第92話 闘志のVF合体
レッドセラフィムのエンゼルアサルトにより、マザーゴーレムの足止めに成功。
ユグドラシルは、その背中に乗っていたマザーゴーレムを下した後、天に向かって甲高く吠えた。
再び羽ばたけば、その風があらゆるものを吹き飛ばす。一瞬で超音速まで加速し、その衝撃波でビル群のガラスが次々と砕けていく。
「純粋なスピード勝負で来たか……負けねぇぞ! こっちだ!」
両者が飛んだ衝撃波で、脆い建物は簡単に粉微塵に。何もかもを吹き飛ばす、ビルの谷間での空中戦。
既に、レッドセラフィムは安全を保障できぬ領域。安全に稼働できる限界の二倍の出力で動いている。
ただし、そのスピードも二倍。機体のあちこちがオーバーヒート寸前ではあるものの、確実にユグドラシルを捉えている。
「“エンゼルアサルト”!」
翼の先端に付けられた銃口が、再び火を噴く。ユグドラシルは、高く飛び上がって、それを回避する。
かわしてすぐ、新緑のブレスが飛んでくる。レッドセラフィムは、工業地帯方面へと回避して、市民たちからユグドラシルを遠ざける。
ブレスを吐きながら超音速で飛んでくるユグドラシル。出力200%のレッドセラフィムには、距離を開けられるばかり。
このまま敵を撒いて、合体ができると計算したレッド。しかし、そのすぐ後にマザーゴーレムの剛腕が急に飛び出してきた。神経を撃ち抜いたにも拘わらず、マヒから復帰したようだ。
「ちっ……ロケットパンチとか、いつのロボットだ」
レッドセラフィムの右肩を凹ませたマザーゴーレムのロケットパンチ。もう一発飛んできたが、予見していたため、回避に成功。
だが、3発目は流石にないだろうとタカをくくったレッドの虚を突くように、自慢のロケットパンチが飛んでくる。
カルミナの恵みを少し借りて造られたゴーレム。それを失ったとしても、またカルミナの大地から身体を借りればいいだけのこと。
腕を大地に突き刺せば、ゴーレムの腕は元通り。このロケットパンチに限りはない。
レッドセラフィムは、二つの飛び道具を相手に回避し続ける。それに加えて、ユグドラシルの誘導もしなければならない。
一瞬でも判断が遅れれば、締め上げられるかタコ殴りかの二択。このうえない緊張感が、レッドを襲う。
「次の攻撃を躊躇すれば、それだけこっちが不利になっちまう!」
「さっさと決めるぞ! “ゴッドバード”!」
レッドセラフィムは、高く飛び上がった。それに挑発されるかのように、ユグドラシルも高く飛び上がる。
雲を突き抜け、遥か高い上空。レッドセラフィムは、炎をまとった。宙返りしたあと、目にも止まらぬ速さでユグドラシルに突っ込む。
それから、錐揉み回転しながら、ユグドラシルの羽根を掴み上げる。そして、地上に向けて急降下。
Gの衝撃が、レッドを襲う。変身していなければ、まず耐えることのできないであろう高度の変化。
ユグドラシルの全身が激しく燃えている。こんなものを都会のド真ん中に落とせば、被害が甚大になるのは明白。
「落とすとしたら、こっちだな」
レッドは、舵を切り返した。燃えているユグドラシルを落とす先は、海。
目的地を決めたら、後は一直線。海面すれすれまで急降下し、そのままユグドラシルを投げおろす。
大きなしぶきと波を立てながら、ユグドラシルは工業地帯の沖合へと叩きつけられた。
ユグドラシルに大ダメージを与えることに成功したレッドは、上がり切った出力のまま市街地へと急ぐ。
あの巨体が落ちたポイント、そこで不自然なあぶくが立っていることも知らずに……。
◆
市街地に戻ったレッド。相変わらず、マザーゴーレムによる破壊が続いていた。
この巨体から繰り出される腕の一振りは、もはや災害。それを指揮するのは、最高幹部・ディメテル。
