第13話 聞き間違いじゃなかったという地獄
「...は?」
今、こいつなんて言った?従者になれ?いや、聞き間違いだよね...。
「命令だぞ?」
うん!聞き間違いじゃなかったみたい。
回答、いやです!本当に嫌だ。まじで。でも、王命には庶民である私は逆らえない。
こうなれば...
「あ!窓の向こうに、猫だ!」
私はアダムラフテリアの背後にある窓を指さす。
「それは本当か⁉」
王子は私の言葉にすぐに反応して、後ろを振り向く。
その間、私は3秒だけ光魔法で時を止め、一番人が来なさそうでここからできるだけ近い、裏庭に転移した。
「はぁ...ぜぇ...」
あっぶなかった~。危うく、あの人の従者になるところに...。想像しただけで吐く。もうやばい...。
アダムラフテリアはゲームで大の猫好きだったから、カマをかけたものの...あっさり引っ掛かったな。今度から魔法で猫を瞬間移動させる魔法でも使えるようにしとこうかな...。
まぁ、そんなことをどうでもよくて。流石に時を止める魔法...光魔法所持者しか使えないものだけれど、3秒でも、かなり魔力の消費があるな。もう、しばらく転移するのは難しそうだし...。
「気配を消す魔法と、透明化の魔法を使って、乗り切るしかないか...。」
私はひゅっと自分に魔法をかけ、街はずれにあるダンジョンの方へ走っていく。
♢ ♡ ♢ ♡ ♢ ♡ ♢ ♡ ♢
3秒がたったあと、時は動き始めた。
寮部屋でアダムラフテリアが振り返る。すると、直前までいたマリナが突然、消えてしまっていた。
「いない...」
マリナがいなくなった部屋でアダムラフテリアはそう呟く。
「俺から逃げ切れるとは、つくづくおもしろい子だな。...はは」
「殿下!」
アダムラフテリアが笑っていると、デュークが勢いよく扉をあけてそう叫んだ。
「無事か?」
「そんなことは見て分かるだろう?」
アダムラフテリアはデュークを小馬鹿にするようにしてそう言う。
「あぁそうだな!無事だな!!!!!」
デュークは不満そうに俺にそう言った。
「デュークってばさ...走るのがはやいんだよぉ...。僕、動けないっていったのに...。ひどいよ!もぉ!」
オリバーは息を切らし、デュークの後ろから出てくる。
「二人とも、どうした?」
「突然...、ついさっきなんだけど、この学園内でとてつもない魔力を感じたんだ。しかもそれがこの部屋くらいで。でも、その魔力、すごく一瞬で消えちゃって...。アダムが行くって言ってたから、心配で見に来たんだよ。心配したんだから!!!」
オリバーは魔力探知の天才。彼がいうことは本当のことなのだろう。
オリバーの言葉を聞いたあと、アダムラフテリアは腹黒い笑みを浮かべる。
「おいまさか...。オリバー、いたずらっ子の笑みをしているぞ、こいつ。」
「なにその笑み。僕...ちょっと怖いかも。」
二人が自分の笑みを見て、怖がっていることに気づいたアダムラフテリアは口を開いた。
「安心しろ。いいおもちゃが見つかっただけだ。」
「おもちゃってなに⁉え⁉」
「オリバー。アダムは腹黒い男だ。俺たちはマイナ・ポタインが無事なことを祈ることしか出来ないんだ。」
アダムラフテリアのその言葉に二人はため息を吐かざる負えなかった。




