表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふかしぎ真霊奇譚  作者: 猫音おる
第十二章   ~新部活動編~
68/92

#68 呪われたビデオ・後編

「ははーん、ここがいなくなった……なんだっけ?」

「赤坂さんでしょ?ほら、表札に書いてる」

「あははー、そうだったけ~」

 いきなり小ボケをかます紫音に冷静にツッコミを入れる悠飛。

それをみて少々引き気味の麗未亞達。

「こんな状況でよくそんなコントじみた事出来るな…それよか早速突撃だ」

 恐れなく琉嬉がすぐさま行動に出る。


 琉嬉とまどかは麗未亞達と合流してた。

そして三笠と共に赤坂の家へとやってきてた。

だがこのままでは大人数過ぎる。

ということで人数を絞り、赤坂宅へ調べに来た訳だ。

早速ピンポンと鳴らし…。

「あのー、すいませーん。赤坂有美さんのお友達なんですが~…」

 と、琉嬉の得意の口からでまかせ戦法。

その様子を見て悠飛は一言。

「よくまあ平然と友達でもないくせに…」

「うっせい」



 とまあ、なんだかんだで赤坂の部屋へと上がらせてもらった。

隆治とまどかは外で待機する事になった。

大人数でおしかけては迷惑だからだ。

ここは、琉嬉、紫音と莉音、推理名人の悠飛、赤坂の友人三笠。

そして三笠の友人の麗未亞が代表として、失礼ながらも赤坂の部屋へと調査する事になった。

この時は母親しかいなかったが、落ち着きを保っていた。

警察はあまり当てにならないなどいろいろ言っていたが。

逆に言えば、警察でも手に負えない姿の消しっぷりである。

「三笠さん、心当たりあるものある?」

「…いえ、あまり何も…」

 いろいろ調べまわるがこれといった物もない。

自分のパソコンを持っていないのか、部屋にはパソコンはない。

「……なんか失礼な気がするけどちょいと机中を拝見…」

 悠飛は少しドキドキしながらも机の中身を軽く調べる。

これといった証拠ともなるような物もなく次々と別の引き出しを開けては閉めていく。


「んー、何もないねー。どっしよっか?」

「…最後の手段。赤坂さんの携帯とかがないのなら、居間にあったパソコンを見せてももらおう」

 琉嬉が提案する。

「あとは…分かるよな?」

「何が?」

「……気になる物があったら、沢村刑事に連絡取って照合してもらう」

「…そう簡単に機密的なの教えちゃって大丈夫なの…?沢村刑事…」

 悠飛が心配になる。

「あの人はどっちかというと「こちら」側の人だから、ネ。警察にいるのは情報を利用するためとか言ってたけど」

「ほへぇ……特殊な人だね」

「だから特殊事件特別捜査係、なんだろ」

「…特殊事件とく…なんだって?」

 思わず聞き返す紫音。

口も回らない。

「いーから、何かヒントになるもの探せ」

 琉嬉達は居間の方へ移動した。


 今いるメンバーの中では一番パソコンに詳しい琉嬉が起動して操作させてもらう。

今や一家に一台あるようなパソコン。

あれば不便ない、そういったものだ。

インターネットにも繋いである。

その履歴から何か解からないか、一応調べるのだ。

「昔はもっと高価だったて聞くね…お、いいスペックじゃん」

 妙に関心する。

「多分警察も調べてるよね…?」

 琉嬉は振り返り三笠に聞いてみる。

「さあ……、どうなんですか?赤坂さんのお母さん」

「…一応は見てもらったんだけどね…私はあまり得意じゃないからおまかせっきりで」

 赤坂の母親はそう答える。

「なるほど」

 ネット履歴などを調べまわる。

別段おかしいのはなさそうではある。

もしかしたら消されてるかもしれない。

これらを復帰させるのは無理だろう。

「なーんかあたしら蚊帳の外って感じ?」

 その様子を見てるだけの紫音。

つまならそうだ。

「…こういうのは専門じゃないからね…」

「……そう思うのならもう一回部屋に行って霊視でもしてきたら?私より得意でしょ?」

 少し嫌味そうに悠飛が紫音に言う。

頭ポリポリしながら紫音は無言で渋々頷く。

「じゃ、ちょっと見てくる」

「あ、私も」

 双子姉妹は一緒にまた部屋へ向かう。


「あ、気になるものハッケンー」

 琉嬉が何かを見つけたようだ。

「動画ファイル?」

「再生してみよう」

 早速再生してみる。

「あ、これ…って……」

 琉嬉が動画の中を指差す。

悠飛が覗き込む。

そう、それは麗未亞が持ってきた動画と同一の内容だ。

「…これって、麗未亞が持ってたファイルのやつと同じだよね?こっからコピーしたものかな?」

「はい…多分」

 力なく頷く麗未亞。

