#27 これはまるで前夜祭
「さぁー、うちらの出し物は劇!!残った人間はクレープ屋!!」
「こうなったらやる劇は決めないとね!」
いつのまにやら琉嬉達のクラスの出し物が決まったそうだ。
「劇って……何やるんだ…」
またそこを考えなければいけない。
もうそんなに日数はないし、早急に決めなければいけない。
「じゃあ何をやろうか~」
熱心?に議題が続く。
琉嬉はその横目にぽけーっと窓を見ている。
(小娘の奴、何考えてんだ…?)
凛夢が琉嬉の様子に気づく…というより気になった。
「まーた、何か思いつめてるのか…。ふーっ」
ため息をついて、立ち上がる。
人目など気にせず考え込む。
それが琉嬉の悪い癖でもあり、集中力を生む癖でもある。
クラス会議なんぞそっちのけで自分だけの世界に入っている。
「コラっ」
コツンッと琉嬉の頭を軽く叩く。
琉嬉が見上げると凛夢の顔がある。
「な、なんだ?凛夢か。なんか用?」
「…今はクラスの出し物について話し合ってるんだよ。がしゃなんとかていう妖怪とかは今はいいから。
劇やるんだって。あんたも何か案でも出せば?」
冷たい言い方だが、凛夢なりの、気遣いのようだ。
「……でも、そうも言ってらんないと思うけどね」
「はぁ?何が?」
「あの鳴神っていう子…相当の霊力者だよ」
「……そうね」
にぎやかに会議を進めてるクラス。
しかし琉嬉と凛夢の所だけは妙な沈黙が流れる。
「……まどかとやり合ったとはいえ、そんな実力者が一瞬に…か」
がしゃどくろを封印しようとして大怪我を負った。
まどかからの発言。
「…アンタには珍しく随分警戒してるのね。相当不安な事なの?」
「不安も何も、僕は常に警戒してるよ。どんな小さな相手でもね」
「…あ、そう…」
意外な反応に凛夢は戸惑う。
なんだかんだで、まだ出会ってからそんなに経ってない。
琉嬉の全てが分かるわけがない。
どんな小さな相手でもぬかりはない。
そう言い切ったと言う事は過去に何か失敗でもしたのだろうか。
そんないろんな事を凛夢の頭の中でよぎった。
よくよく考えれば凛夢自身もいろんな失敗を繰り返してきた。
たとえ、低級霊だろうが妖怪だろうが、油断はしない。
その意思の強さをより、強調するように琉嬉は自分にも、仲間にも言い聞かしてるように見える。
「はぁ、なるほどね…。でも今は今の事考えろっ」
今度は琉嬉の柔らかいかわいいほっぺをむにーっと指でつつく。
「な、何するんだ!このバカ死神!!」
「おおぅ!元気あるじゃん!」
突然の琉嬉の叫びにクラス中がざわっとし一瞬で静かになる。
「な、何かありました…?彼方さん」
クラス委員の生徒がおそるおそる琉嬉に問う。
「また何か揉め事か…」
眞太朗は呆れたように見守る。
「みなさん、なんでもありません。なんでもありませんよ~」
表モードでごまかす凛夢。
この表モードで周囲をすぐごまかす便利な技だ(?)。
昼休みになり、いつものメンバーが部室に集まる。
昼休み時には解放して楽しい一時を共有しようという事で琉嬉が開けてるのだ。
みんなが持ち寄った昼食用にお弁当やパンやお菓子など。
みゆが持ってきたのは人より少し多めだ。
「念の送り主は、封印の糧となってる人達のってコト?」
「あれほどの強力な念を送るなんて僕でも出来るかどうかだけどね」
「琉嬉ちゃんはどっちかというと受信する方だよね。突然私らでも気づかないようなヤツでも感づくし」
「ハイエナね」
凛夢のハイエナの一言でまたもや琉嬉と凛夢が激突する。
もはや見飽きた対決をよそに話を続ける護ら。
「じゃあ、その柚羽って子が鍵を握ってる?」
「握ってるのは間違いないけど、あの子は一人でどうにかしようとした。でしょ?叉羅沙」
「…ま、そやな。詳しくは知らんけど」
この場にいるの生徒会メンバーは叉羅沙と寧音のみ。
大体の素性は生徒会が詳しく知ってる…と思われたが叉羅沙はあまり知らないようだ。
顔を見ただけで、嘘は言ってないと信じる琉嬉。
多分、叉羅沙は元からこの地に居た訳ではないので詳しい状況は知らないのだろう。
そもそも、叉羅沙以上に曲者のまどかが話すとも思えない。
「話によると~、元々その妖怪は鳴神さんのご先祖様が封印したらしいですよ」
「なんだか、うちらのとこと同じだね」
そう、來魅を封印した彼方、参堂、夜栄守ら五大家のと同じように、霊術名家達の鳴神家が中心となってがしゃどくろを封じた。
