その4 勇者、違法カジノに入り浸る
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盗賊「勇者が裏カジノで荒稼ぎしやがった!」
騎士「はい」
賢者「はい、じゃないです」
騎士「」
商人「オレ仕事頑張ル、給料モラウ」
盗賊「み、みなさん!?」
騎士「はい」
賢者「はい、じゃないです」
商人「酒買ウ、飲ム」
盗賊「てえいっ!唸れっ!とげのむちっ!」パチーン
騎士 賢者 商人「「「 はっ!いったい何が・・・ 」」」
盗賊「しっかりしてください!就業時間内ですよ!!」
騎士「盗賊さん、しっかりしてきたなあ・・・もう任せて安心だ」ホロリ
商人「というより、仕事に慣れて本性でてきた感じじゃないか?」ヒリヒリ
賢者「ああ、新人あるあるですね・・・」イテテ
盗賊「報告!始めますよ!よろしいですね!」プンスカ
騎士「あ、ああ、お願いします」
商人「よろしく頼むぜ!」
賢者「どんとこいです!」
盗賊「えーっ、王国きっての歓楽街である、この街には」
盗賊「官憲も手を出せない凶悪な犯罪組織があるそうです」
商人「ああ、聞いたことがある裏カジノを経営しているとこだろ」
騎士「商人くん、まさか行ったことがあるなんて言わないよね」ジロリ
商人「そ、そりゃあもちろん!」アセアセ
賢者「コンプラは大事ですよ・・・」
盗賊「その裏カジノの景品に、伝説の聖なる兜があったそうです」
賢者「また、その手の話ですか」
商人「犯罪者から、聖なる装備を取り返した!うん!なんの問題も無いな!」
賢者「それなら、問題にならないんですよねえ・・・」
盗賊「勇者一行は、しばらくこの街に滞在し裏カジノにゲームに興じ」
盗賊「最終的には、カジノオーナーとのゲームで勝利し、聖なる兜を手に入れ街を去ったそうです」
騎士「なんで!?」
盗賊「」ビクッ
騎士「なんで!ピラミッドでは勝手に持っていったのに!」
騎士「違法カジノでは、正々堂々と勝ち取っていくんだよ!」
騎士「逆だろ!?なんで、こんな時だけ正攻法なんだよ!!!」
騎士「おかしいだろ!頭腐ってんじゃないのか!!!」
騎士「だいたい、あんな若造が勇s」
賢者「睡眠魔法スリープ」
騎士「ぁ・・・」スヤア
賢者「寝かせてあげましょう・・・」
商人「そ、そうだな・・・」
盗賊「心労がたたってるんですね・・・」
賢者「報告続けてもらえますか?」
盗賊「はい」
盗賊「問題は、勇者が身分を隠さず違法カジノに出入りしてしまっている点ですね」
商人「お、少しはわかってきてるじゃん」
盗賊「それぐらい、わかりますよ!」プンスカ
賢者「目撃者は?」
盗賊「違法カジノの店員と10数名の客ですね」
商人「身分ぐらい隠せよ・・・勇者」
賢者「罪悪感のかけらもないんでしょうね、それかアホなのか」
盗賊「・・・」
盗賊「どうしましょうか?」
賢者「とりあえず、方向性決めてから騎士さんに伺うかたちでいきましょう」
商人「賛成」
盗賊「おなじくです」
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盗賊「いつもみたいに、適当な地位や役職を勇者様に与えて違法性をなくしちゃうってのはどうですか?」
商人「それなら簡単なんだが、いかんせん」
商人「違法カジノに入り浸っていい役職なんて、ないんだよなあ」
賢者「そりゃあ、そうでしょうよ」
盗賊「独自の潜入捜査って線はどうです?」
賢者「身分を隠してたなら、そういう言い訳もできるんですけど」
賢者「名乗っちゃってるんでしょう・・・」
盗賊「うーん・・・だめだ」
盗賊「もう思いつきません・・・」
盗賊「私の頭じゃ、これで限界です」
商人「いや、それは俺もだよ・・・」
商人「というか、どうしようもないだろこれ」
賢者「・・・そうですね」
賢者「行き詰ってしまいましたね・・・」
盗賊「・・・」
騎士「目撃者をすべて消そう」
盗賊「!」
盗賊「起きていたんですかっ!?」
騎士「すまない、心配をかけたね」
商人「いや、それはともかく」
商人「ちょっと穏やかじゃない言葉が聞こえましたけど・・・?」
賢者「正気・・・ではないですよね?」
騎士「いや、いたって正気だよ」
騎士「盗賊さん、勇者一行がこの街を出たのはいつ?」
盗賊「半日ほど前です」
商人「なんだ、もう目と鼻の先だったのか」
