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ふかしぎ真霊奇譚  作者: 猫音おる
第七章   ~修学旅行編~
37/92

#37 修学旅行に待ったナシ

 月は替わり、11月。

そろそろ雪が降りそうな寒さがやってくる。

いや、むしろ既に何度か降っている。

まだ根雪にはならないだけで。

琉嬉達が住んでいる地域は雪が積もる地域だ。

海抜からも高く、周りに山が多い。

ようするに山中の街という理由もあるが、元々そういう気候の場所。

年明ける前には雪が大抵積もっている。

今年もそろそろ真っ白な季節がそこまでやってくる。

そんな、寒い季節に入る頃、鞍光高校の二年生は修学旅行がやってくる。


 琉嬉は支度を整えて学校へ行く。

ちゃんと携帯ゲーム機も備えて。

「しばらく琉嬉がいないのかぁ。寂しいのう」

「来週には帰ってくるって」

「お父さん心配だなぁ」

「導よ…お主、普段夜帰ってこない娘を心配しないのにな」

 鋭いツッコミを入れる銀杏。

たしかによく夜帰ってこないし、怪奇事件などに首を突っ込んでいる。

それがどうだ。

今回の修学旅行に対して心配になっている。

「お父さん、大丈夫だから」

「…だって、修学旅行といや、運命の告白とかあるだろ?琉嬉ちゃんが告白とかされたり…?」

「ないない」

 琉嬉は力強く手を振り、否定する。

そもそもこんな凶暴で有名なロリ娘に付き合おうとする普通一般の男子はそういない。

仲の良い男子だって部活の龍翔や御琴、そして同じクラスメイトの眞太朗くらいだ。

「安心すると良い。導」

 ぽんっと導の腰元をたたく來魅。

「だといいけどね~」

(退魔師の家系のくせに、ここまでのバカ親も珍しいのじゃ…)

 銀杏はその様子を見て呆れていた。




「おっはようござりまーす!るっき先輩!」

「……みゆか。相変わらず元気あるな」

「んー、今日も可愛らしいですね~。イヤーマフが似合ってますよ~。

小さな体に大きなバッグ。…可愛らしいです」

「うっせい」

「今日から修学旅行ですよね!お土産待ってますよ~」

 高いテンションのまま学校の中へ消えていくみゆ。

言いたい事だけ言って去っていく。

自分勝手というか、独特のマイペース過ぎてツッコミすら入れれなかった。

琉嬉は少しの間だけぽかんとしてたが、いつもの事だと割り切って玄関へ向かう。

その玄関では寧音と偶然会う。

「やっほ。寧音」

「あ、琉嬉さん。おはようございます」

 相変わらずキラキラ輝くような髪色。

例に漏れず大きな鞄。

「…今日も生徒会忙しいの?」

「そうですね。修学旅行でも風紀係は大変ですよ」

 笑顔で返事。

「……僕には生徒会なんて無理な話だなー。ふあー」

 そして小さな口を大きく開いてあくびする。




「よーし、揃ったなぁ。旅行って言ってもな、行事の一環だ。羽目をはずさないように。わかったな?」

 ギラっと睨む桜川先生。眼光がいつになく鋭い。

とはいえ、この日ばかりは生徒達はテンションは高かった。

琉嬉も顔には出さないが内心、楽しみにしていた。


 講堂に集まり、二年生代表として生徒会長でもあるまどかが一通り修学旅行に対しての抱負みたいなのを言っている。

必殺のふわふわしゃべりで生徒達や教師達を眠気に誘う。

そんな始まりだった。



 行き先は関東と関西方面。

5泊6日の限られた日数で回る。

関東にはそのうち二日間。

そして関西方面へ残りの日数を全うする。

一番のお目当てはやはり京都方面だろう。

日本でも歴史がある都市である。


 そして、昔から妖怪達が栄えてた事もあるという、伝説がある。

付喪神など、逸話が沢山残ってる…かもしれない。

そんな地だ。

京都と言えば、叉羅沙の出身地である。

詳しい話は聞いてないが自分の住んでいた地に修学旅行で行くというのはどういう気分なんだろうか?

叉羅沙とは会ってないが自由行動の時にでもおそらく共に行動するだろう。

そんな気がしている琉嬉。

それぞれ、琉嬉達二年生はいろんな思惑で飛行機に乗り、まずは関東方面へ出発していた。




「いやぁー、琉嬉先輩達がいないと寂しいねぇ」

 授業の合間の僅かな時間帯。

みゆ達は少し寂しそうだった…。

ように、見えた。

「まだ、一時限目終わったばっかりなのに何言ってるのさ」

 御琴が冷静に言う。

まだ出発してから一時間しか経ってない。

というか、昼休みにすらまだ遠い。

毎日のように昼休みにはふかしぎ部のメンバー達が顔あわせて昼食取ったりしている。

いずれ寂しさは分かるだろうが。

琉嬉をはじめ、二年生も強烈な個性が多い人達だ。

護や、叉羅沙。まどかや寧音、龍翔といった生徒会。

そして凛夢。

見た目にも性格的にも強烈なメンバー達だ。

「……たしかに、寂しいですね。学校全体でも目立つ人達ですし」

「おおぅ、いつのまに!?」

 みゆが飛び跳ねて驚く。

柚羽がいつの間にか居たのだ。

「ふふ、ごめんなさい。彼方先輩達がいない間…何か起きたりしたら…って、考えません?」

「うーむ。たしかに。がしゃどくろの一件は終わったとはいえ、まだまだ強い霊磁場。大丈夫かね~」

 がしゃどくろがいなくなってもちょくちょく出現する霊体。

まだ、何か残ってるのだろうか?