そういう流れなのだろう。
近しい場所に強大な妖怪を二体も封じてた。
この鞍光はどれだけ妖怪に愛されてるのだろう。
そんな事を常々思っていた。
「そうだな…近いうち本人から聞き出そうかね」
琉嬉が食べてるクリームパンを置く。
「本人…ちゅーと、柚羽ちゃん本人かえ?」
「そそ」
短い返事を返すと、ポケットから取り出したのは小さいペットボトルのお茶。
蓋を開けてズズッと飲む琉嬉。
それ以降は何も言わずにスマホを弄りながらパンを食べ続ける。
「……やれやれ、ウチらの部長さんはほんま、マイペースやな」
「そうだよね~」
護も同調する。
「いよぉし!じゃあ、みなさん!我々鞍光高校ふかしぎ部が文化祭を守りましょう!」
マイペースで急に黙り込む琉嬉に変わって突然大声で立ち上がるみゆ。
その発言は勇ましい。
「…な、何言ってるんだ?お前…」
冷静にみゆに一言入れる琉嬉。
他の人間も同じだ。
しかし、違う反応の人間もいる。
「それは良さそうですね~」
「おう!カッコイイな!」
いつの間にか部室に入っていたまどかと龍翔。
会長副会長コンビが認めるような意見を言う。
「部活らしくていいじゃないですか~。ほら、最近あまり活動もなさってないようだし…」
ポンッと手を叩きながら言うまどか。
生徒会長の言う言葉に琉嬉は少し考える。
「まどかの言う通りだな~。こちらから動くってコトしてないしな…」
「面倒だからでしょ?」
「うっさい」
ぽきゃっと護の頭を叩く。
「いたい…」
「はぁー?みゆ、アンタ何バカな事言ってるのよ!」
凛夢がみゆの頭をつかみガクンンガクン揺らしながら抗議する。
「…なんや、凄い流れになってきたどすな…」
「……面白くなってきたんじゃないの?」
にやつきながら腰掛ける龍翔。
昼食を持ってきてたようだ。
立派なお弁当。
「おー、龍翔君、美味しそうなお弁当だねー?誰が作ってくれるの?彼女?」
「ばーか、んなワケねーろ。お手伝いさんが作ってくれるんだよ」
「お、お手伝いさん…?」
普通の家庭にはお手伝いさんなんていない。
いるのはみゆのような大金持ちみたいな家柄の所だ。
「ほへぇ、龍翔君ってもしかして金持ち?」
「…ただの地主だよ。昔からの…な。名家としての名残だろ」
クールに弁当を開く。
どれも美味しそうだ。
無論、みんなは部室で昼食を取ってるのでいろんな食べ物がテーブルに出ている。
「美味しそうーですねー。いいですねー。うーん」
寧音が物欲しそうに龍翔に寄りついてくる。
「…自分のあるだろ?」
「え?そうでしたね。これは失敬」
「……寧音ってこういうヤツなの…?」
耳打ちする護。
「その兆候は出てたけどな…。ふかしぎ部発足してからだんだん本性を現したというか…」
「そ、そうなんだ…」
「まどかは食べないの?」
琉嬉と同じように少量のサンドイッチしか手にしてないまどか。
気になりストレートに聞いてみた。
「…ええ、少し食事制限してて…」
「……つまりダイエット?」
「ハイ…恥ずかしながら…。二年生にあがってから体重が……」
珍しく顔を赤くしながらゆっくり食べるまどか。
「ははーん、まどかもそういうトコロ、あるんだね」
不敵な笑みを浮かべる琉嬉。
「わ、私だってそこらの女子と変わらないんですよ…?」
「ふーん…」
疑いの目をかける琉嬉。
「はは、まどかの弱点やな。すぐお肉がつくらしいで」
「さ、叉羅沙さん…やめてくださいよ。気にしてるんですから」
叉羅沙も便乗してくる。
怒ったような顔をする。
(あ、そのふくれっつら可愛い)
「叉羅沙は沢山食べるからでかくなったの?」
「それはどうかな~。アハハ」
その叉羅沙のお弁当は手作りのしっかりしたもの。
家の事やら自分の事やら何も語らないし、誰も知らない叉羅沙の素性。
もしかして自分で作ってきてるのか…?と聞きたかったのだが、琉嬉は空気を読んでやめた。
「バカバカしいのも程があるぞ!」
なんで怒ってるのか分からない凛夢。
すっかり馴染んだせいもあるか、凛夢もふかしぎ部に顔を出す。
ただ、ちやほやされるのがウザったいのもあるから、何かと話しかけられにくいふかしぎ部に逃げ込んでるようである。
一応、入部して部員とはなってるのだが。
「アンタもそう思わないの?」
「…んー、まあ……そうだね」
