scene3 雑魚
相良は遠い目をしていた。
「本当にやるのか…こういうイベントな感じ好きじゃないな」
「わくわくするわよね。時間は昼休みが終わるまでよ」
「だから好きじゃないって言ってるのに…」
「何を言っているんですか。相良君の部長姿、想像してみてください。黒いローブ着て病んで呪って世界を闇に堕としていく姿...興奮してきましたわ」
「そこに興奮要素ないよな」
「相良君!一緒に行きましょう。他の人より先に見つけますわよ」
赤峰は相良の手をつかみ、ぐいっと引いた。
「あ、わっ待て...参加するなんて言ってない…」
「すでにしてますわ」
赤峰に手を引かれ消えていく相良。
「さて私たちも行くわよ」
「そうね...私用の悪魔必ず見つけるわ」
田中は金澤の手を握った。
「なんで手を握ってるのよ」
「相棒感があるでしょ」
「よくわからないけど...」
二人は走り出す。
そしてそこには佐々木だけが残された。
佐々木は周囲をゆっくりと見渡した。
「え...俺...一人?俺だけ相棒いないんだけど!!」
叫んでも誰も答えてはくれない。
「くっそ!俺が一番強い悪魔見つけてやるからな!!」
ドタドタと廊下を走りその場を去って行く。
その頃、相良は廊下を歩いていた...いや正確には歩かされていた
「なんで俺悪魔なんか探してるのかな...普通の高校生活を送りたかったな...」
「元々普通じゃありませんでしたよ。普通じゃないが加速しただけです」
「加速しないで欲しいんだけど」
「そんな事よりも良くまわりを見てください。ほら!」
赤峰が指さした先。
廊下の隅で、小さな黒い影がうごめいている。
黒い影は男子生徒の足元をちょろちょろと動き回る。
突然、男子生徒は何もない所でつまづいた。
「あっぶね」
その横で女子生徒がカバンを開けて慌てている。
「えっ、宿題ないんだけど!?なんで!?」
相良は目を細め眼鏡を上げた。
「なんかよく見ると、悪魔っぽいものって意外といるんだな」
赤峰が不満そうな顔をする。
「あんな雑魚悪魔相手にしちゃだめですよ」
「雑魚...なのか?」
「そうですよ。あんなの人をつまずかせたり忘れ物をさせたりするだけの雑魚悪魔ですよ」
「そんなもんかね...」
その瞬間。
相良の後ろで男子生徒が派手に転んだ。
「いてぇ!!うわっ最悪だ!転んだあげくに財布忘れてるぞ」
赤峰はその様子を冷ややかな顔で見る。
「ほら、小物ですわ」
「地味に嫌だと思うぞ...雑魚だけど陰湿だ」
「相良君に近いものはありますけど...相良君にはもっと高みを目指して欲しいんです」
「一応聞くけど...高み...って」
「もちろん!より陰険で!陰湿で!強烈に深く闇落ちしている...そんな悪魔ですわ」
「...だろうな…」




