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第35話 魔物が動き出したという地獄

「なぁ、アダム。」


デュークはアダムラフテリアの名を呼ぶ。


「俺とマイナ嬢が閉じ込められていたあの倉庫…おかしいと思わないか?」


「闇魔法がかけられていたな。…この学園に闇魔法を扱えるものは取り扱っていないが?」


「取り扱っていないっていい加減人を道具のように見るのはやめたらどうだ?」


「安心しろ。お前のことは誠実な犬と思っているから。」


「おいおい。」


デュークはその言葉に頭を抱える。


「マイナの家がどこだか知っているか?」


「平民の町だろう?それくらいは、知っている。」


「その町の近くに、最近魔物が接近したらしくてな。騎士団が討伐するレベルの。」


「…っ!?おい、それって!?」


「あぁ。頃合いが来たのかもしれないな。…それよりまずいのは…。」


アダムラフテリアは椅子をくるっと回して、窓の外を見ながら、口を開いた。


「誰かが魔王復活を手引しているな。」



◇◇◇



「魔王…。」


私は家で本を読みながら、そう呟く。


魔王とは、数百年前に我が国に悲劇をもたらしたとされる脅威的存在。その魔王はどうやっても倒すことのできなかった。だから、数百年前に周囲とかけ離れた、特殊な異能を持った聖女が魔王を封印したという。


しかし、その封印は私の一つ前の聖女の時代に封印が解かれてしまうのであった。


私の一つ前の聖女は、復活した魔王を食い止めるために自身の命を引き換え、封印を行った、とまで言われている。


そして、そこから100年がたった現代。乙女ゲーでは、聖女である私、マイナ・ポタインが復活した魔王を攻略対象たちとともに退治するらしい。


ちなみにゲームでも一歩間違えれば死の難関イベント。


「そろそろ来ちゃうのかなぁ…。」


いやだなぁ。国のために失敗の許されない戦いをしなきゃいけないなんて…。


…今のうちに家族連れて国外に逃げるか?


いやいやいや。そしたらこの国の人が犠牲になっちゃうし。それに、魔王は天敵である聖女、つまり私を殺そうとしてくる。


「どちらにせよ、対策として、戦闘準備はしといた方がいいか?」


私はそう呟き、今後起こりそうなゲームのイベントなどを自分の思い出す限りでノートに書き進めるのであった。


「なんか、珍しくマイナ、勉強してるわね。」


「殿下のおかげじゃないか?」


「それもそうね。」


両親が私の部屋の扉を空けて、こっそり私を覗いてそう話し合っていた。


おいおい、お母さん、お父さん。あのクソ王子の話をさ、しないでもらっても?

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