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禁則事項―俺の本気エッチ

 二人共に体を拭いて、互いの髪を丁寧に乾かし合う。そして、湯上りの火照った体で、二人揃って寝室のベッドの上にダイブした。ベッドの上は撮影で使った花が散乱したままだ。二人共に体じゅうに花びらをまとい付かせたまま、ベッドの上を転がるように抱き合い、キスを交わし合う。戯れ合いながらも、俺は今度ははっきり男として美嘉の体を求め始めていた。


 俺の唇は、股間の茂みの膨らみにまで下りて、柔らかい生え際に沿って舌を這わせた。美嘉の茂みは柔らかく程よく縮れた毛で口に含むと舌先に心地良い感触がある。股間の生え際から太ももの内側まで舌を這わせた後、美嘉の右足を俺の肩に担ぎ上げ、綺麗な脚線美を描く太ももからふくらはぎまで舌先を走らせた。美嘉はすでにかなり敏感になっているのだろう。俺の愛撫ひとつひとつに甘い喘ぎ声で応えて全身をぴくつかせる。反応をじっくり楽しみたい体だ。


 「ねえ、マドってば、ちょっと、意外……」


 「意外って何が?」


 「だって、女の子の扱いに、慣れてそうなんだもん。今まで、何人の女の子と、エッチしたのかなって……」


 「……、一人だよ」


 「マドの大切な人?」


 「美嘉。実は、俺、妹がいて……」


 その時、俺の耳にピーっと警告音のような音が鳴り響いた。


 「ちょっと、待って、マドくん! その話題は避けて。禁則事項よ」


 瑠奈の声だ。まさか、この部屋にいるのか? 帰ったとみせかけて……


 俺が慌てて辺りを見回していると、また瑠奈の声がはっきり耳元で聞こえた。


 「この通話は、マドくんの骨伝導スピーカーを使ってるの。美嘉ちゃんには聞こえないから安心して」


 安心しろって、何をどう安心するんだ。いきなり、エロ女神の声が聞こえるんだぞ。


 「私、その部屋にいないの。中継器を置いているだけだから。美嘉ちゃんには怪しまれないようにして。それから、鮎ちゃんの話題は禁則事項。分かった? なんとか誤魔化して。じゃあ、それだけだから、後はゆっくり楽しんで。くふふ」


 俺、監視されてるのか? あのエロ女神に。まあ、今に始まったことじゃない。薄々気付いてはいたことだ。


 「どうしたの? マド。急に様子が変よ。マドの妹がどうしたの?」


 美嘉の声に、俺は我に帰った。


 「ううん。なんでもない。その……、俺を兄のように慕う女の子がいたんだ。その子が俺の大切な女の子ってわけ。詳しい事情は話せないけど、ある有力者の娘で、親が決めた御曹司の許嫁にされて……。俺、その子と駆け落ちしたんだ。しばらくの間、一緒に隠れて逃げ回ったけど、離れ離れになってしまった。女の子の姿は俺の変装だったんだ。変装がいつの間にか癖になって普段の姿になってたけど……」


 って、これでいいんだよな! エロ女神。


 美嘉に嘘をつきたくないけど、彼女を巻き込むわけにはいかないんだ。改めて俺は思い知らされた。俺の立場を。男に戻るだなんて、軽率だったのかな。でも、俺、もう美嘉を好きになってしまった。いまさら後戻りなんて出来ない……


 「ごめん。なんだか、わたし、言い難いことを言わせちゃったみたいだね。マドに」


 そう言いながら、美嘉は、上半身を起こして、俺の耳に口を近付けた。


 「マドって、嘘をつくのが下手ね」


 美嘉は、そう言って、俺の耳をペロッと舐めた。


 「うふふ。マドの男の子は正直だよ。今、すっかりしょげちゃってるでしょ。マド」


 美嘉は、元気を失くしている俺の分身を両手で握った。


 「マドには人に言えない事情があるのは知ってるし、わたし、それも覚悟の上だから。あの夜。わたしの膝の上で子供のように泣くマドを見ながら、わたし、決めたの。マドを信じるって。だから、元気を出して。朝までわたしとエッチするんでしょ? うふふ。本当はね、わたし、すごく期待してるんだよ。マドの朝までエッチ」


