MN1 ファイル19881112・20220325・20220326
ー1988年11月12日ヴァルドリア王国首都クァハーマ ターマン・カミンスキー宅ー
中継:エルメス国家軍第二特殊作戦部隊「クシャーナ隊」隊長アルフレッド・ガブン
隊員たちは邸宅正面の鉄の扉を破壊するためブリーチングチャージをつけ終えた
ガブン「総員へ 配置についたか」
隊員1「レディ」
隊員2「レディ」
その他6名「レディ」
ガブン「・・・3、2、1」
手に持っていたスイッチを押す
ドォォォン!!
ガブン「突入」
隊員1「突入する」
ガブン「庭をクリアリングしろ」
隊員2、3「噴水前よし」
隊員4「ベンチよし」
隊員5「敵影なし」
隊員たちは手際よくクリアリングをしていく
隊員6「8、屋上の状況は?」
隊員8はスナイパーで遠くから見張っていた
隊員8「敵兵はなし、だが爆破に気づいてそっちにくるかもしれない」
隊員7「想定内だ」
隊員1「総員へ、扉の前へ集まれ」
正面玄関の扉に全員集合する
隊員3「こじ開けます」
サプレッサー付きのショットガンを取り出し、錠を破壊する
ガブン「3、2、1・・・」
扉を蹴破り突入する特殊部隊員たち
娘「な、何?」
母「あなたたちだ・・・」
隊員2「黙れ」
娘と母を射殺する
銃声が響き、母と娘の体が崩れ落ちる。血が絨毯に広がる中、幼児が泣き叫ぶ
長男「なんだ今の銃せ・・・」
隊員5「静かにしろ!」
長男の口をロープで縛り二階に連行する
長男「んー!んー!」
隊員7「・・・」
隊員7は別の部屋をクリアリング中だった
敵兵「見つけたぞ!」
敵兵は2発の弾丸を隊員7に命中させる
隊員7「いた!コンタクト!」
ガブン「援護する!4、7を運べ!」
隊員4「了解、隊長」
敵兵「ぐっ!」
敵兵はガブンによって肩を撃ち抜かれる
敵兵「お前ら何者だ!」
ガブン「知る必要はないさ」
頭を撃ち抜く
隊員5「隊長!2階もクリアリング完了です」
ガブン「長男は無事か?」
隊員5「咄嗟に盾にしちまった、もう息がねえ」
隊員3「隊長、幼児を発見しました」
幼児「えええええん!」
幼児はずっと泣いていた
隊員4「7の搬送完了」
ガブン「ありがとう」
隊員3「隊長、この子をどうします?」
ガブン「もちろん人質だ、いくぞ!」
ガブンは隊員たちを率いて2階へ上がる
カミンスキー「早く支度の準備を・・・」
カミンスキーはすでに襲撃を察知して逃亡の準備をしていた
ダァン!
自室のドアが蹴破られる
ガブン「ターマン・カミンスキー」
カミンスキー「ヒイッ!」
自身の毛穴から汗がドバッと吹き出すのをカミンスキーは感じた
ガブン「核のコード 教えろ」
カミンスキー「ざ、残念だったな。核のコードなどこの世にはないよ」
隊員4「嘘をつくな!さあ教えろ」
カミンスキー「ほ、本当なんだ!あれは連合を脅すための・・・」
隊員3「こいつがどうなっても?」
幼児を首根っこから持ち上げた隊員3が入ってくる
幼児は銃口を向けられておりその目はもう死ぬことを悟ったように曇りがなかった
カミンスキー「アリス!だめだ、アリスは!」
隊員3「嫌なら早く言え」
カミンスキー「・・本当なんだ 信じてくれ」
