表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/30

月の女神と淫獣

 「これから話す事は絶対他言無用。レジスタントのメンバーにも内緒よ。話したら、マドくんだけじゃなくて、鮎ちゃんと美嘉ちゃんの安全にも関わると思って。私も、そろそろマドくんだけには話しておきたいと思ってたところ」と瑠奈。


 「分かった。どうして俺だけにってことは気になるけどな。それはまた秘密なんだろ」


 「秘密なんかじゃないわよ。私にとって亜夢くんは特別な存在ってこと。ねえ、まず脱いじゃっていいかしら」


 「駄目だ。エロ女神。話を茶化す気だろ」


 「私、女神だもん。脱がないと調子出ないんだけどな。まあいいか。じゃあ、まず、私からもう一つ質問。亜夢くんは、戦争という言葉を知ってる?」


 「知ってるよ。言い争いのことだろ」


 戦争は、激しい言い争いの例えとして使われる言葉だ。論争とも言う。


 「正確には、かつてこの地球上で繁栄を極めた古代文明の言葉よ。人間どうしが争い、殺し合ったの」


 「それって、テロリストのことじゃなくて?」


 「そんな散発的な暴力じゃない、国家間の大規模な殺し合い。老若男女の見境なく殺し合い、何千、何万という人命を奪い合った。相手が幼い子供だろうとおかまいなく焼き殺した。どう? そんな残酷な話、信じられないと思うけど、現実だったのよ」


 「現実だなんて、どうして、そんなこと……」


 「国家間のイデオロギーがどうのって理由はいくらでもこじつけられる。自らの欲のためこじつけたい人間もいたみたい。単純には、人間が増え過ぎたせい。亜夢くんにはイメージ出来ないって思うけど、この狭い地球上で人間の人口は百億人以上に達したの。生きるためには殺し合うしかなかったってことね」


 瑠奈は言葉を一旦区切り、俺の目をじっと覗き込んだ。


 「その殺し合いの道具として作られたのが私たち女神の原型、原初の女神」


 「それって……、まさか、鮎も……」


 「そういうこと。彼女は、原初の女神の血を色濃く継いでいる稀有な存在。まだ覚醒してないけどね。亜夢くんもその目で見たでしょ、召喚竜の姿。妖獣の大群を率いて、強大な魔術を行使し、戦場で殺戮の限りを尽くしたのが原初の女神ってわけ」


 理解が追い付かないまま、ただ呆然とするしかない俺を尻目に、瑠奈は語り続ける。


 「醜い戦争を避けて、月に逃れ住んだのが、月世界人。古代文明と同じ過ちを繰り返さないよう、彼らは、原初の女神の末裔を巫女や姫神として厳重な管理下に置いたってわけ。ガイアは、地球人を管理するための中継基地として地球の衛星軌道上に建造されたの。つまり、亜夢くんも毎日のようにその目で月による支配を目撃してるってことになるわね。そして、巫女はガイアと無数の人工衛星から月の声を受信しているの。亜夢くんがそうであったように共鳴増幅器を経由して」


 そう語りながら、瑠奈は服を脱いで、俺の前で全裸になっていた。


 「私の裸なんて、見飽きちゃったかしら。うふふ」


 瑠奈は、俺の手をとって、彼女の裸の乳房に被せた。


 「どうして私たち女の子だけが、女神になるのか、その理由は生物の細胞の中に住み着いているミトコンドリアっていう生き物のせいだけど、詳しい説明は抜き。今は、こうして私の肌を通して体で感じてみて」


 「女神の開発プロジェクトは、その生き物の改変から始まったの。当初の目的は、人類の夢だった不老不死の探求、それが次第にエスカレートして、電子回路が不要な生物兵器として戦争の道具にされてしまったのね。特に、人工知能が支配する機械化戦闘部隊に対抗するため」


 「一方、月に移り住んだのは平和主義者。彼らはクローン技術と生殖幹細胞を使って人為的に人口を持続可能にコントロールすることで、平和で安定した超長寿社会を築いたってわけ。詳しい説明は省くけど、子供を作るために性行為をする必要がないから、自然と性欲が減退した。月の男は女の子の裸なんか見ても全く興奮しないのよ。うふふ。体が正直な亜夢くんとは違うの」