騎士「そもそもが違法性のある場所での出来事だ」
騎士「情報が出回るには時間がかかるだろう」
賢者「つまり・・・」
騎士「まだ、間に合うかもしれない」
騎士「情報が出回る前に、この事件が国にバレる前に、全て消してしまおう」
商人「犯罪者どもはともかく・・・客も全てですか?」
騎士「・・・違法カジノに出入りしている輩だ」
騎士「碌な連中ではあるまい・・・」
賢者「反対ですね、完全に私たちの仕事の範疇外です」
賢者「そこまでする謂れはない」
賢者「勇者の名誉を守るために、私たちを暗殺者集団にするおつもりですか」
商人「俺も反対だ」
商人「ただでさえ、くそったれのけつを拭いてまわってるってのに」
商人「今度は、勇者の悪事を隠蔽するために俺たちが手を汚すだって?」
商人「冗談じゃねえ!」
騎士「そうか・・・強制はしない」
騎士「それならば、私一人でやるだけだ」
商人「勝手にしやがれ国家の犬め!」
賢者「見損ないましたよ騎士さん」
盗賊「・・・」
盗賊「ちょっと待ってください!みなさん!」
商人「新人は黙ってろ!」
賢者「騎士さんは、完全に正気を失っています」
賢者「こんな仕事をする必要はありません」
盗賊「聞いてくださいっ!!」
盗賊「・・・私の話も聞いてほしいんです」
賢者「・・・」
商人「・・・」
騎士「・・・」
盗賊「私は、皆さんに先行して勇者一行を追いかけていました」
盗賊「皆さんに報告している勇者様の動向・・・」
盗賊「あれは、ほんの一部に過ぎないってこと、ご存知でしたか?」
商人「・・・情報を隠していたってことか?」
商人「どういうつもりだ、盗賊ちゃん」
賢者「・・・」
賢者「いえ、そうではないでしょう」
賢者「私たちにとって、業務上必要な情報は主に勇者の起こしたトラブルに限定されます」
盗賊「・・・そういうことです」
盗賊「私は、皆さんの知らない勇者様の一面を知っています」
盗賊「彼は、とても優しい方です」
盗賊「先ほど、賢者さんが勇者様のことを罪悪感がないか、ただの阿呆とおっしゃいました」
盗賊「・・・それは大きな間違いだと思います」
盗賊「私の知っている勇者様は、自身が法を犯していることを自覚しています」
盗賊「知ってても尚、平和のためならばとあれば、迷うことなく法を破る」
盗賊「そういう方なんです」
盗賊「阿呆でもありません・・・」
盗賊「私たちは、手続きや法令等に日ごろから触れていますけど」
盗賊「勇者様は、その手段を知らないだけなんです」
盗賊「彼は、自分のできる範囲で平和を目指しているだけ」
盗賊「本当に責任感の強い人なんです」
盗賊「関所を破った際、連れていた子供二人」
盗賊「無事に、親戚のところへ届けられ、二人は更生を勇者に約束しました!」
盗賊「ピラミッドから盗んだ聖剣は」
盗賊「数多の集落を、魔物達から救うために振るわれています!」
盗賊「私たちは、なんですか!?」
盗賊「みんな勇者様の陰口ばっかり叩いて!」
盗賊「勇者様のサポートをするのが私たちの仕事じゃないんですか!」
盗賊「確かに、暗殺は業務の範囲外かもしれません!」
盗賊「でも、今回の事件を見逃したら、どうなると思います!?」
盗賊「すぐかもしれないし、魔王討伐後かもしれませんけど」
盗賊「勇者様が官憲に追われることになってしまいかねません!」
盗賊「それでいいんですか!?そんなことが許されるんですか!!」
盗賊「勇者様は、自分自身のために力を奮うことは今まで一度もありませんでした!」
盗賊「勇者様の行動は、全て私たちを含めた王国民のために為されているんですよ!?」
盗賊「いま!勇者様を助けられるのは私たちだけなんですよ!」
盗賊「・・・」
盗賊「私は、騎士さんの意見に賛成です」
盗賊「証拠を全部消しましょう・・・」
盗賊「騎士さんと二人きりでも、私はやります」
賢者「・・・」
商人「・・・」
騎士「・・・」
騎士「いや、そうじゃない・・・」
騎士「申し訳ない・・・私にはそんな高尚な動機はないんだ・・・」
騎士「私は、保身に走っているに過ぎない」
騎士「この事件が公になった際、私たちの立場はどうなる・・・」
騎士「未然に問題を防げなかった我々の立場だ」
騎士「減給程度で済めばいいが」
騎士「正直、勇者に関しては異例のことが多すぎて」
騎士「どんな判断がなされるか、全くわからん」
騎士「首が飛ぶ可能性だってある・・・」
商人(免職?)
