表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふかしぎ真霊奇譚  作者: 猫音おる
第四章   ~真夏怪奇編~
22/92

#22 行き先はどうしても

 どうしていつもこんなのばっかりなのだろうか?

琉嬉はつくづく思った。

今年になってから異常に自分と同じくらいの強さを持つ霊術師や退魔師との出会いが多い。

しまいには今回、水無月凛夢というある琉嬉と常にぶつかり合う性格の女の子が新たに出会った。

そもそも、こういった能力者と出会うのは珍しい事ではないのだが。

同年代くらいの能力者と一気に出会うのは今までにない。

その気苦労が絶えないようで、琉嬉は少し疲れた顔をしている。



 自然と目が覚める。

琉嬉は体を起こし、時計を確認する。

時刻は朝の8時ちょっと前くらい。

同じ部屋に寝ている護や來魅はまだ寝ている。

結局みんな寝たのは日付が変わってからだった。

その琉嬉はというと、昨日はあのまま温泉でのぼせてダウンしたままだった。

そして、なぜか妖怪も湧き出て来た。

ただでさえ大変だったのに。

しかし、この日は体調が良く戻っていた。

気持ちの切り替えのために、すぐ起きて立ち上がる。

すかさず、外に出てみる。


 綺麗な青空に、別荘の庭からも見える綺麗な海辺。

朝なのでまだそんなに暑くはなっていない。

爽やかな風が流れてく来て気持ちがいい。

豊かな自然に囲まれた素晴らしい風景だ。

「んー……気持ちいい~~~。早起きするといいね~」

 ぐぐーっと小さな体を目一杯伸ばす。

すっかり健やかに体調が復活していた。

「昨日は散々だったけど、体も問題なし。霊力も問題なし」

 シュババッとシャドウボクシングみたいにパンチを空に向かってする。

散歩がてら、その辺を歩き回る。

厨房のある辺りからいい匂いがしてくる。

卵焼きのような…よく慣れしたんだ香りだ。

正木さんなのだろうか?料理をしている音が聞こえてくる。

ぐぅ~……。


 琉嬉の腹が鳴った。

「お腹空いたかも…」

 たっぷり寝たうえに、しっかりと空腹になっていた。


 ふと見ると見た事あるような姿が見えた。

近づくと琉嬉が思いっきり見上げる。

叉羅沙だった。

とまあ、琉嬉だったら來魅以外は殆ど見上げるのだが。

「叉羅沙じゃん。何してんの?」

「あら。琉嬉ちゃん、おはよう」

「おはよ」

 相変わらずニコニコだ。

元々細目ではあるが、いつも笑顔で目を開いてないような感じに見える。

「朝早いんだね」

「琉嬉ちゃんこそ。昨日はあんな状態やったけど、大丈夫なん?」

「問題ナシ。以上」

「さすが~」

「でしょ~?」

「うん。さすが琉嬉ちゃんやねぇ」

「………」

「…ん?」

 ニコニコ琉嬉をみつめる叉羅沙。

「お前はあれだな、なんか話しやすいというか、なんかこう、みんなとは違う話しやすさというか…」

「んー?」

「生徒会メンバーの中ではある意味寧音より一番話しかけやすい」

 笑顔を崩さない叉羅沙に対して琉嬉は険しいとも言えるような不思議な表情。

「ねえ、叉羅沙ってさ、頼まれたこと断れないタイプだろ?」

「ん~。どっちかというと、そうかもしれへんな」

「表情変えずに任務を遂行するタイプだ」

「な、なんの話なん?任務って…ウチはどっかのエージェントみたいに…」

 唐突に変な事言い出す琉嬉。

叉羅沙が困った受け応え。

でもどこかしら、組織について動いてそうなイメージがある。

「ま、叉羅沙は強いし、問題ない。うん。カッコイイ美人だし」

「……はぁ。なんの事やらさっぱり…」

 自分の言いたい事だけ言う琉嬉。

あまり近しい接点はない二人。

だが、なんだかんだで琉嬉は叉羅沙に頼み事をする事がある。

どこか信用が生まれていたのだ。

「よし、朝ごはんいただきに行こう」

「そやねぇ。お腹空いたしね~」

 まったりしたヘンテコな会話を終わらせ、朝食とりに別荘に戻る二人だった。


 テーブルの上には先ほどの匂いの通り、卵焼きが大量。

人数を考えると沢山あるのも納得する。

他に白いご飯やパンなど、種類が豊富。

それぞれのニーズに合わせた用意なのだろう。

ざっと見ると席についてるのは悠飛、莉音、……くらいである。

他のメンバーはどうせまだ寝てるのだろう。

「みゆ達は…?」

「まだ起きて来ないよ。3時くらいまでうるさかったもん」

 悠飛が嫌そうに呟く。

よっぽどうるさかったのだろうか。

悠飛は少し不機嫌そうだった。

「あらら……」


「おはようございます」

 シャキッとした声が聞こえる。

寧音だった。

「おはよ、寧音」

 琉嬉が挨拶をする。

「おはようございます、琉嬉さん。私としたことが…寝坊してしまいまして」

「寝坊たって…たいした寝坊になってないけど」

