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———2日後 トリスカ帝国第2都市ハミニア304番地No.2ストリート街カフェ「モシェルデ・ビュンブラン」———
レイ「・・・総員 無線のチェックを」
サイザ「レディ」
ミロシア「レディ」
レイはカフェのテラス席で、ブラックコーヒーをゆっくりと口に運びながら視線を街路に固定していた。
駄菓子屋のカウンターではサイザが「これとこれと…あとこれ!」と子供のようにはしゃぎながら袋いっぱいに菓子を詰め込んでいるが、手のひらには小型の暗視スコープが隠されている。
そして遠くのビルの屋上、ミロシアは迷彩ネットに身を潜め、スナイパーライフルを据え、十字線をカフェテラスに重ねていた。
レイ「いいか。目標にはお前らの存在はどうせバレている。盗聴ももちろんのことだろう。その仮定の上で行動しろ」
2人「了解。」
レイはカップを置いて、ゆっくりと息を吐いた。
2日前、社長室でライが吐き捨てた言葉がまだ耳に残っている。
ライ「これは命令だ。そのTC財閥の創設者が君と会いたいと言ってきた」
レイ「おお、それまたなんで」
ライ「・・・奴が秘密を知ってるんだ コードの」
その一言で、チームは即座に動いた。
上空にはヘリコプターが輸送のために飛んでいる
ライの指示は明確だった。
ライはレイに変装用のマスクを渡しながら言う
「偽名はできる限り使え、接触は慎重に。だが、奴が何を言おうと、信用するな。コードの秘密を聞き出せ。必要なら…力ずくでも」
レイ(…力ずく、か。社長さん、随分と苛立ってたな)
コーヒーの苦味が舌に残る。
レイは無線越しに小さく呟いた。
レイ「目標到着まであと7分。予定通り、俺が単独で接触する。お前らはバックアップと周囲警戒に徹しろ」
サイザ「菓子食いながらでも援護するからな! …ってか、115歳の爺さんがカフェに来るってマジかよ。足ないのにどうやって?」
ミロシア「車椅子と私兵だよ。Comfortable defenseの残党が数人付いてる。外に出る時は大体そいつらがついているらしい」
レイは小さく笑った。
レイ「Comfortable defense…倒産したはずの私兵会社か。金さえあれば、死んだ会社でも蘇るもんだな」
その時テラス席の下の路上駐車エリアにリムジンが止まる
周囲の人が注目し始める
レイ「…よし。総員へ 万が一の撤退コードは302」
2人「了解」
レイはコーヒーカップを置き、ゆっくり立ち上がった。
後部座席の窓が薄く開き、車椅子の老人がこちらを見据えていた。
市民はそれがカミンスキーだと分かった瞬間後退りする
後方から装甲車がやってきて迷彩服と防弾チョッキをつけた私兵たちが降りてくる
私兵たちは周囲を脅すように銃を構えている
レイ(…来たか)
レイ「目標確認。こちらからの通信を切る」
3人「了解」
ミロシア「隊長、気をつけて」
カミンスキーはカフェの一階に入ろうとした・・・しかし一瞬立ち止まり後方1km先のビルからスナイパーを構えているミロシアをニヤリとしながら見る
ミロシア「!?見られ・・・」
何か言いかけた瞬間
突如ミロシアの目の前の地面に弾が突っ込んできた
ミロシア「・・・」
左の方を見るとさらに高いビルからこちらを狙うスナイパーの姿があった
どうやらミロシアに打たせないようだ
ミロシア「・・・ちっ」
再度スコープを覗き監視を続ける
レイ「・・・ミロシアがバレている」
レイ(となると・・・サイザもどっかでバレてる可能性があるな。Comfortable defense・・・流石連合の厄介者)
カミンスキー「あなたが・・・MNですな?」
カミンスキーが車椅子を押されながらやってくる
レイ「いえ、MNレイは本日別のミッションに赴いておりまして不在です。代わりに私ハタリア・ユウゾウが・・・」
偽名で乗り切ろうとするレイ
しかし、私兵たちはそれをわかっていたように銃口をレイに向ける
他の客は知らんふりをしていた
