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第21話 2年生になっちゃったという地獄

「2年生として入学おめでとう。」


「...本っ当、最悪。」


王子の言葉に私は小さくそう呟く。


はぁ。この前までは学年が一個下だったから、会う回数も少なかったというのに...。まさか、同学年になるなんて!!!


「信じられない...。」


「おい、そこ!授業中の私語は慎みたまえ。」


先生も結構頑固になっちゃったし。まじなんなん⁉あと、このクラスやけに男子多くない??


しかも、最近、女子からの嫌がらせも増えているし。


授業が終わると、必ずアダムラフテリアが追いかけてきた。


「どこに行くんだい?」


「トイレに。」


私は逃げるように早歩きをしてそう言う。


「トイレとは逆方向に向かっていないか?」


ごちゃごちゃうるさいんだよ、この王子!やばい...もう、限界。


私は転移魔法を発動させ、寮部屋へと転移した。


「ふぅ。ここなら...」


「ここなら?なんだって???」


「うっわ。」


私はゴキブリを見たかのような反応をしてしまう。


「な、なんでここに⁉」


「転移してきただけだが?」


「み、見て分かりますよ!で、なぜここに転移を⁉」


「君が転移すると思ってな。」


そういえば、こいつ。一度、私の寮部屋に来たことがあったっけ?どうりで転移できるわけだ。


転移魔法は一度行ったことのある場所のみ、転移することができる魔法。行ったことのない場所へは転移することができない。


「こうなったら...」


私は次にダンジョンに転移した。


「ここなら...」


と思ったものの、次の瞬間、目の前で魔物を討伐する殿下の姿があった。


「また、会ったな?偶然だ。」


「必然でしょ...」


私はまたまた転移をする。今度は家に転移をした。


「マイナじゃないか。どうした?こんな時間に?珍しいな。」


父がコーヒーを飲みながらそう言った。


「ここなら、殿下は来たことないでしょ?」


私は安堵のため息をつき、父の向かい側の椅子に座った。


「お母さんは?」


「買い物だ。そろそろ帰ってくるんじゃないか?...それより、家に帰ってきた理由は?」


「男から逃げてきた。」


「相変わらず、お前の男嫌いはまだ治らないのか?」


「いや、聞いてよ。王太子殿下が私を追いかけてきたの。どう考えても、逃げるしかないじゃん?」


「王太子殿下から逃げるって...お前、なにかやらかしたのか?」


「失礼すぎない?」


私はツッコンでお父さんが淹れてくれたコーヒーを飲んだ。


「にが...」


「まだまだ舌はおこちゃまだな。」


「いや、お父さんの舌が渋すぎるだけでしょ?」


私は机の真ん中に置いてあった砂糖塊をコーヒーに淹れる。


「淹れすぎじゃないのか?」


「これぐらいが丁度いいんだよ。」


私はそう言って、コーヒーを飲む。


「ただいま~!あら、マイナ帰ってたの?丁度いいわね!さっき、アダムラフテリアってマイナと同級生の子がいて、マイナ探してたから連れてきてあげたのよ。」


私は母のその言葉に思わず吹き出してしまう。


「はじめまして、カイルさん。」


「はじめましてだな。あーっと、マイナを探してたんだよな?おい、マイナ。...あれ?」


父がふり向くと、さっきの椅子にマイナはいなかった。


「おかしいな。さっきまでそこに座っていたんだが。」


「お友達を私が連れてきたから、逃げたってことかしら?」


その通りだよ!お母さん!でも、私はまだ転移してないよ!透明化で姿を消しているだけ!あの王太子殿下があんたたちに何を吹き込むか見張ってないとだし。


「マイナ、出てきなさい!」


その手には乗るもんですか!私はドヤ顔でそう呟く。


母は仕方ないとため息をつき、買い物バックから何かを探っていた。


絶対に今回ばかりは出てやらないか


「マイナが大好きなチョコケーキ買ってきてあげたのに...。」


「チョコ⁉」


私は透明化をといてすぐに母の目の前に現れた。


「「「あ...」」」


母以外が全員そういう反応をする。


「あらマイナ?お友達から逃げるってどういうことかしら?」


「あ、いや...その」


「転移しようとしても、無駄よ?お母さん、魔法が使えなくても何処へでも追いかけに行くから。」


私は光魔法を使える天才でヒロインであっても怖いものがある。


その一つが...私の母だ。


「お友達から逃げるなんてひどいんじゃないの?」


母の笑顔に私はかつての恐怖を思い出すのであった。

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