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俺の右手に悪魔がいる件  作者: 南蛇井


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scene3 孤独

職員室を出て先頭を歩く相良は深いため息をついた。


「どうしてこんなことになった...」


しかし赤峰はその隣を嬉しそうに歩いていた。

「相良君との共同作業ですね」

「違う...ああ面倒くさい」

面倒くさがる相良に田中は冷静に言う。

「まあ、犯人が見つからなかった時は佐々木君を差し出せば問題解決よ」

「解決しねえよ」

佐々木が叫んだ。

金澤がうなずく。

「そうね。それがいいわね」

「おまえもか!」


こうして誰一人やる気がなく。

誰一人として湊先生の心配をしていない。

そもそもそんなに探す気がない。


「仕方がないわね。湊先生を探すとして、全員で一斉に行動するのは効率が悪いわね」

「確かに」

金澤がうなずく。

「六人で固まって歩いても意味ないし」

相良も同意する。

「まあ、それもそうだな」

すると赤峰が即座に手を上げる。

「じゃあ私は相良君と探します」

相良は何か危険を感じた。

「いや、待てよ」

「なんですか?」

「たまには他の人が…」

「ダメです」

即答だった。

なんなら食い気味である。

「いや...だから...たまには...」

「ありえません」

更に食い気味だった。

そこには話し合いの可能性が微塵にも感じられなかった。

相良は悟る。

(俺に選択権はないんだ...)

と。

それはまさにあきらめの境地だった。


田中はそんな二人のやり取りを気にも留めず話を進める。

「じゃあ私は金澤さんと行くわ」

「そうね。そのほうが楽しそうね」

金澤もあっさり了承する。

これで二組。

佐々木は思った。

この流れは前回と一緒だ...と。

しかし今回は一つ違うことがある。

それは人数が六人であるという事。

一人あぶれることはない。

佐々木は満面の笑みで振り返った。


「よろしくな北条...」

しかし、そこには北条の姿はなかった。


「え!?」

周囲を見回す。

すると少し離れた場所から声が聞こえた。


「私は単独行動で」


すでに北条は移動し始めていた。

「えーっ!また一人!」

「あたりまえでしょ」

北条は呆れた顔をした。

「なんで私があなたと行動しなきゃいけないのよ」

「いやいやいや!チームワークとかあるだろ」

「ないわ」

「仲間意識とか」

「ないわ」

「友情とか」

「それこそないわ」

「一緒のほうが安全...」

「危険しか感じないわ」

「そんな...」

必死の訴えも即答で返され佐々木は膝から崩れ落ちる。


北条は冷たく追い打ちをかける。

「そもそも私は天使なのよ」

「自称な」

相良が小声でツッコんだ。

「悪魔どもと群れる気はないわ」

「悪魔ハンターなんだけど!」

「対して変わらないわ」

「真逆なんだけど!もういい!俺も一人で行く!」


そのやり取りに田中が口をはさんだ。


「ダメよ。一人は危険よ。悪魔に襲われて死ぬかもしれないわ」

「田中...心配してくれるのか...」

佐々木の目が輝く。

しかし次の言葉で輝きを失った。

「だって佐々木君が死んだら次は私かもしれないわ」

「は?」

「出来るだけ”壁”としてしっかり生きてて欲しいのよね」

「お前の為の人柱じゃねえかよ」

「そうよ」

「そうよって...」

「それ以外に役に立たないでしょ」

「言い方!!」

「でも壁としては役に立つわ」

「変えなくていい!}


金澤が田中の発言にうなずいた。

「佐々木、単独行動しても良いけど絶対に死なないでね」

「そうね死ななければいいのよ一人でも」

「お前ら無茶苦茶言ってるぞ!!って言うか俺結局一人か!?」

誰も反論しない。

フォローもない。

それが答えだった。


「くそっ俺ばっかり一人かよ……」

校舎の中を歩きながら佐々木は不満を漏らす。

なんだかんだで他の人たちは何となくペアを組んでいる。

相良は赤峰。

田中は金澤。

なぜ俺だけが単独行動なのか...。

「探偵はいつも孤独...そんな所か...」

言っててむなしくなった。


とりあえず手掛かりを探そうと佐々木は音楽室へ行く。

ここは佐々木が湊先生に襲われた場所。

ここに来れば何かある気がした。


扉を開け中に入る。

そこには誰もいない。

静寂しか存在していなかった。


「結局帰ってきてたり...とかね」

教室を見回す。

机もピアノも元のままだった。

「俺が先生に襲われたのも、この場所だったな」


しかし今は怪しいものは何もない。

「ま、そうだよな」

踵を返し音楽室を出ようとした瞬間だった。

後頭部に強い衝撃が走る。

明らかに背後からの打撃だった。

視界が揺れた。

「な......」

言葉は出なかった。

意識は闇に落ち沈んでいった。


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