カミンスキー「嘘をつくでないMNレイ 社長から言われただろう?なるべく偽名は使えと」
レイ「・・・・一語一句全てあってやがる」
カミンスキー「冗談のつもりだったがね」
カミンスキーは私兵に周囲の客を追い払うようハンドサインし、私兵たちは動きだす
客1「やめて!やめて!」
私兵1「おら、とっととでてけ!」
私兵2「お前らみたいな奴がカミンスキー様の重要な話を聞くんじゃねえ!」
空へ銃声を放ちながら客を追い払う。
レイ「・・・・」
カミンスキー「機密情報の交換だから配慮してあげようと思ってね ダメだったかい?」
レイ「それはありがたい限りで・・・交換?」
カミンスキー「私たちだけ君たちに情報提供というのは、こちらにとっても不利だろう?」
レイ(随分強気だな・・・まあとりあえずは)
レイ「話が違うじゃあないか。核のコードについて教えてやると言ってたはずだろう?」
カミンスキー「教えてやろうとは言っていない。秘密を知っていると言っただけだ」
レイ「じゃあなんでわざわざ呼び出した 俺を殺す気でいたのか?」
カミンスキー「・・・本当ならそうしたいところだが ここで面倒ごとは避けたい」
レイ(裏に何かいるな・・・よし)
カミンスキー「じゃあ、まずは私たちからだ。自由に質問しろ。 5つ 答えてやる。だが代わりに君も5つ答えろよ」
カミンスキーはそう言いながら私兵に金を渡しコーヒーとチョコケーキーを頼んでこいとハンドサインを出す
カミンスキー「君も何か?」
レイ「ティーラテ そしてシュガードーナッツで」
カミンスキーはハンドサインを出して私兵をレジに向かわせる
レイ「・・・行くぞ。」
カミンスキー(5つは多すぎたか・・・いやだが、ヴァヴィルドさんの命令なんだ。なんのためかは知らないが・・・)
レイ「核のコード あれとトークのルシファーの動きが連動していた。ルシファーそしてコード 奴らはなんの関係がある?」
カミンスキー(嘘をついてもどうせバレる回答じゃな・・・)
カミンスキーは2日前ヴァヴィルドに言われたことを思い出す
ヴァヴィルド「嘘をついても無駄な回答は・・・まあ、ルシファーとコードの関係 私の存在 これは正直に答えてもらって構いません」
カミンスキー「あなたのことを言って大丈夫なのですか」
ヴァヴィルド「連合内にEMIもスパイの2人か3人は仕込んであるはず・・・それに連合に属する国家には親EMI派とかいう企業の奴隷の官僚が複数います。彼らを伝って、EMIに情報が行ってる可能性もありますしね・・・」
もう一度言葉を思い出し、カミンスキーも気を引き締める
カミンスキー「ああ、その通り ルシファーはコードを飲み込んでいる」
レイ「ほほお、それまたなんで?」
カミンスキー「おっと、もう一回カードを使うのか?」
レイ(これも1回分かよ・・・!クソ!主導権を握られている。こっちも何か出さないと・・・)
レイ「なら、使わない」
カミンスキー「賢い選択だ。」
レイ(この爺さんやっぱ頭が切れるな・・・いや、切れているというより・・・勢い?がすごい。今じゃそんな元気もないだろう おそらくこれも強気で行くためにわざと・・・だが若い時なら、このくらいの勢いで財閥建てたんだろうな・・・)
レイ「・・・はっ」
カミンスキー「んん?」
レイ「まあ、PMC如きに負けた負け犬財閥が今更遠吠えかましたって 意味ねえけどなあ?」
カミンスキー「・・・ガキが」
レイ「しかもこの私兵らもPMCに負けたブルジョアジーの犬・・・ははっ!負け犬は負け犬同士で傷舐め合っとけ!」
私兵1「貴様!」
私兵1はピストルの弾丸を1発放つ
レイはそれをわかっていたように私兵1の腕をキックして銃口を上へとそらす
レイ「爺さん、とめろよ。面倒ごとを避けたいならな・・・」
カミンスキー「・・・銃をしまいなさい」
私兵1は下がる
ヘリコプターはすぐ近くの病院の屋上に到着する。患者を運んでいるのだろうか
レイ(まあまあの圧は与えたな だが依然として主導権はあちらにある・・・だが、さっきの挑発で追い詰められている感は少なくとも出せたはず・・・よし)
