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アイドルの修羅場?

 俺は、相変わらず冷たい視線の美嘉の態度に当惑していた。当惑しながらも、例の写真で披露されたショーツ一枚の安城美嘉のトップレスヌードの艶姿が目に浮かんでしまう。当の本人が目の前にいるのだ。その子に、俺、凄い剣幕で睨み付けられてるんだけど。


 手のひらで隠された美嘉の乳房の綺麗な横乳の映像がフラッシュバックしてしまい、俺は、思わず、彼女の胸の豊かな膨らみをガン見していた。


 「いきなり修羅場? まだ早いよ、お二人さん」


 助け舟なんだか、ちゃちゃを入れてるんだか、よく分からない礼奈。酔ってるんだから仕方ない。


 「私、マドくんのマネージャーだからって、マドくんの肩を持つわけじゃないけど、マドくんにも色々事情があるんでしょ」と杏子あんず


 話をややこしくしないで下さい! 事情なんか……、あるかも。それも、かなり、ヤバいやつが。


 「待て、杏子! まだ脱ぐのは早いぞ」と礼奈。


 「脱がないわよ! 失礼ね。ほら、マドくんが困ってるじゃない。困ってるマドくんも可愛いけど。うふっ。見たい?」


 「気にしないで。マド。知ってる? あの二人、出来上がっちゃってるんだよ」


 美嘉が、俺に耳打ちするようにそう言った。まるで、内緒話みたいに。ってか、顔がかなり近い。美嘉のふんわり柔らかい髪が俺の頬に触れている。あんなに敵意丸出しのまま?


 「うん」


 亜里沙の酔い潰れた姿を見慣れている俺は、ただ、そううなずいた。


 「レズビアンなのあの二人」


 そっちの話かい!


 「この業界、その手のカップル、多いでしょ。女子会だなんて言って、ああやってじゃれ合うお披露目の場なの。そのうち、二人で寝室に消えちゃうから見てて。その後で、マドとわたしだけで話をつけましょ。いいわね」


 冷たい口調のままそう言い放つ美嘉。それなのに、耳打ちする距離のまま、俺の体にぴったりくっ付いている。女の子どうしの距離感としてはありなのかもしれないけど……


 意識しているのか、してないのか、美嘉の胸が俺の腕に触れている。あの横乳の美しい胸だ。写真で見るだけでも重量感のある大きく美しい乳房だった。初めて人前で脱いだことを恥じらう様子もなく、凛とした美嘉の表情が印象的だった。礼奈が言っていた通り、微妙に見えそうで見えない先端を手のひらだけで隠していた。陰影によって乳房の柔らかな丸みが強調され、乳輪の縁が微かに映っているようにも見える。そして、布面積が狭くて肌が透けるような薄地のショーツだけを纏った滑らかなお尻とボディラインが美嘉の小悪魔的な魅力を際立たせ、全裸よりも妖艶な姿に仕立て上げていた。


 うん。安城美嘉の半裸の姿が頭にこびり付いて離れない。こんな状況では仕方ないよね。当の本人がぴったりくっ付いてるんだもん。吐息を頬に感じる距離で。


 やがて、美嘉の言う通り、杏子と礼奈は口々に何か言い合いながら、部屋から出て行った。



 「まず、はっきりさせておくけど。わたしは、優のものなの。誤解しないで」


 二人きりになると、美嘉は冷たい口調のままいきなりそう言った。何をどう誤解するのかしないのか、対象が多過ぎるような……


 「それから、確かめたいことがあるんだけど」


 更にそう言うなり、美嘉は、素早く手を伸ばして、いきなり俺のまたぐらを掴んでいた。


 「びっくりした。マド。あなた、本物の男の子なのね。女の子が男の娘のふりをしているのかと思ってた。人気集めのために」


 すぐに手を離して、目を丸くしている美嘉。


 いや、びっくりするのは、俺の方だからね。いきなり握られて。


 「だったら、話は早いわ。マド、すぐに優と別れて。男のあなたが優に近づかないで」


 「ちょっと、待って。早いもなにも、俺、優と付き合ってなんかないから」


 「嘘。優は、わたしの目の前ではっきり言ったのよ。マド、あなたのことが好きだって」


 「それは、担当アイドルとしてってことじゃないかな。ほら、俺、こんな格好してるけど、男だし」


 「じゃあ、どうして、優がわたしのことを拒むのよ。わたし、優に、わたしの全てを捧げたのよ。そんなわたしを拒むわけないじゃない」


 俺は、優に同情してしまった。後腐れどころじゃなく、この子、相当面倒くさい。とにかく、思い込みが激しい。でも、そんな美嘉に手を出したのは優だ。自業自得ということだろう。優が、俺の正体を知っているということは別問題として、出来るだけ関わり合いを避けるべきだと思った。


 「ねえ、マド。あなた、男なら、優の気持ち分かるんじゃない?」


 「うん。まあ、男として分かる部分もあると思う」


 「わたしのこと、アイドルとしてではなく、女として、どう思う? 凄く可愛いとか、魅力的だとかそんな分かりきったことじゃなくって。わたし、容姿には自信があるから」


 って言い切っちゃってるよこの子。まあ、100%事実だけど。


 「女の子として魅力的だと思われるだけじゃ物足りないってこと?」と俺。


 「そうじゃなくって、優は、わたしを女として抱いたの。それって、どういうことだったのか、知りたいの。男の人って、女の子を抱いたら、満足するはずでしょ。そのために抱くんだから」


 「もちろん、満足すると思うけど……」


 「けど?」


 「満足の程度は人それぞれだし」


 俺は、男の満足は一時的なものと続けようとして止めた。


 「優、わたしの体に満足出来なかったのかな? 何かが足りなかったの? 言っとくけど、ちゃんと最後まで行ったんだからね。その……、意味分かるでしょ?」


 「うん。満足出来なかったってことはないと思う」


 言い寄る女の子を抱いて一時的に男としての性欲を発散した。優がそう語った言葉の意味を美嘉に説明するのは、あまりに酷過ぎる。優、あんた、罪作りなんだよ。


 「ねえ、マド。あなた、女の子を抱きたいって思ったこと本当にあるの?」


 「もちろん。俺、男だし」


 「じゃあ、わたしの裸を見てどう思った?」


 「え?」


 「見たんでしょ。あの写真。あれ見て、わたしを抱きたいって思った?」


 「うん。まあ、でも、写真は写真だから」


 「じゃあ、実物はどう? マドの目の前にいるでしょ」


 「……」


 「わたし、決めたの。優から、マド、あなたを奪ってやるって」


 そう言うなり、美嘉は、俺の手を強引にとって、彼女の胸に持っていった。


 「わたし、知ってるんだからね。マドが、わたしの胸をいやらしい目で見てたこと。杏子さんと礼奈さんは、今頃ベッドで散々エッチなことして楽しんでるんだよ。わたしたちも遊んじゃおう」


 それは男にとって抗うことの出来ない感触だ。俺は、安城美嘉のトップレス写真の妖艶な乳房を頭の中で反芻しながら、その感触を直に手のひらで味わっていた。思った通り、服の上からでも、重量感のある豊かな揉み心地を感じられる。


 待て! 俺。このまま男の本能に引きずられると、優の二の舞になってしまう。凄く可愛いけど、面倒くさい女なんだぞ。なんとか逃げろ。後戻り出来るうちに。まあ、無理だと思うけど。


次回:わたしの体、マドを待ってるんだよ


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