犠牲を顧みることなく暴れるその様は、まるで探し物をしているかのようだった。
街が燃え、市民が逃げまどう。ユグドラシル戦から戻ってきたレッドが見た光景は、まさに惨憺たるものだった。
マザーゴーレムの腕から、ロケットパンチが容赦なく飛んでくる。レッドセラフィムは、かわしながら敵へと近づく。
そして、右手に構えた剣に炎を灯らせ、一刀のもとに切り伏せようとした。だが、巨大な左腕がそれを阻む。
「ちっ……厄介なのは、こっちの方か。今のままじゃパワー勝負で不利だが……それでも!」
レッドセラフィムは、渾身の左ストレートでゴーレムの腹部を殴った。だが、レッドセラフィムの倍近い体格を誇る大地の化身は、びくともしない。
「限界を超えてやる! “フレア・ファルコン”!」
レッドセラフィムの剣が、激しく燃えた。武器が赤みを帯びるほどの熱量である。これも、リュイの想定した限界を超えたもの。
限界を超えた一撃は、胸を焦がすどころか、頑丈な装甲を融かす。だが、その代償に、レッドセラフィムは剣を失った。
「この星の力を借りてでも、あの赤い天使を討ちなさい! “カルミナン・ギガント・アッパー”!」
それを命ずるディメテルの目は血走っていた。多彩な植物を使って冷静にあしらう強みは、すでに鳴りを潜めていた。
もう、感情の赴くまま。ただただ、レイジとその仲間を駆逐するためだけに……! 純粋に、デズモンドの命に従う。すべては、幼いころから憧れた大正義に認めてもらうために。
マザーゴーレムが地面に腕を突き刺した後に再び腕を上げれば、ただでさえゴジラ級の本体のさらに数倍はあろうかという右手が復活。
その巨大化した右腕に耐えようと、上半身も左腕もパンプアップ。だが、それでも右手の重量に負ける。あまりにも歪な体型、左腕を付きながら三点で全身を支える。
「なんてデタラメな大きさ……! そんな一撃……!」
だが、それ以上に恐ろしいのは、市街地の一部さえも巻き込んだ一撃であるということ。
市民の悲鳴が、アラームの鳴りやまぬコクピット内にまで聞こえてきた。周りを顧みぬ一撃、ルベールの怒りは沸点を超えた。
「てめぇ!! 関係ねぇ人間を巻き込んでまで、俺たちを殺したいってのか? それが……デズモンド・カンパニーのやる事か!」
「そうですぞ! それ以上市民を巻き込もうというのならば、某たちは全面戦争しますぞ!」
「総員、風魔法の撃ち方用意!」
「……お前ら!」
大地そのものと言っても過言ではない一撃を止めようと、レッドセラフィムの前にバハラの超合金軍団、アズールら四人、およびカトルーア軍が現れた。
小さな超合金軍団が必死でゴーレムの拳にしがみつき、少しでも押しとどめようと出力を全開させる。
さらに、カトルーア軍による“ウィンド”の一斉発射により、さらにゴーレムの拳の勢いを弱める事を試みる。
だが、救援に来た甲斐もなく、レッドセラフィムもろとも救援陣及びシバレー人は吹き飛ばされてしまった。
特に、生身ではせ参じたカトルーアは、弾丸のごとく吹っ飛ばされていく。ビルを何本も貫通し、気が付けば工業地帯を超えて海まで。
たった一発のパンチで、戦局はガタガタ。明らかに、余裕のなさそうな雰囲気である。
「このゴーレム……奴の殺意をトレースしていやがる」
フォードは、ジャンク・ダルク号の屋上に出て、マザーゴーレムを見上げる。
「トレース……そういうことか」
「こんだけデカい怪物が器用に動けるわけないじゃん! 絶対、どこかに隠れて操ってるって!」
何気ないフォードの発言に、リュイはハッとした。これほどの巨体、普通の魔法で制御できるわけがないのだ。
どこかにゴーレムを制御するカラクリがあり、ディメテルはそこにいるとしか思えなかった。