レイ「次にだ。核のコードは、どこの誰によってエルメスに埋められたかわかるか?」
カミンスキー(ふむ・・・そうくるか、だがまあ回答は)
カミンスキー「知らないね。」
レイ「次に・・・爺さんは誰かによって命令されここにいる 違うか?」
カミンスキー(これは・・・言っていいのか?だがそうすれば私の権威が落ちるか・・・なら)
カミンスキー「いや、私は君と話したいがためにここにきた」
レイ「話す奴の態度とは思えんがな」
レイは私兵が持ってきてくれたティーラテを飲む
レイ「・・・さて次に 連合は何かの組織と繋がっている 違うか?」
カミンスキー「ああ、私個人の捜査だが、どうやらヘルド・マリスというものと繋がっているようだ。」
レイ「・・・ヘルド・マリス?」
カミンスキー(・・・知らないような態度だな。だがEMI側に情報が漏れないという可能性はまずない 恐らくこれは演技だろう)
カミンスキー「ああ、ヴァヴィルド・ヘア・ラグーンとかいう32歳の男が、君たちEMIを潰すために色々連合とつるんでるとか」
レイ「・・・なるほど」
レイ(ラッキー!ここでしれたのはでかい!演技だと思ったんだろうがそれはブラフ。確証が持てた こいつヘルド・マリスに指示されている。核のコードの元所有者 そしてヘルド・マリスが連合と絡み始めた今、この爺さんがくるってのはあまりにも不自然だ。)
カミンスキー「さて、残り1つ」
レイ「いや、そっちに渡すよ」
カミンスキー「?」
レイ「最終兵器は負ける寸前まで持っておく・・・それが俺の流儀だからな」
カミンスキー「その最終兵器とやら、期待しているぞ?」
カミンスキーはさらに深く座り、質問の準備をする
その頃サイザ、ミロシアたちは依然として監視を続けていた
ミロシア「さっきの挑発、あまりにも言い過ぎですよね」
サイザ「隊長にも、何かしらの作戦はあるんだろう。でも明らかに出過ぎだな」
ミロシア「・・・サイザさんそっちの方は大丈夫ですか?監視されていたりとか」
サイザ「ああ、向かいのベンチに2人の男 こっちをチラッと見ている」
ミロシア「・・・・サイザさん移動しました?」
サイザ「ああ、外のベンチでお菓子食ってる お前からも見えるぞ」
ミロシアはスコープ越しにサイザを探す
ミロシア「あ、いた」
サイザは少し手を降ってまたお菓子にありつく
ミロシア「真面目にやってくださいよ!」
サイザ「至って真面目さ」
ミロシア「・・・はあ」
ミロシアはまたスナイパーをレイとカミンスキーの方に向ける
そしてカミンスキーは質問する
カミンスキー「まあ正直、5つと言ったのは君にチャンスをやろうと思って作った数字さ。実際君に聞きたいのは一つだけ・・・・」
レイ「なんだ?」
レイ(・・・まあまさかな・・・)
カミンスキー「君の名前はレイ・メーデニコン そうだろう?」
レイ「・・・ん?」
サイザ「え?」
ミロシア「は?」
レイ(くっそこいつ!なんなんだこいつ!)
レイは自身の心臓の鼓動が早くなるのを感じる
レイ(なぜ本名がバレている・・・どこからか情報が!?伊達か?ミロシア?あるいはリグ!?しかもこいつ 違うか?じゃなくてそうだろう?って確信持ってんじゃねえよ!)
カミンスキー(・・・黒か)
レイ(・・・いや、落ち着け もし本当にその情報が漏れているのだとしたら確実に連合に行っている。したら連合は国際指名手配かエルメスに討伐隊を派遣するだろう あるいは本社にも・・・つまり俺の情報はヘルド・マリスとそれと協力関係にあるPMCにしか伝わってない・・ってどちらにせよ遊ばれてやがる!)
レイ「はっ・・・なわけねえだろ」
カミンスキー「だろうな」
カミンスキー(とりあえずこれでこいつの名前はレイ・メーデニコンと確証が持てた あとはやつにターンを回すか)
カミンスキー「あとは残り1つ 君の番だ」
レイ(落ち着けよ俺..まだやれるだろう 企業のために!)
レイ「そして最後・・・核のコードあれは・・・本物?」
カミンスキー(今更聞くことか?)
