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月は無情な観察者ー露天風呂エッチ

【サブタイトル】


 「わたし、マドと二人きりのお泊まりを楽しみにしてたんだよ。この埋め合わせはちゃんとしてよね。ロケじゃなくてマドとだけのお泊まりデート」


 俺たち二人に割り当てられた寝室に戻ると美嘉はそう言った。こざっぱりした綺麗な部屋で、中央に大きなベッドが一つあるだけ。部屋着に着替えた美嘉は、ベッドの端に座って俺を待っていた。


 「そして、マドといっぱいエッチを楽しむの」


 そう言う美嘉の横に俺は座って彼女の胸を揉み始めた。ブラジャーをつけていないので、部屋着の上からでも美嘉の重量感のある乳房の感触を味わえる。


 「今夜も楽しめるだろ」


 「うん。楽しむ。マドとエッチ。撮影中、わたしのお尻まで舐めちゃったマド。凄いエッチなんだから」


 「仕方ないだろ。美嘉が好きなんだから」


 俺は、美嘉の部屋着を捲り上げ、裸の乳房を直に触り、手のひらに溶け込むような温もりと感触を味わった。


 「うん。知ってる。うふふ。わたしを好きなエッチなマド大好きだから、いっぱいエッチしてあげる。でも、本当のお泊りデートもしたいの」


 「分かった。行き先はどこがいい? 海? それとも山?」


 「月」


 「え?」


 予想外の美嘉の答えに絶句して、愛撫する手が思わず止まってしまう俺。まさか、瑠奈の話を聞かれてた? いや、そんなはずはない。偶然にしても、タイミングが良いというか悪いというか。


 「Fly me to the moonって曲。わたし好きなの。すごくロマンチックな歌」


 それは古くから歌い継がれているバラード曲だ。いつの時代のものかも作者も不明だが今でも多くのアーティストがカバーしているし、俺も、メロディだけは口ずさむことが出来る。


 「恋人と星の海で遊びたいって歌うの。夜空を明るく照らす月を見ながら。でも、少しもの悲しさを感じるんだよね。手の届かない空の向こうなんて行けるわけないもん」


 まるで星空を見上げるように部屋の天井に顔を向け片手をかざしてそう言った美嘉は、視線を俺に戻し、俺の唇に軽く唇を重ねた。


 「本当は、マドと行けるところだったら、どこでもいい。ねえ、マド。どこでもいいから、わたしをマドと一緒に連れて行って」


 そう言う美嘉の目には涙が光っていた。


 「うん」


 俺は、ただそううなずいた。自分でも、どういう意味でのうなずきなのか分からないまま。


 「わたし、決めた」と美嘉。


 「うん……?」


 今度は何を?


 「ねえ、マド。今夜、月を見ながら愛し合いましょう。あの露天風呂。今夜は月がすごく綺麗だよ。さっき、窓から見えたんだ」


 「でも、他のスタッフに……」


 俺は口ごもってしまった。昼間でさえ、邪魔が入ったのだ。無事で済みはずがない。


 「だいじょうぶ。ちゃんと、マドと美嘉専用って、張り紙しておくから。それに、わたし、もう見られても平気。見たけりゃ見せてやるわ。撮影中もマドとわたしのエッチみんなに見られてるんだもん。うふふ。マドがあんなエッチなことするとこまで。ね、決まり。さあ、行きましょ」



 また美嘉に引きずられるように別荘の廊下を歩く俺。露天風呂の脱衣所は空だった。先客はいないようだ。美嘉は、用意してきた張り紙を脱衣所のドアに張った。張り紙には、二人の名前の上に大きく目立つハートマークとキューピッドの矢が書き込んである。


 「これでたいじょうぶ」


 嬉々として言う美嘉に押し切られて脱衣所に入った俺の前で、美嘉は部屋着を脱ぎ捨てた。一糸まとわぬ全裸になった美嘉を目の前にすると、俺にも躊躇は無い。すぐさま裸になり、その場で美嘉の裸体を抱き締めて、彼女の唇を奪った。今日一日何度も交わした挨拶のようなキスではなく、激しく舌を絡ませて求め合う男と女のキスだ。


 長く激しいキスの後、美嘉と俺は、抱き合ったまま急いで熱いシャワーを浴び、露天風呂に続く引き戸を開けて外に出た。昼間と違って夜風が身を切るように冷たい。悲鳴のような歓声を上げる美嘉と俺は、二人揃って駆け足で、淡い照明に照らされた湯けむりを目指して露天風呂の中に急いだ。