「………それにしてもおかしい。この動画と関係あるのかな…?」

 関連性がまったく見出せない。

せめてこれに映ってる霊らしき人物の正体が解かればいいのだが。

そこで悠飛がピンッと何か感づいた。

「……ねえ、麗未亞。三笠さん。赤坂さんの卒業アルバムとかある?」

「私に聞かれても…部屋にあるんじゃないでしょうか?」

「それもそうだよな。ちょっと部屋に行って確認してくる。いいですよね?赤坂さんのお母さん?」

「あ?え、ええ…いいわよ」

 悠飛の突然の行動に呆気にとられる。

琉嬉をのぞく二人。

「ふぅむ…。悠飛のやつめ、なるほどね。あいつも結構鋭いね」

 琉嬉は姉だけあって悠飛の行動に理解が出来た。

そんな琉嬉は赤坂の母親に向かってこう言う。

「大丈夫。我々ふかしぎ部は「不可思議」な事件を解決するための部活。ですから。どんな「コネ」を使ってでもね」



「…何か解かった?」

「うおっ?!びっくりしたぁ…」

「…なんだあ…悠飛ちゃんかあ…驚いた…」

 跳ね上がるように驚く二人。

双子だけあってリアクションがまったく同じだった。

「うーん、なーんもね…。事件に関連あるような「念」は感じられなかった」

「そう……でもこれなら?」

 悠飛が机の棚に置いてある赤坂の中学の卒業アルバムを取り出す。

「何、それ?アルバム?」

「そ。卒業アルバムね」

「……なるほど」

 別段詳しい話しなくても二人は悠飛の行動に理解をした。

悠飛がアルバムをペラペラめくっていくと赤坂が写ってるページをみつけ、手を止める。

双子は無言でそのページに手をかざし静かに霊視し始める。

「……答えにこれで少しは近づくと思うけどね……」

 悠飛は冷静に呟く。


「この顔……」

 紫音が気づく。

「三笠さん?赤坂さんとは高校で友達になったばっかり?」

 悠飛が質問をぶつける。

三笠はゆっくり答える。

「…そうですけど…。この顔って…」

 三笠も気づく。

そう。

赤坂の中学校の卒業アルバムに写ってるのは、動画の不可解な映り方していた顔にそっくりだ。

「似てる…ね。あの映像の顔に」

 霊視すること5分程度。

「…おそらく本人…に間違いないけど」

 腕を組んだまま悠飛はこう推測する。

「なるほど…。この手のモノは生霊タイプ?」

「どうかな…?」

「え?」



 琉嬉達が赤坂宅から出てくる。

「琉嬉さん、何か分かりました?」

 少し期待したようにまどかが琉嬉らに聞く。

「とりま、なんとなく犯人は分かったよ」

「おお、それは良かったです!それで…」

「霊視出来たからって、まだ確定は出来ない」

「あら、そうですか?」

「そこでだ。そこで、港咲家の情報網ていうのを頼ってみたんだ」

「みゆさんの?」

 首を傾げるまどか。

他の皆もそうだ。


「これ」

 みゆが送ってきた画像。

それと解析内容。

「あ、これって…卒業アルバムの人の顔…」

「そそ。どこでどうして手に入れたのか知らないけどあそこの家はああいうのも得意のようだね」

「姉ちゃん、分かってたんならすぐ教えてよ」

 悠飛が不貞腐れる。

琉嬉は悠飛が気づく前に何かと感づいてたようだ。

動画に映っていた霊らしき人物の事を。

解析した内容を詳しく解説。

顔の作りなどを細かく調査。

画像から割り出してほぼ同一人物と出てる。

港咲家にそういう調べる機器があるのも驚きだが、そもそもなぜそういう事をやってるのか。

それは謎である。

実に不可思議。

「霊視した結果でも同一人物だと思うんだろ?」

「まぁねー」

 紫音らも確信ついたように首を縦に振る。

自身はあるようだ。

「まー、デジタルの力とオカルトパワーの組み合わせでこそ真実に近づいたと思えば…ね?」

「なんだいそりゃ…」

「まぁまぁ…」

 なだめるまどか。

 琉嬉は制服のリボンを少し直して、くるっと違う方向へ向く。

「早速犯人宅に向かう」

「…唐突ですね」

「…やれやれ」

 悠飛が少しだるそうに事細かにまどかと隆治に説明する。


 琉嬉が犯人と推測する人物…それは赤坂の中学時代の友人。

伊沢…という女子生徒。

赤坂が通っている同じ学校だという。

悠飛の携帯でアルバムのに写っている伊沢の顔写真を画像を撮りんだ。

その画像をみんなして覗き込む。

「あ、あの…私はどうすれば…?」

「赤坂さんの友達なんでしょ?友達が心配なら僕達と一緒についてきて。

ただし、危険だと思ったらそこのうるさい双子達がどうにかしてくれるから」

「はぁ…」

「ちょ、何その役目ー!あたしらもちゃんとした彼方家の跡取り娘…の一人なんだから!」