そう思わせる状況がまだ続いているのだ。

まだまだ、把握しきれてない事が残ってる気がする、この地域。

ふかしぎ部が結成して、まだそのまま残ってるのもそれに対処するため。

改めて、詳しく調査する必要性があるのかもしれない。

なんだかんだで柚羽はみんなと仲が良くなった。

自分から顔を出すようになっていた。

結局はどんな性格でも(凛夢みたいな性格破綻者も)受け入れる許容範囲の大きさ。

いろんな変わり者が集まってるならではのバランスなんだろう。

「会長もいないとなるとしばらく生徒会室寂しいでしょうねぇ…」

 しみじみと語る柚羽。

窓の景色を遠く見つめる。


「ぷっふぇ。なんだ。風邪か…?」

 可愛らしいくしゃみをする龍翔。

その姿を見た遊希が思わず姿を現す。

「…最近めっきり冷えてきましたからね。大丈夫ですか?龍翔様」

「ああ……」

「……そう…ですか」

 少し不満そうな遊希。

「でも関東はウチらがいる鞍光よりは数段あったかいで」

 近くの座席だった叉羅沙。

元々京都に居たので気候の違いは大いに感じている。

「暖かいといいんだがな」

「ま、もう冬やし、どっちにしろあったかい事はないやろな~」




「着いたー!!イッツア東京ー!!」

 飛行機だと一瞬だ。

一瞬と言っても他の乗り物に比べれば早いだけで、それでも1時間半くらいはフライトしていた。

学校から出発してまだ3時間程度。

時刻は昼12時程度だ。

こんな早く着くのもいい時代になったものだ。

「人が多いー!!」

 まさに田舎者の発言。

それだけ刺激的なのだろう。

「……久し振り…」

「お?凛夢ちゃんはやっぱりお嬢様だから東京は何度も来てるの?」

「…ま、まあ…」

 しょっちゅう来てる訳でもないが、以前家の仕事柄、何度も訪れている。

今更珍しい事でもないが、半分観光目的で来た事はない。

それに11月ともなれば湿気がある暑さもない。

そんな気候の東京は初めてでもある。


 そして、琉嬉は楽しみにしてた事があった。

そう。

入手しにくいゲームがこの東京では手に入る確率が高い。

楽しみにしていた理由のひとつでもあった。

「…ねえ、琉嬉。いつになく楽しそうじゃない?」

「……そ、そう?」

 一見するとそうは見えない。

だが、まだ短い付き合いなのにも関わらず凛夢には分かる。

妙な鋭さがある。

「……ホラ、先生が呼んでるよ」

「お、おう」


 まずは、団体行動。

先にホテルでの昼食を取り、その後クラス単位で東京中を回る予定。

授業の一環でもあるため、いろいろ団体で見て回る。

それはそれで楽しいものだ。

一日目はそういう手順のようだ。

二日目は個人で自由行動となる。

琉嬉は翌日の自由行動を狙う。

その日はそのまま時間が過ぎ、とあるホテルに泊まる。



「いやー、一日目、あっという間だねー」

「だねー」

 琉嬉は同じ部屋のみなっちとゆう、他数名と同室。

しばらく同じようなメンツで昼夜共に過ごすのだ。

「さすが東京、人多いよねー」

「鞍光とかも人多いと思ったけど東京はさすがだよねー」

(…にぎやかだな…)

 普段無口でおとなしい琉嬉。

目立つことはない。

回りはいろいろ会話が弾んでいる。

恋沙汰の話や友人関係、その他もろもろ……。

自分には関係はいと思い、特に自分からも話の輪に入る事もなく黙々とゲームしていた。

時折、ふかしぎ部のサイトなどをチェックしながら。

しばらくすると携帯電話にメールの着信がある。

内容を確かめると暇そうな來魅のメールだった。

來魅曰く、琉嬉がいないから導の様子が少し変という。

「……本当に…ITに獲り憑かれた妖怪だな……」


 広間でくつろいでいる女子生徒一人。

長い髪の毛を三つ編みにしたおさげ姿。

まどかである。

なぜか一人でいる事が多い会長。

いまだに謎めいた部分が多い。

缶ジュース片手に何かの書物らしきものを読んでいる。

(飲んでる物は……炭酸かぁ…。相変わらずすっきやなあ…)

