MN1 ファイル20220330
ーEMI 空軍管轄第二格納庫ー
ミロシアはまた父の遺骨が入った箱を持ってやってきた
整備兵「・・・来たか」
ミロシアは浅くお辞儀をする
ミロシア「整備は完了したとのことですが」
整備兵「ああ、だがそう長くは飛べない 1時間はかかる ちょっと待ってろ 今引っ張ってくる」
整備兵は機体を滑走路へ持ってくる為に奥へ去った
ミロシア「ありがとうございます!」
ミロシアは父のペンダントを見て、昔の思い出に更けていた・・・
ー28年前 彼はシャン・ド・ウォールにて産まれた
ハングルヒップ「ミロシアか・・・・いい名前じゃないか」
ハングルヒップの妻「ええ、北東神話の伝説の剣士から名前をとりました。将来立派な子になることを願って・・・」
ハングルヒップはミロシアを抱き抱え、おでことおでこをくっつける
ハングルヒップ「そうなることを私も願おう」
ーミロシアは待機のため格納庫のベンチに座っていた
レイ「・・・よっ」
ミロシア「・・・隊長 お疲れ様です」
立ち上がりレイに敬礼する
レイはミロシアに座れ座れと促しながら隣に座った
レイ「・・・それは、君の父さんの?」
ミロシア「はい、今となってはあの光景も懐かしいというか」
レイ「・・・聞かせてくれないか?父さんのこと」
ミロシア「え?」
ミロシアは少し驚いた表情をしていた
レイ「君の父さんとは まあまあ面識があったしよく話もしていた だからこそ、もっと知りたい」
ミロシア「・・・はい。」
——————
「1歳の頃 すでに僕は父さんから航空機の知識を叩き込まれていました。」
ハングルヒップ「どうだミロシア かっこいいだろう?」
飛行機の模型を見せる
ミロシア「あ・・・・あ・・・・」
ハングルヒップの妻「あなた、ミロシアはまだ一歳ですよ」
ハングルヒップ「子供はこう言うものにすぐ興味を持つぞ ほら」
ミロシアは飛行機で遊んでいた
ハングルヒップの妻「あらあ・・・」
ハングルヒップ「大人になったらかっこいい戦闘機乗りにしてやるぞ!」
ヨシヨシをする ハングルヒップなりの息子への愛情だった
「ただ、7歳の頃父と母は離婚して、僕は父の方へつきました」
ハングルヒップとミロシアは妻なき家で寂しく暮らしていた
ハングルヒップは戦闘機で遊んでいるミロシアをじっと見つめていた
ハングルヒップ「ミロシア」
ミロシア「ん?」
ハングルヒップの方を見る
気がついたら抱きしめられていた 優しく 父の温かみが伝わる
ハングルヒップ「すまない・・・・すまない!」
ミロシア「・・・?」
「当時の僕はわからなかったんですがおそらくその時父は、泣いてました」
レイ「辛かったな・・・それは・・・・」
ミロシアはコクっと頷きながら語り続ける
「当時父はシャン・ド・ウォールの海兵隊を退役し、EMIに入っていました。レイさんってその時・・・」
レイ「まだ入ってなかったな 俺がここにきたのは3年前だ」
ミロシアは納得してまた話し始める
「僕のために稼いでくれてたんだと思うと・・・本当に・・・・」
涙が込み上げてくる
レイ「1年前だな。何か自分にあったらお前を頼んだと君の父に言われたんだ」
ミロシア「・・・え?」
驚いていた。風は少し温かった
レイ「そしてあの日を迎えたわけだ・・・今でも思う あれ、夢じゃなかったのかって・・・」
深々と座り込んだ
レイ「・・・・全ては俺の判断ミスだったんだ。すまない」
ミロシア「・・・もういいんです。」
立ち上がった
ミロシア「思い出したんです。父の言った言葉」
そしてレイの顔を真っ直ぐ見た
ミロシア「飛行機は前にしか飛べないんだ。後ろを向くなって!」
レイ「・・・だがそれでもだ」
レイは言葉に詰まった。
レイ「いや、そうかもしれないな。」
フッと笑った
整備兵が何やら申し訳なさそうな顔で歩いてくる
整備兵「・・・ほんとすまねえ」
ミロシア「何か問題が?」
整備兵「まだ整備できてないところあった・・・」
ミロシアとレイは目を見合わせた