珍しく意見が一致する。
でも、琉嬉は別に嫌でもなさそうな雰囲気だ。
「…琉嬉。アンタ、まんざらでもないような感じだね」
「まぁねー。部長だし」
「……そういうノリ嫌いかと思ったけど…球技大会の時とかもそうだったけど別に嫌いじゃなさそうね」
「この学校に転校してからかな」
低いトーンでボソボソッと喋る。
「…なんとなく分かる気がするわ」
「みんなの力合わせないといけないレベルなのかもね…來魅の時みたいに」
來魅復活時はまさにそうだった。
琉嬉だけの力ではどうしようもなかった。
だが結局は琉嬉一人で倒した形にはなったが、自分自身だけの力ではなかった。
耿助の力を借りたからだ。
それと聞き分けのいい來魅だったからこそ。
しかし次はきっとそうはいかない。
十分な準備が必要あるかもしれない…。
まったく面倒な学校…。
琉嬉は改めてそう思う。
自宅にて、突然琉嬉の携帯電話が鳴り始める。
メールの着信ではない。
面倒ながらも琉嬉は携帯を片手に持ち、電話に出る。
「琉嬉姉ー!!聞いたよー!!なんか大変そうなんだって?」
でっかい声がうるさい。
電話の声の主は紫音だ。
まったく、電話でも元気だ。
「ねえねえ!文化祭あるんだよね!あたしらも行くからね~!」
「あーハイハイ、勝手になさい」
「それと、何か心霊的事件のようじゃない?あたしも頑張るよ!」
どこで聞いたのか、文化祭当日に何か起きる…そのような情報。
紫音がなぜか知っている。
「……こういう話の出所って…大体」
「あー、多分みゆさんだろうね」
琉嬉と悠飛は同時にうなずいた。
刻々と迫る文化祭。
あと一週間程となる。
準備も着々と進む。
放課後のみんなでいろいろ作成する毎日。
凛夢は劇のヒロインに選ばれ、その練習に励んでる。
意外にや意外にノリ気でやっている。
そう見えるだけかもしれないが。
「はぁ~。みんな頑張ってるねぇ」
琉嬉達のクラスの教室に覗きに来たみゆ。
帰る準備万端の格好だ。
みゆが来た様子に気づく琉嬉。
「お前、今回の事うちの従姉妹に言っただろ?」
「おおぅ、はてなんのことやら」
そしてお決まりのようにチョップが命中する。
「いったぁー…どんどん威力あがってきてない?」
「知るか」
頭をさすりながら駅方向へ向かう。
「んで、何か用があったのか」
「そうそう、今度明黄麟神社でお祭りあるんだよお祭り」
「……で?」
しばらく沈黙が流れる。
いつも唐突にみゆはこういうイベント話を持ってくる。
また何かの企みなのか?
琉嬉、凛夢、みゆの3ショット。
あらぬ方向へ行かなければいいが。
「いやいや、みんなここんとこ忙しいと思うし、ちょっと息抜きにとかどうかなって」
「いつ?」
「明後日の日曜日~」
忙しいとはいえ、所詮は文化祭の準備。
琉嬉らはまどか達生徒会とは違う一般生徒のため、そこまで大変な訳じゃない。
生徒会は休日も登校してるようであるのだ。
この地域のお祭りも参加してみるのもいいかもしれない。
「……まあ、たしかに。明黄麟神社って…たしか…」
「そう!参堂特別顧問の神社です!」
「…祭りなんてやってたんだ……」
一瞬にこやかな笑顔の耿助を想像する。
「そうそう。みんなで行って楽しもう~」
「…まったく。そういうとこ気が利くんだな」
結局みゆの口車とでも言うのか、それに乗ってしまう二人だった。
祝日でもなく、なんも変哲のない日曜日。
しかしこの日は耿助が宮司を務めている明黄麟神社の縁日だ。
曇っていた天候がいつのまにか晴れていた。
昼間でも良かったのだが、この年最後の花火があるらしい。
どうせなら花火も見たいという話になり、夕方あたりから神社にて集合。
一応、柚羽にも連絡しておいたというみゆ。
あまり積極的に関わろうとしない態度の柚羽。
直接の先輩にあたるまどかからもお願いした。
すると、前向きな返事が来たらしい。
出発する前での彼方家は…。
「似合う似合う~琉嬉ちゃん!」
嶺珠の着せ替え人形のように浴衣姿にされている琉嬉。
同じく來魅も浴衣姿だ。
「悠飛も着ればいいだろう」
「…いや、私は遠慮しとく……」
「えー、なんでー?」
「わ、私が着ても似合わないから…」
卑屈な悠飛。
「夜だと寒くないか…これ」
「大丈夫大丈夫」
そしてカメラを取り出しその姿を撮る導。
「可愛いねー琉嬉ちゃん來魅ちゃん」