「ご本人様さえ見つかれば、俺の仕事だな。俺が奴を止めれば、あとはなんとかなりそうだぜ?」
「あの女の捜索は、フォード……あなたに任せよう。その間に我々が合体できれば、これほどの巨体でも対抗できうるはず」
「声の出どころからして、ゴーレムの中とみたぜ。ゴーレム自体、強固な鎧にもなるもんな」
フォードは、ガレキを器用に上り下りしながら、マザーゴーレムへと近づいた。
風のような速さで右手に飛び乗ると、そのまま手から肘、肘から肩へと駆け上がっていく。
電光石火を通り越して、まさに神速の所業。振り払おうものなら、逆にゴーレムが傷つくことになるであろう。
マザーゴーレムは、肩をくねらせながら、フォードを振り払った。フォードは、ガラスの破れたオフィス内部まで飛ばされてしまった。
アポなし訪問客に、夜勤のサラリーマンやOLたちはびっくり仰天。さらに、マザーゴーレムがフォードのいるフロアを覗き込んでいる。もはや、一種のホラーである。
「とんでもねぇ敵だ……! お前らは早く逃げてくれ!」
フォードの一声で、会社員たちが蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
人々が逃げまどい、悲痛な叫びがあがるなか、ゴーレムが右腕を振りかぶってきた。ビルを一発KOするつもりだ。
「こんなことで俺がくたばると思うか! そらっ!」
フォードは、カッターナイフの刃を全部出して、投げ飛ばした。
カッターは、弾丸のごとき速さで飛び、ゴーレムの右手人差し指の第三関節に突き刺さった。しかし、この巨体からすれば、蚊が刺す事にも及ばない。
フォードのいるビルが、根っこから崩れていく。フォードは、浮いているガレキを足場に、マザーゴーレムの目線の高さまで駆け上がった。
フォードの予測通り、ゴーレムの中にディメテルはいた。ゴーレムの瞳の奥、ディメテルは額に血管を浮き上がらせながら、フォードを睨んだ。
「やっぱり、こっちにいたか。はあっ!」
フォードの目にも止まらぬ速さの蹴りから、真空の刃が飛び出してきた。
しかし、これもゴーレムの目を抉るには至らない。フォードの桁外れの身体能力をもってしても砕くことのできぬ装甲。
「ダメか……! デカい奴にはデカい奴ってか。だが、諦められるかってんだ」
フォードは、歯ぎしりした。ゴーレムの目の下のくぼみに飛び乗り、瞳の奥にいるディメテルを睨む。そして、目にも止まらぬ速さの鉄拳をゴーレムの目にお見舞いする。
さらに、強烈な横蹴上げ。少しだけ、傷が入ったような気がした。突破口が開きそうである。
しかし、そんなフォードを振り払おうとディメテルが身振り手振りすれば、ゴーレムもそれに応じて顔や身体をくねらせながらフォードを振り落そうとする。
フォードは、暴れるゴーレムから一旦下がることに。だが、ただで下がるほど、フォードは弱腰ではない。
「これなら、さすがのゴーレムでも効くだろうぜ!」
フォードは、ウエストポーチから発煙筒を出すと、それをゴーレムめがけて蹴り飛ばした。
靴との摩擦により着火したそれは、赤い煙をまき散らしながら、ゴーレムの岩の継ぎ目にピタリとハマった。
「お前ら、今なら合体できんだろ! 相手がたじろいでる一瞬しかねぇぞ!」
「ありがとうよ、フォードのアニキ! じゃあ、お前ら……行くぜ!」
VF合体! その掛け声とともに、レッドセラフィムを中心として五つのマシーンが集まった。
レッドセラフィムは、顔と上半身。ブルーポセイドンは左腕、イエローメーチェが右腕。
ピンクシェリダンが鎧と肩のキャノンを構成し、グリーンヴネゾンが両脚となる。
全長は、およそ60メートル。空中機動をほとんど失った代わりに、地上戦でのパワーと耐久力を得た。それこそが、5人で一つの合体メカ。