賢者(いや、斬首ってことじゃないですか?)
騎士「私には、妻と娘がいる・・・彼女らを路頭に迷わせたくない」
騎士「ただ、それだけなんだ・・・」
商人「・・・」
賢者「・・・」
盗賊「騎士さん・・・」
商人「ふぅ・・・」
商人「盗賊ちゃんの話はともかく」
盗賊「えっ・・・!」
商人「騎士さんの可愛い娘さんに、ひもじい思いをさせるわけにはいかねえか!」
商人「将来、俺のお嫁さんになるかもしれねえしな!」
騎士「なっ・・・!」
賢者「10数名程度なら、私の魔法で記憶の消去が可能です」
賢者「ですので、殺すのは違法カジノの連中だけでいいでしょう・・・」
賢者「禁術に指定されている魔法なので、内密にお願いしますよ」
盗賊「みなさん・・・っ!」
騎士「ありがとう!二人とも・・・っ!」
商人「最悪、国にバレたら皆でトンずらこくか!」
賢者「その際は、頼りにしてますよ盗賊さん」
盗賊「・・・」
盗賊「はいっ!」
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商人「いや、盗賊ちゃん強すぎない?」
商人「動きが完全にアサシンのそれだったけど・・・」
賢者「恐ろしく手際が良かったですねえ」
騎士「いやあ、まったく」
盗賊「そりゃあ、しっかり教育受けてますし」
騎士(どんな教育だ・・・)
盗賊「私こそ、騎士さんや賢者さんはともかく」
盗賊「商人さんが、まともに戦えるとは思っていませんでしたよ」
商人「失礼なやつだな」
盗賊「えへへ」
商人「・・・」
商人「俺さ、昔は伝説の冒険商人に憧れていてさ」
商人「それなりに戦闘訓練を受けていたんだ」
騎士(語りだした・・・)
賢者「初耳ですね」
盗賊「伝説の冒険商人?」
商人「ああ、ずっと昔の勇者パーティーにいたらしい」
騎士「そろばんで魔物を殴り殺していたってアレか」
商人「そうそう、ま、諦めたんですけどね」
盗賊「なんでまた諦めちゃったんですか?」
商人「・・・見つからなかったんだ」
商人「俺の力に耐えきれる、そろばんがさ・・・」
賢者(そろばんで戦う仲間は欲しくないですね・・・正直、ださい・・・)
盗賊「そろばんで戦う仲間は欲しくないですね、正直ださいです」
賢者「!?」
商人「ま・・・いつか俺の眼鏡に適う算盤が見つかったら・・・また追いかけてみようかな・・・」トオイメ
騎士(見つかりませんように・・・)
盗賊「見つからないといいですね」
騎士「!?」
商人「なんか、盗賊ちゃん俺にだけ厳しくない!!??」
盗賊「そんなことないです」
盗賊「さあ、仕事も終わったし飲みにでも行きましょうよ!」
商人「ちょっと勘弁してよ!盗賊ちゃ~ん!」