「悠飛ちゃんも着たら~?」
「……今度ね」
夫婦そろってバカ親。
「…恥ずかしい親だ…」
少し嫌がる琉嬉とは対照的に楽しんでる來魅。
微笑ましい光景である。
「…やってられん……」
そう言って悠飛は自室に戻って行った。
集合の予定の時間。
既に人が多く出入りしている。
明黄麟神社は、鞍光市の中でも有数の大きな神社のひとつ。
学校からも近く、駅からも近いので行きやすい立地にある。
「おーっす」
早速目立つ金髪が手を振って向かってくる。
いつもの男らしいような服装とは違い、浴衣姿の護。
「叉羅沙と同じようにいい目印だね」
「なんか言った?琉嬉ちゃん?」
「なんでもない」
ようするに、女の子ながらもすごく背が高い叉羅沙にとっては目印になる。
それと同じようにド金髪の護もまた、分かりやすいという意味だ。
「しかし…浴衣なんて持ってたんだね」
「あたしゃそこまで貧乏じゃないぞ」
「これは失礼」
一人暮らししてると言ってたので、琉嬉の中ではなぜか貧乏のイメージがついてた。
神社の境内に入っていくと人が沢山来ている。
明黄麟神社はこの街では大きめの神社だけあって多くの人が溢れている。
それも若い宮司、参堂耿助。
密かに人気があるらしい。
風の噂でそう聞いている。
「おー、神社がこんなににぎやかになるとは。祭りとはいいものだなぁ」
來魅がどんどんテンションが上がっていく。
自分が封印されていた神社の一部なのに。
「オーイ、みんなー」
途中からみゆ、凛夢らと合流する。
二人も浴衣姿。
御琴の姿もある。
しかし普通の私服だ。
「死神女も浴衣なんだ」
「…な、なによ!いいだろ!別に」
「いや、一人暮らしって聞いてたから持ってたんだと思って」
さっきの護と同じ事を言っている。
「あー、これはねー私が着付けしたのでーす」
みゆがわざわざ発注してあげたそうだ。
「あれ、悠飛ちゃんは浴衣じゃないの?」
「…今回はパスです」
「……はぁー、そう~…」
あえて深く聞かないみゆ。
そこはなぜか空気を読むみゆだった。
「ねえ、御琴は浴衣じゃないの?」
「え?着なきゃだめでしたか?僕は持ってませんけど…」
「残念ー。みこっちゃんの浴衣姿見たかったなぁー」
悩ましい目つきで御琴を見るみゆ。
「あ、いや…僕の浴衣姿見たって面白くないでしょ?」
「それはどうかな?フフフ」
「どうせ女用の浴衣でも着せたいと思ってるんだろ?」
「琉嬉先輩、ズバリ正解!」
「正解じゃないよ…みゆちゃん…。僕は男なんだから」
しかし他のみんなは御琴の浴衣姿を想像してみる。
「……似合うかも」
ボソッと琉嬉が呟く。
「たしかに…」
「いや…でも…さすがにバレたりは…しないよね」
「もーっ!みんなして何言ってるんですか!」
御琴の大声が響いた。
後からも他の者達が合流した。
浴衣姿の寧音とまどか、そして龍翔。
「龍翔君も浴衣なんだね」
「キマってるだろ?」
本気なのか冗談なのか分からない言葉。
冗談めいた事でも真顔で言うからいまいち分かりにくい。
そこが龍翔の特徴。
「琉嬉さん!可愛いですー」
「あ、あんがと…」
抱きしめてきた寧音をかわす。
毎度毎度抱きしめられては本当に窒息死してしまいそうなので、ちょっとだけ身の危険を感じる。
「さてと、後は…柚羽だけ?」
「少し遅れるそうです」
まどかがみんなにスマホの画面を見せる。
メールの内容だ。
柚羽から遅れる趣旨の内容。
「ま、人それぞれ用事があるからね。仕方ないよ」
入り口手前。
柚羽を待たずに境内に入って行こうとした。
「あ、あれって叉羅沙?」
一際背の高い女性の姿。
「あらー、ウチが一番最後?」
「いや、違うけど…今日は随分雰囲気が違うね」
琉嬉がいつもと違う叉羅沙に驚く。
普段はふたつのポニーテールだが、今日は髪を下ろしてて、大人っぽい。
「そ、そやろか…?照れるわぁ」
「うんうん。叉羅沙先輩、なんか色気あってやらしいです」
「…へ?」
「アホな事言うなみゆっ」
ぽきゃっと軽く頭をどつく琉嬉。
「みゆちゃん…、ちょっとは自重しようよ」
「あ、あははは、ごめん」
「まぁまぁ、いいじゃないですか。叉羅沙さんは色気あって」
「褒め言葉ちゃうやろそれ…まどか」
「ところでせっかく来たんだし、耿助さんに会いに行く?」
「忙しそうだけどね」
人波をかきわけて、なんとか社隣の建物にたどり着く。
