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「神速の指先」を聞き間違いで授かった僕が実は最強だった件  作者: ギア丸


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第48話:【急展開】王都からの召喚状。指先、ついに『国宝』に指定される

 温泉での休息を終え、地下倉庫に戻った一行を待っていたのは、王都の紋章が刻まれた、これまでにないほど仰々しい羊皮紙を手にしたアイリスだった。

「ヴォルガッシュ様。……大変なことになりました。国王陛下より、直々の召喚状です」

「なんだよ、また新しい詰まりか? 今度は王宮のトイレでも逆流したのか?」

「いえ、逆です。……陛下は貴方の指先を**『国家の至宝・黄金の浄化指』として、正式に『国宝』**に指定すると決定されました」

 地下倉庫に、ポチの鼻息さえ凍りつくような沈黙が流れた。

「こ、国宝……? 俺のこの、鼻をほじり倒してきた指が……?」

「はい。そして国宝指定に伴い、以下の条件が課されます。一つ、ヴォルガッシュ様は王宮内の無菌室に居住すること。一つ、指先を保護するため、オリハルコン製の二十重はたえの手袋を常時着用すること。そして一つ……『今後一切、鼻・耳、その他あらゆる隙間への指の挿入を禁ずる』」

「なんだってぇぇぇぇぇ!!!」

 ヴォルガッシュの叫びが地下倉庫に響き渡った。

 指を鼻に入れることを禁じられたレガシー家。それは、鳥に空を飛ぶな、魚に泳ぐな、ミレーヌに服を着ろと言うのと同義の、過酷な拷問だった。

「ひどいですわお兄様! その指は民衆の、いえ、私のチョコバナナのためのものですのに!」

「師匠、これは政治的陰謀です! 貴方の自由な指を封印し、その浄化能力を王族専用の『高級美顔器』として独占しようという腹です!」

 ハルパスが怒りに震え、零号機が抗議のビープ音を鳴らす。

「ふふん、国宝か……。じゃあ、ヴォルガッシュもついに雲の上の存在だね。でも、手袋したままじゃ私の背中も流せないし……それって、生きてる意味あるの?」

 ミレーヌが全裸で首を傾げる。その問いは、ヴォルガッシュの胸に深く突き刺さった。

 翌日。王都中央広場。

 豪華絢爛な馬車が地下倉庫の前に横付けされ、白手袋の騎士たちが整列する。

「不名誉な騎士ヴォルガッシュ殿。さあ、その『聖なる指』を、汚らしい庶民の鼻から守るため、我らと共に王宮へ」

 ヴォルガッシュはゆっくりと、自分の右指を見つめた。

 これまで数え切れないほどの鼻糞を弾き、耳垢を掻き出し、人々の詰まった心をこじ開けてきた指。不名誉の象徴だったこの指が、今、完璧な清潔さという名の監獄に閉じ込められようとしている。

「……断る」

「な、何だと……?」

「俺の指は、国を守るためにあるんじゃない。……目の前で『鼻が詰まって苦しんでるバカ』を救うためにあるんだよ!」

 ヴォルガッシュは騎士たちの目の前で、右指を豪快に、かつ迷いなく己の鼻の穴へと突き立てた。

「スキル発動――『超高速・国宝返上アンチ・ロイヤル・ピッキング』!!」

 ズババババババババババババッ!!!!!

 指先の回転によって生じた黄金の衝撃波が、王都の騎士たちの鼻を……ではなく、彼らの被っている「権威の兜」の隙間を光速で突く!

「あ、あああ……っ! 兜が……兜の裏の蒸れが、一瞬で掃除されて……っ、清々しすぎて戦う意欲が失せるぅぅ!!」

「トドメだ! 形式美もひれ伏せ! 『全自動・土下座』――不名誉の宣戦布告!!」

 ズドォォォォォォォンッ!!!!!

 王都の精鋭騎士たちが、あまりの爽快感と圧力に、一斉に地面に頭を打ちつけて土下座した。

「……国王に伝えてくれ。俺の指は、一生不名誉なままでいい。……国宝なんて肩書き、鼻糞と一緒に丸めて捨てちまえってな!」

「……ヴォルガッシュ様。……最高にバカで、最高に不名誉な答えです。……始末書、十枚追加しておきますね(微笑)」

 こうしてヴォルガッシュは、国家の栄誉を指先一つで蹴散らし、再び「地下の不審な聖騎士」としての道を選んだ。

 しかし、この「国宝拒否」のニュースは、王都の深層で眠る「真の歴史」を刺激し、レガシー家を根絶やしにせんとする最後の刺客を呼び寄せることになる。

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