 ここに来ても勉学に励む…ような優等生ぶり。

の、ように見えるだけかもしれない。

よく見るとその書物は何やら怪しい妖怪など記された本だった。

「こんな時にも勉強かえ?かーいちょうはん」

「あら、叉羅沙さん」

「何見てるのかと思えば…なんなん?その本?妖怪?」

 突然声をかけてきたのは叉羅沙。

背が高いので見上げるのにも少し大変。

「いえ、京都に行くのでしたら、予習でもしとこうかなって」

「…ま、たしかに京都には妖怪多いのもたしかやけどもな」

「何かあるかもしれませんよ?」

「何かあるって…不安になるような事言わんといてな」

「そうですねぇ…」


 そしてまどかは一旦間をあけ、こう切り出す。

「一応、生まれ故郷でしょう?特に、叉羅沙さんにとって何かあるかも……しれませんよ?」

 普段何考えてるか分からない、叉羅沙の細い目が、一瞬大きくなる。

「…フフ、えげつない事言うんやな」

 そのまま、まどかはニコニコしている。

叉羅沙以上に、肝の座った笑顔だ。

「かと言うて、ウチは京都に居た頃なんて10年以上前だし。ほとんど記憶ないしな。妙な訛りがついたまんまになっちゃた」

「改めて自分の生まれた場所を見つめ直すのもいいんじゃないですか?」

「なるほどねぇ。それもええかもな」

「フフフ」

「うふふ」

「フフフフフフ」

 二人して不気味な笑いをする。


 その夜、近くの部屋で不気味にこだまする女の笑い声がすると噂になったという。




 翌日、二日目となる朝。

天気は残念ながら、曇り空。

毎回毎回、旅行でいい天気になるとは限らない。

今までが運が良すぎたのだ。

「少しどんよりだね~」

「仕方ないね」

 少々、みんなのテンションが下がる中琉嬉だけはテンションが高かった。

というか、そうは見えないが内心ウキウキ気分だった。

「さて、僕は行くべき所があるので失敬するよ」

「え?」

 有無言わさずに琉嬉はさっさと目的地へと足を運んでいった。

「何あんなに急いでるの?」

「ど~~しても欲しいのがあるんだってさ」

 事情を知っている護。

だが、あえてそれを他人には知らせない。

「芹澤さん!何か知ってるの?」

「なーんとなくね」

「そうなの…?」

 だが、ここにもう一人事情を薄々知っている人物が。

眞太朗である。

「ま、いいんじゃねーの?」

 ぶっきらぼうに言う。


 そんなやり取りを遠めで見ている凛夢。

凛夢も密かな野望があった。

琉嬉と似たような事が。

そう、凛夢は地方では敵なしの格闘ゲームチャンピオンレベル。

ここ、日本の中心でその腕を確かめたい気持ちがあった。

チャンスだと思いみんなに気がつかれるコトなく琉嬉と同じように姿を消す。


「やあ、芹澤さん」

「んお?会長にさらさら」

「……「さ」が一個多いどす」

「あはは、ごめんごめん。で、二人はどうしてここに?」

「金髪で目立つ橙色の制服着たスタイルのいい、可愛い女子高生がいると声かけたくなりますよ」

「お、おお…そう?てか、すげえ長い説明口調だな」

 何か、ちょっと鼻につくようなまどかの長たらしい言葉。

護はまどかという人間の本性が少し垣間見えたように思えた。

「まー、護はん人気あるから他の生徒達と一緒に行動してるんかなぁと思って」

「あははー。そんな事ないよ~。私はこう見えても一匹狼として生きてきたから」

 護の発言に顔を見合す二人。

(どう思う?まどか)

(一匹狼なんて…どうも嘘くさいですね)

 普段からの言動では一匹狼な護は想像できない。

それに一年間はそもそも休学状態で学校にいなかった訳だ。

そう思いながら結局は3人共に行動する事になる。

「ああ、そういえば、芹澤さん。修学旅行って二回目とか?」

「……え?」

「いや、留年してるという話なので、去年も行ったのかなぁと」

 突拍子もない事聞き出すまどか。

「ぷ、あははは!そんなわきゃないでしょー」

 笑いながらも質問に対して答える。

「去年は一年間丸ごと学校行ってないからね。修学旅行なんて尚更」

「なるほど…」

(……時々まどかはアホな事聞くんやなあ…)

 どっちにしろ学校に入学した時から有名だった護。

二年生をやり直している事は大概知られているようである。

やり直すというより休学してたので単位関係での留年ではないが。

とは言え、二人は護とも当初は接触なかったのでどういう人物かは噂程度しかなかった。

こうして仲良くなったのは琉嬉の作ったふかしぎ部の繋がりだからだ。

「ま、修学旅行の費用もバカにならないし。どこかの柔道部だった番長みたいに二回も行く訳ないですよね」

「う、うん?そうだよ」

(…また意味不明な事言う…。誰やねん柔道部の番長って)