 そう言って笑みを見せる瑠奈の乳房を俺は呆然自失のまま触ってその感触を確かめていた。普通の女の子の肌と同じ柔らかく心地良い感触だけど……


 「でも、有り余るほどの時間があるから、娯楽は欲しいってわけ。無理も無いわ。しょせん人間だから楽しみたいのよ。その娯楽のために作られたのが、私たち月の女神。一言で言うと、原初の女神の劣化クローン。戦う力なんか持ってないし、行使できる魔術もごく限られているの。ただし、男を求める性欲だけはしっかり持ってるけどね。うふふ。こうやって、亜夢くん自身、感じてるでしょ」


 瑠奈は目を細めて女の情感のある表情を見せた。呆然とした意識でその唇を奪ってしまいたくなる俺。


 「私たちの役割は、地球の男を召喚して使役すること。召喚獣としてね。淫獣とも呼ぶわ。月世界人にとって、地球の男は、女を見るだけで発情する面白い野獣なのよ。そして、召喚獣に女神を凌辱的に犯させるの。それが月世界の娯楽。人気エンターテインメントというわけ。残虐なプレーほど人気になるわ。もちろん、月世界人は見物するだけ。観劇感覚よ。最近では、女神の中身を引きずり出して、直接犯すプレーが流行みたい。どう? 亜夢くんも興味あるかしら?」


 「そんな、酷いこと……」


 呆然と瑠奈の乳房を揉みながらも、俺は首を横に振り、声を漏らした。


 「残虐だと思う? 普通の性行為に興味をそそられない月世界人には過度な刺激が必要なの。でも、古代人の残虐さにはとうてい及ばないわ。もちろん私は経験無いけど、先輩女神の話では、股間から裏返しに露出させられた内壁を直に握られながら子宮の中まで犯されるのって、凄いエクスタシーを感じちゃうらしいの。心配しなくても大丈夫。女神は不死身だから。たとえ腕の一本くらい落とされてもくっつくし三日もすれば、体は元通り。傷一つ残らない」


 不死身だなんて、さらっと言われても、もう驚くことすら出来ない俺。


 「一方、召喚獣も女神の体を使って受肉されるから、ほぼ不死身。でも、増え過ぎたら困るし、女神に飽きられて不要になったら、処理工場送り。好色家のお金持ちの食卓にのぼることもあるって話。だから、処理工場送りのことを出荷って呼んでるわ」


 「好色家って言うのは月では、召喚獣を偏愛する者のことを指すの。中には、女神の見よう見まねで、刺激を求めて召喚獣に犯されたがる女の子もいるそうね。次の日の食卓には性交の象徴が調理されて添えられていたりするわけ。前戯で口にもくわえたであろう肉体のぷにぷにした海綿体の輪切りや形そのままのお玉を翌日には食べちゃうなんて最高に刺激的でしょ。普通の性行為じゃ性的満足を得られない女の子もその食感に想像を巡らしながら犯されて興奮を覚えるらしいわ。見た目は虫も殺さなさそうな美少女だったりするけど怖いのよ。もちろんそうやって淫獣に犯されたがるのは女の子だけじゃない。男色家と呼ばれる男も多いそうよ。男に犯され、文字通り男を味わうわけ」


 そう語って、瑠奈は悲しそうなため息をついた。


 「どう? これが平和な理想郷を求めた月の世界の醜い現実。そして、月が地球に残った原初の女神の末裔を管理する理由。私は、召喚魔術に失敗して、色々あって、逃げ出して来ちゃった元女神」


 俺は、瑠奈の妖しげな視線を前に、彼女の蠱惑的な柔肌から手を放して一歩後に退いた。


 「正直なところ、私は、レジスタントの協力者ではあっても、味方じゃない。もちろん、使徒の味方でもないわよ。私は、亜夢くん個人の味方なの。ねえ、信じてくれるかしら? 私の想い」