「はいはい。分かってますよ。さて、住所を、と」

 赤坂の私物から伊沢という人物の住所を探し当てる。

失礼ながらも携帯電話に一応登録してある電話番号を頼りに、沢村刑事当てに調べてもらう。


「沢村刑事に雑用みたいなコトさせて悪いとは思うけど…」

『なあに、調べるのは俺じゃなくて部下だから、さ。まあどうせ暇だし』

「…刑事って暇なんですか?」

『はは、俺は少し特殊な立場だからな』

 警察の中でも刑事という立場。

とはいえ他の刑事達とはまた違う立場らしいといという事だけは知っている。

そこそこ付き合いが長い琉嬉にもなぜ、こんなに動ける沢村刑事の独特な姿勢なのかが、今ひとつ良く分かっていない。

分かってるのは琉嬉自身でもみんなに説明した特殊事件特別捜査係。

不可解な事件、難解な事件が起きた時に特別に配属されるという。

不可思議な事件が起きる鞍光市ならではの処置。

何もなければ普段は暇で、雑用が多いという。

それに沢村自体は変に階級が警部補という、現場を動くには高い階級。

仕切るレベルなので他の者からもあまり指図されない。

逆にそれが動きやすいのかもしれないのだが。

『お、分かったみたいだぞ。大体の位置はだな…』

「…そもそも警察に調べてもらわなくっても分かるんじゃないの?」

「あまいな、悠飛君。こういう時は時間をかけずにやるのが一級のオカルトハンターなのだ」

「オカルトハンターって…」

 なんだそりゃ、と心の中で思ってしまった悠飛だった。

「それにしてもいきなり押しかけて大丈夫でしょうか?」

心配そうにするまどか。

しかし琉嬉は、

「怪奇事件は常識で縛られない…、ま、問題ないでしょ。その気になればナントカなるし」

「あらまあ、そうですか」

 ただならぬ事を言う琉嬉だが、まどかの表情は変わることなくいつも通りのほんわかした笑顔である。

おそらく何をするか、見抜いている。

だから敢えての笑顔のまま。

「…絶対まどか先輩も何か、もみ消すタイプだよね…」

 結局遅い時間になりながらも伊沢の住んでいる家へと向かうのだった。


 半ば強引に真相を暴くために、唯一の手がかりとなる人物の家に辿り着く。

伊沢宅に着いた……のはいいが、妙な空気に淀んでいるのが全員なんとなく感じている。

至って普通の住宅街の中の一軒。

辺りは車の音くらいしか聞こえてこないくらい静けさが漂っている。

「妙だね」

 不穏な空気感に一緒についてきた三笠はかなり不安げになる。

そしてこういった事に慣れてない麗未亞も見た事ないような表情している。

思わず隆治が声をかける。

「……大丈夫?二人とも?」

「あ、は、はい、なんとか…」

 と、言いつつも表情は強張っている。

「…しゃーないね、隆治、外で一緒に待っててあげて」

 琉嬉がそう提案する。しかし、

「え?またですか…?」

 と、どこか不満げだ。

「…嫌な予感がするんだよね。何かあったら困るから隆治は二人と一緒についててあげて」

「いや、しかし…僕だけでは…」

 さすがに一人では不安のようだ。

まだまだ修業中の身。

自分の事どころか、二人を守るような事が出来るのだろうか。

そう考えると一気に不安な汗が出てくるのが隆治には自分で分かった。

「ふむ。じゃあ私も残ってる」

 悠飛も残ると言う。

「…でも」

「でももこうもない。万が一ってこともあるから、戦力は少し分けとくのだ」

「はぁ…」

 一応部長命令…なのか、よく分からないが琉嬉自身の戦術なのだろう。

隆治はまだまだ術士としても未熟。

中には連れていけないと判断したのだ。

それだけやばそうな空気が漂っている。


「あのぉ、ウチも参加させてもらってええですか?」

 あまり聞きなれない言葉使い。

叉羅沙のようなおっとり感じゃない関西訛り。

「…香那巳じゃん、どうしたの?」

「いえ、紫音さんと連絡取って…ついてきましたァ」

 香那巳が直前になって現れた。

「…しのーん?」

 一斉にみんなが紫音の方へ向く。

「あ、あははは、だって…香那巳ちゃん寂しそうだったからつい…」

「…しゃあないね、同じふかしぎ部だしな」

「そ、そうなんですか?」

 麗未亞は不思議そうに言う。

まだお互いおなじ部室で会ってない。

香那巳自体があまり顔見せないし、麗未亞も毎日は来ないからだ。

「ふふ、結局人が集まりますね。こういうの楽しいですね」

「ピクニックじゃないんだから…会長」

 莉音は頭を抱える。


「さて、皆の者、いいかい?」

「OK」

「はい」

「だいじょーぶ!」

 さっそく伊沢宅の戸に手をかける琉嬉。

そこであることにすぐ気づく。

(…?あれ…開いてる)

