第29話 ショタパワーはエグすぎるという地獄
「ほんっっと昨日はひどい目にあった。」
私は暗い表情でひょろひょろになりながら廊下を歩く。
もう、今日ははやく、両部屋に入って、寝ましょ。
私が曲がり角を曲がろうとすると、本を持っていた男子生徒にぶつかってしまった。
「「あ…」」
私は一瞬躊躇いながらも、しっかりと本を拾う。
「ごめんなさい、ごめんなさい、本っ当にごめんなさい!」
男の子は私に誤りながら本を拾っていた。
ん?この声、聞いたことがあるような…。
私はその声の主の顔を拝む。
…オリバー・レノックス!?
私は予想外の人物に頭を抱え込む。
ここにも攻略対象!?ここに来てまさかのイベント!?…それはないか。確かシナリオだとヒロインが学園の噴水広場で一人水遊びをしているところにオリバーが登場し、「噴水で水遊び!?」みたいな展開になって「僕が海に連れてってあげるよ!」って感じになって夏休みに一緒に行く約束をするところから始まるのよね?
…いや、みいな。油断してはならないぞ。私がシナリオから外れている以上、イベントがイベント通りにやってくるとは限らない…心してかからねば。
「ごめんなさい、本っ当にごめんなさい!こういうときって確か兄様はお詫びって言ってたよね…、あ、お詫び!お詫び今度いたしますから!!」
…ん?どうしてそうなったかな?
「あ、いえ…。その…平民という立場である平民にお詫びなど不要で…。」
「そうだよね…僕なんかのお詫びなんてもらったってなんの得でもないもんね。」
オリバーの顔がどんどん涙目になっていく。
「ねぇ、あの平民、オリバー様泣かせてない?」
「さいてぇねぇ。」
「身の程を理解しているのかしら?」
「オリバー様はこの国の神そのものですのに、なんなのですか?あの態度は?」
「オリバー様がお詫びとおっしゃっているんですから、さっさと受け取ったらいいものを。」
なに?オリバーのファンクラブ?というか野次馬が集まってきてるよね!?これがショタの力ってやつなの!?
これ以上目立つのも困るし…
「では、お言葉に甘えて。」
「本当!?じゃあ、今度の休日、僕の屋敷に来てね!」
…最悪だ。まさか攻略対象の家に行くことになるなんて。これがショタパワーってやつ?まじかよ。
「面倒くさいことになったじゃん!!」
私は誰もいなくなった廊下でそう叫んだ。




