認識遮蔽領域展開―男の娘アイドルのアレの品定め
「マドくんの露天風呂ハーレム。うん。いい響きね。文字通り酒池肉林ってわけ。見目麗しい女体がこれだけ揃っていたら、マドくん、目移りしちゃってしょうがないわね。くふふ。わざと目のやり場に困ってるふりをするマドくん、可愛いわ。まあ、私の裸は見慣れてるから、新鮮さにちょっと欠けちゃうのが残念だけど」
エロ女神、頼むから、あることないこと言うのはやめてくれ。フォローのしようがないだろ。美嘉が俺のすぐ側で目くじらを立ててるんだけど……
「マドくんの次のお泊りデートのお相手、私でいいかしら? マドくんのマネージャーとして、体調管理も大切な仕事だから」
露天風呂の中で、女の子四人、俺を囲んで杏子がそんなことを言い出した。
「それは、駄目。次は、私の番だから」
真顔で平然とそんなことを言う薫。
「やるわね。薫。いつの間にそんな約束」と杏子。
俺、してませんけど。
「じゃあ、私は、その次、なんて冗談はさておいて。ずるいと思わない? マドくん。女の子四人、全員揃って裸なのに、マドくんの肝心な部分だけ、お湯の中でよく見えないのよね。私、マドくんのマネージャーとして、マドくんの男としての体の状態も把握する必要があると思うの。これも体調管理の一環よ」
と、無茶なこじつけをする杏子に、瑠奈が何か言いたそうな顔をしている。この話題は全力で避けなきゃ。心の中で焦る俺に構わず杏子は言葉を続ける。
「正直なところ、付いてるってだけで、こんなに可愛い女の子たちにチヤホヤされるのって、女の子も好きな私としてはやりきれない気分。今さら、人前には恥ずかしくて出せないモノだなんて言わないわよね。美嘉ちゃんには見せてるんでしょ? 私が品定めしてあげる。美嘉ちゃんがどんなモノで悦んでいるのか」と畳かける杏子。
「マド、見せるだけだったらいいよ。恥ずかしくなんかない物なんだから」と口車に乗せられてしまう美嘉。
いいのか? まあ、見せるだけだったら、いいってことか。本当にいいんだよな。俺は、その場で立ち上がり、斜め上空を向いている俺の分身を女たちの前に披露した。女たちの口から感嘆のため息が漏れる。
「思ってたよりずっと凄いわね。美嘉ちゃんが羨ましくなっちゃう」
そう言う杏子に何故かドヤ顔の美嘉。
「反り返った形も抜群で、女の子それぞれの秘密スポットをじっくり発掘出来そうだし、うん、硬さも申しぶんなし」
そう言いながら、俺の男の子を片手でぎゅっと握る杏子。
「杏子さん! 見るだけだって言ったでしょ!」と剣幕を顔に出す美嘉。
「ごめん。こんな立派な物を目の前に見せられるとさ。つい」
そう言いながら悪びれた様子も無い杏子。
「私も触りたい」と真顔で身を乗り出す薫。
「そろそろ午後の撮影の時間よ。ハーレムはここまで」
瑠奈がそう言って、俺に目配せした。助け舟のつもりか。まあ、助かるけどさ……
午後は暖炉の前の撮影から始まった。今度は、俺も上半身を脱いだ。下は、午前中と同じショートパンツ。撮影用のメイクはしているが、ほぼ男の子の姿だ。美嘉は午前中と同じ、ロングスカートに上半身裸のまま。豊満な乳房と色艶のある乳首を隠すこともせずカメラの前に立った。
二人並んでカメラ目線を向けた後、俺は、美嘉の横から腰に腕をまわして軽く抱き、彼女の横乳に唇をつけた。そして、両腕を頭の上に組み合わせている美嘉の脇までゆっくりと舌を這わせた後、美嘉の可憐な蕾を口にくわえてカメラ目線を向けた。今日初めて味わう美嘉の感触だと俺は思いながら俺は舌を使って口の中で小気味よく尖った美嘉の突端を転がしていた。
続いて、美嘉は、暖炉脇のレンガ壁に両手をついて、両足をぴんと伸ばしたまま、燃え盛る暖炉の火を背景に、胸が真下を向くように上半身を屈めた。お尻を後ろに突き出して男を誘うポーズだ。美嘉の乳房が重力に任せて垂れ下がり、すこぶる魅惑的な流線形のラインを描く。
