第十六話 『星明りは去る』
現れたシュウはフレームは装備しておらず、生身のまま対フレーム用の自動小銃を両腕と胴体で固定し、構えていた。
そして、その銃口は、ハルに向けられていた。
「シュウ……? お前、生きて……。いや、それより、何してんだよ、お前。どうして」
「なあ、ハル。お前も知ってる通り、フレームには同士討ちを防ぐため友軍機には攻撃できないようプログラムが組まれているんだ。だから、敵陣の真っただ中で心細いけど、フレームを外さなくちゃいけなかったんだ」
シュウは自動小銃を地面に落とし、インナースーツのポケットから拳銃を取り出す。
「お前達を、殺すためには」
「殺すって……、なに、言ってんだよ。一体なにが、どうなってんだよ!」
「悪く思わないでくれよ。俺だってこんなことはしたくないんだ。連合との戦いでお前らが全滅してくれれば、こんなことをせずにすんだ……だから俺は悪くない。悪くないんだ」
「何言ってんだよ。だったら、やらなきゃいいだろ!」
「そうはいかないんだよ。これは副司令からの命令なんだ」
シュウは辛そうに眉をひそめ、ため息を吐く。
「そうだな。俺とお前の仲だ。話してやるよ。研修が始まる少し前に、俺は副司令官に呼び出されてな、連合が核攻撃を計画していることと、国防軍が研修生を使ってそれを阻止するための作戦をたてていることを教えられた」
そんな、とハルは枯れた声を出す。
シュウはかまうことなく話を続けた。
「そして副司令官は、俺に取引を持ちかけた。作戦中に研修生を全員殺せ、そうすれば俺や俺の家族全員の生活を保障するってな。特に俺と弟や妹には成人権をはじめ、多くの権利を認めると言ったんだ。だから……」
「だから、僕達を殺すのか?」
「仕方ないんだ。俺だって本当はこんなことやりたくない。ハル、俺はお前の幼なじみだ。ガキの頃からずっと一緒にいた。だから、こんなことになって、本当にすまないと思ってる」
ぼそぼそとした口調でシュウは言う。
ハルはすぐにシュウのうそを見抜いた。
シュウは悪いなどまったく思っていない。弁解の言葉を並べて罪悪感を表明し、自分を正当化したいだけなのだ。
人を殺すという罪から逃れて身軽になりたいと思っているだけだ。
なによりシュウは実際に撃ってきた。
もし頭に当たっていれば、確実に死んでいた。
こいつは本気で、僕を殺そうとしているんだ。