 叉羅沙はすっかりまどかのツッコミ役となっていた。



 一方、その頃の琉嬉は…。

東京で一番のレトロゲーム店へやってきていた。

店の名前は「超電脳店FCA」。

「こ、ここが、かの有名な…」

 自分の財布の中身を確認し、中へ入っていく。

入るや否や、見覚えのあるゲームソフトや見た事ない物など。

普段クールな目つきの琉嬉の瞳が輝きだす。

店内にいる従業員や客はちょっと変わった小学生くらいの女の子が来たとしか思えない。

「ふふふ……こういう日のために、貯めたお金があるんだ…」

 そう言いながら数枚の万札を取り出す。

どこか、使い道がズレてるような気もしないが、琉嬉が持つ趣味。

ゆっくり、じっくり見て回る。

「これは……おう…高い…」

 あれやこれやとゲームを手に取る。

昔のゲームを中心に。

「ぐ…しかし…」

 少々、時間がかかりそうである。

そうして悩んでる間に琉嬉のスマホが震えだす。

連絡アプリが反応していた。

見てみると寧音からの連絡だった。

その着信に出る。

「あいよー。どうしたの?」

『琉嬉さん!どこ行ったんですか?!天下の秋葉ですか?!私も今向かってます!』

「…声デカい。」

『あ、すみません…。あの、私も同行したいです…』

「………寧音はそういえば…そうだったね…」

 あまり人に知られてない…と本人は思ってるようだが、寧音は大のゲームアニメ好きである。

琉嬉との共通点がゲーム。

そしてなぜかベタ惚れしている。

なのでどうしても一緒に行動したいようだった。

「待ってるから…早めに来てよ」

『ハイッ!!』

 片耳を塞ぐ琉嬉。

辛そうな顔をする。

「…どうしてお前はそう極端なんだ?」



 そしてさらに一方、その頃の凛夢…。

「な、俺が負けただと…?!」

「うあー、大会王者のリキ(大会ネーム)さんが負けたぞ!」

「………」

 大会王者という人物に勝ってしまった凛夢。

無言のままプレイを続けている。

しかし内心は……

(フフフ…バカめ。ギリギリとはいえ、私の方が強いだろ!

東京といえどもこんなものか…)

 などと、思い上がった事を心の中で思っていた。

そして次から次へと挑戦者が現る。

抜けに抜け出せない状態になるが、そのまま勝ち続ける。

挑戦者が途絶えない理由は他にもあった。

「なあ、あの制服の女の子可愛くねぇ?」

「いいねぇ」

そう、制服姿の女子生徒だからだ。

(……なんだ、なんなんだコイツら…)

 地元ゲーセンでは見られない現象。

人が多いためかどんどん乱入される。

(………これは、困った)



「さて、いい買い物したし、みんなと合流するかな」

 琉嬉は満足げにした表情を浮かべ、急遽待ち合わせ場所にした所へ向かう。

途中合流した寧音も満足そうにしている。

「楽しかったですね」

「そうだねー。ただただ圧倒される部分あったけどね…」

 少し疲れが顔に出ている。

しばし、歩いている途中に、ふと近くのゲームセンターが目に入る。

「……まさか、な」

 何かが気になり、思わず中に入る。

奥のビデオゲームコーナーがやけに盛り上がっている。

なんとか盛り上がりの中心まで進む。

「……な、何やってんだ……?アイツ」

 そう、盛り上がりの中心は凛夢。

妙な縁というか、ゲーマーとしての惹かれあいなのか、琉嬉は凛夢の所へと偶然たどり着く。

「おお!すげー!これで45連勝!」

「オオー!!」

「……修学旅行に来て、ゲーセンで盛り上がるなんて…。僕以上にゲーム好きみたいじゃん」

「凛夢さんってゲーム好きだったんですか?」

「…さぁ?」

 二人ともぽかんとする。

異様な光景。

そして凛夢とは思えない佇まいを見せる凛夢。

こうして、しばらく見守る琉嬉だったのだった。




「随分時間かかってたけど何してたの?」

「いや~、ちょっとしたイベントにね」

「ふぅん…」

 疑いの目をかける。

と言っても、理由は知っているのだが。

「……あはは、あははは…」

 苦笑いするしかない凛夢。

琉嬉も凛夢の事を思ってか、真実は言わない。

結局70連勝くらいしてしまい、適当に負け、その場を離れた。

それほど腕がある凛夢。

琉嬉も以前勝負したが勝つ事はできなかった。

さすがにそれだけは認めざるを得ない。

さらにみなっち達のグループと合流する。

なぜか違うクラスの寧音と共に。

その寧音は琉嬉の隣に常にいる。

「…なんで風紀係委員長が一緒にいるのかしら…?」

 凛夢は腕を組みながら質問する。

「え?私達は前から仲良しでしたよ。ね?」

「…少なくとも凛夢が転校してくる前からね」

「……はぁ?」

「んじゃ、しゅっぱーつ」

 みなっちの掛け声と共に琉嬉達グループはさらに東京観光となる。


「おー、東京タワー」

 東京の名所のひとつとも言える東京タワー。

「自立式の鉄塔だと高さは世界一なんだよ」

 クラスメイトの嶋元がブツクサ説明しだす。

「へぇー…」

「じりつしきって何?」

 皆はよく解かっていない。

だがなんとなく凄いというのは世界一という言葉で凄いというのは理解出来る。

琉嬉もぽけーっと口を半開きしながら見上げる。

その可愛らしくもちょっと子供っぽい表情を携帯で画像を取る寧音。

(うふふふ…可愛いですねー…琉嬉さん)