 何事も基本真面目なようだ。

ただ、跳ねた毛先がより激しく跳ねているためボサボサ状態だ。

「ま、席につきなよ。朝ごはん食べよう」

「そうですね」



「お嬢様達はまだ起きてこられないようですね」

 ちょっと心配そうな正木さん。

3時以降に寝たのなるとまだ5時間弱くらい。

それにあれだけはしゃぎ回っていて疲れてるだろう。

そう簡単には起きてこなさそうである。

「みなさん、私達だけでもいただきましょうか…」

 待ちきれないのか、莉音が珍しく促す。

「そうだね。じゃ、いただきます。正木さん」

「どうぞ、お召し上がりください。私は少しお嬢様の様子見てきます」

 そう言うとパタパタみゆの部屋に向かう。


 ちょっとしたら寝ぼけた姿のみゆらがトボトボ歩いて入ってくる。

「おはよお~ぅ」

「……眠たそうだね」

「ういー」

 まるで二日酔いの人間のように、フラフラしている。

來魅なんて護におんぶさせられてくる。

紫音も凛夢も目が開いてない。

「昨日の寝る前とはえらい違うテンションだね」

 琉嬉の言った言葉にも反応せずみんな無言で席につく。

そして静かなまま朝食を取る。

不気味なくらい静か。

「……まるでゾンビだな…、こいつら…」




 昼12時も過ぎ、日中の一番暑い時間。

またもや海でダラダラ過ごす。

護や凛夢、叉羅沙などは相変わらずナンパばっかりされる。

琉嬉や双子らは声はかけられない。

どうみても中学生以下に見られてるだろうからだ。

悠飛は……声かけづらい。

というより女に見られていない。

先日と同じような流れだ。

違うのは凛夢がいる事。

凛夢の水着姿がまぶしい。

護らにおとらずナイスプロポーション。

「ふーん……」

 ジト目で琉嬉が凛夢の事を見てる。

「なーに?人形小娘」

「…別に。死神女」

 妙な緊迫感を出す二人。

「仲良くならないね……あの二人」

「だね~」

 心配そうに見守るみゆと護。

「言いたい事あるんなら言いなさいよ」

 挑発じみた言い方する凛夢。

本当に、喧嘩腰が多い。

この性格も難あり。

「だから別になんでもないよ」

 そう言いながら一人どこかへ行く。

「……フン」

 みゆが無言でお手上げポーズを取る。

「こりゃーどうしようもないね」


「ねえねえ、ここの近くに廃ホテルあるんだってー」

「マジで?夜行ってみる?」

「やだぁ~」

 とある、海水浴に来てる客の会話。

それを偶然聞き及んだ紫音。

そう、紫音が面白そうな話を聞けば…行動を起こす。

「ほほ~う。これはこれは楽しそうな話が……」

 そしてそのままみゆに告げる。

紫音とみゆ。

一番厄介事を持ってくる最強タッグだ。

みゆは廃墟マニア。

勿論、ここの近くの廃墟の存在は知っている。

海辺で怪しく笑っている二人…。

「……どうしたの?あそこの二人は?」

「さあ?」

「……紫音のコトだから、また何か企んでるんですよ…」

 紫音の双子の姉、莉音が察する。




「とゆー事で今日のイベントは廃ホテルへれっつごーの巻~!」

 案の定の発案だった。

みゆと紫音はどこから来るのか分からない自信たっぷりに言う。

しかし他にみんなはしらけた雰囲気だ。

「まーたあほらしい事を…」

 あきれる面々。

これで何度目だろう。

みゆが言い出すイベントはロクな事にならない。

というより、すでに妖怪と交戦してたりする。

「馬鹿か!私は行かねーぞ!」

 おもいっきり拒否の姿勢の凛夢。

思わず本性バージョンでしゃべってしまった。

「はっ!いや、私は……行かない……です…」

「今更隠しても遅いって。凛夢ちゃん」

 哀れみの目で凛夢の肩をぽんっと手を置く護。

あんだけ琉嬉と口論してたらもうここにいる全員にバレている。

「あ、いや………その…」

 なぜか涙目になってその場から逃げ出す凛夢。

「あーりゃりゃ」

 凍りつくような空気になる。

よっぽど恥ずかしかったのだろう。

「しかしみゆの言うイベントもいい加減飽き飽きしてきたよ」

「うっ…」

 イタイとこをつく護の一言。

こうした発言も何回も聞いてきた。

さすがに護はこのメンバーの中でも古株(といっても出会って数ヶ月しか経ってないが)なので

うんざりのようだ。

「んー、そっか~。どうする?紫音たん。みんな乗り気じゃないけど」

「我々だけでも行くとしますか。姉御!」

「おおぅ、そうするか!妹分よ!」

「…いつから親分子分になったんだあいつらは」

 まったくもってアホらしいやり取り。

本気で呆れ返る護達。

「ええのかい?あのまんまで?」

「紫音はああいうのは本気でやりますよ…」

 莉音が心配そうに護達に話す。

「え?いやぁ…私に言われても…」


 琉嬉の姿が見えない。

また一人でどこか行ってるのだろうか?