隊員3「誰が信じるか!反連合派閥を支持した上、核を一斉発射するコードを作るやつのことを!」
隊員6「・・・あと12分で軍隊が来ます」
ガブン「さっさと言え。」
隊員3「もっと残虐な方法でこいつを殺してもいいんだぞ」
隊員3は4から火炎放射器を受け取り、幼児の額にあてる
少し炎が漏れ、幼児の額に接触する
相当痛かったのだろう 幼児はまた泣き喚いた
カミンスキー「・・・・」
ガブン「よし、燃やせ 2、8に連絡 そろそろ撤収すると」
隊員2「了解 こちらクシャーナ2 8聴こえるか・・・」
カミンスキー「わ、わかった!渡す」
カミンスキーは一切れの紙を渡す
ガブン「・・・ふん」
隊員3に合図を送ると隊員3は火炎放射器の引き金を引く
カミンスキー「やめっ!」
幼児は一瞬で燃え上がり少しの悲鳴の後息がなくなり黒焦げの状態で倒れる
カミンスキー「アリス!アリスう!」
カミンスキーは黒焦げで、目玉が萎み灰となった孫を抱く
カミンスキー「ああ、・・・・アリス・・・・アリス・・・!」
ガブン「撤収だ 行くぞ・・・」
クシャーナ隊は廊下に出て行って1階に降り始める
隊員2「隊長 8と連絡が取れません」
ガブン「8 聴こえるか?間もなく撤収・・・」
そう言いかけた時、壁が破られ何かが入ってくる
ガブン「!?」
隊員4「な、なんだ!?」
隊員2「隊長!前!」
ガブン「なっ!?」
壁の破片の合間から見えたのは一両の戦車だった
ガブン「総員ふせろおおお!」
戦車から1発の砲弾が放たれ、ガブンたちのいる地点で大爆発が起こる
カミンスキー「・・・いやあ、助かったよ」
戦車長「いえいえ、カミンスキー様のためなら」
カミンスキーは2階から飛び降り、戦車長に挨拶をする
カミンスキー「エルメスの情報はすでに私が握っている。馬鹿なことをするよ全く」
戦車長「しかしよろしいのですか?エルメスは一応中立国であり連合が保護しています。万が一連合に怒られるようなことがあった場合・・」
戦車長は爆炎に包まれた砲撃の穴を見ながらいう
死体は焼け焦げ全員が死亡していた
カミンスキー「何、核のコードさ。あれさえ打ち込めば連合は自滅するんだ。」
戦車長「核のコード 彼らに渡したのですか?」
カミンスキー「ああ、まあ偽物だがな。バカなやつだ あんな紙切れをすぐ信じるなど」
カミンスキーは持ち出したスーツケースの中から本物のコードを取り出す
戦車長「ははは・・・では、私は帰投します」
カミンスキー「ああ、報道規制は頼むよ」
戦車長「はい!操縦手!バック!」
戦車は元いた場所に帰る
カミンスキー「私も逃げるか・・・」
カミンスキーは戦車長と別れ、裏庭から車を出すためそちらに向かう
カミンスキー「しかし妙だな・・・もっと派手にくると思っていたんだが まあこんなものだな」
カミンスキーは路地を歩いている
カミンスキー「妻も娘も孫も死んだ・・・処理係がいなくなったのは残念だが、まあ売春街に行けばすぐやれ・・・」
庭園をさろうとした時、足が何かを踏んだ
カミンスキー「んん?」
カミンスキーは足元を見ようとした
ドォォォン!
突如カミンスキーの足元が爆発、カミンスキーは両足を失った どうやら地雷が設置されていた
カミンスキー(バカな・・・いつ・・・!)