「どったの?琉嬉姉?」

「……鍵がかかってない。開いてる…嫌な予感マックス」

 紫音は琉嬉が少し本気なのが横目でみて感づいた。

さすがに普段能天気な紫音も異様な状況に背筋が少し凍り付くのを感じ取った。

「…ホンマやな」

 香那巳もいつものひょうひょうとした感じではなく、いつになく真剣な顔だった。


 そっと、戸を開けて中を覗く。

その瞬間、霊感あるものなら分かるほどの量の霊気が流れ込んでるのが把握出来た。

「なにこれ……!」

 家の中は静まり返っている。まるで人の気配がないように。

人の気配…はしないが、濃密な霊気で分かる。

これは明らかに霊的なモノがいるという事が…。

「…最悪の展開かもね……」

 琉嬉が指差す方向。

玄関を上がり、すぐ見える居間。

やけに生ゴミのような臭いのような…そんな

人が倒れているのがすぐ分かる。

男性が二人。

琉嬉はひとりそちらへ向かう。

「琉嬉姉…大丈夫?」

 恐る恐る、倒れている人物の顔を覗き込む。

中年の男性のようだ。

もう一人の男性は少し若め…と言っても30~後半くらいだろうか。

奥の台所には中年の女性の倒れている姿が見える。

「……!!」

 琉嬉の表情が一気に険しい顔になる。

「琉嬉さん……もしかして」

 まどかも感づく。

「……だめだね。死んでるよ…これ」

「えぇ?!」

「ひっ!」

 莉音達も声を出して驚く。


「…外傷はほとんどない…。生命力でも奪われたのか…。死んでそう時間経ってないな…」

「そうなんですか…?」

「専門家じゃないからなんとも言えないけどね…。最悪の展開……かもしれない。伊沢本人の部屋へ向かうよ!」

 その場をひとまず後にして、一階の部屋をまず素早く回る。

しかし他の人の気配はない。

「うぅ…なんて強い邪悪な霊気…」

 莉音が吐き気を催すレベルの霊気が立ちこもっている。

霊感がなくっても感じてきそうな気持ち悪い空間。

家全体の空気が重苦しい状態だ。

「大丈夫?無理せんといてな、莉音ちゃん」

 香那巳が莉音の背中を抑える。

「うん、大丈夫」

「…ま、無理ないかぁ。こんなに強烈なん久々や」

「お前さんでもそう思うの?」

「ええ。そらそうですよー。ウチかて人間ですから」

「……そっか」

 琉嬉達は一通り一階を見て回った。

が、特に遺体以外には特別なのは見当たらない。


 まどかが奥の部屋から出てくる。

「下には手がかりらしきものありませんね…後は二階でしょうか…?」

「そうだね。行くよ。莉音無理しなくていいからね。それと麗未亞。お前も無理して来なくていいんだよ」

「いえ、私も……頑張ります…。私が持ってきた「事件」ですから…」

「…その心意気良し…と言いたいけど、ヤバかったら莉音、香那巳。頼むよ」

「うん…分かった」

「了解ですー」


 琉嬉は最悪パターンを見越していた。

が、そのパターンに当てはまったようである。

既に死人が出ていた。

一階の居間付近で倒れていたのはおそらく伊沢の両親達。

もしかしたら本人も…という可能性が出てくる。

「行くのが嫌になるけど…くそ、乗ってしまった船を降りれないよね…まどか、紫音、フォロー頼む」

「…ええ」

「ほいきたー」


 最も、異様な霊気を発している部屋へ辿り着く。

ここはもう躊躇なくおもいきってドアを開ける。

バンッと勢いよく開けたその光景は…凄惨だった。

見た事ないような陣が部屋の真ん中になる。

霊力の塊なようなものが蜘蛛の巣みたいにあちこちに張り付いている。

ベッドで倒れこむ若い女性の姿、そして陣の中央に座りこんでいる女性…。

「赤坂さん…?!」

 麗未亞がいち早く部屋に入り込もうとする。

が、琉嬉に静止される。

「麗未亞。この部屋に入ってはいけない。憑りつかれるよ」

「え?!でも…」

「ここはプロにまかしといて…。まどか!紫音お願い!」

「了解しました」

「おっけー」

 まどかの手からどこからともなく巨大な槍が出てくる。

「この邪魔なものをぶった斬ってくれ!」

「はい!」

「紫音!僕が防護壁作るからその隙に赤坂を!」

「りょーかい!いっくよー!」

 見事までに連携された行動。

まどかの槍で邪魔な塊を取り除いていく。

そしてその間に紫音がベッドに倒れている赤坂を引きずるような形で部屋の外まで引っ張り出す。

「大丈夫だ、まだ辛うじて生きてる!」

「莉音!赤坂に治癒術を!」

「は、はい!」

 琉嬉は防護壁を張ったまま陣の中央へそのまま向かう。

「……井沢…お前はそうまでして赤坂が憎かったのか?」

 陣の中央に座り込んでいる井沢らしき人物は何も応えない。

「…恨み…憎しみ…時には自分をも顧みず…か。そこまでして………」


 琉嬉が左腕にしている数珠を取り外す。

真霊気を使うようだ。

「出てこい!!妖!!」

