107曲目 いざ!アイスベルク領土へ
大きな声と同時に一人のギルド職員らしき人が駆け寄ってきた。
「ギ、ギルド長ーーーーー!」
はぁ、はぁ、はぁ、
「ギルド長、静かにして下さい。仕事中ですよ」
はぁ、はぁ、はぁ、
「スマンスマン。それより、失礼ですがアカネさんじゃないですか?」
「は、はい〜、そうですけど…」
「や、やっぱり!あ、あの〜、こ、ここで話すのもなんですので、こちらの部屋で話を聞いてもらってもよろしいですか」
「それはいいですけど〜」
「す、すぐに話は終わりますので」
「すまないがギルド長」
「あっ、お仲間の方ですか?」
「私はセイレーンよリーダーをしているグレータという」
「あっ、すいません」
「私達は依頼達成の報告にきただけで、仲間達を他で任せて居るんだが」
「本当にすぐに話は終わりますので待っていてもらっても〜」
「それは私にではなく、アカネの仲間達に言わなくてはならないのではないか」
「まあグレータよ、あまり言うな。ギルド長も困っているだろう。所でギルド長、俺はヒュドラのリーダーをしているドミニクだが、何かあったのか?」
「おお、Aランクのドミニクさんですか。ちょうど良かった。良かったら一緒に話を聞いて下さい」
「わかった。だったら俺達3人が話を聞く。それでいいか?」
「わ、わかりました。ではこちらへ」
アカネ、グレータ、ドミニクは少し頼りなさそうなギルド長に案内されて別室へと移動した。
部屋に入り、ソファーに座るとすぐにノックと同時に一人の女性職員が飲み物とお菓子を持ってきて退室した。
「す、すいません。そ、そういえば自己紹介がまだでしたね。私はこのギルドを任されているペールと申します」
何か頼り無さそう。
他の職員はしっかりしているのに…
「そ、それでですね〜、知っているかもしれませんが〜、アイスベルクへと派遣されたSランクとAランク冒険者がアイスベルクへ入った途端、この氷の壁で覆われて、アイスベルクに行けなくなったんです」
「この氷壁を壊して道を作ればいいじゃないか」
「やりましたよ。ツルハシで砕いたり、魔法で溶かしたり、とにかく色々と試したんですが…すぐに直ってしまうんです」
「「「直る???」」」
「そうなんです。魔王ディアナ=ゲフリーレンが魔力で作り出した氷らしいです」
「「魔王ディアナ!!!」」
「魔王ディアナ???」
「なぜ魔王ディアナがこんなことをしたんだ?」
「詳しくはわかりませんが…だから今Sランク冒険者エルザさんが率いる数名のSランク冒険者とAランク冒険者が魔王ディアナの所へ向かっているんですよ」
「俺達にどうこう出来る事態ではないな」
「ですので私はアカネさんを見かけた時に歓喜の声を…エルザよりも強いアカネさんなら何とか出来るんじゃないかと…」
「「あのSランク3位のエルザよりも強いだと!」」
「はい」
「アカネ、どういうことか教えてもらえる」
「いやいや、私はエルザさんとは戦ってませんよ。戦って買ったのはアオイです」
「「彼女がエルザに勝ったぁーーーーー!」」
「でもアカネさんはその後アオイさんに勝って武術大会を優勝したじゃないですかぁ〜〜〜」
「「武術大会をゆうしょーーーーー!」」
「えぇ、まあ………」
「だからアカネさんなら氷壁を何とかしてくれるんじゃないかとおもいましてぇ〜〜〜」
グレータさんとドミニクさんが、横目で私を見てるぅぅぅ
「わ、わかりました。出来るかどうかわかりませんがみんなで見に行ってみます」
「助かります。ありがとうございます」
「本当に出来るかわかりませんよ!期待しないで下さいね」
「わかりました」
ギルド長のペールがお礼を言いながら部屋を出て、みんなのいる所へ一緒に着いてきた。
「モモカさん!あぁ〜〜〜っアオイさん、それにキノさん、ワカバさんまで!!凄い、凄すぎるよぉ〜〜〜」
ペールさんのテンションが凄い!
「アルテミス、最高だ!!」
ちょっと変
「とりあえずペールさん、さっき言っていた氷壁まで連れてって下さい」
「あ、あ、あぁ〜そうでした」
みんなには歩きながら事情を話しつつ、国境の門入口まで歩いて向かった。
目の前に見えてくると、皆が揃って声を上げる。
「これは凄いですねぇ〜」
「うんうん」
「氷壁というよりも氷山ですね」
「そうでしょうそうでしょう」
「ペールさん、さっきから他人事みたいになっているわよ」
「すいませんすいません」
「結局どうしたいのぉ〜」
「はい、向こうに渡れるようになれば問題無いです」
「この氷山を壊すって事ですか?」
「簡単に言えばそうですね」
「じゃあボクがやってみるね」
キノが両手を上げると、まるで太陽みたいな直径50センチぐらいの火の玉が出来る。
「ファイアボール?」
「違うな。あれは似ているが全くの別モンだ」
出来上がった小さな太陽を氷山に向かい投げると、あり得ない速さで氷が蒸発していく。
「凄すぎる………」
ヒュドラやセイレーン達が息を飲み込む。
だがしかし、
「あっれぇ〜〜〜」
魔法の効力が切れると、徐々に氷が元通りに直っていく。
そこで直る前に隙かさずアオイが氣を込めた一撃を与えると、直りかけの氷は脆く、すぐに崩れる。
それでもまた直っていく。
「私もいくわよぉ〜〜〜」
今度はモモカのレールガン!
あっという間に貫通するも、やはりどんどん直っていく。
「これは無理ね。私達なら直る前に渡ることは出来るけど…どうしますペールさん?」
「やはりエルザさん達が魔王ディアナとの交渉が上手く行かないと駄目かぁ〜〜〜」
肩を落としながらもペールはふと気付いた。
「そうだ!アカネさん達なら向こうに行けるんだから、エルザさん達の応援に向かえば確率上がりますよねぇ〜」
顔を近づけながらペールは声を上げた。
「そ、そんなに近付かなくても、…わかりましたからちょっと離れて下さい」
もう!
まぁハイノさん達も向こうに行けないと困るしぃ〜、
仕方がないかっ!
「エルザさん達の所へ応援に行きますけどぉ〜、………勝手に行っても平気なんですかぁ〜?」
「そこは任せて下さい。ギルド長の私の権限で伝えておくんで」
ちょっと心配
「アカネさん、上の方は薄いですよ」
「…上からなら簡単」
「そうね」
上から飛んで行くことに決めたので、一応念のために身分証明書の発行を頼んだ。
周りからは飛ぶ事自体あり得ないと否定されたけど…、まあ飛べる人もいるし、たまたまここに5人いるだけで納得してもらった。
急いだ方がいいということで、特例の速さでの身分証明書の発行、準備まで1時間もかからずにアイスベルクに行く準備が完了した。
あまりの早さに別れを惜しむ暇も無かったけど、みんなの期待を背負いつつ空に浮かんだ。
「じゃあ行ってきま〜〜〜す」
「ハイノさ〜ん、なるべく早くアイスベルクに行けるようにするからねぇ〜」
「じゃあ、みんなぁ〜〜〜、バイバ〜〜〜イ」
「「「「「頼んだぞぉ〜〜〜〜〜」」」」」
上の氷はアカネ達にとっては薄い方、キノの魔法一発で砕くと、5人は一斉にアイスベルク領土に入っていった。
ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。
次話も月曜日更新予定です。
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