第25話 面倒くさいという地獄
私は学園の窓から木に移る。
「ふぅ。やっと逃げられた…。」
まったく、なんなのあの王子!なぜにずーっと追いかけてくるのよ!!ゲームの強制力だったりして。イベントをそもそもとして手出ししないようにしているからかな?
「ここまでくればもう安心。」
「毎度毎度。アダムがすまないな。」
「本っ当。迷惑してるんですよ。あの王子の性格もいつ直るのやら。」
まったく。なんであんなやつがモテるのか意味が分からない。
…ん?というか今、声がしなかった???
私はあたりを見渡す。
「誰もいないよね...」
「上にいるぞ。」
私はその言葉にすぐさま反応をして上を向いた。なんと私がいる木の枝の場所よりはるか上にデュークがいたのであった。
「魔力探知が反応しなかったのに...」
この人も、まさかアダムラフテリアと同じように魔力を制限しているの?ってか、こいつ攻略対象じゃん。関わらない方がよさそう...。
そのときだった。彼が指をパチンとさせた瞬間、私と彼の体が宙に浮かんだ。
「なんですか?」
「とりあえず、下に降りよう。」
私と彼は地面に足をつける。
私は地面についたのと同時に全身に除菌魔法をかけ、さらに除菌スプレーをかけまくった。
「そんなに木は汚くないと思うが?」
「汚いのは木ではありませんので。」
お前に魔法をかけられたんだから、一応除菌をしなきゃでしょ⁉ちょっとは頭を使いなさいよ!
「アダムが迷惑をかけているな。」
「私みたいな庶民に謝罪など不要です。」
「この学園に身分差など関係ないだろう?」
なんかそこはゲームと変わってない気がするな。
「だからと言って、現代まで続いた身分制度に関係ないという言葉は通用しませんので。」
魔力を持たない者は平民。魔力を持つものは貴族となっている現代だ。身分差はどれだけ埋めても生まれるものだろう。
まぁ、でも。平民出身の私が魔力を持ったことから少しは身分制度が変わるかもしれないけど。
「気が済んだのでしたら、私はこれで。」
私はすぐさまその場から離れようとする。
「アダムと関わっているせいで、セシリアやセシリアの取り巻きから嫌がらせを受けているだろう。」
その言葉に私は止まる。
「ここ数日、君を観察していた。」
え、きも。
「優秀なマイナ嬢が教科書を見ずに授業を受けていた。どうやらアダムがしつこく貸していたそうだがな。」
優秀?おいおいテストみたの?80点。普通の普通だけど?
まさか、…手を抜いているのがバレた??????
「それに今日だって、裏庭で水をかけられていたじゃないか。」
あちゃー。見られちゃってたっか。全然気づかなかったな~。
「最近アダムがよく君に関わってくるのは君を守るためでもあるんだ。そこも理解してやってほしい。」
うん。それだけじゃないと思うな~。絶対。しかも、それで余計にセシリアに目つけられてるし。
「それに最近、君、少しやせ細ってきていないか?」
人のどこ見てんだこいつ。えてか、やせ細ってるって言い方的にいやなんですけど!!
「あはは。…それは最近食欲があまりなくて」
「やっぱり、嫌がらせの影響か⁉」
食欲ないのは、あのアダムラフテリアの顔とか、男の顔を思い出すからで…。この人、ちょっと面倒くさいかも。
「ということだ。私と食事へ行かないか?」
「どうしてそうなるのよ!!!」
◇◇◇
その様子を学園の窓から2人の男が眺めていた。
「デューク…。とうとうあいつも動きだしたか…。これは、はやく手を打たないとだな。」
「いや、アダム。あれはデュークがはやとちりしてマイナちゃんが怖がってるだけじゃないの?」
オリバーは窓に指先を当て、2人の様子を伺っていた。
デュークが何かを言って、マイナが頭を抱えている様子だった。
「アダムじゃ懲りず、デュークにまで、ね...。」
オリバーのその呟きをアダムラフテリアは聞きそびれることはなかった。




