もてなしの料理
「まあ、見た目で言えば、こちらの方のほうが聖女ですよね」
王が去ったあと、あの泉でも見た若い神官が龍美を前に言ってくる。
「どういう意味よ」
とリラが小声で言うと、
「清廉な雰囲気があります」
と神官がリラに向かって言う。
「あと――」
あとのつづきを神官は飲み込んだ。
……なんだろうな、と龍美は思う。
「まあ、なんの準備だか知りませんが、なさるのでしたら、まず、お寛ぎになってから」
数々の料理が運ばれてきた。
大皿にのったロールキャベツに見えるもの。
ただし、汁はない。
あとで聞いたが、葡萄の葉にひき肉や玉ねぎなどが巻かれたものらしい。
上からオイルとハーブがかけてる黄色いスープが少量。
香ばしい焼き魚。
カラフルな巻き貝のサラダに、マンゴーっぽい果物などがずらりと並ぶ。
「なによ、これ。
豪華じゃない。
聖女って、清貧の思想じゃないといけないんじゃないの?」
とリラがケチをつけてくる。
……あなたは貴族のお屋敷でいいものを食べているのではないのですか。
何故、よその食事にまで口を出してきますか、
と思ったとき、リラが言った。
「ああでもそっか。
生贄になるかもしれないから、今のうちに美味しいもの食べさせとけみたいな?」
――おい、麻田さん。
「でも、生贄には粗食でいいんじゃない?」
そうリラが言ったとき、神官が、
「リラ様もご一緒にどうぞ」
と言った。
「あらそう?
ありがとう。
さ、いただきましょうよ、安野さん」
とリラはさっと椅子に座る。
切り替え早いな、ほんうに。
いっそ見習いたい、と龍美は思っていた。
それにしても、焼いた物が多いな。
煮込み料理とかない。
スープは少しだけ。
やっぱり水が足りないんだな。
早くどうにかしないと――。
見た目豪華な料理を眺めながら龍美は思った。