ミロシア「大丈夫ですよ。どのくらいでできますか?」
ミロシアは水を飲んだ。
整備兵「・・・2日」
ミロシアはぶふっと吹き出す
ミロシア「2、2日!?2日もかかるんです!?」
レイ「そんな欠陥があったのか?」
整備兵「先客がいるんだ。第二航空大隊 テロ鎮圧作戦に回してた奴らがかなり損害を負ってな・・・すまねえ」
レイ「本来ならどのくらいで?」
整備兵「・・・4時間」
ミロシアはふっと笑った
ミロシア「大丈夫ですよ。また来ますから」
整備兵「今度なんか奢るから、許してくれ」
ミロシア「いやいやいや!そんな、悪いですよ!」
3人は格納庫にて笑い合った。夕日は沈みかけていたが、EMIの“社員“達の生活は終わらない
———トリスカ帝国エ・ピルモ市 都市裁判所———
第一審。レオの担当医は裁判にかけられた
裁判長「被告人は、20年の懲役。」
医師は頭を証言台に打ちつけた。頭が腫れるが、それより顔が赤かった
医師「なぜだあ!なぜだ!なぜだ!なぜだ!」
裁判長「医師としての責任を放棄し、金欲しさにわざと完治させないのは 医師として失格です」
医師「まだ・・・負けてない・・・・二審で勝負だあ!絶対にー」
そう言ってる途中で口を刑務官に塞がれた
刑務官「黙れ!」
裁判長「・・・最後に被害者から何かあれば」
リグはたち上がった
リグ「・・・今回のことは許されません。前例ももちろん きちんと裁きを受け、戻ってくることを願います」
裁判長「・・・では、これにて—————」
リグ「ですが、気持ちも少しわかる気がします」
裁判長は少し目を見開いた。そして医師はそれ以上に目を見開いた
リグ「存続の危機だったのでしょう、病院自体が。その中で金のために汚くなるのは・・・・仕方がないことだと思います。もちろん、罪を肯定しているわけではありませんですが・・・やはり、同情してしまう」
リグは一拍おいて医師を見た
リグ「ですが金に囚われていては、いずれ自身の身を滅ぼすということを・・・覚えておいてください」
医師は少し下を俯き、小さく頷いた。気を改めたような顔だった
リグ「・・・以上です」
裁判所を出ると、春風が頬をかすめ日差しが暖かく迎えた。桜は散っていない
リグ「・・・よし。戻らないとな」
頬をパンパン叩いて、車に乗り込んだ
———同国ダペン市———
レイはあの日と同じ商店街を歩いていた。ひったくりから女性を助け、さらにゼニスと共闘したあの商店街を 少し思い出しながら、買い出しのため八百屋の前に立っていた
レイ「店主、このキャベツとレタスで」
店主「いっつも買うねそれ!あいよ!20ペータね」
レイ「チップ!1万ペータ!」
店主「あんがとよ!またなあ!」
買い物を済ませ、八百屋を出た
そして同じ頃、伊達は同市ビアンカ駅のカフェで彼を待っていた
ドアが開き、ベルがなる
伊達「・・・先輩」
ゼニスだった
ゼニス「へへ・・・久しぶりだな、伊達」
向かいのソファ席に座った
伊達「今まで何やっていたんですか。心配したんですよ?」
ゼニス「ROEは追い出されたよ。強制契約破棄という形だったがな」
伊達「・・・これからどうするつもりです?」
ゼニス「・・・・・」
店員にホットコーヒーを頼み、そのまま下を向いていた
ゼニスはぼそっと「どうしたいんだろうな」と言った
伊達「・・・・」
ゼニス「そっちに行こうにも、EMIの社長が信用するか?しないだろうよ」
伊達「それはまだ決まったわけじゃないですよ。だって前_」
ゼニス「構わない。1年間生きていけるくらいの金はある どっかのアパートに住んで、のびのび暮らすさ。」
伊達「・・・らしくないですよ」
ゼニス「らしく?」
運ばれてきたホットコーヒーに角砂糖を一つ入れ、かき混ぜる
伊達「前だったらMNを殺すためにーとか言いそうだったのに」
ゼニスは混ぜる手を止めなかった
ゼニス「復讐は諦める、というか真の敵はレイじゃないんだ」
一口啜った
伊達「・・・じゃあ、真の敵、知りたくないです?」
ゼニスは固まった。石のように