 ズドンッと鈍い音と共にまばゆい黄金に煌めく光が放たれる。



「!!これは…?!」

「な、なんですかこの光?!」

 家の方から一瞬だけ凄まじい光が溢れた。

黄金色にも見受けられるような、激しい光。

悠飛にはすぐ分かった。

「姉ちゃん……真霊気使ったの…?今回はそれほどの強力な相手なの…?」

 不安がる悠飛達。

特に真霊気を使う事は、相手の力が強大だって事だ。

そうやすやす使える術ではない。

それだけ本気度が高いのである。



 真霊気を放ちながら片手で首根っこ捕まえて引っ張り出したもの。

「ぐごご……オマエは…?!」

「ただの祓い屋さ」

 井沢の体から出てきたようにみえるモノ。

妖怪だろうか。

琉嬉は軽々と片手で持ち上げたようにしている。

霊力の力もあるのだろうが、おそらく元々重さの概念がない妖怪のようである。

まるでオンボロの幽霊なような姿形をしている。

「お前か、この状況を作り出したの?」

「…ぐが…何を言うか……そこの女が我を呼び出したのだ…そこの女を殺せとな…」

「なるほどね…。まあ大体察しはついてたけど」

「この手を…ハナセ…!!小娘!」

「……フン、素人でもこんだけの妖力を持つヤツを召喚出来る道具か…厄介だね……」

 無言のまま琉嬉は井沢に視線を向ける。

一切動かない井沢。

「何がここまで憎かったのかは知らないけど…怪しい物に手を出すのは本当に良くないよね。残念だけど」

「何をゴチャゴチャと…!」

「…うん、お前は黙ってろ」

 思いっきり掴んでた手に念を込めると同時に大きな霊気が放たれる。

「き、キサマ……あぎゃああっっっ………!!!……」

 バシュンッという音と共に妖怪は蒸発するように消滅していった。


「僕らにしてみれば雑魚程度の妖怪…。でも…何も知らない人間であれば恐ろしい対象となる…。

自業自得…とは言わないけど……これはあまりにも…」

 その後に何かを言おうとしたがその先は言えなかった。


「終わりはった?」

 部屋の外から顔だけ覗き込むようにする香那巳。

「なんとか、ね」

「大丈夫ですか?」

 壁に寄りかかる琉嬉を支えるまどか。

真霊気を使った影響か、一気に足元がふらつく。

でも休む事なく、琉嬉は携帯を取り出し沢村刑事に連絡する。



「井沢さんは…生きてるんですか?」

 なんとか意志を保ちながらも麗未亞は琉嬉に問いかける。

「…………」

 静かに首を横に振る。

どうやら事切れていた後のようだった…。

ただ、最悪に近いものだが、赤坂の方はなんとか生きてたようだ。

「すごく衰弱してる…治癒術だけじゃどうにか出来るレベルじゃない…」

 涙ぐみながらも治癒を行っている莉音。

「…莉音、僕が代わりに…」

 足元がふらつく琉嬉。

その場にペタンと座り込んでしまう。

真霊気を使ったからだからだ。

「琉嬉姉の方こそ、無理しないで…ここは私が」

「…ウチもお手伝いします」

「香那巳…」

「なんもしてませんからこれくらいは…」

 治癒の術も使えるようだ。

しかし井沢の状態は思わしくない。


 ドタドタッと、階段を上る音が聞こえてくる。

しびれを切らして悠飛が駆けつけてきたようだ。

「姉ちゃん!大丈夫?」

「ああ、それなりに…ね。まどか、悠飛、この部屋に陣と関係してるものがあるはずだから…警察さんが来る前にちょっくら調べて」

「…そうですね」

 そう言うまどかはいつもの笑顔はなく珍しい顔をしていた。

悠飛も後に続いて探し始める。

「…莉音、紫音、救急車呼んで赤坂を病院に」

「あ、う、うん、そうだね!」

 テキパキと指示をしていく琉嬉。

「ああ、だめだ…まともに動けないや。はは、結構強く使っちゃったからかなあ」

「んもう、琉嬉姉は…ま、軽いからいいけどさ」

 紫音が琉嬉をお姫様抱っこして家の外へ向かう。




「なんにせよ未解決事件が解決って事になるのかね…残念な結果ではあるけど…ご協力ありがとさん」

 警察も到着し、一気に騒然とした状況になった。

琉嬉達は邪魔にならないような場所へ移動していた。

第一発見者として少々面倒な物事となったが。

そこはまどかがうまく中心となって話をしている。

さすがは生徒会長になる器。

ほわほわした喋りでも話術がよく出来てる。

一方、赤坂は病院へ担ぎ込まれた。

友人の三笠も付き添いで病院へと向かった。

麗未亞はひとまずこちらに残った。

「………沢村刑事」

「あーそうだ、俺ってばさ、今度警部に昇進出来るかもしれないんだぜ。ああこれはまあいいか。で、なんだい?」

「今後こういった事件が全国的に…もしかしたら世界に出てくるかもしれないよ」

「……はて、なぜにそんな話が?」

「厄介なんだけどさ…あんまり大きな声では言えないけど、これ見覚えない?」

「ん?」

 琉嬉の手に乗っている巻物のような物。