ガブン「引っかかってやんの・・・」
両足を失いながらも立ちあがろうとするカミンスキーの前に片目が潰れたガブンが現れ、スーツケースを持つ
カミンスキー「き・・・様・・・・わかっていたのか・・・」
ガブン「もらってくぞ」
ガブンはよろけながらも走り去っていく
私兵1「カミンスキー様!くそ、追え!」
3人の私兵がやってくる
私兵2.3「はい!」
2人はガブンを追った
それから2時間後 ガブンは都市から離れた浜辺に着いた
ガブン「ここまで来れば追っ手も・・・こないだろう」
ガブンは血まみれになりながらスーツケースからコードの情報が入った瓶を取り出す
ガブンはどうやらかなり銃撃を受けたのか瀕死だった
ガブン「沖に回収用の潜水艦が来ていたはずだ・・・あとは頼むぞ・・」
ガブンはゆっくり水中に入りコードの入った瓶を手放す
瓶は波に乗り、沖へ消え去った・・・
ガブン「これで・・・いい・・・」
ガブンは沈み、息絶えた
———現在———
ヴァヴィルド「いやはやしかし、とんだやらかしをしてくれましたねえ」
カミンスキー「・・・・」
ヴァヴィルドはコーヒーを持ってきてカミンスキーの車椅子の飲み物入れに置く
ヴァヴィルド「そのせいで私たちはかなり苦労したんですよ?ルシファーを再生しなきゃならなかったわけですから」
カミンスキー「・・・私は」
ヴァヴィルド「まあ、今となっちゃ関係ないことです。」
ヴァヴィルドは一口コーヒーを飲み、またテーブルに置く
カミンスキー「この深夜にコーヒーとは、昼夜が逆転しているのですか?」
ヴァヴィルド「研究員時代はよく深夜に飲んでいました」
カミンスキー「連合管轄の研究所ですかな?」
ヴァヴィルド「ええ、あそこは無能の集まりだ 今も昔も」
カミンスキー「私も、一度視察に行ったことがあるよ。あそこはダメだ まるでやる気がない。誰かが鞭を打たなければ」
カミンスキーもコーヒーを飲む
ヴァヴィルド「私が今まさに打ってるところですよ」
両者は笑った。カミンスキーは作り笑いだったがヴァヴィルドは腹の底から笑っていた
カミンスキー「それで、話とは?」
ヴァヴィルド「EMIについてですよ。」
カミンスキー「EMIかあ 私も聞いてるよ。核のコードを奪おうとしているんだろう?」
ヴァヴィルド「ええそうです。財閥は無くなったがあなたは健在だ。あなたに頼みがある」
カミンスキー「・・・なんですかな?」
ヴァヴィルド「レイという人がEMIにいます。彼と接触して欲しい」
カミンスキー「・・・MNのか」
ヴァヴィルド「ブラフをかけてもらいたいんですよ。」
カミンスキー「私は115歳だ。そんな老人に務まるわけ・・・」
ヴァヴィルド「当事者が言う事と第三者が言う事 どちらが信用されやすいかは・・・わかっていますよね?」
カミンスキー「・・・」
カミンスキーは黙り込んでいた
ヴァヴィルド「もうすでに連合には話は通してある。ではそういうわけで」
ヴァヴィルドはコーヒーを意地悪に捨てながらエレベーターに乗り下へ降りる
カミンスキー「・・・私も終わりか」
———翌日 ウルティア連邦ウヨサミキ州首都ボリュゴア南部戦線司令所———
EMI兵士1「失礼します。将軍」
EMIはウルティア連邦ウヨサミキ州の紛争に連邦派として介入していた
ウルティア連邦ウヨサミキ州軍管轄将軍“オラダミー・カノフスス”「どうした」
EMI兵士2「諜報部からの情報によると、反連邦派は南部の農村を襲撃 物資を調達したとのことです」
EMI兵士2は紙のように滑らかに曲がるディスプレイ装置を広げ、紛争地帯のマップを空気中に展開する
オラダミー「では、第3ヘリコプター大隊と第32歩兵旅団を向かわせろ」
EMI兵士3「将軍、お言葉ですが第3ヘリコプター大隊は補給が足りず燃料不足の状況に陥っています。」
EMI兵士1「我々にお任せください。ミサイルを持って農村ごと焼き払ってみせますよ。」
オラダミー「いや、君たちは後方待機だ。私たちがやる」
EMI兵士2「将軍。物資が足りない状況では・・・」
オラダミー「下がれ。君たちはもういらん」
オラダミーは兵士たちを睨みながら言う
ウルティア連邦軍中佐「将軍!戦況報告です。」