リーダー格の琉嬉がいない今、同じ格ともとれる護になぜか決断せまられる。

実質ナンバー2みたいな状況だ。

困った事にこういうのには慣れていない。

みゆも仕切り屋ではあるが、はちゃめちゃなのでみんなの信頼がある意味ない。

副部長の名が廃っている。

結果、護がナンバー2。

來魅も実力、年齢的には一番であるが…どうも本人はまとめ役にはなろうとはしない。

「うーん…。しかし…」

「でも、あの二人をほっとくのはいろいろ危険だよ。能力的には心配ないけど…性格的に……」

 するどい悠飛のツッコミ。

何をしでかすかわからない。

その監視として付いていった方がいいのかも…とでも言いたそうな顔の悠飛だ。

「そだ!寧音!ここは少し…」

「え?別にいいんじゃないですか?楽しそうですよね?」

「予想外の答だったーっ」

 がっくりと肩を落とす。

「学校ではありませんので」

 あくまでも学校での風紀の乱れは許さないという事なのだろう。

「仕方ないなぁー。付いていってあげるか」

 結局は妥協しかなかった。

二人を放っておく訳にはいかない。

そんな思いが徐々に大きくなる。

「ハイハイ。二人とも。分かったから。ただし、余計な事しないようにね」

「おーっ、さすがまもちゃん先輩。話が解かる人ですね~」

「……随分慣れしたんだ感じだけど、一応私、先輩なんだけどね……」

「フヒヒ、気にしない気にしない~。來魅ちゃんはどうする?」

「…んー?私は遠慮しとく。お主等で楽しんで来るといいぞ」

「おっけ~わかったよ~」

 楽しそうに準備を始める。

正木さんも何も言われなくとも一緒になって準備に取り掛かる。

慣れた手つきだ。



 行くメンバーはみゆ、紫音、護、悠飛、叉羅沙、寧音となった。

莉音は残り。

來魅もテレビが見たいからという理由で残る。

凛夢は拒否したうえに何処かへ飛び出して行った。

琉嬉については凛夢以上に何処に行ったのかは不明。

日も落ちて夜。

正木さんの運転する車で廃ホテルへ目指す。

「ところでさー、場所分かるの?」

「正木さんPCでネット情報集めて、大体場所把握したからだいじょーぶい!」

「あ…そ…」

 こういう部分は用意周到。

ぬかりがないというか、なんというか、目的のためにはかなりの力を使う。

みゆとはそんな女だ。

「なんでウチまで一緒に……」

 珍しくブツブツ文句らしき事言う叉羅沙。

「まぁまぁ、いいじゃん、付き合いだし」

「そうどすか~?変な事にならなければええんどすけどな」

 ちょっとだけ不安そうである。


「アイツら…マジで行くの……?」

 噂の廃ホテルへ出かける姿を見かける。

車で別荘から出発する。

しかし、自分には関係ない。

というよりさっきの醜態を晒した事が恥ずかしくて仕方ない。

「く…どれもこれもあの人形小娘と会ってからね…。あのガキさえいなければ……。うまくいったのに…と、思う…」

 自信なさげに呟く。

凛夢は近くの小岩に腰掛けながら考える。

今思えば、こうやって同級生くらいの人間と親しくした事はほとんどない。

学校でもいわゆる「上辺」だけの付き合い。

それも、表の顔。

それが今現在はどうしたものか。

琉嬉と会ってからは口論ばっかり。

逆に考えると本音でぶつかっているのは琉嬉だけだ。

親兄弟にも本気で言い合った事があまりない。

みゆも親戚でもあるし、血縁以外で本気での相手は、琉嬉が始めてなのかもしれない。

突然後ろの方からザザっと足音が聞こえる。

一瞬ビクっとなりがならも警戒しながら後ろを振り向く。

その視界には琉嬉がいた。


「な、何やってんのよ…小娘」

「…お前こそ。どうしたの?こんなトコで」

「……別に私の勝手でしょ!」

 いつものようにツンツンした態度。

「ふーん……。ま、いいけど」

「………何?」

 じーーーーっと凛夢の顔を見つめる琉嬉。

その間実に1分間程。

そしてなぜか見つめ返す凛夢。

ここにきてまた無駄な対抗心を出していた。

が、耐え切れなくなり目をそらす。

「さっきからなんなの?!アンタは!」

 その結果凛夢を怒らせる。

「いやぁ~。綺麗な顔だなーって」

「な?!ななな、何をバカな事言いやがるの?!」

「照れてる照れてる」

「このぉ生意気子供娘が!!」

 すっと拳を振り上げる。

なんなくかわす琉嬉。

「なんだ。元気あるじゃん。さっきのみゆ達とついていけばよかったのに」

「……はぁーっ?何言ってンの?アンタ…」

 そう言いかけた時、琉嬉はずいっと体を目の前まで移動させ人差し指で凛夢の鼻を押す。

「むぐ…」

「そう怒ってばっかりじゃ体に毒だよ」

「うぐぐ…!」

 カッと頭に血が上りキレかけるが、今言われた言葉を思い起こし堪える。

(冷静になれ冷静に…私)

