してきた場合は診察しないと伝え帰宅して頂きました。

その後、この方が受診することはありませんでした。

推測になりますが、この方からしたら、今まで大きな事故を起こしたことがないのに病院がうるさく言ってきたという捉え方をされたのかなと思います。




2つ目は、年齢と病状的に運転が困難な患者さんのトラブルです。

この方はいくつかの持病を抱えており、年齢も80代と高齢で、別の病院で運転禁止と言われている方でした。


ある夏の日の受診時、受付後に顔色が悪くなり、座っているのもきつそうな状態でした。

ひとまずベッドへ案内し横になってもらいました。

話を聞くと、クーラーをつけずに家で過ごしており、体調が悪い自覚があるのに自力で運転して来たとのことでした。


熱中症になっているため体を冷やしつつ水分をとって休んで貰いましたが一向に良くなりません。

辛うじて会話が出来る程度という状態でした。

また、熱中症だけでなく、持病の症状も悪化しており危険な状態でした。

医師は救急へ搬送するべきと判断し救急車を呼ぼうとしましたが本人は拒否。

しかも起き上がれないのに運転して帰ると言い出したのです。

熱中症は死ぬこともあること、救急搬送の必要性、この状態で運転すると言うのはまともな判断ではないため許可しないと伝えますが嫌だと拒否し続けます。

この状態で無理矢理に救急車を呼ぶわけにもいかず、家族に迎えに来てもらうのなら帰宅を許可すると伝えますがそれも拒否。

絶対に自分で運転して帰ると言い続けるのです。1時間ほどこのやりとりをしました。

救急車を呼ぶか家族に来てもらう以外で病院は許可しないと諦めたらしく、しぶしぶお子さんの連絡先を教えてもらいました。

すぐに連絡し迎えに来てもらいました。


医師からお子さんへ状況を説明し、運転は別の病院で禁止と言われていること、今回の件で、当院でも運転は禁止の方針にすると伝えました。

お子さんはとても理解のある方で、親の病状もきちんと把握されており、運転禁止の件も知っていました。また、最近運転をやめてほしいと伝えていて、病院や用事で出かけたいときはお子さん達で送り迎えをすると伝えており、本人も了承していたそうです。

それでご家族は安心していたそうで、未だに運転していたことを知り驚いていました。

お子さんが謝罪している側で本人は不貞腐れており、このままではまた運転しそうだと思い、医師が運転して病院へ来るのは禁止と強く伝え帰宅されました。


しかし、次の受診時も自身で運転して来ていました。

約束を破ったため今日は診察出来ないと伝えると怒りだし暴言を吐き始めました。

「患者が来たのに診察しないとはどういうことだ⁉」

「こんな態度の悪い病院は初めてだ」

「運転するのは自分の自由だ。お前らに言われる筋合いはない」等々、聞くに堪えない言葉も続きました。

お子さんに運転して病院へ来ていると連絡するとすぐに来て下さり、再度話し合いをしました。

単独事故も度々起こしており、家族としては免許返納してほしいが、本人は「大丈夫」と頑なに拒否している状況で困っていることを話してくださいました。

病院としても、事故の危険性が高いのに見過ごす事は出来ない事、年齢と病状から運転中に何があってもおかしくないと伝えましたが本人は聞き入れません。

家族が協力すると伝えても拒否していました。


自分の要求が通らないとはっきり分かってくるとまた暴言を吐き始め、転院すると言い出しました。

医師はそれを受け入れ、紹介状を書きお渡しして治療終了としました。


これだけ家族が危機感を抱いていて、しかも本人の生活が今まで通り送れるよう協力すると伝え続けていても拒否するとは、ご家族の苦労を思うと悲しくなってしまう出来事でした。



この2つのケースは特に酷い事例のため、読んで頂いた皆さんの中には、高齢者=言うことを聞かないと思ってしまう方もいるかもしれません。

この様な方ばかりではなく、きちんと自身と向き合い、家族のために運転免許を返納する高齢者も沢山いらっしゃいます。

車の運転は、高齢者だけでなく、どの年齢の方でも一歩間違えれば人を殺しかねない危険な行為にもなります。


高齢者でなくても、運転する前に今日の体調は万全か、安全運転できるかを、今一度自身に問いかけて頂きたいと思います。


次回は9/11投稿予定です。

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