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わたしたち繋がってるの。邪魔しないで

 美嘉と俺が露天風呂の中、湯けむりに包まれて抱き合っていると、引き戸がカラカラ開く音がした。やはり、誰か来たようだ。


 「ご機嫌そうね。美嘉ちゃんの歌、脱衣場でも聞こえたわ。もちろん、凄く刺激的な女の子のアノ声も。うふっ。マドくんとすっかり楽しんだようね」


 「まだ、楽しんでるんですけど。杏子あんずさん、邪魔しないでもらえます?」


 湯の中で俺の腰の上に抱かれたまま、平然とした口調でそう言い放つ美嘉。


 「マドとわたし、まだ、繋がったままなんです。邪魔したら、わたし、本気で怒ります」


 怒気を滲ませる美嘉に臆する様子もなく、全裸の杏子は、露天風呂の中に入ってきた。前屈みになって、大きくて柔らかそうな乳房の山と深い谷間をゆっくり見せつけながら。


 「気持ちいいお湯ね。肌にまとわりつく感じで。月も凄く綺麗。月見風呂の中で愛を語らい合うなんて素敵だわ。心配しないで。美嘉ちゃん。邪魔する気は無いから、そんなに怖い目をしないで」


 「そんなこと言っても、邪魔なんです。わたし、今もこうやってお腹の中でマドをしっかり感じてたいんですから」


 そう言う美嘉の中で俺の分身はムクムク元気を取り戻していた。俺は杏子の前で美嘉の乳房を口にくわえて愛撫した。美嘉の喉から甘い声が漏れ、その体が男の肉体をむさぼる別の意思を持った生き物かのようにぐいぐい締め付けてくるのを感じる。


 「私、感じている女の子の顔を見るのが好きなの。いっちゃう時の顔なんて特に大好物。お酒が何杯でもいけちゃう。うふっ。さっきだって、美嘉ちゃんのいっちゃう声を聞いてるだけで、私、凄く興奮したのよ」


 俺と美嘉の情事を酒の肴代わりに盗み聞きしていた杏子がたまらず乱入して来たというところだろうか。


 美嘉を抱いて、その横乳を揉みながらも、俺の目は、湯面の上にこれ見よがしに浮かんでいる杏子の月のように見事に丸い乳房に吸い寄せられてしまう。


 「ダメよ! マド。わたしとのエッチに集中して。杏子さんのオッパイで元気になっちゃダメなんだからね」


 美嘉は、俺の顔を両手で押さえて、唇を重ねた。そして、すぐに舌を絡ませ合う激しいキスを交わしながら、湯の中で自ら腰を浮かせて上下に振り始めた。


 甘く切ない喘ぎ声を虚空に響かせながら俺の腕の中で背中を仰け反らせた美嘉に、俺も下から腰を突き上げて応じる。立ちこめる湯気の中、二人の体が湯面を激しく波立たせ続けている。


 俺は、杏子が見ていることも忘れて、美嘉を愛し続けていた。



 「男の子と女の子のセックスは、女の子どうしのセックスとは感じ方が違うのね。迫力があるし、美嘉ちゃんの甘くとろけた顔、凄い情感豊かで美味しそう。私も男とセックスするけど、自分で自分の感じてる顔見ることないもんね」


 事が終わった後、杏子は、そう言いながら美嘉の唇に唇を重ねた。杏子はいつの間にかすぐそばまで近づいていたのだ。美嘉にキスをしながら、杏子の大きくて柔らかい乳房が、俺の肩に乗っている。


 「やっぱり美味しいわ。エクスタシーを感じている美嘉ちゃんの唇。食べちゃいたいくらい」


 そう言って、さらに美嘉と唇を重ねる杏子。美嘉は夢うつつのようで、杏子のキスを拒もうともしない。


 「美嘉ちゃん、凄く深いエクスタシーを感じてるみたい。うふっ。こんなに可愛い子をこんなに感じさせちゃうなんて、マドくんって、可愛い顔して、凄いのね。キスしてるだけで、マドくんと繋がっている美嘉ちゃんの子宮の快感まで伝わってきそうだわ」


 キスを交わす杏子と美嘉、二人の女体にぴったり挟まれて、サンドイッチの具材状態の俺は、そうすることが自然なことのように、目の前にある杏子の乳房を触っていた。指先で溶けてしまいそうなほど柔らかいのに揉むとしっかりした張りと弾力を感じさせる逸品だ。



 「マドくん、美嘉ちゃんを大切にしてあげて。この子、生意気で気が強そうに見えて、本当は、すごく繊細で傷つきやすいの。内面はとっても純粋な少女。マドくんの腕の中ではこんなに気持ち良さそうで女として幸せいっぱいな顔してるけどね。うふっ」


