scene4 復讐
どれほどの時間がたったのか。
佐々木はゆっくりと目を開けた。
「うっ……」
頭が痛い。
身体が動かない。
そして違和感に気づいた。
「……縛られてる?」
腕も足も拘束されていた。
慌てて周囲を見回す。
そして固まる。
「なっ...」
目の前には......
相良。
赤峰。
田中。
金澤。
北条。
全員が同じように縛られていた。
「これはどういう状況だよ!なんで全員縛られてんだよ!?」
相良がげんなりとした顔で答えた。
「俺が聞きたいよ。なんでお前まで捕まってんだよ。最後に助けに来る場面だろ!」
「いや気が付いたら後ろから殴られてだな...」
「雑魚だな」
「不意打ちだったんだよ」
その横で赤峰もうなずく。
「私もです。相良君を眺めてたら後ろからいきなり…」
「まわりをもっと警戒しろよ!」
田中もため息をついた。
「私もね」
「私も」
金澤も小さく手を上げる。
「全滅じゃねえかよ。誰か一人でもしっかりした奴はいないのかよ」
北条は不満そうに唇を尖らせる。
「私はわるくないわ」
「捕まってる時点で一緒だよ」
全員...全員捕まっていた。
そしてそんな彼らの前に一人の人物が立つ。
音楽室の扉を開け彼らの前に立った人物それは...。
湊かえで。
担任の教師にして悪魔。
「なっ...先生...!?」
佐々木は絶句した。
「無事だったのか!?」
湊は首をかしげる。
「無事?何を言っているの?始めから無事よ」
「…は?」
佐々木の思考が停止した。
湊は肩をすくめる。
「だって誘拐なんてされてないもの」
「はい?どういう事だよ」
混乱する佐々木に対して湊はにっこりと微笑んだ。
佐々木の顎を引き寄せる。
その表情は恐ろしく冷たい。
「悪魔ハンター...今すぐ殺したいけど...」
ゾクリとする殺気。
「順番ね」
「順番?」
「先に殺らないといけない人がいるから」
「だから時間外はやらないって言ってるだろ!」
「知らないわよ」
「働き方改革!!」
「悪魔にそんなものはないわ」
その横で北条も叫んだ。
「理不尽よ!なんで私までいるのよ!悪魔の事は悪魔同士でやってよ」
湊は即答する。
「あなたも同罪よ」
「なんでよ!}
「せっかくうまく呼び出して、この子らにぶつけてみたのにあっさりやられてしまって...役に立たなかったでしょ?」
「天使をとられたのよ!」
「悪魔を天使って言ってるところも気に入らないし死んだほうがいいわよね」
「よくないわよ!!離村が破綻してるわよ」
そんなやり取りを聞いていた相良が手を挙げた。
「先生!」
「何?」
「佐々木と北条さんの問題なら俺は無関係だと思います」
「無関係?」
「そうです。だから家に帰らせてください」
湊は鼻で笑った。
「あるわよ」
「え?」
「あなた悪魔ど真ん中じゃない」
「ど真ん中じゃない!」
相良は即座に否定する。
「悪魔中の悪魔よ」
「どこがだよ俺は被害者だ!」
その時だった。
赤峰は真剣な顔で言う。
「相良君は立派な悪魔です」
「立派じゃない!っていうか悪魔じゃない!」
田中もうなずく。
「そうね。立派じゃない。まだまだの悪魔ね」
「悪魔を否定しろよ」
「もっと良質の悪魔をしっかり食べていかないと立派な悪魔にはなれないわ」
「人の話を聞け!そもそも悪魔がおかしいだろ」
ここで金澤がおずおずと口を開いた。
「あの...先生」
「何?」
「私は一応普通の人間なんですけど…」
湊は少し考える。
「…そうね...あなたは...」
「はい!」
「ついでよ」
「ついでってなによ!」
「今回の関係者と一緒にいたからついでよ」
「理由が雑すぎる!そんなんで巻き込まれたくない」
「悪魔に誘拐される理由なんてそんなもんよ」
縛られたままの相良はうんざりした表情で湊を見る。
「理由はもういい。こんな事して目的はなんなんだよ」
湊は目を細めた。
「復讐よ。そして悪魔ハンターの殲滅」
「だとしたら佐々木だけでいいだろ俺たちは関係ない!」
「あなたたちも同罪よ」
「何が同罪だよ」
「だって悪魔ハンター側の人間でしょ?」
「他人です!知らない人です」
相良の一言に佐々木が反応する。
「相良!クラスメートだろ!}
「たまたま同じ空間にいるだけだ」
「ひどくないか!?」
佐々木は地味に傷ついたが相良は気にしていなかった。
そもそもそれどころではなかった。
田中が冷静に尋ねる。
「私たちをどうするつもり?」
「どうもしないわよ」
「え?」
「単なる人質よ。志水を殺すためのね」
「志水先生を…?なぜ?」
湊の顔が険しくなった。
「決まってるでしょ...」
怒りを込めて言い放つ。
「復習よ!」