「そうそう。落ち着いた?」

(……ぐ…、なんで私がこんな奴の言う事を…)

 必死に堪える凛夢。

「何があってそんな短気な性格になったのか知らないけど少しはクールになろうよ。

まあ僕も人の事言えた義理じゃないけどね」

 何か悟ったような琉嬉のセリフ。

そこがまた凛夢の癇に障る用だ。

「お前…僕と似てるんだよ。同属嫌悪ってやつなのかな?よく知らないけど」

「似てる?私が?お前と?」

「なんとなくね。ただ、違うのは、凛夢の視野が狭い」

「視野が狭い……?」

 いつになく琉嬉は冷静な事を淡々と言い放つ。

「もっと余裕が持ったほうがいいよ。過去に何か悲しい事あったかもしれないけど知らないけど」

「!!」

 驚く凛夢。

何かを見破られたような…そんな感覚。

かなりの戸惑いを隠せない。


「アンタ…何で…?」

「………近く歩いてたら凛夢の念が…入ってきて。覗き見するような真似はしたくなかったんだけど。ごめん」

「…………………はぁ」

 なぜかため息つく。

やれやれといったような表情。

「私もバカだな。何でこんな所で昔の事思い出してたんだろ?

こんなに強く思い放ったら感づかれるか。

アンタってみゆの言う通り本当に強力な「霊感」の持ち主なのね。ちょっとした「想いの念」を感じ取るなんて」

「まぁ、余計な能力だと思うよ。大体お前もお前だ。それほど高い力あるから感づかれるでしょ?」

「……そうか」

 凛夢の念とは?

琉嬉は凛夢の悲しい想いを感じ取ったらしいが、琉嬉はその事を口にはあえて出さない。

「ま、こうして会ったのも縁だし。ちょっとは仲間意識っていうか、信頼みたいのしてもいいんじゃない?

昨日今日会ったばっかりで難しいかもしんないけどさ」

「プフッ、何ソレ?アンタ流の励ましのつもり?」

「…悪い?」

「フフフ、アハハハハハ!!」

「そんなに可笑しい?」

 ムスっとした顔になる琉嬉。

凛夢が大げさに笑う。

その笑い声に気づく莉音。

このまま残ってたのは莉音と來魅だけ。

笑い声が気になりちょこっと覗いて見る。

「はーぁ。変なヤツだとは思ってたけど、ここまで変なヤツだとは」

 琉嬉を変なヤツ呼ばわりする。

「どーゆー意味?」

「昼間はあんなに言い合ってたのに今は励ますなんて」

「……自分でも嫌になるけど、僕って結構お節介焼きみたいなんだ」

「フーン。で、私にもお節介?」

「そんなところ」


 窓の近くで聞こえる会話。

莉音は悪いと思いながらも身を潜めて会話を聞いていた。

(あの二人…和解でもしたのかな?良かった良かった)

