聖女の試験
「私、紛れもない雨女ですっ
幼稚園から高校まで、入学式も卒業式も体育祭も、どんなイベントも大雨ですからっ」
とリラは言い出す。
「……麻田さんのせいだったんですか、あの大雨は」
「なんで突然、恨みの目線を向けてくるのよ」
「高校に入った途端、急にイベント、雨続きになったなと思ったんですよ」
――それにしても、麻田さん、見るからに晴れ女っぽいのに意外だ。
ちなみに、こう見えて、うちの学校に入っているのだから、たぶん、頭もいい。
そして、私は麻田さんが言うように晴れ女だが、今のところ、彼女の雨女っぷりに押し負けているっ!
「晴れ女の名折れと思っていたのですが。
……秋の体育祭で勝負ですっ」
と言って、
「あんた、ここから帰れると思ってるの? 私よりポジティブね」
とリラに言われてしまった。
確かに。
ここから帰れないかもしれないことを想定し、ここでいい暮らしをするにはどうしたらいいのか即座に考える彼女の方が順応力はすごいのだと思う。
「あの」
と龍美は王に話しかけた。
「なんだ?」
聖女をお譲りするのは構わないのだが、気になることがある。
そう龍美は思っていた。
「聖女じゃなかったからどうなるんですか?」
「そうだな。この国にはいらないな」
放り出されても困るっ。
はいはいはいっ、と二人は手を挙げた。
「私が聖女ですっ」
「私が聖女ですっ」
「なに言ってんの、私よっ」
「聖女でないなら、路頭に迷うとなれば引けませんっ」
やかましいっ、と結局、二人とも牢屋にぶち込まれてしまった。
「どっちか聖女かもしれないのに、この扱い、ひどくないですか?」
まあ、まだ汚くない牢屋でよかった、と思いながら、龍美は愚痴る。
「なによっ。
あんたのせいじゃないっ。
あんたが引けばよかったのよっ。
私、幼稚園でマリア様の役に立候補したのに選ばれなかったのよっ。
聖女くらいやらせてくれてもいいじゃないっ」
……何故、クリスマス劇のマリア様が聖女より上なんだ。
まあ、子どもたちにとって、そのくらいの価値があるものなのかもしれないが。
そういや、今でも言ってるな。
『C組の◯◯ちゃんがさー』
『誰それ?』
『うちの幼稚園で、マリア様だった子だよ』
たぶん、知らない人に、人となりがこんな感じ、と伝わりやすいからだろうが。
だいたい、ハキハキした子が選ばれてたもんな。
……ところで、麻田さん、マリア様は役だけど、聖女様は役じゃないんだが、
と思ったところに、先ほどの神官がやってきた。
「このままでは埒が明かない。
雨を降らせてみよ。
雨を降らせることができた方が聖女だ!」
そのまま二人、牢から出され、カラカラに乾いた広大な砂漠に放り出されてしまった。
「さあっ。
聖女候補の娘たちよ。
水が欲しくば、おのれの力で降らせてみよっ」
あの、どっちも降らないんですけど……。
水分がなくなって死ぬ寸前、二人はふたたび、投獄された。




