エロレイヤー
フルグレインの先導で俺たちは魔物の巣の近くまでやって来た。巣に近づくにつれ、斥候隊であろう魔物三匹と遭遇したが、出来るだけ体組織を破壊しないように倒し、素材はボロ袋に放り込んだ。
やはり冒険者にとってもこのアイテムは規格外なようで、フルグレインなんかは目を見開き驚愕していたが、俺になにかを言ってくる事はなかった。
ラフィアが驚愕するフルグレインやローデンに対して、ヴィヴィアンお姉さまならばこの程度のアイテムなど当たり前だと言い放っていたのだがそんな事をヴィヴィアンは知る由も無い。
「ヴィヴィアンさん。巣への入り口はもう直ぐそこだ。さっきから魔物との遭遇率も上がってるしココでは危険だと思う。俺たちは近くで見つけた洞窟にベースを築いているからソチラに向かってメイちゃんを護衛したいと思うんだがいいだろうか?」
「わかりました。それでお願いします。コロニーでの討伐が終わったら此方から探しに行きます。人を探すのは得意なんですよ。」
戦い終わったらメイの匂いを追跡すれば居場所なんて直ぐ見つかるだろう。俺がそう考えていると。
「いや!その必要は無い。俺がヴィヴィアンお姉さまについて行くからな。後で合流する時に案内する。…ですからお姉さま!安心して下さいっ!!」
前半が他のメンバーに対して言った事で後半が俺に言ったのだろうが…どうしたものか。俺一人の方が戦うという意味ではラクなんだけどなぁ…
同じように思ったのだろう、ローデンが口を開いた。
「ラフィア、それではヴィヴィアン様の足を引っ張る事になります。貴女の刺突でさえあの魔物には通らなかったのですよ?」
「それがどうした?俺はそれでもヴィヴィアンお姉さまと一緒に行く。危険だとわかっている場所にお姉さま一人で行かせられる訳ねぇだろっ?それに攻撃じゃあ役に立たねぇかも知れねぇが、魔物をバラして運んだりするくらいなら出来るさ。自分の身を守る程度の事も出来る。俺が居りゃお姉さまに何かあった時に身を呈して肉壁ぐらいにゃなれる。だから俺はお姉さまに万が一が無いようについて行くんだよ!!」
「ラフィアの言っている事も一理ある。理由はどうであれ雑用がいると便利だろうし、万一の対処もしやすい。それに分け前を貰う以上、このチームから一人でも行かせた方がタテマエも立つ。やっぱり案内だけして後はヴィヴィアンさん任せってのも落ち着かないしな。そんな訳でヴィヴィアンさんさえ良かったらウチのラフィアも連れてってやってくれないか?」
まあ、フルグレインの言う事も分かる。俺がいくら強いといっても向こうは人間としての強さでしか見ていないのだから万が一を考えて連絡手段の構築などを考慮しているのだろう。それに所詮俺と交わした報酬云々は口約束でしかない。それを裏付ける為に実戦でもメンバーが参加したという事実が欲しいといったところだろうか。
「わかりました。俺もラフィア一人ぐらいなら守りながらでも戦えるでしょう。」
そこでふと考えた。いつもなら真っ先についてくると言い出しそうなメイがやけにおとなしい。だから確認も兼ねて、俺は戯けるようにメイに言った。
「今日のメイは付いてくるとは言わないのか?」
「もう!ヴィヴィさま!からかわないで下さい!そんなにいつもいつも我が儘ばかり言いませんよ。魔物がいっぱいいるコロニーが如何に危険かは解っているつもりです。そんな所について行ってメイの所為でヴィヴィさまが怪我をなさるなんて事になったらメイは自分を許せません。ですから今日の所は大人しくお留守番をしています。」
「そうか。メイがそう言うなら安心したよ。じゃあフルグレイン、メイを頼みます。」
「ああ、ヴィヴィアンさん安心してくれ。メイちゃんは俺とローデンが責任を持って守る。」
「よろしく。じゃあラフィア、そろそろ行こうか。どの程度の規模のコロニーかは判らないけど日が落ちるまでには一度帰ります。」
そうして俺は三人と別れ、ラフィアを連れてコロニーへと向かった。
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フルグレインたちと別れた場所から五分程度北上した位置にコロニーはあった。
直径十メートル程だろうか。ここからでは巨大な穴が開いている様にしか見えない。しかし、見張りの魔物が出てきたりするので、間違いは無さそうだ。
「ラフィア準備はいいか?次に見張りの魔物が巣に戻った瞬間に突入する。俺の側を離れるなよ。」
「お、おうっ!ヴィヴィアンお姉さま!しっかりくっついてます!!」
そういってラフィアは俺の二の腕にぎゅっとしがみ付いて来た。
そういう意味じゃないんだけどなぁ…
間近にいるラフィアを改めて見ると残りの二人より随分と軽装だ。きっと敏捷性を重視しているのだろうけど、その所為で何処のエロレイヤーだよって言うくらい際どい格好をしている。辛うじて革の胸当てと、金属のプレートで手脚を防御してはいるが、それ以外はほぼビキニと変わらない。そんな格好で豊満な胸を押し付けられていると非常に居心地がいい。いや、間違えた。悪い。
それに身長もメイよりは高いが、俺よりは頭一つ分低いので上目遣いに見上げてくるかたちになる。それが猫のようなつり目と相まってより一層扇情的な雰囲気を醸し出していた。熟成されたフルボディの赤に近い色をした髪もそれに拍車をかける。
つまりラフィアは可愛いのだ。
元々さばさばとした女子に好感を持っている俺だったが、改めて意識してしまいそうになる自分を窘めつつ口を開いた。
「まあ、じゃあ行こうか…」
なんとか意識しない事にして俺はラフィアと一緒に魔物のコロニーへと向かった。