 二人を見ててホッとする。

安堵感が出てきた。

正直言ってあの二人の口論は凄まじい。

琉嬉の短気さも分かってるが、凛夢の方も凄い。

そんな二人だから普段おとなしい莉音にとってはハラハラドキドキものだ。

「どうした?莉音」

「ひゃっ!?」

 必要以上に驚く莉音。

後ろから突然聞こえたのは來魅の声だ。

來魅が残ってたのを忘れてた。

おそるおそる振り返る。

にこにこした來魅の可愛い笑顔が目に入ってくる。

「あ、いや、琉嬉お姉ちゃんと凛夢さんが外に…」

「ほう……何か楽しそうな事でもしてたか?」

「ある意味楽しそうだけど……」

 可愛い笑顔が今度は怪しげな笑顔になりがら、來魅も覗く。


 二人の会話が止まる。

琉嬉はいつものように無口になる。

そしてポケットの中から何かを出す。

携帯ゲーム機だ。

「な、何それ……ゲーム?」

「……うん」

 そのまま無言でゲームを始める。

こんな状況、こんな場所でゲームを始めるという、超絶マイペースな琉嬉。

「凛夢」

「…は?」

「お前…なんか趣味持った方がいいぞ」

「………余計なお世話」



 一方、みゆ達は廃ホテル周辺に来ていた。

出発からほんの10分程度。

車だからであるが、本当にそう遠くない場所だ。

山奥……のようでもあるが、道が続いている。

続いてはいるのだが、険しい山道みたいになって来た。

「おおー、なんかワクワクしてくるねぇ~」

「楽しそうだね…」

「お嬢様、おそらくここら辺りかと……」

「おっけ~。ちょっと外出てあたり探してみようか~」


 一行は車を降り、道がかつてあったような道を行く。

舗装は…されているが草がアスファルトからボーボーと生えている。

ほとんど人が通った気配がないような道路。

周りは暗闇の中の草木だらけ。

夜の、独特の土の匂いと草木の匂い。

「おお~。なんだかうすら怖い雰囲気だね。莉音連れてこなくてよかった」

 紫音の気遣い。

莉音も決して弱い霊力ではないが、性格上こういうのは苦手らしい。

普段はいたって普通の女の子なのである。

歩いて1分…いや、2分?

大した時間もかからなく、その砦は見えてきた。


「感じるぜ~、感じるぜ~!霊気がたんまりと~」

 みゆが楽しそうに言う。

「たしかに…感じますなぁ」

「うわぁ、凄いですね…こういう所あまり来ないからワクワクします」

 寧音はちょっとズレた感覚の持ち主のようだ。

「そうだけど…数は多いけど、そこまで強力なのはいないような…」

 能力者が6人。

みゆ、紫音、護、悠飛、叉羅沙、寧音。

五大家の人間や名家ばりに強い霊術師が居る。

これだけ精鋭であればそこそこ上級なモノもいても大丈夫だろう。

それに6人もいる。

いかにも出そう!という、強烈な外観のホテル跡に突撃するみゆ達。



 中に入るとどこか湿った空気になる。

中と外では大分違うような、まるで異空間だ。

過去に、巨大な廃病院にも突撃した。

ここも同じような空気…空間。

ホテルは5階建てくらいだろうか。

かなり縦に大きめな作りだ。

廃墟化してから何十年も経ってるのだろうか?

壁や床は崩れ落ちてる部分もある。

先ほどの歩いてきた道路と同じで、ところどころ草が生えている。

雑草とは本当に根強い植物だと感心させられる。

「はぁー……凄いね~。予想以上だ!!」

 みゆが声高らかにはしゃぐ。

「ねぇ……みゆ。みゆって…もしかして心霊スポ好き?」

「フヒヒ~。心霊スポット&廃墟好きーだぜぇ。ネットで何回かオフ会ってやつも参加した事りますよー」

「……だから、こういう場所に行きたがるのね…納得」

 ガックリ肩を落とす護。

こういうのは趣味ではない護。

みゆとはこういう部分では分かり合えないと思った。

「普段こういう場所行かないからなんか新鮮だね!」

 ここに感動してる人物がまた一人。

紫音。

「女子中学生や女子高生が普通来ないよね…。こんな廃墟に…」

 いつものようにツッコミをいれとく悠飛。

少し歩いていくとやっぱり視える人には視える。

人の形した霊体物質が沢山視える。

しかし、はっきりした姿は目には映らなく本当に薄い。

一階だけで10体近く。

いずれも浮遊なのかどうか。

弱い固体ばかりだ。

「これは大量だね~」

「そやね……弱いといっても油断しないようにせんとな」

 警戒は一切とかない。

ヘラヘラしてるみゆもずっと笑顔だが、強力な結界は張りながら進んでいる。

「でもあれかなー。ここで死んだっていう人じゃなくって浮遊霊が住み着いてるって感じ?」

「そうですねぇ…」

 軽快な足取りでどんどん奥へ進んで行く。

(なんだかんだで強力な霊力持ってるんだよな…みゆって)


