第54話 気に入られるという地獄
ど、ど、ど、どうして王妃様がここに!?町のみんなは分かってなさそうだけど…。クリス・ネイテイル。旧姓がクリス・ミディーア。この国の王妃だ。
私は魔法を通して挨拶をする。
『お、お初にお目にかかります。マイナ・ポタインと申します』
王妃様はどうやら、目を開いていた。
『安心してください。私の声も、王妃殿下の声も周囲には聞こえなくなっています。』
『凄いわね。光魔法。』
『使えるのは、5分と短いですが…。』
光魔法だけの特有の魔法はそれ相応の魔力を使い、身体に負荷をかけちゃうから、5分が今のところ最大値なのである。
『王妃様は、どうしてこの町に?』
『この通りお忍びで。ね?』
『護衛の方々は…?どちらに…?』
『置いてきた。』
私はその言葉に顔を真っ青にしてしまう。
王妃様…自由すぎない!?
『聖女様って聞いたけど…。おもしろい子ね。』
王妃様は微笑む。
『でも、どうしてあの子を叱ることしか、しなかったの?私だったら、少しくらい、優しくするのに…。』
王妃様は、私を試すような口調で言った。
『一度、過ちがいいと判断すれば、繰り返しやってしまうものだからです。』
私の言葉に王妃様はニヤリと笑みを浮かべた。
…なんか、どっかで見たことある笑みだ。
『あなた、気に入ったわ!これからも、よろしくね!』
王妃様は、私の手を取って、言うのだった。
なんか、すごい人と交流した気分…。
◇◇◇
「王妃様!どこに、行っておられたのですか!」
侍女である女が言うのであった。
「あ〜。ちょっと、お忍びで…。」
「護衛もなしに、お忍びにいく王妃は、あなたぐらいしか、いませんよ!」
「歴史に残っちゃったり…。」
「そういうことでは、ありません!」
侍女の言葉に私は「ごめん。ごめん。」と答えるのであった。
「今日は、ご機嫌ですね。なにか、いいことでも、ありましたか?」
侍女の言葉に王妃は、笑みを零すのであった。
「おもしろい子を見つけたの。」
◇◇◇
「…って、ことがあって。」
私は、省略もしながら、みんなにどういう経緯で王妃様と交流を持ったのかを説明するのだった。
「やっぱり、町に行っていたか。」
私の言葉にアダムラフテリアは、そう呟くのであった。
「マイナ様。流石ですわ!王妃様とも、仲良くなさるのなんて!」
私は、みんなの言葉に「あぁ…。うん。」と答える。
これってすごいことなの?
私は心の中でそう呟くのであった。




