115曲目 ソウジとディアナ
矢が飛んでくる。
「矢?」
沖田は簡単に避けると次々と矢が飛んできた。
だが、難なく全てを避ける。
「氷?」
飛んできた方向をよく見ると人が空を飛んでいた。
「と、飛んでる!女の人?」
今度は大きな氷の塊が飛んでくる。
あまりの大きさに避ける事は出来ないし、後ろの家に隠れている人が潰されてしまう。
すぅ~〜〜、はぁ〜〜〜、
大きく深呼吸して息を整えると、右手で刀を掴んで構えた。
居合い!
氷の塊がぶつかる寸前、真っ二つに斬られて家屋の両脇に転がった。
「刀が羽根のように軽い!それにあんな大きな氷が…まるでよく研がれた包丁で豆腐を斬ったみたいだ」
自分の手と刀を見ていると遠くから殺気が近づいてくるのを感じる。
それは空を飛んでいた人が物凄い速さでのこっちに向かってきて感じた殺気だった。
「貴様、面白いなぁ〜」
ディアナはすぐに理解した。
既に野党は全員殺し終わっていた事とここにいる男は強いと言う事、そして普通の人族とは違う事をだ。
ディアナはニヤリと笑うと鋭い爪を斬りつける。
しかしその爪は沖田総司の刀で簡単に受け流すとディアナは両手の爪で息もつかせぬ攻撃を繰り出す。
「当たらぬか…クッ…ハッハッハッ、面白い、面白いぞ」
相手の力量は未知、こっちの動きは全て見られている。
ふふっ、楽しすぎる。
こんな人族がいるなんて
その辺の魔王を名乗る魔族よりも強い。
「これはどうじゃ?氷爪牙!!」
ふふっ、爪は防いでもこの飛ぶ斬氷までは防げまい。
沖田総司の羽織が少し凍りつくが、傷はいっさい付かなかった。
なんと!妾の斬氷で斬れぬ防具があるとはのう…
しかしなんと美しい動きじゃ
無駄な動きがない。
すると誰もが気づく事の出来ない隙を見た沖田総司は物音もなく後ろへ移動と同時に突きの構え、そして音無き見えない三段突きがディアナを襲った。
意識を失ったのか?
目が覚めると先程まで対峙していた男の背に乗っかっていた。
「目が覚めましたか」
「えっ?あ、あぁ〜、とりあえず下ろしてくれませんか?」
「わかりました。でも、いきなり襲って来ないで下さいね。村の人も怒っていましたよ」
「あ、あぁ〜、そうじゃな。気をつけよう」
なんか調子が狂う。
「家まで送ります。案内して下さい」
「わ、妾は子供ではないわ!でも…まぁ…その…どうしても送りたいというんじゃ仕方がないのう」
少し照れた様子のディアナに沖田総司は笑顔で応えた。
「はい、送りたいです」
そして二人はディアナの魔王城まで行くことになった。
「名は…名は何と申す」
「私の名は…」
そうだ。もう新撰組一番隊隊長の沖田総司は死んだんだ。
これからは別の人生、近藤さん、土方さん、ボクはこっちの世界で生きていきます。
「?」
「そう、ボクは沖田総司、姓は沖田、名は総司。好きに呼んで下さい」
「ソウジじゃな。妾はディアナじゃ」
「ディアナね」
「そうじゃ。ではソウよ、お主の事を教えてくれんか?」
「ボクの事…ですか?」
ボクはディアナ…ディアを家まで送る間にこれまでの経緯を話した。
「ボクはね、日本から来たんだ」
「日本?聞いたことのないのう?どの辺にあるのじゃ?」
「この世界にはない国、別の世界から来たんだ。おとぎ話みたいでしょ」
「何!別の世界!!面白いのう」
「信用してくれるの?」
「当たり前じゃ!妾の攻撃も耐えるその見たことのない防具、そして見たことのない剣、そして人とは思えぬ強さ、ふふふっ、楽しいのう、もっとソウの事を教えておくれ」
日本の事、近藤さんや土方さん、それに新撰組の仲間達、そして新撰組、もちろん今まで対峙していた人達の事も色々と話した。
「かっこいいのう」
「新撰組はボクの自慢なんだ」
「会ってみたいのう」
その言葉に少し悲しみの顔を見たのか、ディアは笑顔でボクに話し続けてくれる。
「ソウよ!妾の所で暮らすがいい。そうじゃな、先ずは日本の家屋を作って、露天風呂と言うのも作ろう!それにお米に味噌汁というのも妾は食べてみたいのう。やることはたくさんあるのじゃ」
ディアは楽しそうに話してくれる。
「のうのう」
「何?」
「そのかたな?」
「この日本刀、ですか?」
「そうそう、妾も欲しい!天然理心流とやらも教えておくれ」
「刀はともかく、剣術を教えるのはいいですよ。こっちの世界には刀はあるのかなぁ?とりあえず家を造ったら道場も必要だね」
話はどんどん弾み、ディアナはもう居ても立っても居られないくらい興奮した。
「ソウよ。ちょっといいか」
するとディアナは後ろからソウジ体を抱きかかえ、空を飛ぶ。
「お、おお〜。凄い」
「ソウは魔法を使わんのか?」
「魔法?」
「魔法を知らんのか?よし魔法は妾が教えよう。とにかく早く妾の城へ行くぞ」
「ちょっ、あ、ああ〜〜〜〜〜〜」
物凄い速さで城まで飛んでいった。
ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。
次話も月曜日更新予定です。
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