119曲目 ソウジvs鬼人
ゾク
冷や汗が出る。
間違いない!俺の感が逃げろと言っている。
だが、若長たる俺が皆の前で逃げる訳にはいかない。
こいつは本当に人族なのか?
「ほれ、鬼人達よ。早う戦わんか」
「くっ!」
周りの鬼人達もソウジの殺気に当てられ震えていた。
「クソがぁーーーーー!」
ツノがある以外は人と変わらぬ鬼人、しかし若長である鬼人が構えた瞬間、身体の大きさが1.5倍まで膨れ上り、身体の色が赤く変色する。
「ほう、鬼化か!面白い」
【鬼化】
それは才ある鬼人の中でも一部の鬼人が極める能力の1つであり、目覚めた者の全てが同じ能力とは限らない。
ただ鬼化した時の身体能力は倍近く上がると噂されている。
若長である鬼人は炎を操り攻撃力に特化した能力である。
そして手に持っていた武器の戦斧が炎に包まれると周りにいた5人も鬼化した。
「面白い面白い。全員鬼化とはのう。豊作じゃ」
男性の鬼人3人の身体は、1人は青く、1人は橙色、そしてもう1人は黄土色に変わり、女性の鬼人2人の身体は紫と桃色に変わった。
「若長!我らも戦います」
普段なら相手一人に対して多人数なんてことは決して許さないが、鬼人全員がソウジの殺気に当てられ気付いてしまった。
全員でかかっても危険と言う事に…
「お前達行くぞ!」
「「「「「おう!」」」」」
赤く変化した若長は真っ直ぐソウジに向かい、炎に包まれた戦斧を振り下ろした。
ソウジは簡単に刀で受け流し攻撃しようとした時、気配もなく紫色の女性の鬼人はソウジの横から蹴りを入れる。
左腕で何とか防御して横へ飛ぶと、今度は青色の鬼人が物凄い速さでソウジに近づき前蹴りを繰り出すが、見事な反応速度で両腕でしっかりと防御、すぐに青色の鬼人に斬りかかった。
「くっ!俺の速さでも躱せん」
「任せろ!」
黄土色の鬼人がソウジの刀を体で受け止めた。
いくら峰打ちといっても相手の骨は砕ける強さの威力だが、まるで鋼鉄を叩くような感触を味わった。
同時に橙色の鬼人は棍棒を振り回し、ソウジに当てようとする。
手が少し痺れて反応が少し遅れた。
あの棍棒はヤバい!そう感じて受けるのではなく、何とかギリギリ躱したが、棍棒は土をエグり、飛び散った土はソウジの目潰しとなる。
そこに桃色の女性の鬼人は魔法を使う。
使った魔法は風魔法、飛び散った土も混じりソウジは目を開けられなく頬や腕など肌の出ているところにカマイタチの様な切り傷を負った。
鬼人達に油断はない!
休むことなく攻撃は続く。
赤色の鬼人と橙色の鬼人は武器での攻撃、目の視えないソウジは空気の流れなど、感覚を研ぎ澄まして躱して攻撃に移るも防御に特化した黄土色の鬼人に阻まれる。
桃色の鬼人の魔法のせいで目が視えない状態が続き、奇跡的な動きで鬼人達の攻撃を躱し続ける。
決定的一撃が当たらない!
イラつきながらも丁寧な連携で攻撃の手を緩めない。
ゾクゾク、
「ハハ、面白いなぁ〜。久しぶりだよ、こんなに気持ちになるのは」
ソウジは新撰組としての活動をしていた頃を思い出していた。
試合ではない!
殺し合いである。
1対1ではない!
多人数を相手してきて生きぬいてきた。
たった一度の隙が死を招く!
「いきます」
ドーーーーーン!
一瞬で黄土色の鬼人が吹き飛ばされた。
油断はしていない。
明らかに速さに特化した青色の鬼人よりも速く、力に特化した橙色の鬼人よりも威力のある一撃を当てていた。
「くっ!まだだ!」
いち早く反応した青色の鬼人が攻めると同時に紫の女性鬼人もソウジの後ろを取りに行くも返り討ちにあう。
「なかなかいい動きです。しかしまだ甘い」
青色の鬼人をカウンターで蹴り飛ばし、桃色の女性鬼人は後ろを取ったつもりが、逆に後ろを取られ手刀で首筋を叩かれ二人とも気絶する。
「クソーーー!」
橙色の鬼人は棍棒を振り回し、地面の土をえぐり飛ばすと、また桃色の女性鬼人が魔法で援護する。
しかし二人の鬼人の直線上に立ち、最小限のダメージで真っ直ぐに立ち向かい一撃を浴びせると、橙色の鬼人は気絶、そして更に蹴り飛ばした橙色の鬼人の下敷きになり、桃色の女性鬼人も戦闘不能になる。
残るは赤色の鬼人の若長のみ!
「お前は本当に人なのか!悔しいが貴様に勝つことは出来ないが負けるわけにはいかない」
今まで山火事をおそれた赤色の鬼人が全ての火力を開放した。
それは体全体が燃え盛り、微かに焼ける匂いもする程の自爆行為、自分の死と引き換えに鬼人の面目を保とうとしていた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ」
ただただ真っ直ぐに突っ込む若長
ようやく目が開くソウジ
「そういうのボクは嫌いじゃないですよ」
若長の狙いは単純、戦斧は通じないとわかっているので、武器を囮にソウジを羽交い締めした挙げ句、ジブンと一緒に焼死しようとしていた。
だが…
ソウジの一振りは若長の炎を吹き飛ばし、目にも止まらぬ連撃が若長を気絶させた。
「ふう、ディア!何笑っているの」
「いやのう、こうも予想通りの結末になると楽しくてのう」
「あんまり周りを巻き込んじゃダメだよ」
「良いではないか。これで鬼人とのいざこざもなく解決するんじゃからな」
「これで?」
「それだけ鬼人には譲れぬ誇りが強いのよ」
ソウジは気絶させた鬼人を一人一人起こしていった。
ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。
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