「こっちじゃなくて新しく出来た東京スカイツリーっての方が600m以上あって…」

「へぇー…」

 いまいち乗れない面々。

興味がそんなに沸かないらしい。

「ま、まあ…そんな事だろうと思ったよ」

 がっかりする嶋元。

その嶋元の肩に手をポンっと置く眞太朗。

目を瞑りながら首を振る。

「そんなもんだって。こいつらは」



 そしてあっという間に関東方面の観光は終わった。

この日は同じホテルに泊まり翌日、関西方面へ移動となる。

琉嬉と寧音はかなり満足げ。

凛夢は逆になんだか疲れた様子だった。

寧音と別れて、一旦ホテルの部屋に戻る。

二時間ほど、ゲームセンターから離れられなかったのだ。

フラフラ外に出て行く凛夢。

それを見かけた琉嬉は凛夢の後を追う。

なんでか分からないが、こう、放っておく訳にはいかないような、そんな感じだった。


「なーに?人形小娘」

「おっと、バレてた?」

「………アンタ、なめてんの?私を」

「…少し」

 その瞬間無言で髪を掴み合いのケンカをしていた。



「はぁはぁ…なんでここまで来てケンカしなきゃいけねーんだ」

「ほんとだよ…」

 トコトン気が合う二人。

もちろん違う意味でだが。

「………ねえ、なんでウチの学校に来たの?」

「……別に、特に深い理由はないわよ」

「…そうなの?」

「叔父夫婦が鞍光高校の近くに住んでて、今度そこに暮らすから、ただの偶然」

「…本当に?みゆもいるからとかもあるんでしょ?」

「…うるせー」

 凛夢の言葉の真意は不明だが、実家から出て暮らしたい理由があるのだろう。

琉嬉はそういう目で凛夢を見ていた。

「……そろそろ帰らないと怒られる」

「はぁ…仕方ないな」

 戻ろうとする二人。

そんな時にも見たくないモノを見てしまった。

目の前に現れる「影」。

「……みた?」

「ああ。見た」

 僅かに感じる妖気。

霊的物質じゃなくて、妖怪物の類。

「厄介ごとになる前に始末する?」

「こっちはこっちでも祓い屋とか霊術師いるんでしょ?」

 問いかける凛夢。

「割合は鞍光市よりは少ないらしいよ」

「…はぁー?どういう事?」

「人口に対して、能力者の人数との相対比率」

「……そうなの?」

「それはそうと…やる?」

 琉嬉が凛夢にそっと耳打ちするように聞く。

凛夢は無言のまま、右手を前で出す。

小さく頷いてたのを確認した。

そうするや否や、いつの間にか右手にはいつもの大きな真っ赤な鎌が現れていた。

「やる気満々じゃん…」

 二人は一瞬だけ目を合わせ、その場から物凄いスピードで「影」を追いかけた。


「…なんや?アレ」

 叉羅沙の目についたもの。

窓から細い目をさらに細めながら覗き込む。

複数の小さな影が空中を漂っている。

他の同室の生徒は気づかない。

(……他の生徒らは気づいておらん……)

 叉羅沙にだけは、異様な光景。

(…今のところ、害があるようには見受けられへんけど…)

 そっと携帯電話を取り出し、をする。

まどかあたりだろうか?