「みなさん、こんにちは。着てくれて嬉しいですよ」
笑顔で対応する耿助。
忙しそうだが、決して笑顔を崩さない。
(おお、相変わらずの爽やかさだ)
みんなが癒される。
「今度の文化祭、遊びに行きますね」
「逆に来てくれるほうが嬉しい気もしますけどね…」
「…はは。例の話は聞いてますよ」
例の話。
つまり、文化祭で何かが起きる。
10月1日の事だ。
「申し訳ないですけど、僕は忙しいのでみなさん、あとでゆっくりお話しましょう。それでは」
「いやいや、ありがと、耿助さん。じゃ、あとで」
現段階ではゆっくり話す事ができず。
18時から20時くらいまで小さなながらもステージでイベントが行われる。
その間にまた、耿助と会う事にした。
「あれ?來魅ちゃんがいないね」
「もしかして迷子?」
「……子供かよ」
「ほう~。ほうほう~。楽しそうだ。おっちゃん。このげーむ遊ばせてくれ!」
「お、お嬢ちゃん!威勢いいね!ホラよ!」
來魅はチョロチョロしながら屋台を見て回っていた。
そこで目をつけたのは射的屋。
昔から続く縁日のお約束な屋台のひとつだ。
早速料金を払い、銃を受け取り狙いを定める。
「狙い撃つぜ!」
しかし、うまく当たらない。
「おお、自分で放つ霊撃とは違って難しいな。このっこのっ」
ブツブツ言いながら射的ゲームを楽しむ。
「あ、莉音!あれ來魅ちゃんじゃない?」
「本当だ…もしかしたら琉嬉お姉ちゃん達もいるのかな?」
険しい表情して射的をしている來魅を発見する琉嬉の従姉妹の双子姉妹。
莉音と紫音だ。
二人が会話からするとどうやら偶然のようだ。
トントン、と紫音が來魅の肩を叩く。
「ん?なんだ。今集中してるんだ。邪魔するな」
振り向こうとしないで射的に集中する。
しかし…、
「らーいみちゃん!あたしらだよ!」
大声を出す。
「ん、しつこいな…、あ、えーっと…………どっちだ?」
「紫音だよ!」
ガクンと項垂れる紫音。
來魅もどっちだか分からない様子だった。
「しかし、人多いね」
こう人多くてははぐれたら大変だ。
ましてや、あの小さい來魅。
ちょこまかとしてて捜しにくいかもしれない。
とは言え、目立つ風貌だから、発見しやすいのかもしれないが。
「結構大掛かりにやるんだね」
「耿助さん、だからいろいろ大変なんだろうね」
てくてくと歩き回る。
「お、お姉さん達可愛いね」
「俺らとちょっと遊んでいかない?」
突如男の声が後ろから聞こえてくる。
3人組のチャラチャラしてそうな男達だ。
まさしく、ナンパというやつだ。
「…はいー?」
「お、これはこれは…レベル高い」
みゆはいつものニコニコした笑顔。
だが、護と凛夢は露骨に嫌な顔している。
「なんか用ですかぁ?」
嫌そうに言う護。
何度も何度も、こういう風に声かけられてるのだろう。
もう飽き飽きしたという表情だ。
「そうつんけんしないで」
そこで、男達は悠飛が視界に入る。
「ん?そこの子は…?男?」
護がいきなり悠飛の腕を組み、
「彼氏同伴でーす」
そして凛夢が琉嬉を手を掴み、
「妹同伴なんです」
「……??!!」
琉嬉が困惑しながらずいっと前に出される。
みゆが御琴の手を取って、
「そうそう、彼氏いるから~」
「後で他の友達の会う予定だから今日はだめでーす」
護の最後の一言。
「あ、ホラ、あっちにもお友達が」
寧音に強引に連れて来られる龍翔。
「なんだなんだ?」
訳が分かってない龍翔。
「ち、なんだよ。男連れかぁ」
「妹までいるなんて。これはあきらめた方がいいな」
そう言いながらあっさり引いてく男達。
「良くわからないけど、男避けに使われたって事か?」
不満そうな龍翔。
「そういうコトです」
寧音が威張るように言う。
気づかれないように、遊希も姿を現してた。
「夜栄守家の者!龍翔様をだしに使うとは…不届き者!」
「まぁまぁ…遊希…落ち着いてくれよ」
「は!いえ、私はただ龍翔様の事を…」
「相変わらずラブラブですな」
「う、うるさい!」
「おーこわ」
琉嬉達に威嚇する。
しかしその顔は照れくさそうな遊希だ。
「おかげで助かったけどね」
護は満足気だ。
「いつもの外国人の真似して追っ払えば良かったのに」
「それは一人の時じゃないと出来ないじゃん」
「それもそうか…、しかし凛夢。僕を妹扱いしただろ」
「…悪い?」
「……悪い」