 二階、三階と進んでいく。

建物自体はやはり鉄筋コンクリートなので頑丈には出来てる。

ちょっとやそっとの衝撃では一気には崩れなさそうではある…。

どこ行っても独自の空気は消えない。

「他に人来てるのかなぁ?」

 紫音がポソっと言う。

壁にはよくある落書きがチラホラ見える。

「ここらでは有名みたいだね」

 地方過ぎて少し情報がなかった。

だが、みゆ的には今回、非常に満足するイベントだった。



「ん~。特に何もないね~」

「ないワケじゃないだろ…。その辺ウヨウヨしてるでしょ…」

 本当に嫌気がさしている護。

「帰ろうか~」

 一通り見て回った。

その数およそ30体近く。

しかしどれもそれほど強力なのはいない様子。

「どうするの?このまま帰る?」

「どうするたって…ウチらが成仏させる義理ないんやし」

「そうですよね…」

 一旦ホテル跡から外に出る。

特に変わった様子はない。

たまにチラホラ窓から霊がこちらを覗いてるのが分かる。

「んーむ。特に害があるような奴いないから、とりあえず放置して帰りましょうか~」

 そのまま引き返す。




「たっだいま~!」

 出発してから2時間後。

案外早く帰ってくる。

無駄に疲れがたまる護達。

「帰ってきた~」

 莉音が出迎える。

その横目で黙ってみている琉嬉と凛夢。

「特に大きな出来事なかったけど…疲れた」

 フラフラしながら護は中へと入る。

「どうしてあんなに疲れてんの?」

「さぁ」

 それぞれが中に入る時に琉嬉が何かに気づく。

「ちょっと待った。悠飛」

 ガシッと悠飛の腕を掴む。

「……どうしたの?姉ちゃん…」

「お前……また「拾って」きただろ……」

「え?」

 拾ってきた。

つまり、琉嬉が言いたいことは…。

「どうしてお前はそう鈍いんだろうな…。ていうかみんな気づいてないのか」

「まさか……?」

 そのまさか。

悠飛は霊らしきモノを連れてきたようだ。

「マジ?あたしは何も気づかなかったな~」

 あっけらかんと言うみゆ。

最後に廃ホテルから帰るときに油断して結界を解いた。

その隙に悠飛に取り憑いたのだろうか?