ともかく連絡入れるのだった。




「チッ、ちょこまと!」

「影」の動きが早くて中々捕らえづらいようだ。

凛夢は闇雲に攻撃を仕掛ける。

「待て待て、凛夢!敵意あるやつかどうか分からないじゃん!」

「うるさいわね!」

 ブンブン鎌を振り回す凛夢。

どこか機嫌が悪いのか、かなりいきり立ってるように見える。

というのも、いつも同じクラスにいて、親しい琉嬉だけが分かるようなものだが。

「まったく…。僕より気性の荒い女だな…」

 琉嬉自身も気が短く、一旦キレだすと無茶苦茶するのは自分自身で反省するくらい理解している。

だが、琉嬉以上に聞く耳持たずの凛夢。

みゆはこういった性格を見抜いてうまく付き合っていたのだろうか。

琉嬉はそんな事を考えながら凛夢と一緒に走り回る。

「くそ……待ちやがれ!」

「何処まで行くのさ!凛夢!」

 どんどん遠くへ突き進んでいく。

自分もかなり体力的には自身があるつもりだ。

だが、凛夢は疲れる事知らないのかのように走り続ける。

身体能力だけなら叉羅沙や護と同じくらいなのかもしれない。

さすがは、前衛タイプ。

と、なぜか関心しかかってしまう琉嬉。

そんな事考えてる瞬間に、突然「影」の動きが止まる。

「!?」

 そのまま「影」は蠢いたまま、悲鳴のような音を出し掻き消える。

「な、何…?何が起きた?!」

 言葉をも発せられる事も出来ない一瞬だった。

あれほど早く動いていた妖怪の「影」は目の前で急に消えた。

おそらく、倒された…そう解釈していい。

すると、タタンッと足音が聞こえる。

「影」がいた場所よりさらに奥から人影が見える。

「驚いたな……。コイツを追いかけてやってきたのは子供じゃないか。

………それも少女とはな」

「誰だ…!」

 凛夢と琉嬉は一斉に身構える。

「………フフッ、そう、熱くならないでくれ。俺を敵と認識しないでくれ」


 鬱蒼とした建物と建物の狭い通路から出てきたのは20代くらいの若い男だった。

黒に近い渋い青色のジャケットを着込んだ、するどい目つきの青年。

眉間にしわを寄せて、何かと険しい表情をしている。

どうやらこの男がさっきの妖怪を仕留めたようだ。

「……あ、お前は…」

 琉嬉は男の顔を見て何かに気づく。

「………?琉嬉?知ってンの?」

 何も言わないまま頷く琉嬉。

「………誰かと思えば…、彼方…琉嬉…か」

 お互いに知り合いのようだった。

「知り合い…なのか」

「まぁ、そういう事になるね」

「誰?説明してよ」

「俺か…。俺の名は源聖樹(みなもと しょうじゅ)

