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俺の右手に悪魔がいる件  作者: 南蛇井


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第八話 捜索 scene1 心配はしている

翌日の放課後。

相良たちは職員室に再び呼び出されていた。


「またか...」

相良はうんざりした顔でため息をついた、

職員室の一角に集められたいつものメンバー。


田中。

赤峰。

金澤。

佐々木。


そして...その見慣れたメンバーの中に何故か生徒会長の北条佳奈がいた。


北条は不機嫌そうに腕を組んで志水を睨みつけていた。

志水は全員いる事を確認すると咳ばらいをした。


「何で呼ばれているかはわかってるな?」

その言葉に北条が真っ先に反応した。

「私の天使を返す気になったのね」

志水の額に青筋が浮かんだ。

「あいつはお前のものじゃない」

「私のよ」

「違う」

「私の天使よ」

「天使じゃないしおまえのじゃない」

「先生、人のもの取ったら犯罪よ」

「だから!おまえのものじゃない!そしてあれは悪魔だ!!」

志水が机を叩いた。

しかし北条は退かない。

全然納得していなかった。

「天使よ」

「悪魔だ」

「だって光ってるわ」

「光ってるだけだ」


完全に会話にならない。

お互いの主張がただ飛び交うだけだった。

その横で金澤がうなづきながら話を聞いていた。


「わかるわ。悪魔泥棒は困るわよね」

そしてジロリと相良を見た。


「え?」

相良は自分を指差した。

「俺?」

「私の悪魔とったでしょ」

「取ってないよ」

「食べたじゃない」

「結果的にそうなったけど...」

「同じでしょ」

「違うよ。返せるものなら今すぐ返したいよ」

「じゃあ返してよ」

「返し方がわかんないんだよ」


理不尽に絡まれる相良。

詰める金澤。

そんな二人を見ていた志水が再び机を叩いた。

職員室に大きな音が響く。


「もういい!!悪魔は誰のものでもない!!」

全員が静かになった。

「でもな。今はそんなことはどうでも良いんだ!!」


相良は小声でつぶやいた。

「どうでも...?先生が始めた話じゃなかったか……?」

その声は誰の耳にも届かない。

志水は全員を指さした。


「お前ら!湊先生が心配じゃないのか!?」


その言葉に全員が黙った。

最初に口を開いたのは北条だった。


「ちょっと休んでるだけでしょ?」

「違う!」

「大人なんだから休暇ぐらい取るわよ」

「誘拐されてるんだぞ」

「有休とってるんじゃないの?」

「違う!」

「なんでよ」

「だって十字架にしっかり縛り付けておいたんだ!勝手にどこかに行けるわけがない!誘拐されたんだ!」

「じゃあ、やっぱり志水先生が悪いわよね。そもそも誘拐犯は志水先生だし」

田中が冷静な顔で答える。

志水の表情が固まった。

「……今は違う」

「でも原因を知ることは大事よ」

「今はそんな話じゃない!」

「再発防止の観点からも必要だとは思うわ」

「そういう問題じゃないんだよ」


志水は頭を抱えた。

教師人生においてここまで話が通じない生徒は初めてだった。

しかし生徒たちも同時にここまで話の通じない先生は初めてだと思っていた。


「...お前ら少しは心配してくれよ」

志水の懇願するような声に相良が反応した。

「わかりました」

「おお!わかってくれるか」

志水の目が輝いた。


「心配はします」

「そうだそれでいい」

「心配しながら生活します」

「うん?」

「じゃ、そういうことで」

相良は踵を返した。

「帰ります」

「待てぇぇぇぇ!!!」

志水の絶叫が響く。

相良の肩を掴んで引き戻す。

「帰れるわけないだろ!!」

「なんでですか」

「湊先生を助けるんだよ」

「心配はしてますよ」

「行動しろ!」

「心配と行動は別です」

「別じゃない!」

「俺の中では別です」


その一言に志水は天を仰ぐ。


「頼むから...協力してくれ...」


志水の悲痛な叫びだけが職員室に響いた。


職員室内に重い沈黙が流れる。

気まずい空気に全員口を開かない…かのように見えたが北条があっさり口を開いた。

「じゃあ百歩譲って誘拐されたとして、何か当てはあるの?」

「…ない」

志水は即答だった。

「じゃあこの話は終わりね。解散!」

そう言ってその場を立ち去ろうとする。

「解散するな!}

志水の怒号が鳴り響く。

北条は不思議そうな顔をする。

「でも当てがないなら考えても時間の無駄よ」

「だから当てを探せといってるんだ!」

「人任せか...」

相良がぼそりとつぶやく。

その言葉に志水のこめかみがピクリと動いた。

しかし今は反論している余裕がなかった。


そんな中、田中が手を上げる。

「当てならあるわよ」

「なんだと!早く言え!」

田中はゆっくりと指を伸ばした。


そして佐々木を指さした。


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