大きさは一般的にイメージする巻物の大きさではなく、手帳サイズで横に長い紙。

そこには琉嬉には理解できない、どこかの宗派のお経のような文字列。

びっしりと漢字が書かれている。

「気味の悪い物持ってるなあ…これが今回の事件の真犯人って訳かい?」

「そうとも言えますね。こいつから妖怪が姿を現した…んでしょうね。井沢の生命力を犠牲にして」

「…ふぅむ。それはヤバヤバな代物か…」

「鑑識に回します?」

「回したって…ただの掛け軸みたいなもんに扱われるんじゃねえかな?」

「ですよねー」

 

 琉嬉が推測するには、この巻物に妖怪が封じられていた。

それが井沢が作り出した陣の中に入り、封印を解き、自らの生命エネルギーを引換えに、

赤坂を殺しにかかった…のではないかと。

「そんな話しても警察は信じるわけないだろうしなあって思って」

「だから、俺がいるんだけどな。唯一信じる者として、だけど」

「ふふ、あんがと、沢村警部」

「まだ警部じゃない、警部補、だぜ」

 そこは細かい。

「僕らは解放されます?」

「まあ、もうちょっとしたらな。発見者だし…しかも目立った外傷ないから変死…扱いだろうな」

 変死。

これといった外傷もなく、争った様子もない。

琉嬉達はただ発見しただけ。

おおよその死因は、琉嬉らは分かるとも言えるが、実際に見ていないので結局は不明のままだ。

「ほかの人の身元は分かった感じですか?」

「中年の男女は両親で間違いなさそうだ。もう一人の男はまったく無関係だな。もしかしたら空き巣狙いの男かもしれないな。

だとしたら運悪く巻き込まれたって事か?ハハハ」

「…笑い事ではないと思うけど」

「でも今回も大変そうだったな。その掛け軸は持って行けよ。

見なかった事してやる。その代わり、正体突き止めてくれよ」

「…イケナイ警部補ですね、相変わらず」

「お互いさまだ」

 ニヤリ、と笑顔を見せつつも険しい表情に切り替えて沢村は現場へ戻って行った。



 事件の加害者側が死んでしまった以上、真実の確認は出来ない状態となってしまった。

「悠飛、どう思う?」

「隆治の時と同じ…それも最悪の展開の」

「ふむ…」

「僕の時と同じ…」

 思いつめる隆治。

以前似たような霊具で通常ではあり得ない力を一時的に身に着けていた。

「隆治の時と同じ…だけど違うのは伊沢本人が持てる力を超え過ぎていたんだ、あの術法は」

「と、言いますと?」

 琉嬉は淡々と説明に入る。


 隆治の場合は使用する本人の一定の霊力を超えすぎないために調整されていた軽めの術式であった。

しかしこの伊沢が使用したであろう術式はより強力なもの。

陣を描いてまで妖を使役する高度な術だと言う。

いわゆる契約をしてなんらかの力で赤坂を呼び寄せたのだろう。

「龍翔先輩のように妖怪を使役するための術…とそこまでは同じなんだけど、この巻物は妖怪を封じる事が出来るようなんだ」

「へぇ…」

「それって僕が使った式と同じような?」

「近いようで違う。あれはあくまでも式神ってやつ。これは妖怪を封じるやつ。それの違い」

「…ふむ。よくわからん」

 自信ありげにいう紫音。

「お前は本当にうちの跡取り娘のひとりか!」

 琉嬉チョップが炸裂する。


「んで、封じてたのは力押しの妖怪じゃなくって、呪式タイプだね。

呪い殺す…みたいな?」

「ひぃ…怖いですぅ」

 ぶるぶる震えだす麗未亞。

小さい麗未亞の体の後ろにさらになぜか震えている莉音。

「変な術使われる前に少し本気出したんだけどね」

「だから真霊気を使ったのか…」

 少しでも変な術をかけられたこちらがピンチに陥る。

決して格下の妖怪などにも油断を取ってはならない。

大きな力がなくとも、人間にとっては脅威の術を使うからだ。

それを避けるために一気に片をつけたかったようだ。

もっとも、琉嬉には常に守られている霊具の髪飾りや神気があるので通用はしないのだろうが。

琉嬉以外の人間もいた訳で、そこを配慮をしたのだ。

「それにしても数人の死者が出るレベルの…ってこと?」

「専門家じゃないからなんとも言えないけどさ、契約の種類なのかもね。

生命力を貰う代わりに妖怪のほうの力も倍増するみたいな?」

「へぇぇ…」

「あ、あの、それじゃあ動画に映っていたのは妖怪…とは関係あるんですか?」

「………それはどうだろうねえ…僕には関係ないような気がするよ…」

「……え?」

 みんな目が点になってしまった。


 その場から解散する前。

琉嬉は香那巳に誰も気づかれないように話しかける。

「…これ、いる?」

 謎の巻物。

「いえいえ、それは琉嬉センパイが持っていってくださいな」

「要らないの?」

「ふふ、今回はセンパイに譲りますー」

「…そ。ならいいけど」

 そう言うと琉嬉は巻物を沢村から貰ったレジ袋に入れた。

(今日はええもの見させてもらいましたわー、と)