まあ、祓い人みたいな事をやってる」


 男は源聖樹と名乗った。

神聖そうな名前とは異なった風貌をしている。

一目見れば…近づきがたい印象。

派手目な服装ではある…が、しかめ面で話しかけにくい顔をしている。

琉嬉はどうやら以前会った事のある人物のようだ。

「どういうコト?」

「知り合いも本当にただの知り合い程度だけどね。一度仕事で会った事があるくらい」

「ふーん…」

 チラッと源の方を見る。

いわゆるかっこいいイケメン…とも取れる顔つきだ。

ただ何かと取っ付きにくそうではある。

「…しかし、偶然だね」

 敵意はないと判断したのか、琉嬉は手に取っていた御札をしまう。

「………そうだな。お前こそなんでここにいる?」

「修学旅行で東京に来てただけどね。まあ、その台詞はこっちもだけど」

「フッ。相変わらず生意気だ」

 苦笑する聖樹。

「…なーんかしらけたわね。帰るわよ。琉嬉」

「あ、ちょっと…」

 戻ろうとする二人。

「…琉嬉。元気か?」

 源が琉嬉にらしきなさそうな言葉をかける。

「……元気っちゃあ、元気だけどさ。運良く生きていられてるよ」

「………なるほどな。その様子なら楽しそうだな」

「…どこがさ」

 やれやれポーズで否定する琉嬉。

「ここで会ったのも何かの縁。あまりよくない情報があるんだが…どうだ?」

「…は?」



 二人は結局源の話に付き合う事にした。

源が言う情報とは。

「ここ最近全国の霊磁場が活発になっている。何かの前触れ…のようにな」

「……前触れ…だって?何か知ってるの?」

「詳しくは知らん。だがな、得体の知れない組織が在る事は確実性を増してきたな」

「組織?」

 凛夢は何も知らないような様子だった。

「組織…?もしや…」

 源はニヤリと笑う。

「やはり感づいていたか。さすがだな」

「いや、僕は正直知らない。けど、聖樹と同じような事を言ってたヤツがね…」

「ふむ?俺と同じ話をか?」

「そうだね。まったく違う立場の人間から同じ事を言われるなんて結構確実性ってのあるみたいだね」

「ほほう…」

 源は顎に指を当て、考えるポーズ。

それがまたなぜか似合う。

「ていうか、唐突すぎない!アンタ!突然現れて冷静に真実味もない情報って…」

 割って入る凛夢。

「フッ。突然なのはこっちもそうだがな。まあ、日本中、いや、世界中の術者も忙しくなるかもしれない」

「…??まったく意味がわからねーんだけど」

 口調が崩れ出す凛夢。

イライラ度が上がっている証拠だ。

「……いつもの事だよ。聖樹は自分解釈で勝手に話進めて完結していくヤツなんだ」

「……はあ…。なるほどね…。納得」


 どうやら、源聖樹は自分の世界が強いみたいだ。

クールに振舞っているが、我が強すぎるのか、ちょっと変わっている。

とはいえ、源が言う事も否定は出来ない。

現に、琉嬉達が住む場所も霊磁場が乱れているようだった。

來魅が復活し、がしゃどくろも封印が解ける。

ただの偶然ではない。


 何百年に一度かの、出来事――。

そんな事が予感めいていた。

「意図的にそんな事が出来る奴がいるの?」

「さすがにないとは思うがな」

「偶然が偶然重なりまくってるって事…うーん…」

 琉嬉には頭を抱えたくなるような話だ。

ただでさえ、ここ最近いろんな出来事が多すぎて疲労しぱなっしだ。

「フフ、仕事も片付いたし、面白い者にも会ったしな。今日は満足だ」

「なによそれ…」

 凛夢が小さい声でツッコむ。

「琉嬉。お前達もいずれ避けられない事になると思う。彼方家の人間達のよろしく言っておいてくれ」

「ハイハイ。そうですか」

「あ、あと、琉嬉」

「なに?今度は?」

 少々も妙な間をおいて源はこう言い出す。

「琉嬉。全然変わらないな。ずっと小学生なのか?」

「黙れッッッッ!!」

 その辺にあったゴミ箱や自転車を投げつける。

ゴミ箱が頭に命中しながらも余裕の表情で去って行く。

かなりの強者だ。




「あっはっはっは!!あんたはずっと小学生だったのね!」

 笑い続ける凛夢。

源の発言が相当面白かったらしい。

「いい加減にしろよ…バカ死神」

「ふひー、ふひー……」

 ねじれるくらいの笑い。

「それはそうと……あんたら何してたのさ」

 護が眠そうな顔で琉嬉と凛夢を出迎える。

「こっちはこっちで大変やったんやで…」

 ホテル中が「影」で沢山埋め尽くされるように発生したという。

少し霊感ある生徒もそれに気づき、少し混乱が起きたようだ。

人知れず護達ふかしぎ部が退治してたようだ。

聖樹が始末した妖怪が放った悪霊だと推測する琉嬉。

感じ取る霊気が同じだった。

対処出来る護と叉羅沙、寧音。

そしてまどかが人知れず頑張って祓ったようだが。

「生徒会長としてもここは一言、言っておきます。団体行動で勝手な行動しないでくださいネ」

 ニコニコしながらも黒いオーラが見えたような気がする。

なんというプレッシャー。

さすがの二人も何かわからない凄みに怖気づく。


「…そもそも、お前が外に出るからだろう」

「あんた勝手についてきただけだろ」

まず、担任に桜川先生に怒られ、生徒指導を担当する教師にも怒られ、終いにふかしぎ部の面々にも怒られる始末。

「泣きたい気持ちよ…まったく」

「………」

「聞いてんの?」

 琉嬉の耳を力いっぱい引っ張る凛夢。

「…いたた…痛い……、痛いっての!」

 バコッと、凛夢の頭を思いっきり殴る。

珍しくチョップではなかった。

それほど、強烈に痛かったのだろう。

「て、てめっ!何するんだ!」

 また勃発する。

本当に飽きない二人。

それを見かねたまどかはフウーっとため息をし、

ガツンッ!

と、二人の頭にゲンコツをする。


「いだぁ~…」

「……まどかめ…」

 おとなしくなった二人。

いい加減に二人のやりとりに珍しく我慢できなかったまどか。

ニコニコはしているが、思いがけない一撃に黙る面々。

「場所と、時間帯を考えてくださいね。お二人共」

「……ハイ」

(うっひゃ~、まどかって怒るんだね)

(そりゃ、みんなに聞こえるくらいの大喧嘩なら止めるでしょう?)

(そっか~…)

 そうして頭をさすりながら各部屋に戻っていく琉嬉と凛夢。

なんとかその場はおとなしく済んだ。

二人が本気になるとこのホテル自体が危なくなる。

こんなメンバーをまとめるのも大変だ。

生徒会だけではなく、こうした部分もまとめなければいけない。

表向きのリーダー、まどか。

これからも前途多難かもしれない。



「……」

 無言で部屋に戻ってくる琉嬉。

「あれー?琉嬉ちゃん、どうしたの?」

 ゆうが不思議そうに聞く。

しかし琉嬉は無視するかのように、何も喋らず手を振ってフラフラとベッドへ向かう。

そして、そのまま寝っ転がる。

「どしたんだろ?」

「機嫌は…悪そうだね」

 さすがにあまり深く聞かない。

あの出来事を少なからずも知っているからだ。

琉嬉が暴れた日。

学校中に話題となった。

そうした経緯から、機嫌の悪そうな日の琉嬉には誰も話しかけない。

ヒソヒソするゆう達。

突然バッと琉嬉が起き上がる。

「!!」

 ビクっとする同室の生徒達。

「ど、どうしたの…?」

「ノド乾いた」

「あ、琉嬉ちゃんの買ってきたジュース、冷蔵庫に入ってるよ」

「………うん」

 ペットボトルの蓋を開け、そのまま飲み干す。


「ふぅ…」

 琉嬉はしばらくフリーズしたかのようにしばらく黙り込んだまま動かない。

何かを考え込んでる様子だった。

ともいうのも、偶然会った、源聖樹という人物の言葉。

どういう存在かも分からない組織があるというのだ。

そんな人知れず暗躍出来る組織がある…。

どこか腑に落ちない。

でも、以前初めて会ったある男の話。


 日本霊術会の長、桜月梓葉が似たような事を言っていた。

ある組織が動き出したと。

だがその組織がどんなものなのか見当もつかない。

琉嬉達が住んでいる鞍光にはまだなんの関係もない話のようでもある。


 しかし、解かった事が確実にある。

源聖樹という人物。

凛夢が一生懸命追いかけた敵をいとも簡単に仕留めた。

かなりの能力者に違いない。

琉嬉は面識があるようだ。

(…以前とは強さが段違いだ。あの男……あの時より力をつけたんだ)