伊達「そのために呼び出したまであるんです。これはうちの社長直々の願いで」
ゼニスはそのままコーヒーをおいた。ゆっくり丁寧に
ゼニス「直々の、お願い?」
伊達「ええ、できればゼニスは同じMNとして戦力に組み込みたいと」
ゼニス「・・・・・・戦力」
伊達「我々だって、真の敵が見えない状況です。ROEか、連合か、ヘルドマリスとかいう組織か」
ゼニス「・・・・」
伊達「それに俺だって・・・先輩と戦いたいです」
伊達はまっすぐゼニスを見た
伊達「これは僕個人のお願いでも、あります。」
ゼニスはしばらく考えた。そして、ふっと笑って体重をソファに預けた
ゼニス「お前の願いなら・・・乗るしかないな」
立ち上がって伝票を取った
ゼニス「俺は20年前の真実を知りたい。とにかくな」
伊達「先輩・・・・」
ゼニス「ナビはお前だ。ほら行くぞ」
伊達「はい!」
2人は会計を済ませ、車に乗り込み、EMI本社へと向かっていった。
———EMI本社別館契約兵宿舎B棟二階4号室———
ミラ・アシモフ 享年36歳。サイザ・パッスターの妻。死因:戦闘機墜落の爆発による焼死 44歳の誕生日
サイザ「ミラ、誕生日おめでとう」
横に娘の、正面にミラの遺影を置き、ビールを掲げた。春の日差しが窓から流れ込み、この日を暖かく迎えた
サイザ「最近?ああもちろん大丈夫だ。世界を救うっていう大層なミッション受け持ってほぼ毎日出撃の日々だけど、別に悪くない」
チョコを一口、甘い味が口の中に広がり表面上は欲を満たしていく
サイザ「ん?おいルナぁ、人にデブって言っちゃダメだぞ?」
ルナ・パッスター。サイザ・パッスターとミラ・アシモフの間にできた娘。享年7歳 死因:戦闘機墜落による破片が突き刺さったことによる大量出血
サイザ「それに、デブなのはお前たちが死んだ時から変わらないだろ・・・」
ふと立ち上がり、バルコニーに出て酒を一口飲む
サイザ「仲間はいい人尽くし、社長も優しいし手当も十分。まさに天職ってやつ?」
チョコをまた一つ食べた
サイザ「・・でもやっぱ、お前らがいないと辛いよ。」
バルコニーに体重を預けたまま黙った。ぼーっとしていた。鼻先に蝶が止まったことに気づいたのはそれから20秒後のことだった。
サイザ「ここに帰ってくるたび自分は誰のために戦っているのかあと疑問に思うんだ」
また酒をぐびっと飲んだ
サイザ「お前らはもういないのにな。」
風が吹き、また桜が散る。その度にサイザは何か変な儚さを感じていた。
サイザはまた戻り2人の遺影を見る
遺影は、少し微笑みが深くなってるような気がした。ここにいるというような
サイザ「・・・」
家族のことで最後に泣いたのは2年前、それからもう2年が経った。2年の涙が全部流されていく。堪えて、お菓子で逃げていた涙が
サイザ「・・・バカ」
それだけ言ってまた馬鹿騒ぎを始めた。それは2時間に及んだが誰もそのことを知らな
———EMI1階エントランス———
レイ「・・・」
ゼニス「・・・」
伊達「紹介しま、しょうか?」
2人「いい。」
レイとゼニスはついに対面した。面と面で向かって
2人「・・・・」
レイはスッと手を差し伸べた。握手のつもりらしい
ゼニスは恐る恐る手を取り、握手をした
ゼニス「悪かったな。何度も殺そうとして」
レイ「わかってくれりゃ、それでいい」
レイはふっと笑いゼニスも釣られてふっと笑った
伊達は研究のため地下研究室に、レイとゼニスはライへ挨拶するため社長室のエレベーターへ向かった
ゼニス「だがEMI本社、素晴らしい内装だな。」
レイ「おれも初めてきた時ビビった。ほんとに夢に描いた近未来って感じで大好きなんだ。」
社長室直行のボタンを押し、エレベーターが開く
ゼニス「きて何年経つ」
レイ「もう1年と2ヶ月は経つかなあ。」
2人はエレベータに乗り、上へ上へ加速的に上がり始める
ゼニス「だがまさか、MNが年下とはな」
レイ「何歳?」
ゼニス「26。」
レイ「1歳差じゃねえか。」
ゼニス「1歳でも下なら年下なんだよ。」
レイはタバコに火をつけ吸い始める