 香那巳もにっこりと微笑むと、みんなの後ろについて行った。




 後日、赤坂が目を覚まし事件の出来事を覚えている範囲で話してもらった。

麗未亞が聞いた話によると、赤坂と伊沢は仲が元々よろしくなった、らしい。

それがエスカレートしていき、伊沢はかなり憎んでいたようだと。

その伊沢はどこで仕入れたのか、怪しい霊具を使用した…と解釈する。

赤坂はいつしか記憶が途切れ気づいたら病院のベッドだったという。

「昨日は疲れたよ…まったく…死亡事件になるなんてね…」

「おつかれさん。琉嬉ちゃん…大変だったようだね。よしよし」

 護得意の巨大バストうずめ抱きしめを行う。

「うぐぐ、僕まで死んじゃうだろ!」

「あ、ごめん」

「…でもね、僕が思うのにはあの妖怪が赤坂を連れ出したんじゃないかなと。いや、正式には伊沢が連れ出した…のかな」

「どうゆうこと~?」

「なんらかの形で呼び出して、妖怪の力を借りて家に連れ帰った…。

そして、一気に殺そうとした……でも」

「でも?」

「あくまでも推測なんだけど、伊沢本人はそれほど高い霊力を持っていない。

妖怪を使役する力が及ばずに暴走みたいにでもなってあの怪しいエネルギーが家中に散らばったんじゃないかなと」

「そんな事があり得るの…?」

 護には理解出来ない。

そんな力があるのだろうか、と。

「力を持たない者が強すぎる力を使うものではない…人間ってのは反省しない生き物さね」

「…」

 みんな黙り込んでしまう。

「…「生きてる人間の方が怖い」……とは、うまく言ったもんだね。まったくもって…」

 否定は出来ない。

覚悟を決めた人間は何をするか分からないものだ。

人間だけとは言えないが。


「しかしだね、琉嬉先輩。何か分かった事あるのですか?」

 バリボリ煎餅を食べながら聞くみゆ。

なぜか偉そうな態度を取る上司のような。

「なーんも。でも耿助さんが調べてるから…いずれ尻尾は掴むさ」

「ほうほう…」

「お前、大した興味ないだろ?」

「そんなコトないって~あははははー。

(まあうちのおとっちゃんが汚らわしく思ってるらしいんだけどねーその霊具…とは言えないな)」



 琉嬉にはすぐ警察、つまり沢村から連絡が入った。

死亡していた人物は伊沢には間違いないようだ。

あと無関係のような男は空き巣を繰り返していた者のようだと。

たまたま鍵が開いてた家に侵入したら巻き込まれたようだ。

これこそ自業自得である。

身元は完全に分かったようだ。

この事件はニュースでも少し取り上げられていたのを琉嬉らはテレビで確認した。

しかし死に方が怪死なのでどうしようもないらしい。

赤坂が拉致されてたのも触れていない。

どうやら証明できるものがなく沢村がある程度の裏工作をしたらしい。


 結果的には赤坂は助かった。

しかし、赤坂を憎んでいた人物の伊沢は死亡。

皮肉にもその親も巻き込んだ始末。ついでに偶然空き巣に入った男も死亡。

後味が悪い結果となったのもたしかである。


 赤坂はかなり衰弱があったものの、数日間の入院が必要とされたらしい。

「でもまあ、麗未亞の友達が助かって良かったね」

「友達の友達ですけどぅ…」

「あ、そうだっけ?まあいいや。でも他人事じゃないんだよなあ」

 隆治の件もそうだ。

悠飛達が実際に似た事件を追っていた。

「…今後あんなのが起きるとなると沢村刑事も大変だね」

「そうですねえ」

「のわっまどか、いたのか」

「今来ました」

 と、にこやかに言う。

「あれはびっくりしましたね。力持たぬ者が力を手にしてしまう…。

それゆえに引き起こす暴走の果て……恐ろしい事です」

「…そだね」

 近くにあった椅子に座るまどか。

鞄から何か取り出す。

机にやさしく置いたファイル。

そのファイルを開いていく。

「何それ?」

「資料です。今回の」

「わざわざまとめたの?」

「ええ、似た形式に術を…」

 内容は伊沢宅で見つけた巻物のようなものの画像が出ているコピーした紙。

それも数枚。

似たような巻物が何種類か出ている。

「似てるねぇ」

「ですよね。これを辿って行けば何か解るかもしれません」

「なるほど…、やっぱ霊術会にいたほうが得な情報得るよね」

「そうですか?フフ」

 琉嬉の家は霊術会には属しておらず、こういった情報網は一歩遅い。

「ふぅむ……ふむふむ。あとでふかしぎ部ように寧音にまとめてもらおうかな。

うんうん………そうね…」

