116曲目 客人
ドーーーーーーーーン!!!
「帰ったぞぉーーーーー!」
「お帰りなさいませディアナさーま?………その人族の者は?」
「妾の大事な友人だ。丁重にな」
「はっ!」
またディアナ様が気まぐれで人族なんか連れてきて…
まあ、所詮は人、すぐに焦って帰るだろう。
「そうそう、ラルフよ!この森にソウの家を建てるぞ。みんなでソウを手伝え」
「えっ?」
「だ〜か〜ら〜、家を建てるのじゃ!妾も手伝うから皆も手伝え!!」
「は、はっ!」
何故こんな人如きに…
ソウジとディアナは談話、そして夕食を取り、寝に入る。
ソウジは初めてベッドというものに寝るが落ちつかずに外へ出て素振りをしていると、執事のラルフが近づいてきた。
「ソウジ様」
「はい」
「悪いことは言いません。早くここから離れるといい」
「しかしディアとの約束もあるし」
「ディア〜!人如きがディアナ様をディ、ディアなどと軽々しく呼び捨てするんじゃねぇ〜!」
溜まっていた鬱憤が爆発した。
「許しません。そう!あなたは帰ったと言う事にして処分すればいいこと、今更大人しく帰りますは通用しませんよ」
独り言の様にぶつぶつと呟きながら剣を構えて殺気を放つ。
魔王ディアナには気付かれない様に結界を貼り、バレないようにしているが、実はその状況を上空から黙ってディアナは見ていた。
「死んでもらいます。安心して下さい。痛みすら分からないまま斬り刻みますので」
ラルフは目にも止まらぬ速さでソウジの首を落としにいった。
だが、当たらない。
「な、何!………ぐ、偶然躱しましたか。私も一撃で終わらそうと少し優しすぎたかもしれませんね。しかし次はあなたが死ぬまで斬り刻みます」
ラルフはまた独り言の様にぶつぶつと話すと、またもや物凄い速さで斬りかかった。
左肩から胴にかけて斜めに斬りつけ、折り返し胴を横に真っ直ぐ、そして右肩へと斬り上げ、最後に心臓を一突き、…全て防がれる。
「な、な、何ぃ〜〜〜!くそっ、もう終わりだ。知らんぞ、どうなっても知らんぞぉ〜〜〜!!」
ラルフの剣に雷が落ちる。
体全体が光、バチバチと音を鳴らす。
そして先程の倍近い速さで斬りかかった。
しかし、掠りさえしないが剣と刀が交じった瞬間、ラルフの体から放電すると、さすがにソウジも距離を開けた。
「驚いたぁ〜。それに体中がなんだか痺れる」
「ふ、ふざけるな!普通は痺れる程度ですまんぞ!黒焦げになるはず、…いや運良くて全身に火傷を負うはずだ。貴様、本当に人族か?くそっ!」
急に空に雨雲が現れると、ポツリポツリと雨が降り出した。
「これが私が出来る最高の魔法【カタストロフィ】
全ての雷がソウジを襲う。
躱せるはずのない雷を二度躱す。
そして3回目の雷が落ちると、刀で斬った!
「な、なにぃ〜〜〜!そんなバカな」
気づけばソウジはラルフの背に、そして背中を峰打ち、斬ると違い吹き飛ばされ、ラルフは気を失った。
「おっ、晴れた。まったく魔法って不思議だなぁ〜」
ソウジは上を見上げて
「ディア、見てたんでしょ」
空からゆっくりと降りてくるディアナに困るように笑いながら話しかけるソウジ、その姿にディアナは笑い出す。
「ふふふっ、良いではないか。デリア、デボラ、見ていたのだろ。さっさとラルフを連れて行け」
「「は、はいっ!!」」
木の陰から出てきた女性の魔人2人は急いでラルフを城へ運んでいった。
「どうじゃ、寝る前のいい運動になったか?」
「まあ体はほぐれたかな」
「ふふっ、あれでもラルフは魔王に匹敵する強さなんじゃがな。まるで子供扱いのようじゃったな」
現在、魔王を名乗る者は8人いる。
ラルフが9人目の魔王を名乗っても魔人達は驚かない。
それだけに配下が少ないディアナをなかなか誰も攻めようとはしない。
ラルフがいるから出来ないと言ってもいいぐらいだ。
「どうじゃ、今日はもう寝れそうか?眠れなければ妾と寝るか?ふふふっ」
「もうディアは!大丈夫、もう部屋に帰って寝るよ」
「そうかそうか。じゃあ妾も寝るとしようかのう」
そして二人も床へついた。
これが沖田総司の異世界1日目であった。
翌朝、
朝食前に外で素振りをしているとラルフがソウジに謝罪をしてきた。
ソウジは気にしなくていいと軽く笑みを浮かべると素振りの続きをする。
今度はデリアが朝食の支度が出来たと呼びに来るが、ソウジはデリアの視線をやたら感じながらも案内されてテーブルに座る。
そこには既にディアナが座って待っていた。
「ソウ、待っておったぞ」
テーブルを囲っている魔人達がソワソワしている。
どうやらディアナの全ての配下が集まっている様子で、ラルフが負けたことも噂にあがっている。
するとディアナが急に立ち上がった。
「聞け!!!」
ディアナのひと声で周りの魔人達は全員畏まる。
「ここにいるソウジはラルフよりも強い。そして妾よりもな!」
ざわ、ざわ、ざわ、ざわ、
「そのことを踏まえてソウジに接せよ。妾の大事な客人ぞ!!」
周りの魔人が一斉に礼をする。
「さっ、ソウよ。飯じゃ飯、はよ食べるぞ」
この出来事をきっかけにソウジは周りからディアナと同格に見られる。
そして食事を終わった2人は家造りに入るのだが…
なぜか武士だったソウジの頭の中には日本のあらゆる知識があり、やることを思い浮かべると湯水の如く知識が湧いて出る。
ソウジの指示で家造りは出来るが、職人がいない。
知識があっても素人が無駄に終わってしまう。
「ソウよ、ちょっと待ってろ。良いことを思いついた」
「ちょっとディア?」
そんな話をしているとディアナは急にソウジを放ったらかして城を出ていった。
「ふふふっ、ソウジ様」
話しかけてきたのはラルフ、皆が困惑している中、既にソウジを認めていた。
「いつもの事ですので」
「………」
「こちらでお茶でもお飲みになってお待ち下さい。そして宜しければ私にもソウジ様の事を教えて頂きたい」
ディアナが戻るのを待つ間にラルフ、そして少し離れた場所から様子を伺っていたデリアとデボラもソウジの話に興味があり、恐る恐る近づいて、気づけばソウジの話に聞き入っていた。
ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。
次話も月曜日更新予定です。
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