 「マドの男の子、わたしが元気にしてあげるね」


 美嘉は、だらしない姿を晒している俺の分身を両手で握って口にくわえた。美嘉の唇と舌の愛撫に、俺の分身は彼女の口の中ですぐに元気を取り戻した。硬く反り返ったそれを美嘉は舐め続けた。上目遣いに俺の顔を見上げながら。


 やっぱり、この子、超絶的に可愛すぎる。トップアイドルだから可愛いのは当然だけど、その美嘉に、こんなことまでさせるのは男冥利に尽きるというものだ。


 俺は、美嘉の体をベッドの上に仰向けに押し倒した。


 「美嘉。見せてやるよ。俺の本気エッチ」


 惚れた女を本気で愛する。それが男だ。好きだから抱く。それ以外の理由も理屈もいらない。


 「美嘉は、俺が惚れた俺の女だ」


 誰が何と言おうと、どこで聞き耳を立てていようと構わない。誰にも邪魔させない。


 「うんっ! きて! マド!」


 俺は、怒張した分身を美嘉の股間にあてがうやいなや腰を突き出した。


 「ヴああああっつ! きたあっ!」


 美嘉は俺の体の下で、狂ったように頭を振って髪をなびかせた。その彼女の顔を俺は両手で押さえ付け、唇を奪った。


 激しく舌を絡ませ合うキスと共に、俺は腰を前後左右に振り始めた。


 美嘉は、大きく目を見開いて懸命に何かを叫ぼうとしているが、唇を塞がれているため声にならない。俺、今、美嘉と繋がっているんだ。肉体的に初めて繋がる体験に骨が震えるようだ。今はただ、一つの肉体に溶け合うように互いを求め合うだけ。それが、俺がこの世界に存在するただ一つの理由に感じられた。


 「美嘉、感じるかっ! これが、俺だ! 俺の愛だ!」


 美嘉は、俺の背中にしがみつき、喘ぎ声とも叫びともつかない甘く切なく尾を引く声を上げるだけだ。俺は、美嘉の裸体をベッドごと激しく揺らし続ける。俺たち二人は、刹那的な命の灯を激しく燃やし合っていた。


 本能に促されるまま愛し合い、俺は半ば上体を起こし、互いに指を絡ませて美嘉と手を握り合った。美嘉は狂ったような喘ぎ声を響かせていた。握り合った手と膝を支点に、俺の腰は、深く素早い反復を繰り返す。互いの汗が玉となって飛び散る。美嘉の胸の上の乳房が転がるような勢いで前後に激しく揺れ動いている。美嘉のひと際高く響き渡る悲鳴を聞きながら、俺は低い呻き声と共に背中を仰け反らせた。そして、全身の筋肉をびくびくと震わせる。生命を紡ぐ律動を美嘉の中に刻み込みながら、脳が震えるような快感に俺は放心状態だった。



 「ねえ、マド。今夜だけだからね。こんなにいっぱいエッチするの」


 無我夢中のまま続けざまに三度愛し合い、美嘉の中で心地良い気怠さを感じている俺の耳元でそんな彼女の上ずった声が響いた。


 「うん……?」


 「今日以降は、ちゃんと、中三日以上開けてエッチするの。そうじゃないと、せっかくの子種が薄まって赤ちゃん出来難くなっちゃうんだって」


 まるで子作りに励む新妻のようなことを言い出した自称清純派アイドルは、汗に濡れた顔にはにかむような眩しい笑みを浮かべた。


次回:愛し合う指先と自由恋愛主義者


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