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「神速の指先」を聞き間違いで授かった僕が実は最強だった件  作者: ギア丸


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第39話:ミレーヌ、ついに服を着る(物理的に脱げない呪い)

 先日の「ポチ尻尾詰まり事件」の残骸を掃除していた時のことだ。

 地下倉庫の奥から発掘された、禍々しい紫色の光を放つ箱。ミレーヌが興味本位でそれを開けた瞬間――。

「あ、あら……? 何これ、勝手に体に巻き付いて……っ、んんんっ!?」

 箱の中に封印されていた古代遺物、**呪いの装備『鉄壁の貞淑アイアン・ヴァージン・タイツ』がミレーヌを襲った。

 それは彼女のしなやかな肢体を一瞬で包み込み、首からつま先までを隙間なく覆う、「ショッキングピンク色の、異様に光沢がある全身タイツ」**へと変貌させたのだ。

「ちょ、ちょっと! 何これ、脱げない! 魔法で焼き切ろうとしても、吸収されちゃうんだけど!」

「ミレーヌ様、お似合いですわ! まるで獲れたての新鮮な魚みたいにテカテカですわ!」

 リーネが無邪気に拍手するが、ミレーヌの顔は絶望に染まっている。

「冗談じゃないよ! 布が……布が全身の皮膚に密着して、魔力が窒息しそうなんだ! 誰か、誰かこれを脱がせてぇぇ!!」

 アイリスが鑑定スキルでタイツを分析する。

「……ヴォルガッシュ様、これはいけません。このタイツは『絶対に脱がないという強い意志』を呪いに変換しており、外部からの切断は不可能です。唯一の解除方法は、タイツと皮膚の間に『神聖な刺激』を与え、タイツ側に『あ、これ以上は無理、恥ずかしい』と自意識を崩壊させるしかありません」

「なんだその変態的な解除条件は。……つまり、俺がやるしかないってことか」

 俺は右指を、ミレーヌのうなじ付近にあるタイツの**「わずかな縫い目の隙間」**に添えた。

「ミレーヌ、動くなよ。これ、失敗すると俺が通報されるからな」

「もう背に腹は代えられないよ! やっちゃって、ヴォルガッシュ!」

「スキル発動――『超高速・皮膚呼吸確保ナノ・ストリッパー』!!」

 ズババババババババババババッ!!!!!

 指先が光速の振動を開始し、タイツとミレーヌの皮膚という「究極の隙間」へと進入する。

 本来は鼻の粘膜から異物を引き剥がすための精密な指さばき。それが今、ミレーヌの全身を覆うタイツの繊維一本一本を、「不純物」として認識し、弾き飛ばしていく。

「あ、あああ……っ! 変な感覚! 全身を、指先でくすぐられているような……いや、洗われているような……っ、これ、ダメなやつーーっ!!」

「さらに、呪いそのものを土下座させろ! 『全自動・土下座』――繊維崩壊ファイバー・クラッシュ!!」

 俺がミレーヌの背中を指先で一突きしながら土下座の圧力を流し込むと、ピンク色のタイツが「……これ以上の露出(侵入)は、私には耐えられません!」と言わんばかりの悲鳴(魔力音)を上げ、粉々に砕け散った。

 ババァァァァァァァンッ!!!!!

 地下倉庫に、いつもの「完全解放状態」のミレーヌが戻ってきた。

「ぷはぁっ!! 生き返った……! やっぱり人間、全裸が一番だね!」

「……ミレーヌ様。一応、私のカーディガンだけは羽織ってください。あとヴォルガッシュ様。今の指の動き、傍から見ていると完全に『全身くまなく触りまくる変態』にしか見えませんでしたので、後で始末書を三枚書いてください」

「俺が助けたんだろ!?」

「師匠、お見事です。零号機も『あの指の動きは、ハードウェアの限界を超えている』と解析を諦めました」

 ハルパスが感心し、ポッドがパポパポと称賛の音を鳴らす。

 こうして、ミレーヌの「服を着る」という最大級の危機は、ヴォルガッシュの指先によって(より不名誉な形で)解決された。

 だが、その騒ぎの最中、アイリスが拾い上げた「タイツの残骸」が、レガシー家の紋章に似た形に焦げ付いていることに、まだ誰も気づいていなかった。

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