「しかし…悠飛。お前もどうしてそう、憑かれる体質なんだろうね…」

「そればかりは…分からない」

「……やっぱりその「力」の影響かもね……」

「………」

 その力とは。

悠飛の冷気をあやつる力。

以前少しだけ姉妹だけで会話した内容。

「雪女」の力。

琉嬉が考えるのには、雪女という妖怪の力のせいで霊が寄って来るのでは…?と。

「あー、なんか違和感感じると思たら、悠飛はんのせいなんか」

 叉羅沙は気づいてたみたいだ。

「叉羅沙……気づいてたら対処しろよ」

「あはは、堪忍なぁ」

 とは言っても、かなり弱い霊。

そこをきちんと把握できる琉嬉はさすが。

「まぁ、いいや。ホラ、悠飛。背中向けて」

「うん…」

 そして、琉嬉の除霊する動作をする。

慣れた手つきだ。

「ふーん…さすがね。人形小娘」

「うるせー。だいたい人形小娘ってなんだよ」

「日本人形みたいなちっちゃな娘って意味よ」

「……後で覚えていろよ」

「しかしこうみるとちゃんとした姉ぶりね」

「だねだね~」

 みんな言いたい放題。

「お前ら黙れー!」

 おもわず大声出して怒る琉嬉。

毎度の事ながらにぎやかな連中である。

その風景みながら凛夢は隅っこでかすかに笑っていた。



 部屋に戻り完全な除霊を試みる琉嬉。

悠飛が手に入れた力の引き換えに失った物。

それは霊力感知力。

元々それほど強い霊感の持ち主ではなかったが、他にはない力の代償で低級霊など、

かなり弱い物を感知する力が弱くなったそうだ。

「……これって…霊って言うより…念」

「何か言った?姉ちゃん?」

「あ、いや、何でもない」

 意味深な事を言いかけてやめる。

「もったいぶらないで言えばいいじゃないか」

 ひょっこりいつのまにかいた來魅。

「おわっ!なんだ…來魅か」

 最近こういう出方が多い。

「普通の霊じゃないんだろ?」

「…まーね。霊ていうより念…想いかな」

「ふむ…」

「念って…さっきのアンタが言ってたやつみたいな?」

「そだね」

 かつてにぎわったであろう、廃ホテル。

現状は廃墟化した状態だが、かつて沢山の人間がいたのは間違いない。

その『想い』がそのまま残っているのだという。

従業員、客、いろいろ交錯してたであろう。

その『想い』が霊的物質になって現れている。

おそらく視えた大半の物は死んだ霊ではなく、その想いの念が霊となって現れているのではないか…?と。

中には悪質な霊も居たのかもしれないのだが。

みゆ達のような楽しそうな気持ちの方が強いのが中に入ったせいで、

活発になったんじゃないかという琉嬉の考え。

そして一番影響を受けやすい、もっとも霊的感知がない悠飛に知らず知らずして憑いたのではないのかと…。

「でも、悪いヤツじゃねーんだろ?」

 なぜか一緒にいる凛夢。

「なんでお前までいるんだ?まあいいけど。

そりゃ、まぁ悪くはない…とは思うけど、いずれにしろ何かしら体調が悪くなったり精神不安定にはなると思うから…」

「なるほどね…」

「…凛夢。お前ってこういうの得意じゃないの?」

「……うちはどっちかというと悪霊退治専門だから」

「ふぅん…」

 納得したようなしないような。

似て非になる同士らしい。

「そりゃそうだろうな。凛夢とやら。お前の気質と性格じゃそうだろう」

「それは褒め言葉として受けとくわ…妖怪のおチビちゃん」

 凛夢は少し嫌味を込めて言う。

來魅の言う事にちょっとカチンときてた。

それに來魅を妖怪と見抜いていた。

「ほう……さすが、五大家のひとつの水無月家よのう。この大妖怪來魅様と気づいていたとは」

「一応ね……。それにしても普通の人間とは変わらない姿…。一見しただけじゃ妖怪と気づかないわね」

「フフフ。そうか」

「他にはない霊力がひしひしと伝わるよ…」

 なぜか一触即発な雰囲気に。

ハラハラする悠飛。

「まあ待て。二人とも。凛夢もいい加減にしといて。こいつ天狐の妖怪らしいから」

「妖狐の一種?それぐらい知ってるわよ。一応五大家の人間だもん。てかなんで妖怪と一緒にいるの?」

「一から説明しなきゃいけないのか…」


「なんで…そんな妖怪が一緒にいるんだよ…。ついこの間かなり噂で流れてたヤツだろ!?」

 さすがに凛夢のその存在を知っていた。

やはりこういう世界にいる者にとっては有名なのだろう。

「さあ?それは來魅に聞かないと」

「ん?それは琉嬉のせいだ?なあ?琉嬉?」

「………う」

 凛夢が変な目で琉嬉を見る。

「な、なんだよ…凛夢。そんな目で見るな」

「ふぅん……コイツがねぇ…。そんな力あるなんてね」

「…温泉で見せたでしょ」

「なるほどねぇ……」

 凛夢は琉嬉にどんどん興味が沸いてきた。

得体の知れない力といい、座った根性といい、強気な性格といい…。

自分以外に肝っ玉据わった女の子。

どこか自分に似ていても、自分とはかなり違う、そういう人物。

認めたくないが、凛夢は琉嬉の事に少しずつだが興味を抱いていた。

「こいつをなめちゃいけないぞ。凛夢」

「……それは分かってるわよ」

「なんせ、一人で私の事を倒した。強いよのう」

「…本当に?」

「一人とは言いがたいけどね…」


「はぁ~。疲れたー」

ボフンッと音を立てながらベッドにダイブする護。

最近変に気疲れが多い。

どうしてこんな立ち位置になったんだろうか。

そこが疑問だ。

「楽しい旅行も今日で終わりだね~」

名残惜しそうに言う。

今回もいろいろあった。

凛夢という強烈な人物にも出会った。

琉嬉はずっと携帯ゲーム機とにらめっこ。

双子や來魅はいろいろしゃべっている。

叉羅沙もゆっくり何かの本を見ている。

悠飛もポケーっとテレビ見ている。

それぞれなんだかんだで楽しかったのではないのだろうか。

通常の旅行よりは疲れたという、散々だったが。

今回の夏の旅行はこうして幕を閉じるのだった。



 さらなる翌日。

別荘から出発する。

連日の晴れ模様。

先日よりは少し涼しい気もする。

夏休みが終わる。

さすがに猛暑も終焉が近づいているのも分かる。

「さぁてー。みなさん帰りますよ~」

 どうしてこうも、みゆは毎日元気なのだろうか?

