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111曲目 円卓会議

 アイスベルク王国では、組合への依頼を出汁、Aランク以上の冒険者を魔王ディアナに向けて派遣させた後、会議が行われていた。


 アイスベルクの実権を握るのは王ではなく女王であり、王は補佐を務めている。

 国王ヘルムフリート=フォン=ドライヤー、女王クラウディア=フォン=ドライヤーを中心に円卓会議が行われる。

 第一王子に大臣や騎士団長、他にも公爵も集められ、国王と女王以外に10席、計12人での会議が行われた。


 議題は魔族が裏でこの国を狙っている件である。


「しかし我々に気付かされずに出来るものなのでしょうか?」


「それは間違いありません。かげに調べさせています」


「女王陛下、何処の魔王の配下かおわかりになりますか?」


「そこまではわかりませんが、魔王ディアナでないことは確かです」


「やはりこの国と魔王ディアナを争わせて戦力の低下が目的という事でしょうか」


「その可能性は高いと思います」


「でも宜しいので?」


「組合に頼んで冒険者に行かせるなど、魔王ディアナの反感を買うのではないでしょうか」


「確かに…」


「だが、S級冒険者エルザが指揮を取るという話、エルザならばもしくは…」


「女王陛下はどのようにお考えで」


「おそらくは無理でしょうね。事が事ですので、魔王ディアナはとても賢い御方です。こちらの意図を読んで行動して頂ければ申し分無いのですが、それも望み薄でしょう」


 魔王ディアナは人族と友好的な魔族というよりも、関心が無いが正しいのではないだろうか、そう考えているクラウディア女王は魔王ディアナがどう動くかが見当もつかない為、頭を悩ませていた。


「やはりこのアイスベルクと魔王ディアナが率いる魔族の争いを企む魔族がいる、それで間違いないでしょうか」


「それだけではない」


 そう声を上げたのはヘルムフリート国王である。

 シュテルンツェルト王国での武術大会での出来事、そう!魔王エディングが現れた事で話はまとまりはしたが、部下の魔族の行動はひょっとしたら今回の件と繋がりがあるのではないかと思っている。


 シュテルンツェルト王国で起きた出来事は、今円卓に集まっている者には全て伝わっている。

 だから自然と魔王エディング達は今回の件には関わっていないと推測している。


「しかしシュテルンツェルト王国に続き、このアイスベルク王国まで狙われているとなると、他の国との連携も視野に…」


「いや待て!何も魔族だけの仕業と考えるのも…」


「魔族が他の種族と組んでいるとでも?」


「皆さん少し落ち着いて下さい。母上、今後の方針をお聞かせ頂きたいのですが宜しいでしょうか」


「おそらくは相手も魔王ディアナが動くまでは何もしないでしょう。高みの見物といったところでしょうね。しかしこちらも一緒です。ですが、相手に悟られないように王都の警備強化、軍の再編成、情報収集、国民の避難経路の確保、まだ多数のやれるべき事があります。これらを手分けして行って下さい」


「「「「「はっ!」」」」」


「魔王ディアナの行動に合わせてあちらよりも先手を取れるようお願いします」


「「「「「はっ!」」」」」


「くれぐれも相手に悟られない様に!」


 こうして円卓会議は終わった。


 結論から言うと魔王ディアナの行動次第で事が変わるので、相手に先を越されずに準備を整えるというだけである。

 実際に話し合っても無駄な時間を過ごすだけで結論は変わらないであろう。

 だからクラウディア女王陛下はなるべく早く円卓会議を終わらせて行動に移させた。


   ★   ★   ★


 アカネ達は休憩を取らずに走って約1時間、既に村に辿り着き、今度は森へと向かおうとしていた。


「ボク、ちょっと喉乾いたよ」


「そうねぇ、急いではいるけど…キノに魔法頼んでいるし、折角だから鬼灯の実を買っていきましょう」


「あったかいの飲みた〜い」


「でもお店がないですよ」


 辺り一面雪景色で、誰も外にはいない。

 周りを見ても鬼灯の実らしき物が付いている木はないし、諦めかけたその時、井戸の水を汲みにきた女性がいたので声をかけた。


「すいません。この村で鬼灯の実を買いたいのですけど、どこで買えますか?」


「皆さんこの吹雪の中、わざわざこの村まで鬼灯の実を買いに来たんですか!」


「いやぁ〜、たまたま寄ったので買えたらいいなぁ〜っと思って」


「とりあえず良かったら家に上がりませんか」


「いいんですか」


「この吹雪の中、外で話すのも…」


「確かに」


「…ごもっとも」


 家に上がることとなり、服に付いた裄を払い、家の中へと入った。

 そこには囲炉裏があり、何だか日本の田舎を思い出す、そんな温かみのある家だった。


「ありがとうございます」


 それはキノの念願の鬼灯の実の飲み物で、見知らぬ私達に温かい飲み物を出してくれた。


「そういえば自己紹介はまだでしたね。私はアカネ」


「アオイといいます」


「ボクはキノ!よろしくね」


「…ワカバ」


「モモカよぉ〜〜〜」


「私はシズっていいます。この子が息子のシン」


「シンです」


「元気のいいお子さんですね」


 ちょっと名前も日本人っぽい。


「ねぇねぇ、コレってぇ〜、どうやって作るのぉ〜」


「簡単ですよ。乾燥させた鬼灯の実を細かく切り、ザルに入れて湯に入れます。沸騰させて香りがたったらザルに入っている乾燥させた実を取り除き、あとはコップに注いで出来上がりです」


「実を絞るのかと思った」


「煮るだけでこの味」


「はい、鬼灯の実はとても甘くて収穫時期はそのまま食べるのがオススメです。ただし、腐りやすいので乾燥させて日持ちさせますので、乾燥させた実などはこうして飲み物にすることが多いです」


「鬼灯の実の収穫時期っていつなんですか?」


「1ヶ月に1度ですかね」


「「「「「えっ!!」」」」」


「1年じゃなくて?」


「1ヶ月です」


 何か、そのへんは異世界って感じ


「ただこの吹雪の影響で実が実らないんですよ」


「何で?ですか」


「鬼灯の実は1ヶ月間しっかりと太陽の光を浴び、土から栄養を補い、沢山の水で育ちます。ですので気候や土地などに凄く影響を受ける木なんです」


 確かに

 どこでも育つのなら誰もが食料に困らない。

 この土地特有の名産品って事になる。


「良かったら乾燥させた実でいいので売ってくれませんか」


「申し訳ありません。実は主人がこの天候でどうなるかわからないから実を全て町に売りに行っている所であまり無いんですよ」


 ガーーーーーン


 キノが崩れ落ちる。


 諦める事となった。

 シズの家で少しだけ休ませてもらってから魔王城へ向かう事にした。


「「「「「お邪魔しました」」」」」


「この吹雪の中、危ないですよ」


「大丈夫です。ありがとうございました。シンくん、じゃあね」


 シズとシンにお礼をいい、猛吹雪の中、村を出て再び走り出した。

 ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。

 次話も月曜日更新予定です。


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