「完成、Vファイターオー!」
レッドセラフィムの翼がVの字を描くように変形した。
巨大化してしまったマザーゴーレムに比べればまだ小さいものの、パワーでは押し負けない。
ゴーレムから繰り出される左ストレートを両手で受け止め、グリーンヴネゾンの脚で踏ん張る。
「はああああっ!」
Vファイターオーは、マザーゴーレムの左手を捻った。マザーゴーレムの巨体が都会の宙に舞う。
身動きが取れなくなったところに、右肩に装備しているピンクシェリダンの砲台を撃ち込む。
マザーゴーレムの右肘関節に風穴。バランスを崩したマザーゴーレムは、再び膝をついた。
「よし、まずは利き腕だ!」
ゴーレムの数少ない弱点である目、そこにVファイターオーの背中のキャノンが向いた。
「某も、無力ながら援護いたしますぞ! 超合金クルセイダース……オールスターストライク!」
バハラが拳を突き上げて高らかに必殺技を叫ぶと、超合金たちがそれぞれの武器を振り回し、一斉に突撃した。
マザーゴーレムからすれば、超合金たちなど羽虫のごとく小さいだろう。だが、数が集まれば煩わしいことこのうえなし。
超合金たちを足場に、フォードは再びマザーゴーレムと同じ目線に立とうと駆け上がる。
「フォードのアニキに道を作りやがれ! “Vフレア・アサルト”!」
Vファイターオーの背中から無数のエネルギー弾が発射された。さらに、鎧が開き、胸のVからもミサイルが飛び出す。
二つのVが繰り出す一斉射撃。狙いはもちろん、マザーゴーレムの右目。
右目のガラス体が粉々に砕けたとき、フォードはゴーレムの内部へと侵入することに成功した。
「やっと会えたな、ディメテル!」
「フォードも、あの変なヒーローかぶれも……! なぜ、こうも大正義に歯向かうの?」
ディメテルは、右の拳を突き立てた。だが、フォードには簡単に受け止められてしまった。
「は? 市民巻き込んででも、自分に降りかかる火の粉を振り払うのが正義ってか」
「そうよ。あなた達が戦うことを諦めれば、無垢なる市民を巻き込むこともなかったのに……!」
ディメテルは、左の拳でフォードの心臓を狙った。怒りの鉄拳を受けたフォードだったが、彼は涼しげな顔をした。
「ウソ言ってんじゃねぇよ。お前……こっちに来て戦う事に、全く躊躇がなかったろ」
フォードは、掴んだディメテルの拳を軽くひねった。すると、ディメテルが宙を舞い、回転した。
予測通り、ディメテルの動きをトレースしていたマザーゴーレム。彼女の動きに合わせて、マザーゴーレムも転げまわる。
ゴーレムの内部空間も例外では無かったが、フォードは踏ん張って耐えた。
「……BINGO。あとは、お前を押さえつけてトドメを刺してもらうだけだ」
フォードは、ディメテルのノドに地獄突きを入れた。さらに、腹には掌底による一撃を加える。ディメテルの口から、胃酸が出る。
ディメテルは、口をパクパクと開く。咄嗟に喉が開かず、悲痛の声を出すことすら許されない。
よろけたディメテルに容赦しないフォード。ポケットからデリンジャーを出すと、心臓を狙って撃った。命の危機を感じたディメテルは、おぼつかない足取りながら弾丸をかわした。
「マザーゴーレムの動きが乱れていますぞ……中でアニキが戦っている証拠ですぞ」
「フォード、まだディメテルを抑えられないのか!」
アズールが、コクピット内からフォードを煽る。だが、取り押さえようにも簡単にはいかない。
マザーゴーレムがディメテルの動きをトレースしている以上、彼女にとって取り押さえられるということは、マザーゴーレムを無防備に晒すことと同義。
必死に逃げ、時には殴って反撃。その反撃もまた、ビルを砕き、道路を穿つ一発。