オラダミー「うむっ。」
紙の報告書を見ながらオラダミーは作戦会議を開く
EMI兵士たちは蚊帳の外に置かれていた
EMI兵士1「あの将軍、俺らのことを信用してねえ」
EMI兵士2「裏で連合に言われているんだろうなあ。EMIの介入はなるべく避けろと」
EMI兵士3「今後EMIは戦線をエルメスに絞って、通常紛争には介入しない方針に舵を取るだろうよ」
作戦会議テントから出てきた3人。外ではヘリコプターや装甲車の誘導が行われていた
EMI兵士2「EMIもEMIさ。調子乗ってMNとかって言うのを作って連合に喧嘩売ってんだろう?」
兵士2はポケットから緊急食料を取り出し食べ始める
EMI兵士1「元はといえば50年前 研究所に爆弾仕掛けた犯人と、そんなことも見逃した連合のアホな体制のせいだろ。連合の自業自得」
EMI兵士3「誰かのせいじゃないよ みんな悪いんだ。みんな利益欲しさに、自分の正義を執行したくて戦争だったりいろんなことをやってきたんだろう?僕だって、金が欲しくてここにきたんだ」
EMI兵士2「そんなのは世の中じゃ通じねえよ。勧善懲悪が政治を成立させ、勧善懲悪が戦争を成立させ、勧善懲悪が世界を成立させた。2元論が広まった今の世の中、お前の意見に同意はすれどそこから抜け出そうとしないんだろ。みんな」
EMI兵士1「それを理解してる分俺らはまだマシだ」
EMI兵士2「・・・いや、俺たちもその一部だよ」
兵士2はため息をつきながら言った
装甲車たちは整備を終え、戦場へ向かって行った・・・
———同日EMI本社社長室———
サイザ「リグ、どうやらレオの治療を担当していた医者を告発したらしい。」
サイザは社長室の机の上に置かれたチョコを食べながら言った
ミロシア「資金が足りないのはわかりますが患者の病状を治さないのは・・・」
レイ「リグがいなくなって、寂しくなったな」
ミロシアの携帯が鳴る
ミロシア「ん、ちょっと退出します。」
ミロシアは社長室の廊下に出て電話をしている。
レイ「・・・そういえばさあ」
サイザ「ん?」
レイ「サイザはなんでここにきたの?」
サイザは一瞬チョコを食べる手を止めた
レイ「履歴書にはお菓子をたくさん買うためとか書いてあったけど そんな舐め腐った理由で戦場に入れるわけがない・・・」
サイザ「・・・」
レイ「教えてくれ。お前何があった?」
サイザ「・・・妻子がいたんですよ」
お菓子で汚れた手をふきんで拭き、スマホを取り出し、一本のビデオを見せる
ビデオの撮影日は2014年1月22日だった
ビデオにはサイザ35歳の誕生日を祝う妻と娘の姿があった
レイ「・・・」
サイザ「このあとなんですよ。妻子が死んだの」
レイ「これって・・・なんかの紛争に巻き込まれたのか?」
サイザ「いや、戦闘機が墜落したんです。新型のね 実験中突如エンジンが止まってそのまま・・・」
レイ「・・・聞いて悪かった。」
サイザ「入った理由は半分正しいですよ。お菓子は最高の食べ物だ 苦い記憶を忘れ去ってくれる、ピーマンなんかクソ喰らえだ」
レイ「・・・・もう半分は」
サイザ「死に場所を求める・・・ですかね。」
2人が話している時社長待機部屋からライが入ってくる
レイ「おお社長・・・さん?」
ライはどこかイラついた様子で椅子に座る
レイ「どうしたんだ社長さん」
ライ「・・・クソみたいな電話が来たんだ」
サイザ「なんすかそれって」
ミロシア「すいません電話すみまし・・・社長・・・」
ミロシアも帰ってきたがどこかピリついた雰囲気に一瞬ビビる
ライ「レイ。TC財閥を知っているよな?」
レイ「ん?なんか70年前とかにウハウハ言わせてた財閥だろ?」
ライ「これは命令だ。そのTC財閥の創設者が君と会いたいと言ってきた」
レイ「おお、それまたなんで」
ライ「・・・奴が秘密を知ってるんだ コードの」
3人「え?」
to be continued・・・
・用語解説「私兵会社Comfortable defense」
誰かの私兵として雇うことができる大洋自由連合旧過激派のデ・ダルニーニュが設立した会社。TC財閥や諸宮家と言った旧財閥御三家はこの私兵を多く雇い、権力を誇示していた。現在では倒産している