 俺に抱かれて、ぐったり頬を緩ませ、目を閉じたままの美嘉の髪を撫でながらそう杏子が言った。


 「うん、分かってる」と俺。


 「どさくさ紛れにマドに胸を触らせないでください。杏子さん。わたしの唇を奪ったのは大目に見てあげるから」


 そう言う美嘉は眩しそうな薄目を開けていた。


 「美嘉ちゃん、気付いてたの?」と杏子。


 「誰だって気付きますよ。あんなことされて」


 「感じてる女の子の顔を見るのが好きだって言ったでしょ。美嘉ちゃん、凄く気持ち良さそうだったから、つい、頂いちゃった。えへっ」


 「そうやって、笑って誤魔化しても駄目です」


 「あれは大目に見て欲しいな。これでも私、美嘉ちゃんとマドくんのこと応援してるのよ」


 「今は、邪魔にしかなってませんけど」と美嘉。


 「うふっ。これ以上邪魔しちゃ悪そうね。でも、明日の朝は早いから夜更かしは駄目。今夜は、お部屋に戻ってゆっくり休みなさい。ってこと、言いたかったの。ねえ、それでいいのよね、祥子」


 杏子は、急に後ろを振り向いてそう言った。そこには、美嘉のマネージャー、大前祥子が立っていた。昼間と同じタイトスカートスーツの上に、ジャケットを羽織っている。


 「呆れたわね、祥子、あなたまだ脱いでなかったの? せっかくの温泉なのよ。あなたの美ボディも見たかったのに」


 「ところ構わず裸になるあなたみたいな痴女と一緒にして欲しくないわ。杏子」


 「誰が痴女ですって?」


 「あなた以外いないでしょ。まあ、美嘉のことについては概ね同意。まだ、私、マドくんのこと認めたわけじゃないけど、私もマネージャーだから、美嘉の意思を尊重するわ」


 なんだか分からないけど、話がついたってことでいいの? 相変わらず俺に鋭い視線を投げている祥子の目が怖いんだけど。




 別荘でのロケ撮影後の一ヶ月間、美嘉と俺は半同棲の生活を共にしていた。とはいえ、聖都内のホテルやマンションの一室を転々とする生活だ。美嘉と俺はそれぞれ身の回りの物を持ち歩くだけ。それ以外は全てそれぞれのスタッフが準備してくれる。俺と美嘉の合流は、瑠奈が言う結界やなんたら領域によって誰にも気付かれることがないらしい。


 今日も俺がとあるマンションの一室のドアを開けると、美嘉は祥子に付き添われて先に到着していた。俺に美嘉を引き渡して祥子は引きあげるという段取りだ。この一か月間、毎日のように顔を会わせているのに祥子の俺への態度は冷たいままだ。無言で俺に一瞥だけくれて部屋を出て行ってしまった。


 「ねえ、マド。今日の夕食はお肉と野菜の料理。祥子さんが買い出ししてくれたの。もちろん、作るのはマドだけどね。うふふ。こうやって、マドの美味しい手料理を食べられるなんて、しあわせ。ほんと、マドってば、いいお嫁さんだよ」


 そう言って嬉しそうな美嘉。男の娘アイドル円城寺マドの俺はSNS上ではファンから普通に「嫁」って呼ばれること多いし、美嘉と二人きりの時以外は完全に女の子の姿だから違和感ないのが哀しいが、美嘉が俺を嫁と呼んで楽しんでいる姿を見るのは、まんざらでもない俺。男としても、たっぷり美嘉を喜ばせてやりたくなる。


 俺の腕の中で、美少女アイドルから女に変貌する美嘉を見るのが楽しみだ。



 「ねえ、マド。いよいよ明日だね。マドの記者会見」


 俺が作った夕食を美味しそうに食べながら美嘉そう言った。

 

 「うん」


 俺はうなずいて見せた。


 安城美嘉のセカンド写真集の噂と衝撃的な内容の憶測のあれこれがSNS上を騒然とさせつつあるさなか、以前から彼女との熱愛が噂されていた男の娘アイドル円城寺マドこと俺の記者会見が発表されたのだ。当然、美嘉と俺の関係について、質問が集中するだろう。


 その一方で、当の円城寺マドの過去を行方不明中の神無月亜夢に重ねる噂が広まりつつある。組織が故意にリークした噂だ。つまり、事態は某女神のシナリオ通り刻々と動きつつあるのだ。


 騒ぎが大きくなればなるほど、月の使徒は俺に手を出せなくなる。瑠奈のその読みを今は信じるしかない。すでに、鮎は俺との接点を絶ち、レジスタントの支配圏内で安全を確保されているという。囮としての俺の役割は終わったということだ。もし、捨て駒になったとしても、もともと、俺が望んでいたことでもある。そう、美嘉に出会うまでは……


 「わたし、マドを信じてるから」


 すでに、美嘉も、俺の過去についての噂を耳にしているはずだが、そのことについて、俺に問うことはしない。そんな美嘉に俺はうなずき返す。そして、美嘉と俺は視線を複雑に絡ませ合った。


 俺は、美嘉が欲しがっている俺の子供の顔を見たい。切実にそう思う。


 なあ、瑠奈。ゲームだなんて言って、勝算あるんだよな。おまえを信じなければいけないのは心もとないが、女神は女神だ。


 まあ、シリアスに考える前に、男として美嘉とやるべきことはやるし、しっかり楽しませてもらうけどね。なにしろ、正真正銘今をときめく美少女アイドルだ。尻込みしては男が廃るってもんだ。


次回:交際発表会見と裸エプロン


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