第50話 学園創立記念パーティーという地獄
話をくっつけたので、今日は分量長めです。
学園創立パーティーの開始の合図がでた中、アダムラフテリアは一人公務に励むのであった。
『えぇ!?アダム、行かないの!?なんでぇ!?』
『去年は大変だったからな。面倒くさくなったんだろ?』
『デューク、正解だ。』
『来ないなら来ないってはじめから言ってよ〜。だったら、僕も行かない!』
『むちゃをいうな、オリバー。さっき、女性からパートナーを申し込まれただろう?了承したのに、断って、どうするんだ?』
『…ぅ。デュークがパートナーになればいいじゃん!』
『あのな。私は』
『俺の代わりにセシリアに相手になってもらおうと思う。』
デュークの言葉に被せるようにしてアダムラフテリアは言った。
『…デューク、頑張ってね。』
オリバーはそう言って、切り上げてくれるのだった。そして、デュークとオリバーはパーティーへと向かうのであった。
コンコンコンと扉を叩く音。アダムラフテリアは「入れ」と言った。
「失礼します。」
その声は、透き通った丁寧で綺麗な声であった。その声の主は、凛とした顔立ちの少し華奢の持ち主であった。サファイヤの瞳は、夕日に照らされ、いつも以上に輝いていた。真っ赤なドレスは、いつもと印象が違ってどこか品が感じられた。
「殿下。まさか、パーティーに出ずに公務をしていらっしゃったのですか?」
その美しい彼女が吐く言葉はどれも冷たく、毒舌だ。
◇◇◇
こんなときにまで公務をするなんて…。どんだけ仕事がしたいんだよ。
あんたが来ないせいで、王妃が騒いじゃって、「マイナちゃ〜ん!連れてきてぇ!」って泣きわめかれたんだから!
「なんのようだ?」
「あなたを連行しにきました。」
「ほう?それは実に興味深いな。どう連行するんだ?」
どうって言われても。…確かに考えてなかったな。こういうときは、男は素直についていくものだと思ってたのに。
私はため息をつき、王子に手を差し伸べす。
「私のパートナーになってくれません?」
私の言葉に彼は目を見張る。
王妃様から、もらったドレスはつまり「アダムラフテリアをパートナーにしろ」という意味も込められているのだろう。ったく、面倒くさいな。
「珍しいな。マイナから誘ってくるなんて。もしや、母上の差し金か?」
「…殿下は察しがはやくて助かります。」
だからさっさと手をとれっつーの。
「では、お言葉に甘えて。」
私の心を察知したのか、殿下は私の手を取る。
まぁ、手袋越しだから、今日は目をつぶろう。…うん。
「…今日は耐えないと…。」
「なにをぶつぶつ唱えているんだ?」
こうして、殿下を連れ出すことに成功するのであった。
◇◇◇
「あ、あの。殿下?」
「なんだ?」
「ここまで近くないといけないんですか?」
私たちは、人一人分ぐらいも入らないぐらいの近い距離でいた。
…まぁ、そこら辺の男よりもこいつとパートナーになるほうがマシか。恨まれそうで怖いけど。
「…緊張してるのか?」
恨まれそうで怖いっていう緊張はしてますよ!イベントが起こるんだから!
私は思わず、発狂していた。
本来であれば、ドレスは攻略対象自ら送るものをまさか王妃様が送るだなんて…。イベントでは、パーティーで悪役令嬢たちに嫌がらせを受けるんだよ!ワインかけられちゃうんだっけ?
それで攻略対象がドレスを渡すの。
それで、この会場にいた男どもは見惚れ、ダンスを申し込むんだけど、ドレスを渡した男が「先約ですので。」とか言って踊るの!
…パートナーといっても、ダンスをすると確定したわけではない!なんとかして、イベントを阻止せねば!
「そういえば、マイナ。ダンス経験はあるか?」
「い、いえ。ありませんです。ましてや、踊り方さえも分からず…。」
私は咄嗟にそういった。
よし!ここまでいえば、ダンスを踊ろうとはいわなーーー
「っふ。今日は俺が教えてやろうではないか。」
「…え?」
私は殿下とダンスを踊る約束をしてしまう。
どうしてこうなるのよぉぉぉぉ!!!
これもあれも全部…王妃様のせいだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
「うふふ。なんだか楽しそうね!」
王妃様はにこやかに様子を伺っているのだった。
◇◇◇
「…な、なぜ、マイナ・ポタインがアダムラフテリア様といらっしゃるのです…?」
私達の入場に周囲はざわつきはじめる。
「アダム。やっぱり来たんだな。」
「もぉ!遅いよ!」
デュークとオリバーはほほやましくそういった。
「今年のアダムのパートナーは…マイナ嬢なのか?アダムに振り回されて大変だな。」
いえ。今回は王妃様に振り回されていて…。
「マイナちゃんよかったね〜!アダムって結構人気だから、パートナーになるの大変なんだよ?まぁ、女子の誘いは断ってたアダムが了承するのは、珍しいことだ。」
…オリバー。あなたの今の言葉でアダムラフテリアファンが私を睨みだしたよ。…っへ。
「あとで、どうやってアダムを連れてこれたのか、聞かせてね。」
オリバーが耳元で囁く。
「!? オリバー様知っていたのですか?なら、どうして手伝ってくださらなかったのです?」
「だって、僕が言っても無駄だったんだもん!」
無駄ってなに?ヒロインパワーが必要だったってこと!?
…もういいや。考えることをやめよう。そ、れ、よ、り〜。
私は目の前にあるスイーツを見る。
無料でスイーツが食べ放題だなんて!!しかも、チョコ!…誰も手を付けないのは、ケーキに失礼でしょ?
私がフォークを使いケーキを食べていると、アダムラフテリアが私に手を差し伸べてくる。
「一曲、踊らないか?」
私は生クリームを口の端に付けながら、「今?」と答えるのであった。