「まーた喧嘩調になる~。駄目ですよっ。今日は楽しい縁日なんですからっ」
みゆが慌てて仲裁に入る。
「それもそうね」
プイッと顔を背けた凛夢。
琉嬉も負けずに顔を背ける。
「素直じゃないですね。お二人とも」
クスクス笑う他の面々。
「いやいやいや、ここの神社の饅頭はうまいのぅ」
來魅が口に頬張ってるのは明黄麟神社特製饅頭がお気に入りのようだ。
「うまそうに食べてるねぇ~」
「まぁーったお前は人のものまで…」
人一倍食い気のあるみゆ。
來魅の手に持ってる饅頭を横取りしようとしてる。
「コラ、何する!私のだ!」
「いいじゃん、一個くらいぃ~」
「おーっと!この紫音様にも一個よこすのだー!」
「あぁ、コラ!!」
「やれやれ…」
彼方双子姉妹と偶然にも合流した面々。
にぎやかさが増す。
「まさか、琉嬉さんの従姉妹さん達がいるとは…」
「偶然やねぇ」
「はい。よろしくお願いします」
礼儀正しい莉音。
その反面紫音は來魅とみゆとゴチャゴチャ何かやっている。
「あはは、楽しそうだな」
おとなしい莉音がちょっとした異変に気づく。
「あ、あの…悠飛ちゃんの様子おかしいけどどうしたの?」
「ああ、あれ?なんか男扱いされて凹んでるみたいだよ」
「はあ…」
ブツクサ言ってる悠飛。
そんなにショックだったのだろうか。
かなり暗い顔している。
「……そんなに私男みたいかな?そんなに見えるかな?もっと髪伸ばして女らしくした方がいいかな…?」
深刻そうな状態に話をかけづらい。
みんな少し悠飛と距離をとっている。
「こ、これは重症だね…」
「護が彼氏扱いしたのが悪かったのかね」
「あ、あたしはそんなつもりじゃ…」
「後先考えないからだよ」
「う……ごめんね、悠飛くん…」
「そこまで思いつめてたんだねぇ」
プラプラ歩く。
そこでみゆが携帯を取り出す。
「おー、鳴神さん、もう着いたって」
「…マジで?」
「でもこんな大人数の中で捜すのも…」
「合流場所決めたら?」
琉嬉が当たり前のような事を言う。
「なるほど!琉嬉先輩頭いいーっ」
「……お前考えてそうで考えてない時多いよな…」
一通り境内を一周する。
日が暮れてもまだにぎやかさは衰えない。
ステージ上でも何やらイベントが始まる。
大いに盛り上がってきた。
こうした、地域一体となる行事は必要かもしれない。
もしかしたら妖怪も混ざってるかもしれない。
そんな事をなんとなく考えている琉嬉。
「楽しんでます?」
ふと、後ろに居た耿助。
「おわ、耿助さん」
「驚かせちゃいましたか?」
「ところで、耿助さん。なんで今日はお祭りなの?」
「ああ、秋口ですもんね。あんまり他の神社ではないような祭りなんですけどね」
「へぇ~…?」
耿助はこの神社のお祭りの意味を語る。
耿助曰く、元々発端した理由は來魅を封印したという、記念の祀り(まつり)が発端だという。
明黄麟神社に伝わる神の力で封印したという感謝の表れらしい。
その來魅自体の封印は解かれて今現在、こうして生きてこの神社にいる訳だが…。
「なるほど。來魅があってのお祭りなんだ」
「封印が解けてしまった今、來魅さんがここにいるのを見てる神様はどう思ってるか…。
そう考えると複雑ですけどね…」
苦笑いしながら語る耿助。
「良かったな來魅。お前のおかげでここのお祭りがあるんだってさ」
「ほぉ~。それは良かった良かった。って納得していいのか?それ…」
さすがの來魅も複雑だ。
「まぁまぁ、神様も許してくれるってぇ~。お祭りなんだから楽しまなきゃ損々~」
「みゆの言うことも一理ある。楽しもう!」
護までノリだす。
「はぁ~。この連中は…まぁいいか」
呆れ返る凛夢も渋々付き合う。
実は凛夢は流れに任せるようなとこがあり、結局物事に乗ってしまう癖がある。
劇でヒロイン役も引き受けたのもその癖のせいだった。
「あ、いたいた」
琉嬉達を見つけ人波の中やってきたのは柚羽だった。
「柚羽。大丈夫か?」
琉嬉らが驚く。
「少し遅れました。すみません」
「別に、な?」
部員達の顔を見る。
「そうですよ。みんな集まるのもいいですよね」
「ありがとうございます」
柚羽も合流し、ふかしぎ部メンバーが学校以外で集まった。
「さて、どうする?少し落ち着ける所に移動するかい?」
琉嬉の提案にみんな否定する事なく、受け入れる。
「…しかし柚羽って…和風少女だね」