「レイジを出しなさい! さもなくば、このロボットに載っている仲間を殺すことになるわ。“カルミナン・ギガント……!」
「そんなこと、俺が許すとでも? これ以上、市民に八つ当たりするんじゃねぇ!」
渾身のアッパーが、ディメテルの顎にクリーンヒット。フォードは、よろけたディメテルを掴み上げ、ガットレンチパワーボムで彼女を岩に叩きつける。
頭への衝撃は、尋常なものではない。それにもかかわらず、彼女はすぐに起き上がった。ふらつきながらも、フォードを殴ろうとした。
だが、フォード渾身のコークスクリュー・ブローが炸裂。ひねりを加えた左ストレート、ディメテルに血を吐かせ、膝をつかせる。
「次で決める!」
フォードは高く飛び上がった。伸身を翻し新月面を描くと、ディメテルの注目を向けた。
そこから、脚を大きく開くと、さらに身体をフィギュアのトゥループの要領で捻りながら回す。
飛び上がっては後方二回宙返り、二回ひねり下り。攻撃は、トリプルトゥループのような回転から繰り出される七発のキック。
最後は、両足でディメテルの身体を絡め取り、くるっと一回転。さらに、逆立ち状態になり、脚で彼女を投げ飛ばしてフィニッシュ。
アクロバットな一撃で翻弄されたディメテルは、すぐに動くことができなかった。その一瞬の隙をつき、フォードはディメテルの後ろを取ることに成功。そのまま、腕を締め上げる。
ディメテルは、身をよじらせながら必死に抵抗する。それでも、フォードが放すことはなかった。足を強く踏みつけようとも、フォードは何食わぬ顔をしている。
「放しなさい……降参させなさい」
「今さら耳心地のいいことばかり言いやがって……! そんな甘言に乗ると思ったか?」
フォードは、またしてもディメテルのウソを見破る。
「それから、ヒーローどもォ! 最大の一撃……用意してんだろうな?」
「ああ、今すぐ撃つぜ!」
「“VFビクトリースラッシュ”!」
5人の掛け声とともに、Vファイターオーの持つ剣に炎が灯った。
一刀目はマザーゴーレムの右肩から腹部にかけて、岩をも融かす一振り。
そして、二刀目。マザーゴーレムの左肩から腹部にかけて、鋭く岩を切り裂く一振り。
二つの軌跡がVを描き、敵を燃やして切り裂く。
マザーゴーレムは、爆発して砕け散った。決めポーズを取りたいところだったが、そうもいかなかった。
Vファイターオーは、その合体を解いた。レッドセラフィムが、爆発に巻き込まれたフォードを助けるためだ。
フォードは、煙の中、無防備に宙を舞っていた。それを見つけたレッドセラフィムは、フォードを肩に乗せて煙から脱出した。
「フォード! しっかりしろ!」
「とんでもねぇ一撃だったぜ……やるじゃねぇか!」
フォードは、レッドがいるであろう胸のコクピットに向かってサムズアップ。
「おう! あれこそが自慢のVファイターオーだぜ!」
それにこたえるように、レッドもサムズアップで返した。だが、巨大戦力・マザーゴーレムを倒した喜びもつかの間。
甲高い雄たけびとともに、ユグドラシルの逆襲。その身を燃やして、海に落としたはずの世界樹。
まだ、生きていたのだ。そればかりか、レッドセラフィムから受けた傷をほとんど修復した状態での復帰。
「安堵しているところ悪いが、ルベール。パイロット交代だ」
「ああ、そうだったな。まだ、アイツが残っていたな」
レッドは、コクピットから降りた。パイロットをグリーンに交代。カトルーアの最終作戦に移るためである。
「そうよ……私には、まだユグドラシルがいるわ。ユグドラシル! 私をいやし、私を守りなさい」
ガレキを押し上げながら、ディメテルが現れた。最後の最後まで粘り強いディメテル。だが、もう追いつめている。勝利は目の前だ。