ゼニスは激しく咳き込みながら言う
ゼニス「お前場所考えろ!ここ密室!」
レイ「何、お前タバコ吸わない口?」
ゼニス「ヤニの匂いが苦手だ」
レイ「弱いなあ。」
ゼニス「なんだって?」
レイ「酒とタバコそして女は大人の証」
ゼニスはまだ咳き込んでいるがだいぶ収まってきた
ゼニス「女は?」
レイ「いない。」
ゼニス「大人じゃないな。」
レイ「じゃあそっちはどうなんですかあー!」
ゼニス「いない」
レイ「はいお前も大人じゃないー!」
ゼニスは深くため息をついた。あの一緒に酒を飲んだやつとはお前ないほどガキっぽかったからだ。
ゼニス「こりゃ大人になれねえな」
社長室にエレベーターがついた。
ライ「・・・レイか。」
レイをチラッと見た後視線をゼニスに移す
ゼニス「・・・どうも」
ライ「うちのレイの世話をどうも」
ゼニス「彼の世話は大変でしたよ。途中からおもちゃを取り出して振り回すもんですから」
レイ「お前はずっと振り回してたろ!」
皮肉混じりの言い合い合戦だった
ライ「それで、君があのMNゼニスか。」
ゼニスは背筋をシャンとして敬礼した
ゼニス「本日より配属となりました」
ライはゼニスの肩をポンポンと叩き応接間へ案内した
ライ「座ってくれ。」
ゼニス「失礼します。」
レイはコーヒーを淹れて3人分のカップに注いでいく
ライ「正式手続きについてだが・・・まあまず、君はここに入る気はあるか?」
ゼニス「ええ、あります。」
ライ「理由は何か?」
ゼニスはコーヒーを飲み、そして一拍おいた
ゼニス「・・・真実を知りたいんです。20年前の、そしてこれからの」
ライは眉を顰めた。まさかここまでの理由とは思っていなかったからだ。
ライ「てっきり、レイへの懺悔とかそんなものかと」
レイ「おい、社長。失礼だぞ」
ゼニス「あのエルメスのテロ・・・・あれだけでは終わったとは思っていません。これから、もっと何か大きなことが起こるんじゃないかと思って・・・だから知りたいんです!本当のことを・・・・それが俺なりの復讐です」
ライは5秒ほど沈黙した。換気扇の音だけが低く唸っている
そしてふっと笑った
ライ「・・・わかった。死ぬんじゃないぞ」
手を差し伸べた。
ゼニス「・・よろしくお願いします」
固く握手した。2人のMNはついに合流を果たした
そしてレイとゼニスは研究室に移動し伊達と相談を始めた。まずはMNゼニスについて
伊達「では変身権はROEにあると?」
ゼニス「ハンスさんが変身許可権限を持っていた。今じゃこれだ」
エキスパンションフォンを見せた。画面には全ての番号にバツが引かれており、変身できない状態にあった
伊達「実質我々の主要戦力はまだMNレイと・・・・チップを見せてください、色々いじってみましょう」
ゼニスはああ頼むと言いながらエキスパンションフォンを手渡した
伊達「あとレイさん。3つの新装備完成しました」
レイ「お前最近張り切りすぎだって、本当に大丈夫かよ」
伊達「過労死するかと思いました・・・でも、ライ社長曰く、これでルシファーに勝てるんじゃないかと言っていまして」
ゼニス「推測で物事を図るタイプかあの人」
ゼニスは少し怪訝そうな顔をした。ゼニスは昔からなんとかなるが嫌いだった、いい加減な推測が嫌いだった。
伊達「というわけでレイさん。実験のためあちらの部屋で変身準備を」
レイ「ああ、またなゼニス!」
片手を上げた
ゼニス「ああ。」
各々自身の意思を胸についに最終決戦への土台は整った。世界は果たして救えるのか、はたまたそれとも
to be continued・・・
・用語解説「F126墜落事件」
2015年6月2日 シャン・ド・ウォールの首都ディアセムス南東の住宅街にF125の後継機として開発されたF126戦闘機がエンジン整備不良により墜落した事故。パイロットは墜落前に脱出したが墜落地点の住宅6戸が全壊、そして火災が広がった。この事件にサイザ・パッスターの妻と娘が巻き込まれ、政府は新規住宅と慰謝料を支払った。




