第32話 攻略対象の屋敷で鬼ごっこという地獄
逃げなければ。
でないと私の人生が終わる。だから逃げなければ。
私はいそいで、曲がり角を曲がり、近くにあった茂みに隠れる。
「い、いなくなってる…。」
「クソッ。なんてすばしっこい小娘なんだ。」
「こら。来賓のお客様なんだから、その言い方。」
「オリバー様に捕らえろと命じられている女なのだろう?それに、今、聞かれてないだろうしな。」
バリバリ聞いてますよ〜。あんたの茂みの近くでね。
「しかし、一体どこへ…?」
「わからぬが、この屋敷内にいることは明白だ。」
執事長らしき男がまたまたトランシーバーを持って、使用人たちに発する。
「ターゲットは屋敷内にいる。くまなく探してくれ。」
…これ、結構やばい?
◇◇◇
こういうとき、身を潜めるときってどうしたら、いいでしょうか。
私が思う答えは、使用人に変装をする、だ。
「よし…。」
私はメイド服を着て、色眼鏡を付け、使用人専用の自分のサイズより少し大きな靴の底に詰め物をして、なんとか履いた。そして、一日だけ髪を黒くさせるという黒染めスプレーをかけた。
「流石にこれじゃ、わからないでしょ…。」
私は使用人が私を捜索をしている間にあえて使用人専用室に行き、変装道具をかりだすのだった。
メイド服で、使用人感を匂わせて、色眼鏡で目の色をわからなくする。身長150後半っていってたけど、これなら、160は行ってるでしょ?
…この、黒染めスプレーってやつは…誰が使ってんの?なんか、現世にもこんなのあったような…。というか、異世界でこんなものがあるんだ…。設定した運営すごすぎん?
「さて、と。」
私は使用人専用室を出る。
「マイナ様〜!!出てきてくださ〜い!」
「オリバー様がお呼びになられておりますよ〜!!」
部屋の外では、そんな声が飛び違っていた。
「…まさか、誰も使用人専用室に寄ってると思わないもんね。」
私はそう言って、門へと向かおうとした。
…はずだった。
「ねぇ、君〜。」
誰かが私の背後から、私に向かって話しかけるのだった。私は後ろを振り向き、その声の主を見る。
「お呼びでしょうか?」
私は内心焦りながらもそう言うのだった。
男…!?いや、誰!?なんだか、オリバーと似ているような…。
「見ない顔だね。…新人さんかな?」
「あはは…。そうでして…。」
使用人ではないんだけどね。
「そんな新人の君に悪いんだけど、自分の部屋になんでもいいから、ワインボトルを持ってきてくれるかい?」
「はい、わかりました…。」
なんなんだよ、こいつ。…なんでもいいが一番困るんですけど!というか、部屋どこだよ?
私はいそいで、備蓄倉庫へ向かう。
「ゲームでマップ見といてよかった〜。」
私はそう言って、ワインボトルを手に取った。
「一番強いやつにしてやろ…。」