護や悠飛ら常識人はまだ疲れがとれないようで、表情に覇気がなかった。

「凛夢ちゃん。今回はありがと」

「……いや、まあ、お前の事なら…な…」

 どうやらみゆの言う事ならある程度聞いてくれる様だ。

今まで唯一心を許している人間だからだ。

こうした中、琉嬉が凛夢の服をクイクイっと引っ張る。

「ん?何?子供娘」

「……子供娘はもういいから。死神女」

「…なんか用?」

「用も何も…一昨日の悪霊ってどこから追ってたの?」

 一昨日の悪霊。

そう。

琉嬉が凛夢と初遭遇した時に凛夢が追っていた上級の悪霊。

二人で難なく倒したが、琉嬉は何か気にしていた。

「どこからって…まぁ、バスに乗ってきた町中の近くからだけど?」

「……昨日悠飛に憑いていた霊の念と同じ念がしてた…」

「え?」

 悪霊はみゆ達が行った廃ホテルと同じ念を発していたという。

つまり、あの廃ホテルに巣食っていた可能性が高い。

「もしかしたら、みゆ達が行ったとこのボスだったかもね」

「…なんでそんなものが広範囲に動いてるわけ?」

「推測の粋だけど…多分そこらの霊を集めてたんじゃないかな?そしてあの廃ホテルに集めてた…。

護の話だとかなりの数居たらしいし。

まるで営業してるようだって」

「……まるで営業してるって…フフ」

 思わず笑ってしまう。

琉嬉の面白い例えが少しツボにハマる。

「ま、何度も言うけど予測の範囲。

多分あのボスを倒したおかげで落ち着きを取り戻して元々弱かった霊や念が表立って出てたかもね。

だからみゆ達が行っても特に大事にならなかった」

「………フフフ」

「何がおかしいの?」

「いや…アンタって凄いのね!ここまで霊感知高いのも異常ね!アハハハ!」

 大笑いする凛夢。

「みゆの他にこんな面白いヤツがいたなんて!アンタら最高!」

「おお?どうしたんだい?凛夢ちゃん?テンション高いぞ~」

 あまり見せる事のなかった笑顔を見せる。

どうやら少しはみんなに対して心を開いたようだ。

「凛夢さんって…綺麗な人でだね…。同じ女としても可愛らしく思っちゃう」

 ボソっと莉音が呟く。

普通にしてればその辺の子よりも群を抜く可愛さ。

しかし、ずーっとツンツンしてるので近寄りがたい雰囲気もあった。

だが、こうしてみんなの前で素顔を出した事でわだかまりがなくなった。


「じゃ、私はここで。みなさんとは違う方向なので…」

 駅中で凛夢と別れる面々。

「うん。またね~」

「じゃ、また会えるのを楽しみにしてます」

「またね~」

 そして凛夢は琉嬉の前で少し立ち止まる。

「ん?」

「特に、アンタ。日本人形小娘に会えるのを一番楽しみにするよ」

「……それはどうも。てか、何で僕の前だと態度違うんだよ…」

「フフフ」

「それとな、凛夢。日本人形って言うな!名前で呼べ!琉嬉って!」

「ハイハイ。琉嬉ちゃん。またね」

「………お、おう」

 またもや出た。

琉嬉の名前で呼べ発言。

どうしても名前で呼んで欲しいようだ。

そしてそのまま凛夢は別のホームへと行く。

「行っちゃったね」

「中々強烈なキャラクターだったな」

「…來魅…どこでそんなキャラクターなんて言葉を…」

「現代日本語を学んでる最中だからな」

 威張ったような態度をとる。

悠飛は結構勉強家なんだなと、関心した。



 一行は最初に集合した駅で解散となる。

二泊三日の小旅行とはいえ、かなり濃い内容だったこの旅行

それぞれの思惑はどうなのかは垣間見えないが、満足行いった表情だ。

「今回は楽しかったどす。またあればお誘いくださいな」

「うんうん。叉羅沙さんまた呼びますよ~。旅は多いほうがいいもんね」

「そやね~」

「次は会長さんとか副会長さんとかと」

「そやねえ」

「柚羽さんも万全になったら一緒に行きましょう」

「さて、我々も帰ろうか。莉音」

「あ、待ってよ~紫音!」

 やり取りがかわいらしい双子姉妹。

どっちが姉だか妹だか。

「あ、あたしも…とっとと帰って疲れ癒す……」

 護は…今回はかなり振り回されたのか、一番疲れ気味だ。

別荘に着く前から振り回されて、疲労がピークだ。

「あはは、また誘いますから~まもちゃん先輩」

「…う、うん……。楽しみにしてるよ…」

「護。二学期は修学旅行あるよ」

 琉嬉が修学旅行があるのを思い出す。

「マ、マジか…。そうだったね…」

 なんだか、旅行に嫌気が出ているっぽい。

「ではー、解散~!」

 みゆの一言で散ってゆく琉嬉達。

「あ、琉嬉先輩」

 しかしみゆが琉嬉だけを引き止める。

「ん?どした?」

「多分、近いうちまた凄いサプライズありますよー」

「…は?」

「ではまた、部活で会いましょう」

 かなり意味深な発言を残して去っていく。

それにしてもみゆの言動はとことんエグイ。

頭の中は?マークばっかりになる琉嬉だ。

だが、あまり気にしても仕方ないのでおとなしく帰りの電車に乗り込む。

先に進んでいた悠飛と來魅。

「どうかした?姉ちゃん?」

「むう…いや、なんでもない」

「そう?」

「それにしても、楽しかったな!」

來魅は元気にご機嫌だった。

「…それにしても、いろいろな出来事あったな…。どうして行き先はなんでこうも変な事ばっかりなんだろ…?」

「別にいいじゃないか?何もないよりは楽しいぞ!」

前向きな來魅だ。

今回はたしかに、みんなとの差が縮まったように思える。

何より、みゆの背中の傷跡…。

それと、凛夢との出会い。

大きな出来事が多かった旅行だった――。




 窓から景色をずっと眺めてる凛夢。

一人だけ方向がまったく違ったため長い間一人だ。

(…彼方琉嬉と…その仲間か…。変な奴ら……)

 今までの人生の中でここまで楽しませてくれる連中はいなかった。

特に琉嬉。

本心でぶつかり合った唯一の存在。

久しくなかったこの楽しいような気持ち。

自然と笑みがこぼれる。

(いつか決着つけたい気もするな…)

 大半はケンカばかりだった。

今まで出会った事のないタイプの人間達。

勿論、これまで同じ術者達と何回か会ってはいるのだが、こんなに自分に似たようなのがいるとは思ってなかった。

そこになぜか興味を惹かれる。

なぜかそこが楽しかったのだ。

もちろん琉嬉だけじゃない。

ノリの良い双子姉妹や、何考えているかわからない長身美人叉羅沙。

同じ五大家の一族の寧音。

気遣いくれた護。

琉嬉の妹とは思えない悠飛。(あまりじっくりしゃべってない)

きわめつけは過去に大暴れしたという最強妖怪・來魅。

少し、いや、かなり大きな楽しみが増えた凛夢。

また会える日を楽しみにして……――――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