 立ち込める湯けむりに包まれて、温泉の中、互いの体を温め合うように抱き合った美嘉と俺が見上げると、夜空にほぼ満月に近い月が平然とした表情で浮かんでいた。


 「綺麗」


 月に片手をかざすように伸ばして美嘉が言った。


 「ねえ、マド。さっきの歌の歌詞知ってる?」


 湯の中で、美嘉の乳房を揉んで、音を立てて吸い始めた俺に美嘉はきいた。


 「わたしを裏切らないで。わたし、あなたが好きだから」


 俺の返事を待たずに美嘉は言った。


 「それが歌詞。ねえ、マド。もし、いつか、マドがわたしを置いて行くことがあったとしても、わたしを裏切らないで」


 「裏切らない。けっして。それに、俺、美嘉を置いて行かない」


 いいのか? いいんだ。明日なんて、誰にも分からない。そう。あのエロ女神ですら見通せてはいない。


 「美嘉。俺の子供を産むんだろ?」


 「うん。産む。マドとわたしの赤ちゃん」


 「俺、美嘉と一緒に育てるよ。美嘉と俺の子供」


 「うふふ。わたしのお乳が飲みたいからでしょ。わたしのオッパイ大好きでエッチなマド」


 「好きなんだから、仕方ないだろ。オッパイだけじゃなくて、美嘉の全てが」


 「ねえ、マド。男の子がいい? それとも女の子? マドとわたしの赤ちゃん」


 「もちろん、どっちも欲しい」


 「うふふ。じゃあ、がんぱって、赤ちゃん作ろうね」


 俺の手は、お湯の中で美嘉の絶対領域に達していた。指先の感覚だけで探り当てた美嘉の肉壁はすでにぱっくり開いて羞恥と期待に震えているように感じる。


 「わたし、今日一日中、マドに抱いて欲しくてたまらなかったの。ねえ、マド。ねえ、ちょうだい。マドが欲しいの」


 「まず、俺と向き合って、俺の腰の上にまたがって」


 「ヤダ、また、こんなエッチなかっこう。エッチ過ぎるよ」


 そう言いながらも素直に俺にまたがった美嘉の股間に、怒張した分身の先端を左手であてがう俺。美嘉のお尻を右手で抱えて湯の中で誘導した。


 「そのまま、腰を下ろして。そう、そのままゆっくり」


 「あ、ああっつ! マドのが、入っちゃったあああっつ! ねえっ! マド! 入っちゃあああうっ!」


 美嘉は俺のモノを股間でくわえ込んで、俺の腕の中で背中を仰け反らせた。


 湯面がちゃぷちゃぷ揺れて、淡い照明の光が俺たち二人の体の周りで乱反射する。


 俺は、美嘉の体の下で腰を突き上げて俺の分身をしっかりと彼女のお腹の一番奥まで押し込んだ。そして、腰を上下左右に波打つように揺らして美嘉を愛し始めた。彼女の腰を抱いている俺の目の前で美嘉の乳房が豊かに揺れている。立ち込める湯けむりに包まれて、湯面は激しく波打ち、美嘉の甘美な喘ぎ声の奏でが夜の虚空に響き渡る。


 冷酷な笑みを浮かべた月が俺たち二人の姿を見下ろしている。俺は頭の片隅でそんなことを想像していた。見ればいいさ。これが、俺たち人間本来の愛し合う姿だ。


 夜の虚空に甘く切ない喘ぎ声を放ち続ける美嘉を俺は時間を忘れて愛し続けた。ただ繋がり、愛し合う。俺たちに出来るのはそれだけだし、それで十分だ。


 美嘉の喘ぎ声の絶頂の波に導かれ、俺は、美嘉の上下左右に激しく揺れる乳房の間に顔を埋めながら、湯の中で激しく腰を上下動させた。俺の腕の中で美嘉は狂ったように腰をくねらせ、一際高い女の叫びを星空に響かせた。そして、急にぐったり動きを止めた美嘉のお腹の中で俺は生命の律動を刻んでいた。



 「凄いエッチ。わたし、感じ過ぎて、壊れちゃったかと思った」


 俺は腰の上にまたがらせた美嘉と抱き合ったたまま、露天風呂の縁に腰を下ろしていた。火照った肌に夜の冷気を心地良く感じる。


 「まだ、感じてるんだよ。うふふ。ねえ、マド。わたし、エッチの後でマドのをお腹に入れたまま、こうやってマドと抱き合ってるの好き。マドを全身で感じちゃうみたいで。ねえ、マド。キスしよ。ねえってば。わたしのオッパイばかり吸ってないで。まだ、お乳出ないんだからね」


 俺は、顔を上向けにして、美嘉とキスを交わした。


 「体、冷えないかい?」


 気怠い心地良さの中、長くゆるやかに唇を交わらせた後、俺は美嘉にたずねた。


 「まだ、だいじょうぶ。ねえ、マド。こうやって愛し合いながら見る月、とっても綺麗だよ」


 青白く見える月は、今、俺たち二人の頭上にあった。何を考えているんだろう。まあ、月が考えるはずないよな。瑠奈が語った話をまだ咀嚼し切れていない俺は、美嘉の肌の滑らかな感触を腕の中に感じながら漠然とそんなことに思いを巡らせていた。


 俺に抱かれたまま、美嘉は、Fly me to the moonの曲を口ずさみ始めた。美少女が奏でる甘い旋律が哀しく美しく響き、冴えわたった月の見下ろす虚空に溶け込んでゆく。


次回:わたしたち繋がってるの。邪魔しないで


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