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109話 エルザの決断

 デボラにイレーネのオリジナル魔法ファイアストライクが襲いかかる。

 デボラの全身から凍気が溢れ出す。

 そしてファイアストライクが当たると同時に物凄い水蒸気が立ち昇ると徐々にデボラの姿が見えてくる。


「なかなかやるねぇ〜」


 羽織りには二箇所ファイアストライクが当たった跡があるが、残りの3方向の攻撃はどうやら捌かれたようだ。


「この羽織りでなければ危なかったよぉ〜」


 これで勝てるとは思っていなかったイレーネは少し前にバイコーンのメンバーに手で合図を出していた。


 バイコーンには片手剣の剣士が二人いて、一人は男性の剣士で名をヤン、もう一人は女性の剣士の名はエラ、この二人が左右から同時にデボラに攻撃する。


「なかなか筋がいいね。でもまだまだだよ」


 ヤンとエラの隙を与えない連携の取れた攻撃も、全て捌かれた後にヤンは蹴りを受け、吹き飛ばされる。

 だが、バイコーンの1人である男性、背も低く幼く見える彼の名はテオ、ヤンとエラを死角にして気配を消し、後ろへ回り込んでいた。

 もう一人のメンバー女性のテアは珍しい闇魔法使い、彼女も仲間を死角に使いイレーネの魔力に隠れてこっそりと魔法を発動していた。


「う、動かな…」


「そこだ」


 テアの闇魔法【シャドウバインド】はデボラの下半身の動きを一時的に封じ、テオの短剣はデボラの首筋を狙う。

 少し焦りを見せたデボラは首筋への攻撃は止めるが、その後のテオの蹴りを脇腹に思いっきり喰らう。

 その蹴りはただの蹴りではなく、氣を使った蹴り、内臓への直接的な攻撃に顔が歪む。

 そこへ隙かさずエラの攻撃、そしてテオ、ヤンも攻撃に加わる。

 刃の攻撃は防ぐも確実にダメージを受け、下半身への動きも封じられたまま防戦一方になってしまった。


「…しつこい」


 嫌な気配がした。


「みんな下がって」


 イレーネの指示はもう遅かった。


 デボラは致命傷を避けて攻撃を喰らう。

 テオの短剣はデボラの左腕に、エラの剣は後ろからデボラの左肩に突き刺さり、ヤンの剣はデボラの刀で止められると、辺りの気温が急激に下がる。


「くっ!剣が抜けない!」


 デボラの刀が自分を中心に円を描く様に刀で斬りつけると反応が遅れたエラとテオを斬りつけ、切られた傷が凍りつく。

 そしてヤンは剣を弾かれるも少し身体が凍りつく。


「ファイアストライク!」


 まだシャドウバインドは解けていない。


「みんな距離をとって!」


 テアの声がシャドウバインドが解けてしまったことをみんなが把握した。


「逃げろ!」


 声を上げたのは退却を命じたホルガー、連携の取れたバイコーン達の優勢な攻撃を見て、少しの間様子見をしながら自分のダメージの回復にあたっていた。


 先ず狙われたのはテア、一直線にデボラが向ってきたのを何とかホルガーが止めるが、数秒しか持たない。


「次ぃーーー!はい、次ぃーーー!次ぃ〜〜〜〜〜〜」


 一人一人を確実に戦闘不能に…


「結局こんなもんかぁ〜」


 デボラの周りには意識を失った者、意識があっても動く事が出来ない者、戦意を失った者、もう誰も闘う事も逃げる事さえも出来なくなっていた。


「どうやら向こうも終わったようですよ」


 エルザは少し意識を仲間に向けた。


 どうやら誰も致命傷にはなっていない様だな。

 さて、どうしたものか?

 何とかデリアという魔人を倒せたとしてと、あのデボラという魔人と闘う力は残らないだろう。

 このままだと全滅…か。


 するとデリアが手を叩く。


 パーーーーーーーーン


「エルザさん、1つ提案があります。どうでしょう、大人しく捕まれば皆の命の保証は致します」


 現状見る限り好条件である。

 ただ命だけなのか…


「何故そのような案を出す」


「簡単な話です。アイスベルクを滅ぼすのは簡単ですが、今のディアナ様は望まないと思いますし、何よりも奪われた物の奪還が先決です」


「なるほど…人質として…か」


 結論はすぐに出た。


 エルザは2本の剣を床に置き、手を上げた。

 そのエルザを見た意識ある冒険者も同じ行動を取り、そのまま牢獄へと連れて行かれた。


   ★   ★   ★


 氷の国境を越え、目の前にはアイスベルク領の町がある。


「止まれ!」


 アカネ達は素直に応じて門兵に説明する。


「どうやってこの氷の壁を…まあいい、今確認を取る。それまではここで大人しく待っていてもらおうか」


 個室へと案内されて約1時間ほど待たされると、門兵が青ざめた顔で息を切らして部屋に入ってきた。


「し、失礼しました。無礼をお許し下さい!」


 何度も何度も頭を下げる門兵、話が進まないのでとりあえず落ち着いて話を聞いてもらった。


「もういいですから」


「し、しかし…」


「とりあえず私達は魔王の城へ行きたいの」


「話は聞いています」


「じゃあ話は早いわ。とりあえず行き方を聞きたいの。道が分かる人はいるかしら」


「しょ、少々お待ち下さい」


 今度は5分もしないうちに戻ってきた。


「これがこの国の地図になります」


 地図を広げてわかりやすく丁寧に話をしてくれた。


「ありがとう。さてどうしましょうか?」


「宿の手配は済ませています。宜しければそちらへお泊まり下さい」


「えっ?いいの?」


「はい。これはこの町のギルド長がご用意した宿で、明日の朝にギルド長が訪ねるので詳しい経緯を聞きたいと」


「わかりました」


 どっちみち夜もふけてきたしね。

 みんなも眠そう。


「その宿まではどう行けばいいですか?」


「私が案内致します」


「あのぉ、ここを離れて平気なの?」


「もう一人に門番を任せていますので大丈夫です」


「じゃあ案内よろしくお願いします」


 待ち疲れている4人に声をかけて宿屋へと行くと、案内してくれた門兵は何度も頭を下げ持ち場へと戻っていき、夕飯を取らずに真っ先に部屋へ入り寝ることにした。

 ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。

 次話も月曜日更新予定です。


 ここまで読んで「面白かった」「続きを読みたい」と思われた方は、ブクマ・評価・ご感想という形で応援して頂けますと、とても嬉しいです!

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