第52話 フィナーレという地獄
「アダムラフテリア様、申し訳ありません。これも、セシリア様のためなのです。」
少女はそう言って、足を滑らせたフリをして、2人の足元へ転んだ。
よし!ぶつかる!
彼女が思ったその瞬間、殿下はマイナを空中に浮かせた。
「おいおい、投げるなって。」
マイナは空中で浮きながらそう呟いていた。
アダムラフテリアはマイナの落下地点と思われる場所で、しっかりと受け止め、何事もなかったかのよう、スムーズに踊りはじめる。
か、かわされたの⁉
少女は内心でそう思っていた。
やはり、私では力不足だったのね。
少女は先輩らしき人に指文字を送り後をたくす。
「ラジャー。」
先輩らしき人物が小さな声でそう呟いた。先輩らしき、人物は風魔法をくしし、空気砲を撃って、無理やりやめさせようとした。
悪く思わないで。
彼女はそう言って、魔法を発動させる。だが、二人の踊りの中で見事にかわされた。
「…な⁉」
彼女がもう一度撃とうとするが、マイナが光魔法で眠らせる。
「魔法でとめるのは反則よ?」
マイナは踊りながらも、彼女にそう呟いていた。
「も、もう、無理。」
相手のペアは見事に崩れ落ちた。
「で、殿下!これは、ゆう」
私が優勝と言いかけたところで、殿下が私を押した。
...え?
落ちる、と覚悟したときだった。殿下が、私を落下ギリギリで受け止め、顔が近くなる。周りからは、歓声が聞こえてきた。
「よかったな。これで、地面に足がつけるぞ?」
「あ、あははは。」
私は静かに笑うのだった。
「ゆ、優勝は、アダムラフテリア・ネイテイル王太子殿下とマイナ・ポタインペア!」
こういう終わり方、乙女ゲーとか恋愛小説で定番だけど、実際にやられるとすごい怖いわ。
♢♢♢
や、やっと終わった。殿下の方が大変だっただろうけれど、持ち上げられたまま踊るのも難しかった。
「はぁ~!やっと地面についたわ~!生きた感じ。」
「死んでいたのか?」
「ある意味ですよ、ある意味。...それより、ロイヤルチョコケーキ食べないと!」
「好きだな。チョコケーキ。」
「はい!昔、兄がプレゼントしてくれて、そのときの味がすごく好きで...。」
「…兄?」
「…あ。」
私は自分の発言に後悔する。
そうだった!兄がいたのは前世の話!マイナに兄なんかいないんだった!!どうしよ…。
「昔、みた夢なんですけど…。」
「…。」
殿下は黙秘してしまう。
まずいことをいったかもしれない。
まぁ、今はこのロイヤルチョコケーキを食べることに集中しよう。
私がロイヤルチョコケーキを食べていると、たくさんの人が集まってきた。
「お二人とも、見事なダンスでしたわ!」
「流石、殿下。持ち上げて踊るなんて、誰も考えたことありませんわ。」
「マイナさんもあんなに踊れて!」
あはは。と私はにこやかに笑う。
...静かに食べたい。
私がアダムラフテリアに視線を向けると、面倒くさそうな表情をしていた。
「そういえば、そのドレス…とてもおきれいですね!どこで買ったのですか?」
「あぁ…これは、王妃様からもらったもので…。」
私の言葉に周囲は目を開く。
「あ、あの王妃様がですか…!?」
「いつ交流をしたのですか!?」
「そうね。確かーーー」
あれは、騎士団試験をうける前のことである。
評価やいいね、感想をもらえると凄く嬉しいです!他の作品もぜひお読みになってください!




