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114曲目 沖田総司

 ラルフはこの世界で生きてきた沖田総司について話をした。


「沖田総司、そうソウジ様は我が王ディアナ様とはご友人で………」


 それは沖田総司の物語でもあった。


「近藤さん、土方さん、今頃はどこにいるんだろう」


「薬湯をお持ちしました。あっ!沖田様、起きられると体によくありませんよ」


「心配しないで大丈夫です。私の身体の事は一番私がわかっていますから」


「障子を開けて空を眺めると、拳大の石が赤く燃え降って沖田の心臓を貫いた」


「お、沖田様、沖田様………」


 真っ白な空間、何も無い。

 私は死んだのか?

 あまり覚えていないが、死んだのだろう。


「ごめんなさいっ!」


 声が聞こえる。


「私は天照大御神です。気軽にアマテラスと呼んで下さい」


「お聞きして宜しいでしょうか?」


「はい」


「女神様って事は…私はやはり死んだのですね」


「本当にごめんなさいっ!」


「?」


「実は…私が蹴り落とした石が、あなたに当たってしまいました」


「では、私は病死ではなく…」


「…はい」


「どのみち亡くなる命、気にしないで下さい。やはり私は地獄に行くのでしょうね。…沢山人を斬りましたし…」


「地獄には行きませんよ。お詫びに他の世界で生きて下さい」


「日本ではなく…別の世界?しかし病に蝕われたこの身体では」


「あっもう体は蘇る事は出来ませんので、私が新しい肉体を作り、そこに魂を宿しますので安心して下さい。何かご要望があれば何でも言って下さいね」


「でしたら病のかからない丈夫な身体にしてほしいです。あと出来れば愛刀の菊一文字則宗を持っていければ助かります」


「それだけでいいんですか?」


「本当は最後まで近藤さんと土方さんと一緒にいたかったですけど…」


「ごめんなさい。それはもう出来ないのです」


「わかっています」


「代わりに…こんな感じですかね」


「何をしたのですか」


「ふふっ、別の世界へ行ってもやっていけるようにしておきました。さあそれでは新しい旅立ちを楽しんで下さいね」


 そうしてこの世界にやってきた沖田総司は早くもトラブルに巻き込まれていた。


 気づけば目視出来る所に村がある。


 走ってみた。


「うん、息切れしない」


 自分の体を見ると少し若返ったような感じがする。

 着ているものも当初の新撰組の羽織、そして菊一文字則宗、ただ脇差しは無かった。


 体が軽く感じる。

 深呼吸をする。


 日は昇り始めたばかり、時間で言うと朝の6時ぐらいかな?


「よし!」


 村まで走っていくと村人たちは慌てた様子で村から逃げようとしていた。


「どうしたんですか?」


「どうしたかじゃないよ」


「ほれ、どいたどいた」


「見ない顔だねぇ〜、悪いこと言わないよ。アンタも早くここから逃げな」


「逃げる?」


「ああ、あの魔王がまたここら辺で暴れ出しやがった」


「クソッ!遊び半分で暴れやがって!」


「にっ、逃げろぉぉぉぉぉ」


 みんなが荷物を投げ捨てて、物陰に隠れたり、家に逃げたり、一斉に目の前から消えた。


   ★   ★   ★


「おいラルフ」


「はっ!」


「ちょっと遊んでくる」


「はぁ~」


「何か文句あるのかぁ」


「ディアナ様、あなたも魔王の一角、少しは他の魔王の警戒や他の種族の警戒をしては如何ですか」


「何を言っている。ラルフ、お前たちがいるではないか」


 確かにラルフたちが周囲の警戒などを完璧にこなしているお陰でディアナの領土は問題無く循環している。

 その代わりに領土は小さく、隣の人族の領土の三分の一以下であり、毎回ディアナが隣国のアイスベルク領土を悪戯に破壊して回るから敵しか出来なくなる。

 今や自分の部下以外は単なる厄介者、天災扱いされていて、いつ周りが同盟を結び攻めてきてもおかしくない状況まで陥っていた。


 だが、そうなった理由は沢山あった。


 そして今、抱えていた負が表に出て、破壊行為へと発展してしまったのである。


 ラルフたちは知っている。

 本当は心優しく純粋な魔王であることを


「じゃあ、行ってくる」


「お、お待ちを………行ってしまわれた」


 ディアナは空を飛び、森の上空を散開する。


「ふぅ~、気持ちいい。景色も美しい」


 月を見上げる。

 どれくらい眺めていたかわからないが、気がつけば少し明るくなっていた。

 しばらく空中での散歩を満喫すると、森からアイスベルク城へ真っ直ぐに飛び始めた。


「醜い。あのような人間はゴミ以下だ」


 それは野盗が金品を奪い物色している姿、側では親子3人の死体が転がっている。


「おい、お前等!」


 地に降りたディアナは後ろから野盗共に声をかける。

 その数ざっと30人


「誰だぁ〜〜〜」


「女かぁ〜、これはなかなか」


「馬鹿な女だ。自分から声をかけてくるなんて」


「お、おい!ちょっとまて」


「なんだなんだぁ」


「あ、あの目」


「目ぇ〜〜〜」


 それは金色に輝く美しい瞳


「ま、魔王ディアナだ!!!」


「馬鹿なこと言っ………」


 男の首が飛ぶ


 それは少し伸びた爪がまるで鋭い剣の様に簡単に斬る。


「うわぁーーーーー」


「逃げろぉぉぉぉぉ」


 しかしディアナはそれを許さない。


 どんどんと斬り刻み、もしくは凍らせて砕いたり、確実に数を減らしていく。

 やろうと思えば一瞬で終わるが、これがディアナの遊びなんだろう。

 悪人を狩りの感覚で狩っていく。

 そして全員を借り終わった後、まだいないか確認しながら空を飛ぶ。


「逃げた奴は他にはいないかなぁ」


 すると村が見えてきた。


「村かぁ~〜〜。どれどれ〜〜〜、よし!みっけ!!」


 逃げる村人から一人だけ違う行動をする人を見つける。


「あれが最後かな?」


 すると氷で出来た矢が6本空中に現れた。


「それじゃあこの距離から何発避けられるかなぁ〜」


 そして手を振りかざすと、矢は1本ずつ順番に放たれた。

 ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。

 次話も月曜日更新予定です。


 ここまで読んで「面白かった」「続きを読みたい」と思われた方は、ブクマ・評価・ご感想という形で応援して頂けますと、とても嬉しいです!

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