 何か一人で納得する様子。

「まどか、ちょっといい?」

「…?はい?」

 他の人には聞こえないように耳打ちする琉嬉。


「おっけ?」

「おっけーです…けど、またなぜ?」

 琉嬉の魂胆は、一度お寺に来て霊術会と裏の裏の繋がりをつけて欲しい…という事だった。

霊術会に大きな繋がりを持つ名家の宮森家。

その娘であり、実力があるまどかなら裏付けを取れると思い込んだからだ。


 なんだかんだで、いつものようにぐだぐだしながらメンバーが集まってくる。

それぞれ好き勝手な事をしてる中、悠飛があるコトに触れる。

「ねえ、やっぱりこの動画って……不可解だよね」

「何が?」

「だって……伊沢の死亡推定時刻って私らが来た時の前日って事になってるよね?」

「…そうだな」

 そう。

鑑識では死亡推定時刻は琉嬉達がやって来た日の前日だと言う。

「…この動画は事件よりも前の動画でしょ?」

「……そう、ですね…」

 事件が発覚する前より二週間程前の動画。

「死んでもいないのに霊として…この動画に現れた…?って事?」

 悠飛の発言のとおり。

赤坂が拉致られる前。

そして伊沢が死ぬ前に撮られた動画だからだ。

普通は霊は死んだ者の魂を形どった物と解釈される。

だが、この動画は井沢が死ぬ前に撮られた映像である。

「やっぱり…最初言ってた…生霊ってやつ?」

 琉嬉が静かに解説する。

「生霊って言っても定義が広くてね…。あまりにも強い念があると無自覚にその相手や場所などに現れるって言うね。

他にもその相手に悪さしたり、不幸を招くと言うね。

正直、そのメカニズムはよくわかっていない…。

僕らが通常見ている霊自体をよく理解しきってないからね。あ、でも唯子先輩は別だけど」

「なぁによその言い方」

「…唯子先輩は置いといて」

「おい」

 唯子を無視して話を続ける。

「赤坂に様々な霊障は起きてたと思うけど…最終的にどうやって赤坂を連れ込んだのかは分からない。

こんなに意味不明な事件ははじめてだな」

 さすがの琉嬉も完全に把握は無理な事件だったらしい。

「つまり、この動画は霊具とは関係ない?」

「ない」

 キッパリと言い切る。


「まああれだな。霊具関係なくとも、人間やる気になれば霊障を起こせるってこった」

「そ、そうなの…」

 大きな確証は得られなかったが、改めて分かった「普通の人間」の恐ろしさ。

少しでも肝に銘じておこう、麗未亞はそう誓った。




「うっふ。これはこれはおもろい話が聞けた。早速伝えときますかね~」

 うっすらと暗い校舎の端の階段の踊り場。

そこでスマホを操る眼鏡の少女。

香那巳だ。

誰かと連絡を取っているようだ。

「…そそ、その部活メンバーが事件解決したんですー。

なんせ、ウチが目の前にいましたからなぁ。

そら凄かったん、うんうん。あ、そろそろ帰宅しますー。じゃ、また」

 テンション高めで電話終える。

(……こんなもんやな。ほんと、おもろいやっちゃや…この学校。

いや、ふかしぎ部の皆さん……)

 通話し終えると、携帯をスカートのポケットに入れる。

(特に、彼方琉嬉という人間がよく理解出来た、って事やな)

 クルッと勢いよく振り返り、階段を降りていった。




「で、今後の活動はどうなされるんですか?」

「今後?」

 他のメンバーがボチボチ帰っていく中、また琉嬉とまどか二人が部室に残っている。

かくいう二人も変える支度をしている最中だが、まどかから話をかけられる。

「この巻物の謎を追いかけるんですか?」

 結局巻物は琉嬉の手元にある。

厳重に袋詰めされてる…だけ。

と言っても四六時中琉嬉の鞄に入れている。

「追いかける…というかいずれはゴールに辿り着くとは思うんだけどね」

「…あら、根拠はおありで?」

「うーん、女の勘……ってやつ?」

「女の勘ですか~。琉嬉さんからそんな言葉出るなんて思いもしませんでした」

「なんだそれ」

「だって言動が女の子っていうより男の子みたいですもんね。琉嬉さんは」

「……よく言われる」

 怒ると思いきや、素直に納得する。


 いつの間にやら前よりだいぶ仲が良くなった二人。

鞄を背負い、帰宅する準備が万端になる。

「さーて帰りますか」

「そうですね」

 勘でしかないが、なんとなく先が見えてきた感触を掴む。

静かに部室を出ていく二人だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