温泉女子会ハーレム
午前中の撮影が終わり、お昼は、スタッフ全員、近くの仕出し料亭から届いたロケ弁を食べた。
「お昼の間も二人一緒なのね。お二人さん。こちらの席、いいかしら? それともお邪魔?」
杏子が、俺たちの席の向かいを指して、そう言った。
「もちろん、どうぞ」と、同時に言う美嘉と俺。
「見事なハモリもごちそうさま。まあ、おかげで撮影が順調に進んでいて何よりだわ」
そう言う杏子の隣の席に、メイクの薫が無言で座った。そして、無言のまま、そそくさとロケ弁を食べ始める。
そう、こういう子なんだ。俺はもう慣れていた。いまだに、薫の声を聞いたことはないが、言葉には正確に反応するので、聴覚障害とかでは無さそうだし、メイクアップの腕は確かだ。杏子も薫を気にする様子はない。いつの間にか影のようについてくるが触れることは出来ない。それが薫の距離感だ。
「午後の撮影まではだいぶ時間があるわね。だからと言って、羽目を外したりしちゃだめよ。まだ撮影が残ってるんだから。なんて、私が言っても説得力無いわね。二人を見てたら、私も男が欲しくなってきちゃった。この仕事が終わったら、男漁りに行って思い切り羽目を外そうかな」
そんな杏子の男談義を聞きながら、昼食は終わった。
「ねえ、マド。温泉が湧いてるっていう露天風呂行ってみようよ。まだ、昼間だし、きっと誰も使ってないよ」
昼間から俺の理性と羽目を思い切り外してしまいそうな美嘉の提案。
俺は美嘉に引っ張られように歩きながら、瑠奈と会って話をしたくなった。
いつも妙に見透かしたようなことを言う月から来たという自称元女神。俺たちは好むと好まざるに関わらず瑠奈の手駒になって動いている。瑠奈が俺たちをどこに導こうとしているのか、どんな未来のシナリオを描いているのか、問い正したくなったのだ。
杏子が暗に忠告しているように、美嘉と俺は相手に依存し過ぎている。かつては優に依存する女を演じ、今では俺に依存する女を演じる。それが美嘉だ。人目もはばからず、天真爛漫に男を求める天女のような美少女。優は彼女を突き放し、俺は彼女を受け入れた。ここで、疑問が湧き起こる。美嘉に優しい選択をしたのは、どっちだったのか。無論、俺だと信じたい。
あのエロ女神はその答えを握っているかもしれない。
別荘の敷地内にある露天風呂へと続く脱衣所と洗い場で美嘉はためらうことなく服を脱いだ。胸だけを手で隠し白日の下で恥ずかしいそうな笑みを見せる美嘉の一糸まとわぬ全裸を目の前に、俺は、今すぐ押し倒してしまいたくなる衝動をこらえるのに苦労した。
女子会の夜に初めて見た時に比べて、滑らかな腰つきとお尻のラインの艶っぽさが増したように思える。すでに大人の色気をまとった美少女の体つきだ。小気味良くびれた腰からおへそ回りのお腹の女の子らしい肉付きも絶妙な陰影を描いている。引き戸の隙間から吹き込む風が運ぶ温泉の匂いに混ざり、美嘉の女の子の芳香がいやが上にも俺の男としての鼻腔をくすぐっている。
「マドってば、わたしの裸見るの初めてじゃないくせに、そんないやらしい目でじっと見られたら、わたしまで恥ずかしくなっちゃうじゃない。さあ、早く、マドも脱いで、一緒に温泉、楽しんじゃお。ほら、外は眺めもすごく良さそうだよ」
撮影用のメイクを落とさないよう気を付けて軽くシャワーだけ使い、カラカラと引き戸を開けると冷たい外気に身が引き締まる思いだった。石畳の上を急ぎ足で歩く二人揃って生まれたままの姿の美嘉と俺の上には澄み切った早春の青空が広がっていた。露天風呂の周りは板塀で囲まれていて雪原は見えないが、雪山の絶景は遮る物なく見渡せる。
雄大な自然の景色に圧倒されたかのように、二人とも口数少なく、湯気を浴びながら並んで湯に浸かり、冷えた体を温めた。もちろん、美嘉と俺、ぴったり肩を寄せ合って。
「気持ちいい! 最高ね。心が洗われるようだわ。ねえ、マド」
「うん。俺も」
そう言いながら、俺は、湯の中で美嘉の裸の太ももの上に手を置いた。そして、美嘉の股間にまで滑り込ませようとした俺の手を、美嘉は片手で握って止めた。彼女のもう一方の手は乳房を隠したままだ。