柚羽も例にもれず浴衣姿だった。
その姿は和風美人。
長い黒髪に可愛らしい髪飾りを左耳元に付けている。
「小さくて可愛いよね~」
「そ、そんな…事ないですよ」
照れて顔を真っ赤にする。
「ウチとはえらい反対やな」
「そーう?叉羅沙も美人さんで羨ましいよ」
「おおきにー」
「…しかし随分な大所帯だな」
ゾロゾロついて歩いて行くもんだから目立つ。
近くの河川敷でこれから花火が上がるという事で、河川敷に人も大勢集まっているのが見える。
神社の境内の近くの広場。
そこから少し離れた落ち着いた場所。
そこに集まるふかしぎ部達。
改めて、柚羽は起こり得る事を洗いざらい話す。
10月1日の日に封印が完全に解けるだろう。
その理由は、10月の1日に「がしゃどくろ」を封印したのだから。
どういう経緯か、今の鞍光高校がその封印せし地に建てられた。
これはまったくもっての偶然。
強力な霊力を持つ一族といえども、そういった自治体などの権力に逆らえる事もできず、
学校がそのまま建てられてしまったそうだ。
まどかや耿助が絡んでた事はうまく避けて喋った。
「はぁー。だから面倒な事になったのか」
琉嬉が納得した様子。
他の護などは大した気にもしてなかったのか、それともイマイチ分かってないのか。
そもそも、学校の生徒ではない、悠飛達中学生メンバーも理解が出来てないようだ。
「ねえ、そのがしゃどくろがいるのは学校のどこ?やっぱりあの旧校舎?」
「そうですね…。強力な封印のはずなんで、普段は霊気なんて感じないはずなんですが」
「…日に日に増して旧校舎から何か感じてたんだよね…」
「さすが日本人形小娘」
「…褒めてるのかその言い方」
また、凛夢の言い方にイチャモンつける。
そしてお互いにらみ合う。
毎度の事ながら、ある意味息がピッタリだ。
「だ、大丈夫なんですか?あの二人」
「あーあー、いつもの事だから。気にしちゃストレスで胃に穴があいちゃうかもよ」
「ですね」
クスっと笑顔をみせる。
にぎやかなノリに思わず笑み。
「……お!本気の笑顔だね!鳴神さん!」
みゆが思いがけない事を言う。
「え?そ、そうですか?」
「ま、これで鳴神さんも正式な仲間だね!」
「仲間…ですか」
少しとまどう。
「なんにせよ、琉嬉さん達と会ったのが運いいです。何かと頼りになりますしね」
耿助のお墨付き。
「そうそう!ここで出会ったがなんとかってヤツ!」
護が豪快に柚羽にガシっと肩に手を回す。
「うひゃっ」
腕に痛みが走る。
「ちょ、護さん!力入れすぎ!」
「あわ、ごごごめんよ!」
「まったく…バカなんだから」
「バカって言うなー!バカなのはこっち!」
そう言ってみゆを指差す。
「な、なんだと~、そりゃ成績はよくないけどー」
ゴチャゴチャと人目も気にしないで騒ぎ出す。
護達もいろいろ巻き込んでの騒ぎ。
耿助やまどかはそれを見てニコニコ笑っている。
オロオロする莉音。
クールに様子を見てる悠飛。
寧音や龍翔、御琴らも笑っている。
「アハハ、こんなににぎやかなんですね」
「だろう?私も楽しいぞ」
「あ、あなたは…來魅さん?」
「いかにも。ここの神社に封印されし妖怪だ。最強とか無敵とか言われてたりしとったがな」
「はあ……なぜあなたのような妖怪が?」
「琉嬉に敗北したからかのぅ」
「………噂は聞いてます」
「なら話が早い。コイツらの強さはよく知っている。存分に力を借りるといいぞ。もちろん私も力を貸す」
要点だけを簡潔に柚羽に教える。
戦った者同士だから分かる力量。
來魅が言うのだから間違いない。
そう言いたいのだろう。
琉嬉達を認めてるからこその発言だ。
饅頭を頬張りながら一言だけ最後に言う。
「柚羽とやら。私は私の意志でココにいる。お主もお主自信の考えでいいんだぞ」
「……なるほど。その言葉、深く受け取ります」
「うむ」
当日は文化祭直撃の日。
二日間行われるのだが、その初日だ。
何が起きるか分からない。
予想が出来ない。
柚羽は必ず復活するはずと断言した。
それは、家系が命がけで守ってきた封印の主だからだ。
寧音は風紀係委員長としての権限を大いに利用して警戒に当たるという。
ふかしぎ部も寧音に協力する意向だ。
生徒会もふかしぎ部員として、強めに警戒に当たる。
「お寺の方から力借りれないのかな?」
琉嬉が双子姉妹の方を見ながら言う。
