愛し合う指先と自由恋愛主義者
美嘉のセカンド写真集お泊りデートのロケ地は、山に囲まれた別荘地だった。車での移動中も、後部座席で俺と美嘉はぴったりくっついて座り、車窓の外を流れる雪山の景色を一緒にながめていた。
「露天風呂に温泉が湧いてるんだって。うふふ。マド、もうエッチなこと考えてるでしょ。ほんと、エッチなんだから。顔にそう書いてあるんだからね」
「当然だろ。美嘉が好きなんだから」
俺の部屋で抱き合って夜を明かしたあの日以来、美嘉と会うのは互いの仕事の都合上初めてだった。と言っても、まだ一週間も経っていないけど、俺はもう美嘉の肌が恋しくなっていたのだ。美嘉と繋がっていない分身が自分の物ではないように思えてしまう。
俺は美嘉の膝の上に置いていた手を彼女の内太ももにまで滑り込ませて、ミニスカートの中の柔肌の感触を確認した。
「そこのお二人さん。じゃれ合うのは、仕事の後にしてよ」
助手席から杏子が振り向いて、そう言った。彼女は俺のマネージャーとしてついてきたのだ。
「ほんと、お熱いったらありゃしない。ま、二人を引き合わせたのは私なんだけど、こんな仲になっちゃうなんて思ってもなかったわ。妬けちゃうわね。私も、可愛い女の子か男の子をつかまえたいな」
「そんなこと言ってたら、礼奈さんに言いつけちゃいますよ。杏子さん」と美嘉。
「私は、自由恋愛なの。誰かに縛られるなんてまっぴらよ。礼奈とは体の相性がいいだけ」
そんな明け透けな女子トーク?が交わされる社内。相変わらず女の子の姿のままの俺も、もう、肩身が狭い思いはしていなかった。男として美嘉を抱いたことで、俺は、吹っ切れていた。どんな形でも、美嘉と一緒にいられるならそれでいい。限りある時間を共に過ごしたい。それだけだ。
俺の手は、美嘉の太ももの間を奥へと割り込み、指先は彼女の絶対領域のその奥に触れていた。美嘉は、俺の座席側の窓の外の景色に顔を向けなが、横目で俺の顔を見て、視線を絡み付かせてくる。
今キスをしたら、キスだけじゃ済まないと思う。それでもいいけど、杏子の酒の話のネタにされちゃうよな。
そう思いながらも、俺の指は美嘉のショーツの中に潜り込んで、彼女の温もりの中で指先に茂みと湿った柔肌の感触を味わっていた。美嘉は、無言のまま下唇を噛んで睨むような視線を俺に絡み付かせた。その瞳はすっかり潤んで、車窓の光を妖しく反射している。
助手席の杏子も無言で真っ直ぐ前を向いているが、後部座席の微かな音も聞き逃すまいと聞き耳を立てているのは確かだ。
俺は、指先の感触だけで、美嘉の花弁に包まれた中身をかき分けた。そして、指先が溶け入るように美嘉の泉に沈み込む。そのさらに奥の深淵に侵入しようとした所で、美嘉が俺の手を握って止めた。そして、軽く首を横に振った。
「今はダメ。お仕事の前だから」
ごく小さな声でそう言う美嘉。俺は、軽くうなずいて、手を美嘉の内太ももに戻した。
車は、峠道に差し掛かり、除雪済みの道路以外一面の雪景色になった。小春日和の快晴の空の下、澄み切った青色と白い雪のコントラストが綺麗だ。聖都ではほとんど見ることのない雪景色に、俺たちは息を飲んだ。俺の座席側の車窓をぴったり体をくっつけて見ていた美嘉が、俺の唇に唇を重ねた。いつもの軽い挨拶代わりのようなキスだ。
「マドのエッチ、凄いんだもん。ほら、あの夜。マドのエッチで、わたし、しばらく体が動かせないほどだったんだよ。それなのに、マドってば、すぐにまたエッチ始めちゃうんだから。わたし、いっちゃい過ぎて、狂っちゃいそうだった」
「だから、本気エッチだって言っただろ」
「本気にも程があるよ。うふふ。でも、また本気出しちゃうんでしょ。今夜」
「もちろん」
「お二人さん。聞こえてるよ」と前を向いたままの杏子。
「いいんです。また、後で杏子さんと礼奈さんのおのろけも聞いてあげますから」
「私は、自由恋愛だって言ったでしょ。セックスする相手はちゃんと選ぶけど、相手に深入りも依存もしないようにしてるの。でも、羨ましくなっちゃうんだよね。いちゃついてる二人を見てると。それに、私、これでもマドくんのマネージャーだから。一言、言いたくなっただけ。もちろん、邪魔する気はないよ。そんなの無駄だもん」
「杏子さんは、その、男の人ともすることあるんですか? セックス」と美嘉。
「あるよ。たまにだけど、男が欲しくてどうしようもなくなることがある。そういう時にいい男に出会っちゃったりすると、私から積極的に誘ってでもやっちゃう。礼奈は女にしか興味が無い真正レズだけど、私は、男でも女でもいける口。でも、決まった相手はいない。何度か一緒に寝てる腐れ縁みたいな男はいるけど、彼、妻子持ちなんだ」
「え? その話、聞いてもいいですか? 不倫ですよね?」と身を乗り出す美嘉。
「彼はそう思ってるみたいだけど、私は、全くその気がない。偶然波長が合っちゃうだけ。でも、彼と飲み明かしながら朝までエッチしてたこともある。酔ってる上に散々感じさせられて、半分も憶えてなかったりするけど。うふっ。朝起きて、ベッドの周りに散らばった中身入りのコンドームの数を見て唖然としたよ。全部手のひらに乗せてみたら、ずっしり重さを感じて、こいつすげえなって思った」
「うん。すごいです。羨ましいかも。愛の重さですよね。それって。そんな話を聞いたら、わたしもしたくなっちゃう。不倫って、い、今のは冗談だからね。マド。本気にしないで」
そう言って、俺の方に振り向きざま軽く唇を重ねる美嘉。冗談に聞こえなかったのが、怖いんですけど。
そんな話で盛り上がったりしながら、車はロケ地の別荘に到着した。
次回:命短し恋せよ乙女ーお泊りデート
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