俺は、美嘉の背後からスカートを捲り上げて、薄地のレース柄のショーツに包まれたお尻を露出させた。そして、彼女の長く美しい脚を腕に抱え、白い丈長のニーソックスの上端から上に露出している美嘉の太ももに唇を這わせる。さらに、美嘉のお尻を両手で抱えて薄布で覆われた股間に唇を軽く押し当てた。
美嘉の喘ぎ声が俺の耳を甘くくすぐる。彼女のお尻に顔を付けている俺の位置からは見えないが、美嘉はシナリオ通りカメラ目線を交えながら女の官能的な表情を見せているのだろう。
美嘉の事務所から全裸はNGとされているため、ショーツを脱がせることはない。俺はカメラに映らない美嘉の股間を濡らす泉の味覚を舌先で確かめた。そして、美嘉のお尻に顔を埋め、薄地のショーツの上から彼女の股間に入念に舌を這わせた。もちろんアドリブだ。美嘉は少し慌てたように腰をくねらせ、甘美な喘ぎ声のトーンを高めた。そんな美嘉を追い詰め、楽しむように、俺は、彼女のお尻に顔を深く埋め続けた。
恋人どうしの甘いお泊りデートの撮影は、衣装替えと休憩を挟みながら続いた。俺のメイクと衣装は男の子の姿に近づいていた。この半年間手入れを欠かさないショートカットの髪はそのままなので、鏡で見る姿は、男装の美少女のようにも見える。
撮影が続くに連れて、戯れのような俺の愛撫に、美嘉の表情はうっとりとした甘美な女の色を次第に濃くしていた。
休憩時間は俺たち二人言葉数少なく肌を寄せ合うことが多かった。互いの情感の高まりと今夜の契りへの思いを目で語り合いながら。
その一方、初日の撮影が終了する前、俺は、休憩中の隙を見計らい、瑠奈に伝えていた。話がある。後で時間を作ってくれ、と。
「それで、話って何? やっと、私を口説く気になったのかしら。だったら、大歓迎よ」
俺と瑠奈は、狭い個室で二人だけになっていた。美嘉は彼女のマネージャーとユニットの仕事スケジュールに関して打ち合わせ中だ。
「瑠奈に色々聞きたいことがあるんだ。一応言っとくけど、口説く気は全くない」
「そう。残念だわ」
瑠奈は、軽く肩を竦めて見せた。
「あんたのこと、俺たちのこと、月のこと、色々聞きたくなったんだ。そう言っても、はぐらかされることは分かっているけどな」
「はぐらかしたことなんて無いわ。ただ、あなたたちが答えを求めていないだけ。答えは、求める者にのみもたらされるの。それに、亜夢くんは女神にとって特別なのよ。くふふ」
「特別かどうかはおいて、俺の質問に真面目に答えてくれ。月の支配ってなんだ? 何故、俺の妹は月から追われている。そして、瑠奈がよく口に出すその女神ってなんだ。抽象的な意味じゃなくて、何か特別な意味があるのか?」
「もちろん、あるわよ。ところで、亜夢くん。月はいくつあるって思う?」
そう言って、意味深な笑みを浮かべる瑠奈。
「真面目に答えてくれって言っただろ。月は二つあるに決まってる。大きな女月と小さい男月」
「残念。不正解よ。本当の月は一つしかないわ。現在の地球人が男月って呼んでるのは、月じゃなくて超巨大核融合施設。人口天体ガイア。これから話すのはあなたたちの常識で理解出来る内容じゃないから、そのつもりでね。言葉半分も理解出来ないと思うけど気にしないで。私も亜夢くんに全て理解して欲しいなんて思ってない」
そこで瑠奈は言葉を区切って、俺の視線を確認するような目を向けた。
「なぜ月が地球人を管理しているのか説明するためには、まず過去の凄惨な戦争について話す必要がある。少し長くなるけどいいかしら」
「出来るだけ手短に頼むと言っても無理なんだよな」
瑠奈の冗長な比喩に慣れている俺はそう返した。
「そうね。じゃあ、話の前に、認識遮蔽領域を展開するから待って」
瑠奈はそう言って胸の前で手を組み合わせて目を閉じた。途端に彼女の体が内側から発光するように点滅し、ひと際明るい光を放った瞬間、俺は目が眩んだ。やはり、こいつ、人間じゃないと確信する俺はただ呆然とするしかなかった。
次回:月の女神と淫獣
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