「んー、どうだろうね。琉嬉姉が言えば喜んで力貸してくれると思うけどね」
「そうだなぁ…ここは孫らしくおねだりしよっか」
「そろそろ花火ですよ」
耿助が腕時計を確認する。
「おー、花火かー。夏にお寺の近くで見たな」
來魅が楽しそうにはしゃぐ。
「そうだねー」
神社の中の流れる人々をなんとなく見てる琉嬉が見覚えのある人物を発見してしまう。
「あ、あれ…もしかして緋瑪斗達か」
「ひめと?誰?」
琉嬉が誰かを見つける。
隣に居た護と寧音が不思議そうな顔をする。
「誰ですか?」
「あれ、前言わなかったけ?僕の別の学校の友人」
以前、琉嬉にとある状況で相談してきた狗依緋瑪斗だ。
緋瑪斗以外にも複数の人物と一緒に歩いている。
こちらに向かってくる。
どっちにしろ多分気づくだろう。
だったらこっちから挨拶してやろう、と思い、琉嬉は立ち上がり向かって行く。
「緋瑪斗!」
「わっ?!る、琉嬉さん!」
必要以上に驚く緋瑪斗。
「なに驚いてるの?」
「いや……こんな所で会うとは思ってなかったし…」
「お?誰だ?この小学生の子は?」
背の高い男が琉嬉の事を小学生と言った。
「りゅ、竜…!何言ってるんだよ!琉嬉さんは…」
「いーよいーよ、僕はもう大人なんだし。怒る事はしたくないから」
「…どういう話だ?」
訳が分かってないような様子の背の高い男。
「…あ、もしかして緋瑪斗が言ってた武術の師匠の彼方琉嬉さんって、貴女の事ですか」
眼鏡の男がぽんっと手を叩いて気づいたリアクションをとる。
なかなか鋭い人物のようだ。
「琉嬉さん、お久しぶりです」
「可愛い浴衣ですねー。お人形さんみたいですっ」
女友達の方は以前に会っていて琉嬉も顔見知りだ。
緋瑪斗も女性用浴衣を着ていて可愛らしい。
あと見知らぬ顔の女子が居る。
琉嬉はその子は知らない。
「もう一人知らない人いるけど緋瑪斗のお友達?」
「ああ、そうですね。そうだ、どうせなら紹介しますよ」
「お、おう…」
「月乃と玲華は前会ってますよね。こっちの長い髪の人は華村未弥子さん」
「どうも」
少しツンツンしたような女の子だ。
雰囲気が凛夢っぽい。
「で、こっちのでかいやつが三島竜」
「なんか知らんが、よろしくな!」
「竜、琉嬉さんは俺達の一個上の先輩だぞ」
「え?マジで?嘘っ?!」
驚き方が半端ない顔している。
にぎやか担当なのだろう。
「そしてこっちの眼鏡は山下昇太郎。二人とも俺の友人です」
「お見知り置きを」
丁寧に礼をする。
「そうだな、どうせならこっちのふかしぎ部のメンバーも紹介しとこうかな」
「ふかしぎ部ぅ?」
竜が素っ頓狂な声を上げる。
「こっちは人数多いから簡単に言ってくよ」
とは言っても10人以上もいる大人数なのでそれなりの時間がかかった。
緋瑪斗と双子姉妹とは既に面識がある。
ふかしぎ部の個性的な部員達に緋瑪斗側は凄い驚きようだった。
來魅が妖怪だって事はふせたまま、紹介していた。
それと耿助がこの神社の宮司という紹介するとさらに驚いてた。
ドーンと花火があがる。
綺麗な花火。
決して大きく立派ではないが素敵な夜空の空間だった。
緋瑪斗達とは別れて琉嬉達は残りの時間を楽しんだ。
長いようで短い神社のお祭りは終焉を迎える。
琉嬉達はそれぞれ、解散となる。
とはいえ、結局はこの後も大きな大きな祭りが待ってる。
具体的な対策はその日まで。
柚羽という最大限の関係者が居る。
なんとか、したい。
琉嬉はそう、思っている。
「なんか、前夜祭みたいになったね」
悠飛がポツリと喋る。
「文化祭まであと一週間あるから前夜祭とは言えないけどな」
「でも楽しかったぞ!また来年もあるんだろ?」
「お前ねえ…。お前自身を封印したための祭りなんだから……。まぁ本人が言うんならいいけど」
なんだかんだで楽しんだ。
だが、本当に楽しめるのは一週間後と迫った、「十の月と一の日」。
吉となるか凶となるか。
いや、吉にしなければいけない。
きっとこれを失敗すると、この後はない。
そんな予感がしていた。
「厄介だね。この地域は」
思わず愚痴がこぼれながらも電車の中でまったりと座っている琉嬉と來魅。
來魅に至っては寝てしまってる。
「…危機感ないな…本当に最強妖怪って言われた妖怪なのか…?」
どこまでも子供っぽい來魅に対して疑惑が琉嬉の中だけ生まれる。