 「どうして、瑠奈が、俺にそんなにこだわる理由なんてないだろ」


 「亜夢くんに執着する理由ってこと? うふふ。私のファーストキスを奪うが亜夢くんだってことで十分じゃないかしら?」


 そんなの理由になるはずない。そもそもキスなんてしてないし。俺は瑠奈の前で首を横にふった。


 「召喚術に失敗して地球に逃げて来た私の目的は、私好みの美少年を見つけて、私好みに育てること。それが亜夢くんだったの。育成ゲームみたいなもの。まだ育成途中だけど、ちょっとだけ味見しちゃいたくなったってわけ」


 「ゲームだなんて、馬鹿にしてるのか」


 俺は後ろに下がろうとして、体が麻痺して動かせないことに気付いた。そんな俺を嘲笑うような笑みを浮かべた瑠奈が歩み寄る。


 「亜夢くんのせいだよ。可愛い過ぎるんだもん。抵抗は無駄。言ったでしょ。月の女神は地球の男を使役出来るって。これは、簡単な催眠魔術」


 そう俺の耳元で言って、頬に舌を這わせた後、瑠奈は、俺の服を脱がせ始めた。


 全裸の瑠奈は、俺の股間の分身を両手で握った。


 「安心して。美嘉ちゃんには内緒にしてあげるから。くふふ。もちろん、こんなことバラされたくないよね」


 そう言って、俺の先端を口にくわえる瑠奈。俺は、全身が麻痺したまま体を動かすことも叫ぶことも出来ないが、瑠奈の暖かい体の中に入った生身の感覚だけはありありと感じることが出来た。瑠奈の口内と俺の粘膜どうしが擦れ滑り合いながら、舌でこねくり回される感触が俺の脳髄に直接響いてくる。反抗しようとする心とは裏腹に脳を甘く溶かされるような快感を感じてしまう。


 「やっぱり、美味しいわ。亜夢くんの象徴。美嘉ちゃんを嫉妬しちゃいそう。もっと味見したいところだけど、残念ながら時間が無いわね。今日は、ここまでにしといてあげる」


 瑠奈はそう言って立ち上がり口を手で拭った。俺は全身の痺れが引いていくのを感じた。


 「忘れないで。今日話した内容は絶対誰にもしゃべらないこと。それから、私には、これまで通り接するように。もちろん、撮影の仕事もこれまで通り。いいわね? 可愛い美嘉ちゃんを泣かせたくないでしょ」


 「分かったよ。あんたには、逆らえないってこと。ただ、これだけは言わせてくれ。エロ女神。俺をあんたのゲームの手駒だと思っているようだが、俺は、あんたの思い通りには動かない。俺は、俺の自由意思で動く。それが人間だ」


 「もちろん分かってるわ。せいぜい儚い夢のような時間を楽しみなさい。人間」


 「楽しむさ。それから、もう一つだけ教えてくれ。俺の妹、鮎はこれから先どうなるんだ。いや、あんたは鮎をどうしようとしている」


 「私にとって、鮎ちゃんは極めて貴重な研究観察対象なの。今は、それしか私には分からない。信じてもらえないとは思うけど、過去の悲劇を繰り返さないための研究。少なくとも、原初の女神の覚醒だけは全力で阻止するつもり。その点では、私と使徒の利害は一致しているの。でも、彼女を月の腐りきった手に委ねる気は全くない。彼らの信奉する永遠の理想郷なんて絵空事だから」


 「その言葉、信じてもいいんだな」


 「もちろん、信じるか信じないかは亜夢くん次第。今は、とりあえず、亜夢くんを彼女から遠ざけて様子見ってところ。だから言ったでしょ。美嘉ちゃんとの仲を応援してるって。あ、でも、亜夢くん、精力有り余って移り気だから、杏子や薫ちゃんの攻略ルートも意外な展開があって面白いかも。くふふ」


 結局、エロ女神はエロ女神ということか。面白ければそれでいいんだ。俺はそう理解した。勝手に俺をエロゲーの主人公だとでも思っているがいいさ。


 「ねえ、亜夢くん。杏子の裸、食い入るように見てたでしょ。エッチしたいって思ってんじゃない?」


 そんなルートないからね! たぶん……


次回:波乱の予感ーアイドルのつまみ食い


感想、コメントいただけましたら励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