「それは、夜までおあずけだよ。ねえ、マド。わたし、この撮影の仕事を受けて良かったと思ってる。もちろん、マドとこうして一緒だからだよ。企画したのがあのちんちくりんだってことは癪だし、変にいやらしい設定でマド以外の男にわたしの裸を見らちゃうのも本当は嫌なんだけどね」
そう言う美嘉の隣で、俺は、撮影時に両手の自由を奪われ、髪と共に裸の生乳房を振り乱していた美嘉の鬼気迫る演技を思い出していた。あのシーン、どんな写真に仕上がるのか、見るのが楽しみでありながら、見られるのが妬ましくもある。瑠奈の指示した官能的なシーンだ。そんな姿を写真表現として大衆の前に曝け出すことはこの仕事を引き受ける上で暗黙の了解だと分かってはいるが……
その時、脱衣場の引き戸がカラカラと開く音がした。誰か来たようだ。瑠奈? それとも、杏子? そろそろ現れるころだと思っていた。俺たち二人をこのまま放っておいてくれるはずがない。
湯けむりの向こう側に現れたのは、見知らぬ女の子の裸だった。それが薫だということを理解するのに俺はしばらくの間を要した。彼女のそんな姿を見るのは初めてだし、こんな状況でそれを見ることになるとは思ってもみなかった。
薫は、全裸で、前を隠すこともなく、すたすたと歩いて来た。早春の逆光の中で見る薫の裸体が俺の脳裏に焼き付いてしまった。着痩せするタイプなのだろう。小柄でありながら、胸とお尻の女の子らしい柔かい肉付きをしっかり主張している体だった。
薫は例によって一言も発することなく、露天風呂の中に胸から下を沈め、まるで楽屋で出会ったかのような平然とした表情で俺と美嘉を見ている。真近で見る薫の乳房は、お椀を伏せたような形の綺麗な形で、しっかり丸い下乳の半分ほどが湯に浸かっている。小気味良く尖った先端にはこんがり日焼けした肌のような美味しそうな色が乗っていて、白い肌とのコントラストが目に鮮やかだ。
美嘉は、もう胸を隠そうとはせず、繋ぎ止めるかのように俺の片腕を両手で抱いて、俺の体に生乳房を押し付けている。そして、威嚇するような視線を薫に向けていた。
「マドのメイクが心配できた」
それは俺が初めて聞く薫の声だった。
「顔を湯に浸けないで。それだけ」
ただ、それを注意するために、男の前に全裸を晒すのか、この子。まあ、露天風呂だから、裸になるのは当たり前で、薫にとってはそれが礼儀のようなものなのかしら。それとも、薫にとっては、俺はあくまでメイクで飾り付ける女の子なのだろうか。男として見ていないので警戒する必要ないと?
美嘉に抱き付かれたまま、薫への対応に困っている俺は、また、カラカラと引き戸が開く音を聞いた。今度は誰だ? もう誰であっても驚かないと思う。
それは、杏子と瑠奈だった。二人揃ってこれまた全裸でお出ましだ。
「うふっ。裸で温泉女子会ってことね。それとも、マドくんにとっては、露天風呂ハーレムかしら。薫ちゃんもずいぶん積極的にアタックするのね。意外だわ」
杏子、頼むから、話をややこしくしないでくれ。
俺は、そう思いながらも目の前に見上げる杏子の見事な裸体にも目を奪われてしまった。
杏子が赤裸々に語る男遊びとセックスで磨き上げられたのであろう引き締まった肉体は、女体の完成形に近いと思った。胸を覆う大きな乳房は男の愛で醸成されたような迫力があり、大きさのあまりの自重にも崩れることなく魅惑的な丸い形を保つ絶妙なバランスで、くっきり丸い乳首を先端にちょこんと乗せている。無心で顔を埋めたくなる胸だ。杏子を馬乗りにさせ、セックスしながら下から見上げる男は、眼前でたわわに揺れる乳房の迫力に興奮することだろうなどと、そんな状況を妄想してしまう。俺、そんな事したことないけど……
杏子の股間にこんもり茂る恥毛も触り心地良さそうで、その中から女性の形がくっきりはみ出している。幾人もの男や女の情熱的な愛撫を包み込みながら神秘性を失わず、杏子自身の純潔さを守り続ける防壁。そんな雰囲気を醸し出している。
ヒップラインもしっかりシェープアップされている。秘められた中身の締まり具合も良さそうだなどと思ってしまう。純粋にセックスを楽しみたいと思わせる体だ。
次回:認識遮蔽領域展開―男の娘アイドルのアレの品定め
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