表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
54/58

第53話 王妃様と対面という地獄

「お、王妃様がいなくなった!?」


王宮内の使用人はあわてる。


「一体どこに!?」


「…またか。」


慌てている使用人を前にアダムラフテリアは、呆れながらも、そう呟いていた。



◇◇◇


私は王妃である。といっても、この国出身ではない。隣国のルぺえルナ国で生まれた。


ルぺエルナ国で、私は男爵であったが、平民と近いような立場だった。別に私はそこを不満に思ったことはないし、貴族としてより平民として過ごすほうが気楽であった。


私が18歳になったころにある日、なぜか王宮のものが家に来るのだった。そして、なにやら私を観察してきた。


「アメジスト色の瞳…!?」


王宮のものはそう言っていた。その当時の私では理解もできなかった。王宮はアメジスト色の瞳を持った女をどうも探していたらしい。理由は、隣国である王が探していた女だったそうだ。


私はその男と会ったこともないし、知らなかった。そこからなぜか私は王に気に入られ、隣国の王妃として隣国に向かい入れられることになったのだ。


魔法が使える世界に魔法を使えない部外者が入ってきたので、私は少し批判も受けた。


だからこそ、私は考えた。


ーー王はこの制度を変えようと私を連れてきた。


「まぁ、今となってはどうでもいいんだけど。」


私は静かにそう呟きながら、地下水路を歩く。


私は王宮で令嬢として過ごすより、こういう下町で平民として過ごす方が向いているのよ。…ったく、たまには外に出ないと身体がなまってしまうわ。


私は身体を伸ばし、ストレッチをする。


最近ずっと、公務、茶会、公務、夜会の繰り返しだったから疲れたのよね〜。


おもしろみもなにもないし。なんかおもしろいこと起きるといいなぁ。


私はそう思いながら、近くの町に出た。


「ここ、来たことないわね。」


私は静かにそう呟く。


町を見渡すと普通の平民の町より、あきらかに綺麗で匂いもよく、人々の様子も生き生きとしていた。


…こんなに生き生きしいなんて…。なにか秘密が隠れているのかしら。


私はそう思いながら、ローブを被り、町を歩く。


平和。平民の町とは思えないぐらい。


「嬢ちゃん。串焼きいるかい?」


屋台のおじさんが私にそう言ってきた。


「ひとつちょうだ〜い。」


私は声質を変え、そう答える。


「へい!うまいぞ?」


男は軽い口調でそう言いながら、串焼きを私に渡すのだった。まるで、王妃に対する口調とは思えない。でも、私はこっちの方があっている。親しみやすいし、素を出しやすい。


おいしい。この店、王宮で雇いたいくらい。


私が串焼きに夢中になっていると、私に子供がぶつかってくるのだった。


「…いた。」


子供は私にぶつかり、地面に手をつく。


「ごめんなさい。」


私は誤りながら、子供に手を差し伸べた。子供は「大丈夫です。」と、少し暗い表情で言うのだった。


…痛かったのかしら。


私がそう思っていると、後ろで手をガシっと握るような音がするのであった。


「こら。」


私が振り返ると、金髪でサファイヤ色の瞳をした少女が子供の手を握っていた。子供の手には、私がポケットに入れていた、金貨が入った革袋を取っていた。


…気づかなかった。いつのまに、盗まれていたのかしら?片方が私を引き付け、もう片方が盗む…、ってことね。


「人から物を盗むなんて、駄目じゃない。」


彼女はそう言いながら、少年を握っている手を離し、視線を合わせるのであった。


「悪に手を染める者には、神は祝福しないのよ?」


彼女は真っすぐな目を向けて、少年にそう言った。


「…ごめんなさい。」


「じゃあ、返してこれるよね?」


彼女の言葉に少年はコクリと頷き、私の元へ革袋を返してくる。


「…盗んじゃってごめんなさい。」


「…戻ってきたからいいわよ。」


私は少年にそう返し、彼女の方に視線を向ける。


「…金髪で、サファイヤ色の瞳…。」


あぁ、そうか。この子が…。王がいっていた聖女なのね。


私は不思議と笑みを浮かべる。


「聖女ってきいておしとやかな子を想像していたけれど…。案外おもしろいのね。」


「…なぜ、私のことを?」


彼女は首をかしげながら私に聞いてきた。


「自己紹介が遅れたね。」


私はローブを取って、顔を彼女に見せつける。


「あ、あなたは…!?」


彼女は私を見て、大いに驚くのであった。


「私の名はクリス・ミーディアよ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