 前より強くなったと、琉嬉は気づいている。

せっかくの修学旅行。

ここまで来て源聖樹という人物とその言葉の、不安要素が出てきてしまった事によりこの先がさらに不安が募る。

「大丈夫かね…この旅行」



 少々不安になる琉嬉だったが、凛夢は決してそんな事気にしないでいる様子だった。

さっきも簡単に引き返そうとする態度も、結構あっさりした性格だから。

自分でとことんかき回しといてすぐ身を引く、ちょっと迷惑な部分がある。

自分では気づいてないようだが。

とはいえ、琉嬉達と出会った事で面倒事が今までの生活よりも増えてるのはたしかである。

いちいち気にしてられないとでも言うのだ。

そこが凛夢らしいと言えばらしいが。

凛夢としては降りかかる災難は全て力ずくで払う。

そういう性格だ。

気にしても現状ではどうしようもない事はほとんど無視。

そこが琉嬉とは違う部分だ。


「……何やあったのやろうか??あの二人」

「…ケンカが原因ですかね?」

「さぁ~……。長い付き合いでもないけど、何か隠してるような気もしない事も…」

「見かけによらず鋭いっぽい事言うんですね。叉羅沙さん」

「…別にいいやん」

 なんだかんだで、少しの異変に気づく。

それが仲間ってものなんだろう。


 そうした中、修学旅行二日目は過ぎていった。



 三日目の朝。

鞍光高校二年生達は京都目指して出発する。

天候が良い、快晴だ。

西の方も天気が良いといいが。

期待がさらに高まる。

「叉羅沙さん、おはようございます」

「おはよーさん」

「これから京都ですけど、昔住んでた所に改めて行くのはどんな気持ちです?」

「んー、何度も言うけど、小さい頃にしか住んでいないから、ほとんど記憶ないし。新鮮な気持ちで行きますえ」

「なるほど」

 二人のやりとりを遠くから見てる護。

「あの二人もなんだかんだで仲良いなぁ」

 ちょっとうらやましそうに見る護。

意外に、孤独タイプの護。

というのも、護だけ二年生の中ではクラスが違うのだ。

琉嬉、凛夢は同じクラス。

叉羅沙、まどかも同じクラス。

寧音と龍翔も同じクラス。

護だけ仲間はずれ。

だから、少々絡みづらい。

クラス割りの辛いところだ。



「…次は京都ね」

 ボソボソと喋る凛夢。

隣の座席に座っているのは琉嬉。

京都行きの列車に乗り込んだ矢先、偶然隣同士の席だった。

誰かに仕込まれた感が強いが。

「京都か……。ちょっと楽しみだな」

 少し笑顔。

「へぇ。アンタがそういうなんてめーずらしっ」

「…いいじゃん。行った事ないんだから」

「ヘイヘイ。十分に楽しむといいわね」

「なんだよ…」

 自分から話しかけて来る凛夢。

堅物なイメージあるが、一応仲間としてみてるのだろう。

向かいの席はあまり喋った事のない他のクラスメイト。

少しお互いによそよそしい雰囲気が流れる。

そうしてる間に列車が動き出した。


「あー、そういや二年生以外の他のみんなどうしてるだろうな~」

「さあ。いつもの事やってんじゃないのかしらね?」

「ふむ…」

 他のみんな。

みゆ達、後輩。

そして、悠飛や來魅達。

これで三日目となるが、おとなしくしているのだろうか。

(いやー、おとなしくしてるワケないだろうなぁ…)

 電車の窓の景色を眺める。

あっという間に街から外れて、一気に田園風景。

なんとなく、うちより田舎な風景だなー、などと失礼な事を考えていた。




「來魅、起きろ!起きろと言うとるじゃろ!」

「んー…たいやきー…。うまかったぞぉ…食べてごめん」

「……お主か…たいやき食べたのは…このぉ!」

「だぁーッッ!やめろ!!」

 銀杏が手に妖気込めるのを体を張って止める悠飛。

こっちはこっちで上級妖怪同士の他愛のないケンカがよく起きていた。

それを止める悠飛もクタクタだ。

「まったく…。姉ちゃん……早く帰ってきて…」

 こんな二人に琉嬉はいつも対等(?)に相手していた。

なんだかんだでまとめれる琉嬉の凄さを改めて知る悠飛だった。



そうして、舞台は京都へ。



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