カミンスキー「ああ、もちろん」
カミンスキー(まあ、嘘なのだがな あれが本物ならとっくのとうに撃っとるわ 連合を叩き潰すためなら・・・)
レイ「じゃあ、打てよ」
カミンスキー「ん?」
レイ「撃てよ 連合潰すための核だろ?なら、いつでも撃てるだろ。コードを作ってからこの47年間 いつでも」
カミンスキー「・・・もう、使えるカードはないな それではこれで」
カミンスキーは車椅子を操作し、帰ろうとする
その額には汗が見えていた
レイは椅子を飛び上がり机を超えてカミンスキーの車椅子を掴み、横へ倒す
カミンスキーは倒れた 少しの悲鳴をあげながら
カミンスキー「なっ・・・なんなんd・・・」
カミンスキーがレイに怒鳴りつけようとレイの顔を見る
レイ「逃げんなよ。俺だけ本名という情報をお前らに渡して、お前らは正直 どうでもいい情報を俺たちに与える フェアじゃないだろ?」
カミンスキー「な、何を・・・全て重要な情報だろう!」
レイ「アルフレッドガブン、ROE」
カミンスキーはその言葉を聞いた時一瞬頭が上の空になり、そしてまたレイを見る
レイの目から光が消えていた
レイ「今まで聴いたのは全て知ってる 1988年の事件の真相も」
カミンスキー「お、お前ら!やれ!こいつを!」
しかし私兵たちは全員倒れていた 見たところ血を噴いてはいない
カミンスキー「な・・!?」
先ほどの病院の屋上から漏れる無数の光
カミンスキー「まさか貴様あ!」
EMIのスナイパー部隊が展開していたのだ
しかも使用した弾薬は麻酔弾
レイ「大丈夫だ 全員生きてるさ お前を除いてな。ミロシア!」
ミロシアに通信する
ミロシア「・・・はいこちら準備完了」
カミンスキーの頭に標準を合わせる
レイ「最後の質問だ 核のコードは偽物か?本物か?別に嘘ついたっていい。なんも危害は加えない」
カミンスキー「ぐうっ!」
カミンスキーはないはずの足がビクビクするような感覚を覚えていた
カミンスキー「・・本物だ」
しかしそれでもなおカミンスキーは賭けに出た
レイ「・・・そうかい。どうしても喋らないんだったらもういい ルシファーに直接問いただす」
レイは一方通信モードに切り替える
レイ「全員撤収!」
レイは倒れたままのカミンスキーを放置しながら店を出ようとする
カミンスキー「・・・操られているんだ。みんな 何かに!」
レイはたち止まり目だけでカミンスキーに振り向く
カミンスキー「私もこんなに生きたくなかった・・・権力者なんていう立場から脱却したかった・・・・だが階級は!立場は!ずっと!死ぬまで!私を苦しめる・・・」
レイ「・・・なぜ核のコードを設定した?」
カミンスキー「・・・一時の感情に流されたということだ。愛する妻を、娘を、息子を、バーフリーパンデミックで失った・・・絶望したんだ 連合の管理体制の甘さに・・・」
レイ「・・・」
カフェ正面の道路にはサイザが撤収用の車を停めて待っている。ミロシアはヘリに回収された
カミンスキー「だから、連合のサーバーの一部をハックして連合の総合防衛省の格管理サーバーに侵入することに成功した。情報を抜き取って、そこからコードを作ったんだ・・・!」
レイ「なぜ撃たなかった」
カミンスキー「・・・新しい家族ができた・・・のだが正直もう限界だった。色々ありすぎた 挙げ句の果てに私は妻だけでなく娘にも手を出した・・・」
レイ「・・・・」
カミンスキー「コードのことなど忘れたかった。なんかの機密情報 そんな認識に落とし込もうとしたが・・・エルメス部隊の襲撃が 全て思い出させた。・・・私の過ちを・・・」
レイ「・・・さっきまでの態度は本心?」
カミンスキー「半分はな もう半分はヴァヴィルドだ。もう私は歯車だ ヘルド・マリスという機械の」
レイ「俺も何かの歯車なんだろうな・・・」
カミンスキー「ははは・・・レイ、君はまだ自分を知らない」
レイ「・・・?」
カミンスキー「君は・・・エルメスの・・・いや・・・せ・・・」
カミンスキーは度重なるショックで意識を失った
レイ「・・・じいちゃん!」
レイはカミンスキーの元へ駆け寄る
レイ「・・・く!」
サイザ「隊長!警察がそろそろ来ます!」
レイ「・・・ああ!」
レイはカミンスキーをかつぎ2階から飛び降り、車に乗り込む
レイ「いいぞ、出してくれ!」
サイザ「・・・そのじいちゃんは」
レイ「死ぬなよ・・・まだやってもらうことがあるからな!」
車は大通りを外れ小道へ向かう
車内にはもの寂しいBGMが流れていた
to be continued・・・
・人物解説「レイ・メーデニコン」
25歳。大学卒業後、路頭に迷っていたところをライ・トーポリに拾われEMIへ。MNのパイロットであり、MNと凄まじい適性を持っている。父であるレイ・コール・アントニーはEMI管轄の病院で入院。母は生死不明である。
-性格評価
何に対しても軽いように見えるがいざ任務になるとかなりの成果を発揮できる。
-戦闘能力評価
とてもMNと相性が良い
・用語解説「ROE」
ハンス・ニケーネ(56)によって設立された新生PMC。ディアード紛争などで活躍し国内外から注目を浴び続けている。MNゼニスの所持会社で、EMIと唯一対抗できると言っていいPMCだ。




